落ちこぼれ魔法師が異端の力を手に入れて世界最強になっちゃった   作:高巻柚宇

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異端の力
プロローグ


 魔法。それは己の体内に眠る魔力を、魔法陣を通すことによって、はじめてその形になる。

 

 魔法はこの世界において、重要な日用品であり、同時に強力な武器だった。魔法師はその魔法で己の地位を確立し、非魔法師はそんな魔法師たちを支える。

 

 この世界はそうやって、成り立っていた。

 

 

 

 

 

 無機質な赤茶色の地面があたり一面に広がり、草木などは見当たらない乾燥した土地。視界に入ってくるものは赤茶色の大きな岩や山だけ。

 

 人の姿を見つけることはおろか、いる気配もない。そんな土地、暗黒領に現在セイヤは一人の少女といっしょに立っていた。

 

 セイヤの隣に立つ少女は綺麗な白い髪に、これまたきれいな紅い目をしていて、見る者を魅了するほど美しい顔たちをしている。

 

 身長こそ少し低いがその少女を一言で表すのであれば、完成された美少女が一番似合うであろう。

 

 そんな少女の容姿は金髪碧眼のセイヤとは真逆の存在だった。

 

 「セイヤ……」

 

 白髪紅眼の美少女が前方を指さしながらセイヤのことを呼ぶ。セイヤは白髪紅眼の少女、ユアの指さす方向に目を向けると、そこにあるものを見つける。

 

 セイヤの視線の先にあったのは、牛のような動物の大群。しかもその大群が、セイヤたちの方へと猛スピードで迫って来ていた。それは数にして約3000程。

 

 「また魔獣か」

 「みたい……」

 

 セイヤは牛のような動物の大群のことを見て魔獣と言った。

 

 魔獣とは人の住まない地、暗黒領に住み着いている動物のことで、普通の人間には対処できないほどの強さをもっている動物のことを指す。

 

 魔獣は種にもよるが基本的に最弱な種でも、並みの魔法師が数人がかりでやっと一体を倒すことができるくらいだ。だがセイヤたちに迫ってくる魔獣はどう見ても最弱な種の魔獣ではない。

 

 そんな魔獣が3000体もセイヤたちに向かって迫って来ていた。

 

 「セイヤ……どうする?」

 「俺がやる」

 

 迫りくる魔獣の大群に向かって右手を突き出しながら魔力の練成を体内で始めるセイヤ。ユアは何もせずただ安心しきった顔でセイヤのことを見ている。

 

 「『闇波』」

 

 セイヤが魔法名を発して魔法を行使した直後、二人に向かって猛スピードで迫っていた3000体近い魔獣の大群は、一瞬にして、その姿を消した。

 

 あとに残ったのは魔獣たちが走る際に立てた土煙だけ。

 

 ユアがその光景を見て一言。

 

 「やっぱり闇属性は便利……」

 「確かにな。異端の力と言われるだけのことはある」

 

 自分の右手を見ながらセイヤはそんなことを言うのであった。

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