(完)どうやら神様の実験に巻き込まれたみたいです。 作:よっこー
「…ん、あれ、ここはどこだ?」
永く目を閉じていたような瞼を開くと、見知らぬ光景が現れた。
真っ直ぐ先に続いていくそれは、昔の日本の一本道を思わせるようだ。
道幅は10mほどあるのだろう。それくらい広く感じ、行き止まりがはるか遠くにあるせいか、まるで光が差すような進路である正面。右、左と同じような木造建築の家が並ぶ。
その前には長さ1mほどの石橋が一定間隔で地面を繋いでいた。その下には紫色の液体が流れており、そこに違和感を受ける。
地面は肌色のような砂利が混じった硬い土で、街並みに合わぬ外国産のそこらにある照明のせいか空は黒く、夜を思わせる。その風景が綺麗見えるように人の姿はない。
…長く環境についていたが今は己のことを考えるべきだ。たしかコンビニにいって…、そこから記憶がない。何故俺はここにいる?この寝た後のような脱力感は何故にある?
「やっほー!元気~?人間く~ん!実験ナンバー…226番の人間く~ん!」
「んあっ!なんだ!」
突然、脳内に女の声が響く。声の印象からしてお姉さんではないことは分かる。どちらかというと高い声で、その無邪気さから中学生くらいなのではないか、と思う。まてよ、脳内?
「そうそう、鼓膜ではなく脳に信号を送って声を届けているよ!」
な、なるほど…んで、これはどういうことだ?
こちらを監視しているかを確認するため、目の横、頭を人差し指で突きながら問う。
「あー、考えていることが分かるってことね!だって私神様だもん!」
そうか、神様だから納得が行く…ってん?
「まーまー、そういうこと。それで私の実験にあなたを使わせていただきます!拍手!」
するか、そんなこと。
「釣れないなー」
仕方ないな…、ぱちぱち~。
「うわ、やる気ないね!んまぁありがと!」
んで、実験っていうのは?
「うん、ちょっと右の屋台を見てみな?」
「うん、そうそう。その屋台に人間に欲求に対する物とかを用意しておきました!」
お、いいね。金は用意してくれるのかな?
「実験だからね、ほら、あなたの着ているスーツの右のポケットに6文、銭があるでしょ!それね!」
ん、これか。江戸時代の硬貨みたいだな。
「けど、一つ注意事項を説明するね」
どうぞ。
「一文でも使うとあなたは元の世界に帰れません!まぁ、あなたは死んだから、現世とお別れして遊びに身を投じても私は見ていて面白いからそれでもいいよ!」
なるほど、つまりは三途の川ってやつか。服を金の換わりとかは?
「あるわけないでしょう、そんな甘々設定」
ですよね。んまぁ、欲に耐えるか負けろと。
「そういうこと!この道の最後で待っているから頑張ってね!ばいばーい!」
おう、ばいばい。
なるほど、俺は死んだのか。だからこんな最近の記憶が無い。って、納得はできないのだけれど…つまりはそういうことらしい。なんだろうこのふざけた設定。