こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー   作:夜遊

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お久しぶりです!!

いい加減終わらせろよ、と皆様の声が聞こえる気がします。


御坂妹編、僕は生きたいんだ!!

僕、小野町仁は正義の味方側の悪役である。

 

他人の為ではなく、自分の為にしか力を奮えない悪でありる。

 

そして、僕は知っている。

 

そんな他人の事を気にもしない生き方をしていればいつか、酷い報いを受ける事を……。

 

それが今なのかも知れない。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?!?!?」

 

この時、歩夢に左腕を切断された僕は只只叫んでいるだけだった。

 

腕の切り傷から夥しい量の血液がまるで洪水の様に流れ出ていく。

 

脳はすでにある1つの事のみを考えていた。

 

それは、『死』。

 

そうだ。

 

僕は死ぬ、死んでしまう。

 

(逃げなくては!!)

 

僕は恥も外聞も殴り捨て、逃げ出す!!

 

右手で左腕の切断面を握り、止めどなく溢れ流れる血液を止めようとしたが、余り意味がなく、それでも握る。

 

足は左右交互なんて律儀に動かす余裕もなく只、前に行こうと動いている。

 

痛みを越えた激痛が僕の両目から涙を流し、鼻水も出てきた。

 

常に叫んでいるせいで、開きぱなしの口からは涎や唾が垂れ流れる。

 

それでも僕は逃げる!!

 

もう、吹寄や斎藤誠やら、歩夢やら、学園都市やらその他の諸々の事情は関係ない。

 

あるのは、生にしがみつく、醜い考えのみだった。

 

「ガブゥッ!?」

 

転ぶ。

 

これでなん十回目かわからないが、転んだ。

 

しかし、今までと違ったのは、転んでそのまま動けなかった事だ。

 

まるで、両足が何かに挟まれたかのように動かせない。

 

何が足を挟んでいるのか確認しようと、足元に目を向けた瞬間、僕は絶句してしまった。

 

足が『無かった』

 

、腰から伸びているであろう、人体の足が、根こそぎ『無かった』

 

そしてそこからも大量の血液が流れている。

 

僕は気が付いた。

 

足は『挟まれた』のではない。『無くなってしまった』のだ。

 

なぜ?

 

決まっている。

 

切られたのだ!!

 

誰に?

 

決まっている。

 

「Aわれだna……。本当に憐れDa……」

 

無理矢理視線を上に上げると、そこには、僕の左腕と、両足をまるでおもちゃを壊すかのように切断した歩夢と言う化け物が、僕を哀れみの目で見下げていた。

 

そして、僕は、ただ叫びを挙げるしか無かった。

 

「あ、あ……あぁ!!」

 

 

 

 

 

アユムは目の前に転がる小野町仁を見下ろしながら、考える。

 

哀れ

 

それがアユムの抱いた感想だった。

 

無理もないかもしれない。

 

クローンの考えはわからないが、自分のオリジナルである小野町仁がこんなにも簡単に、呆気なく、地べたに這い、醜く、情けを掛けたくなるほどに生にしがみつく様を見せられたら、アユム自身さえも同様に写ってしまうかもしれないのだ。

 

それがクローンであるアユムには許せなかった。

 

許せない。

 

それがアユムには怒りに直結したのだ。

 

だから

 

やはり

 

当然に

 

アユムは小野町仁を殺害する。

 

両足を切断した小野町仁の首を掴み、持ち上げる。

 

左腕と、両足、三本の手足を切断した小野町仁の身体は驚くほど軽く、片手で軽々と持ち上がる。

 

小野町仁が何かを叫んでいるが最早雑音でしかない、そしてその雑談出さえもアユムには苛立ちに変わっていた。

 

掴んでいる首から徐々に崩壊が始まり、小野町仁の首の皮膚は裂けそこから血が滲み出る。

 

このまま掴んでいるだけでそのうち首が千切れるだろうが、それを待つ時間さえも惜しかった。

 

アユムは唐突に掴んでいた手を離す。

 

当然、小野町仁の身体は自然の重量により落下し始めた。

 

アユムは右手を握り締めそこに電力を溜める、

 

そして、何の躊躇も無く小野町仁の胸ド真ん中を殴り貫いた。

 

貫いた。

 

そう、アユムの拳は電気崩壊と化け物の怪力により繰り出されるスピードで簡単に小野町仁の服を破き、皮膚を裂き、脂肪を燃やし、肉を焦がし、骨を砕き、内臓を破壊した。

 

小野町仁の口からはすでに叫び声は出ず、代わりに大量の血液が吐き出された。

 

アユムは拳を小野町仁の身体から引き抜いた。

 

その手は血にまみれ、赤く、黒く、赤黒く染まっていて、その手の中には、小野町仁の心臓が握られていた。

 

心臓は微かに動いていたが、これは本来の機能ではなく、ただの痙攣だ。

 

アユムは興味深そうに心臓を眺めていたが、わずかな痙攣もしなくなった為に、それを小野町仁の目の前で握り潰したのであった。

 

 

 

 

 

小野町仁は微かに残っている意識で考えていた。

 

痛みはない。

 

正確には痛みを感じる事が出来ないくらいの重症を負っているのだが、それすらも小野町仁は気がついていない。

 

感情より先に情報が彼の頭を支配していた。

 

歩夢に倒された事は知っている。

 

それより先が遅れて脳内に流れていた。

 

左腕を切断された。

 

両足を切断された。

 

首を掴まれた。

 

首を離された。

 

身体を貫かれた。

 

心臓を引き千切りられた。

 

心臓を握り潰された。

 

そして、

 

(僕は……………死ぬのか?)

 

死ぬ。

 

たったそれだけの事を思い出した瞬間。

 

小野町仁の意識が世界に呼び戻されたのだ。

 

(嫌だ……………死にたくない…………死にたくない………死にたくない……死にたくない…死にたくない死にたくないしにたくないシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイ)

 

小野町仁の肉体は常識的に考えたら、即死してもおかしくない。

 

即死が普通だ。

 

それなのになぜ未だに彼は死んでいないのか?

 

簡単である。

 

小野町仁は化け物だからだ。

 

化け物の力により彼はまだ死を迎えていないだけに過ぎない。

 

しかし、いくら化け物であろうと、不老不死ではない。

 

ただ普通の人間よりも死が遅れているだけだ。

 

このままでは彼は確実に死ぬ。

 

何かしなければ彼は死ぬのだ。

 

しかし、それは微かな希望に過ぎない。

 

しかし、それでも、小野町仁は抗う。

 

頭の中で繰り返し呟かれる言葉はやがて、口から発せられていた。

 

「死にたくない!死にたくないしにたくない!!嫌だ!!死にたくない!生きたい!!」

 

その様子に彼を殺害したアユムは驚きを隠せないでいた。

 

当たり前である。

 

アユムの持つ知識は世界のネットからかき集められた物だ。

 

言い換えれば常識の塊である。

 

普通、心臓を握り潰された人間は死ぬのが当たり前で、万が一もそこから生き返る事などあり得ない。

 

だが、現にアユムの目の前で死を迎えているはずの小野町仁は喋り、蠢いているのだ。

 

それは確実な恐怖だ。

 

アユムが恐怖の感情に支配されている時、小野町仁はまだ言葉を喋り続けていた。

 

「助けろ!!化け物!僕はお前のせいで死ぬんだぞ!!ふざけるな!!死にたくない!お前なんて疫病神じゃないか!!返せよ!!僕の人生を!!お前なんて受け入れなければよかったんだ!!」

 

小野町仁の精神は壊れ始めていた。

 

間違いが無いように記述させてもらうと、『小野町仁』と『化け物』は別々の存在ではない。

 

あくまでも両者はイコールで結ばれている存在だ。

 

それなのに小野町仁は化け物に助けを求めた。

 

それは言い換えるのならば、自分に自分で助けを求めている事と変わらないのだ。

 

それでも小野町仁は求める。

 

「死にたくない!死にたくない!僕は死にたくないんだ!!まだ生きていたいんだ!!助けてくれ!何で僕が死ななくちゃいけないだ!!もっとしにくちゃいけない人間なんて山ほどいるじゃないか!!嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!」

 

「僕は生きたいんだ!!」

 

その時である。

 

変化が合った。

 

「――――あ?」

 

突然、小野町仁の言葉が途切れた。

 

彼は何かを見ている。

 

彼の視線の先は、身体に残った右手の人差し指だ。

 

正確にはその先。

 

指先。

 

そこには小野町仁の能力であるBBが生成されていたのだ。

 

 

 

 

 

たった1発の血の弾丸が、この物語の幕を降ろす。

 




次回、ようやく終わります。

正確にはエピローグを入れてあと2話です。

…………終わるよな?
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