こんなに頑張っているのになんで俺にはヒロインがいないんじゃー 作:夜遊
困難な状況に陥った時の解決法を知っているだろうか?
この問に答えは無い。
正確には答えはあるが同時に無いとも言える。
誰かの解決法を聞かされて、それを真似ても効果が無いのだ。
それの答えは個々個人の独自のモノになってしまう。
だから答えはあるが答えが無い。
それを踏まえた上で聞いて欲しい。
『彼女』の解決法はこうだ。
『バラバラにして作り直す』
バラバラに壊して。
始めから作り直す。
壊して変える。
それが彼女の答えだ。
時刻はまだ夕方くらいだろう。
しかし、建物の最奥部にあるこの場所に夕焼けの鮮やかな朱は訪れていなかった。
そこには女が二人。
一人は小柄で簡単に傷つけられそうな程小柄で、地面に這いつくばり、身体のあちこちに奇妙な刺青が彫られている。
もう一人は少し大人びた線の細い体つきをしていた。
彼女は静かにその女を冷めた目差しで見下ろしていた。
「諦めろ……」
見下ろしている女は言う。
「貴様を生かしているのは必要な事があるからだ。私の能力『押花刺繍』は貴様を殺せない……しかし、苦しみは味わって貰う」
女は言う。
「呼べ……『あの男』を。そうすれば能力を解除してやる」
這いつくばる少女は答えない。
いや、
答えられない。
女は今、全身から熱く焼ける様な痛みに耐えているからだ。
女から発せられるのは呻き声のみ。
女はなおも言う。
この事件の核となる言葉を。
「呼べ……『小野町仁』を」
さて、始めに言っておく。
今回の物語は僕、小野町仁の学園都市に置いての最後の物語になるだろう。
しかし、断っておくが今回の主人公は僕ではない。
僕、小野町仁が中心ではあるのだが主人公は僕ではない。
僕、小野町仁の化け物になった経緯を辿っていく物語であるが主人公は僕ではない。
今回の主人公は一人の女の子だ。
僕は彼女の事はあまり……イヤ、全く知らない。
何が好きで何が嫌いかとか、得意な科目は何で不得意な科目は何かとか、好きな音楽とか、癖は何かとか内面的と言うかそう言う知り合いの関係から一歩踏み込んだ情報は知らない。
逆に知っていることと言ったら外見的な第一印象位で、彼女は中学一年生であり、頭部に花を多く使ったカチューシャを着けている事ぐらいだ。
あとは彼女の名前くらいだ。
後から聞いた話だと学生で構成された警備組織『ジャッジメント』に所属したばかりらしい。
彼女の名前は初春飾利。
今回の物語の主人公は僕、小野町仁では無く、中学一年生で、ジャッジメントに成りたての、花を多く使ったカチューシャを着けている少女。
初春飾利の話だ。
よってこれから語る人物は彼女に委託する。
活動報告にも書いてありますが、これからは感想は見ない方向で、自分勝手にやっていくので、ご了承して下さい。