再び登場したモブ妖怪。
だが、実はただのモブ妖怪ではなかった!?
それでは本編へどうぞ!!
「久しぶりだなぁ!!人間!」
妖怪が叫ぶ。
その声は、まるで仇敵に出会えた時のような歓喜の声だった。
それに対して風真は。
「……あの時の妖怪か」
最初こそ驚いていたが、現在は落ち着いていた。
「……一体何のようだ? 前に岩一発で倒された事の復讐にでも来たか?」
煽り気味に風真が話す。
……だが、その顔は笑ってはいなかった。
当然だ。風真にとっては幻想郷に来てすぐにこの妖怪に襲われた事は悪い意味で忘れられない出来事だからだ。
「……確かに、あのときはまさかてめぇが能力を持ってやがるなんて考えなかった。まさかあんな反撃が来るとは思わなかったんでな」
妖怪は悔しそうに顔を歪める。
「屈辱だったぜ……この俺様が油断していたとはいえただの石っころ一発で倒されるなんてな……」
(確かに……あの時はびっくりするぐらい上手くいったからな…)
「だからてめぇの事はずっと探していた。いつか復讐するためにな!」
妖怪が言う。
風真に明確な殺意を向けながら。
「それに、これは俺の主の命令でもあるからなぁ」
「主……?」
「何でも、『少女に逃げられたから、計画を変更してめぇと戦ってこい』だとよ」
「!!」
その言葉を聞いて、風真が驚く。
この妖怪が今さっき話していた『少女』。それはおそらく……
(おそらく結の事……)
ーーー何という偶然か。
以前風真を襲った妖怪は結を襲った妖怪達の仲間だった。
その事を知り驚き、思わず固まっている風真。
ーーーだが、次の妖怪の言葉で風真は正気に戻った。
「ーーーまあそんな事は俺には関係ねぇ。どっちにしろてめぇを捻り潰せるならな!!」
「……!!」
(……そうだ。今は考えている場合じゃない。今、俺の目の前には『敵』がいるのだから!)
風真は再び精神を落ち着かせ臨戦態勢をとる。
「話はここまでだ。……もう油断はしねぇ。全力でてめぇを殺してやる!」
妖怪が少しずつ距離を詰めてくる。
その雰囲気は最早以前までの人間をいたぶって殺そうと姿勢は無く、ただ全力で潰しにくる雰囲気だった。
そして、その様子を見た風真は。
(ーーーああ、今度は俺は逃げない。お前を真っ向から倒してやる……!)
心の中で、同じく決めていた。
「……いくぞ」
ーーー妖怪がしゃがみ込む。
そして、次の瞬間。
「ガァァァァ!!」
ロケットのように風真に突っ込んでいく。
それを。
「風符『空を駆ける疾風』!」
風真はスペルによって迎撃する。
疾風の弾は妖怪へ飛んでいく。
その最中。
「……ふんっ! 強化『覇王の爪』」
妖怪もスペルを発動する。
と、妖怪の手に黒色の妖力纏われ、それが大きな爪に変わった。
そして、
「なっ……!」
ーーー妖怪は自身の爪で弾き、迎撃をモロともせず真っ直ぐ突っ込んできた。
「何っ!?」
「はッ! オラァ!!」
妖怪は妖力で纏った爪を槍のように刺す。
「……ッ!」
風真は地面を蹴って横に辛うじて躱す。
爪は風真の肩を掠めていく。
妖怪はそのまま突っ込み……
……風真の後ろにあった木をも貫いていた。
「危ねぇ……何て威力だ……」
「おいおい驚いている場合か?」
「……!!」
妖怪はそのまま180度回転したと思ったら、その勢いのまま何もない空間を爪で引き裂く。
するとそこから風真に向かって弾幕が飛んで行った。
「くっ!! 風符『旋風陣』!!」
目前まで迫った弾幕をなんとか風の盾で防いでいく。
だが、妖怪の猛攻は終わらない。
「……!? 何っ!!」
攻撃を防がれたと見ると、すぐさまさっきのように再び風真に突っ込んできた。
「ほら、くたばれやぁ!!」
「……っ! そうはいくか!!」
爪が風真に迫ってくる。
風真はそれを躱す。と、その瞬間。
「何……!」
風真が妖怪の腕を掴む。
そして、
「ぐぅぅぅぅう! オラァァァ!!」
風真の体を風を噴射させその勢いで妖怪を投げ飛ばした。
「……ほう」
妖怪は空中でくるっと回りしっかり足から着地する。
そして二人は一度体制を整え直し向かい合った。
「……くっ」
「やれやれ、この程度か?」
「……!!」
妖怪が言う。
(全く本当……前にこいつを良く倒せたな……)
「……まあなんでもいいが、とっとと本気にならないとあっさり倒しちまうぞ?」
「……!!」
妖怪のその言葉に反応する。
再び妖怪が近く。
と、そこで。
「……透風『ブラインドエア』」
「……!何だ!?」
目の前から風真が消えた。
「どこだ……どこに行った!!」
妖怪が周りを探すが風真の姿が無い。
と、その時。
「ーーーここだ。妖怪!」
「な……!?」
声が下の方から聞こえてくる。
妖怪が慌てて下を見る。
そこには、
「何だと!!」
妖怪の懐に潜り込んでいる風真の姿があった。
「ーーー風撃『エアロインパクト』!!」
「くっーーーが、はぁ!!」
妖怪が吹き飛ばされていく。
「……お望みどおり。ぶっ飛ばしてやったぞ」
吹き飛ばされた妖怪の方を見て風真は言う。
妖怪はゆっくりと立ち上がった。
「……ふぅ、今のは効いたぞ。相変わらずやるじゃねぇか」
「……」
風真は答えない。
ーーー周りに一時の沈黙が流れる。
そして。
「速風『雄風の追い風』」
動いたのは風真。
速度を上げ、動き出す。
「今度は速度アップか。いろいろできるのかてめぇ」
風真が妖怪に迫る。
それに対し妖怪は迎撃をする。
「そううまくと思うなよ? 檻符『無数の爪跡』」
妖怪が二枚目のスペルを発動する。
周りの地面や木を妖怪が爪で引っ掻いていく。
そして、その引っ掻き跡から弾幕が飛び出してきた。
「これは耐久スペルか!?」
「爪の監獄だ。果たしていつまでに持つかな?」
どちらかというとレーザーに近いこの弾幕。
その弾幕が風真を囲みながら追い詰めていく。
(っ……!逃げ場が少ない!)
少しずつ擦り出してきた。
妖怪本体からの直接攻撃は無いものの、これは行動範囲が限られる耐久スペル。いくら速度を上げていたとしても少ない逃げ場の中で少しずつ追い詰められていた。
(…………仕方ない)
風真はスペルカードを取り出す。
「停止『スキルサスペンド』!」
風真が周りを囲っている引っ掻き跡の一つに触る。
すると。
「何……スペルブレイクだと!?」
囲っていた檻とともにスペルが停止した。
「てめぇ……能力が二つあるのか」
妖怪はなおも笑っている。
「隠し玉ってか。面白いじゃねぇか」
何かが様子がおかしい。
自身のスペルを防がれても笑っているからだ。
「なら、こっちもそろそろ隠し玉を使うとするか」
「……?」
にやりと笑ったと思ったら、妖怪は一枚のスペルカードを取り出していた。
「くっくっく、面白い物を見せてやるよ。変化『アビリティトレース』」
スペルを発動する。
「…………?」
だが、妖怪に変化はなかった。
「な、何だ……?」
「ふん、どうやらなにが起きたかわかっていないようだな」
そう言うと、妖怪が風真の方に手を翳す。
そして次の瞬間。
「え……!?」
風真が驚く。
なぜなら。
「風……?」
風真の顔の横を風がかすめていったからだ。
「お前、まさか……!」
「ああ、これは
「……!?」
笑いながら言っている妖怪。
風真は動揺を隠せなかった。
「便利な能力だなぁ〜〜ほら!」
「!! この野郎!」
妖怪は風真のように風を作り出して打ち出す。
それを避けつつ。
「人の能力を使ってんじゃねぇぞ!! 風符『風速100m砲』!!」
こう言いながら、妖怪に向けて渦巻いた風を放つ。
ーーーが、風真の驚きはこれだけでは終わらなかった。
「ーーー! 嘘だろ!」
「……こいつはすごい能力だなぁ、おい」
ーーー先ほどの渦巻いた風は、妖怪の目前で停止していた。
(まさか……停止する程度の能力まで……?)
「ふっ、ネタバレするとだなぁ。俺の能力は「変化させる程度の能力」でな、俺の能力で能力をてめぇの能力に返させてもらったぜぇ」
「……ッ!」
風真が弾幕を放っていく。
「ふん、無駄だぜ」
それを全て、停止させていった。
「ほら、お返しだ!!」
「……!!」
妖怪の方から風の弾幕が飛んでくる。
それを横に避ける。
が、
「狙い通りだ!!」
「……っ!? しまっ!!」
避けた先には妖怪が先回りしていた。
風真に向かって妖怪から直接弾幕を打つ。
攻撃が当たり、風真は吹っ飛ばされて行った。
「本当に便利だなこれ。これは最高だ!!」
「……やめておけ」
立ち上がってくる。
そして風真が静かに呟く。
「ああ? 何か言ったか?」
「……その能力を無闇に使うのはやめといた方がいい……
「かっ! てめぇこそハッタリはやめとくんだな!!」
突っ込んでくる妖怪。
迎撃するものの、今度は全て停止させ蹴散らしていった。
「くっ……!!」
「オラ、このままくたばれ!!」
形勢は妖怪の有利。
風を作り出す程度の能力と停止する程度の能力を扱いながら風真を追い詰めていく。
ーーーだが、
この妖怪は知る由も無い。
風真の停止する程度の能力には
いかがだったでしょうか?
思った以上にモブ妖怪を強くさせ過ぎた……
ってかこれって最早モブじゃなくね?
……ま、まあいいや。
結構ピンチな風真。
妖怪との戦いの結末は?
次回もお楽しみに!!