東方停止風   作:シュガーライト

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どうも、シュガーライトです!!

風真vs妖怪。ようやく決着!!

それでは、本編へどうぞ!!


第29話 停止の代償

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「ほら、くらいな!!」

 

「……ッ!!」

 

 

風の弾幕が迫る。

それを風真はなんとか躱していく。

 

 

……風真はちょっと前から弾幕を打つのを止めて避けることに専念していた。

 

先ほど使った速符『雄風の追い風』の効力はまだ続いている。

風真は加速しながら森の中を動き回り攻撃を避けていく。

 

 

 

「おいおいさっきからチョロチョロと動き回っているんじゃねぇぞ!」

 

 

妖怪は攻撃が当たらないことに対して少しイラ立ち始めている。

 

 

痺れを切らした妖怪は、次の一手を打った。

 

 

 

「ふんっ! ならこれならどうだ! 模倣『空を駆ける疾風』!」

 

「……!! 何っ!?」

 

 

妖怪が使用したのは風真のスペル。

疾風の弾幕が風真に向かって放たれる。

 

 

「くっ!!」

 

 

迫る弾幕に対し風真は踏み止まり後ろに飛ぶ。

飛んできた弾幕は風真を掠めながらも当たることはなくそのまま飛んでいく。

 

 

「この野郎……人の技ばかり使ってんじゃね!!」

 

思わず風真が叫ぶ。それに対し妖怪は。

 

「はっ! そんなもん知らねぇ〜な! どんな手を使っても勝つ。容赦しねぇって言ったはずだぜ」

 

そんなことを言うと風真の方に妖怪が突っ込んでくる。

 

「ほら、これは俺のオリジナルだぜ。 風爪『ウィンドクロー』!!」

 

「……!!」

 

風を纏った妖怪の爪が風真に迫ってくる。

 

 

「くっ……」

 

 

風真は後ろに飛んで避けようとする。妖怪の爪は空を切った。

だが、

 

 

「……! が、っ……!?」

 

 

何故か攻撃を受けていた。

その体には何か引っ搔かれたような傷跡が入っている。

 

(ぐ、っ……! 何だ……何が起こった……?)

 

一瞬、風真は困惑する。

 

だが種はわかりきっている。

それはもちろん爪に纏ってあった風だ。

妖怪が爪で攻撃する瞬間、鎌鼬のように飛ばし風真を引き裂いたようだ。

 

「けっ! 油断大敵だぜ!!」

 

「……!!」

 

風真が吹き飛ばされていく。

 

 

 

ーーーだが、ただで吹き飛ばされる風真ではない。

 

 

 

「あ…? 何だこれ?」

 

足元に風の球体があることに気づく。

球体は4箇所に妖怪を囲むように配置されている。

 

ーーーこれは先ほど風真が吹き飛んだ時に設置されたものだった。

 

 

「……油断大敵はどっちだ! 廻符「風輪華散」!」

 

「!? しまっーーー」

 

妖怪が気づいた時にはもう遅い。

風真は飛ばされながらもスペルを発動させていた。

 

「ちっ! 止まーーーーー」

 

その言葉を最後まで言い切る瞬間、球体が炸裂した。

 

 

ーーー廻る風の華。その華の渦によって妖怪は巻きこまれていった。

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

風真が荒い呼吸を整える。

受けた傷は決して軽くはないものの、致命傷にはなっていない。

 

彼はゆっくりと立ち上がった。

 

「はぁ……すこしは効いたかこの野郎……」

 

先ほどのスペルで砂煙が上がった方に向かって叫ぶ。

 

 

すこしずつ砂煙が晴れてくる。

そこには、

 

「……まじか……」

 

視界が晴れる。

そこには、攻撃を受けきった妖怪の姿があった。

……いや、すべて受けきっていたわけではない。

 

「……停止、か」

 

妖怪の周りには最後まで炸裂せずに止まって浮いている風があった。

 

 

「……くっ」

 

だが、妖怪に全くダメージがなかったわけではない。

妖怪は左腕を右手で押さえており、風が当たったであろう箇所からは血が出ていた。

 

 

「……てめぇ、やってくれたな」

 

「………」

 

 

しかし、今ので倒せなかったのは風真にとっては痛い。

 

あの妖怪の『停止』を破るにはさっきみたいに奇襲みたい攻撃をしないといけない。

『停止』をするにはその攻撃をはっきりと認識する必要があるため、奇襲には対処することが出来ないことはやはり風真も理解している。

 

つまり真っ向から破ることが出来ないということ。

傷を負って疲労している風真には難しいことである。

 

 

 

ーーーだが、それでも風真には手がある。

 

 

(まだ、停止を破る手はある……あとは、霊力がどれぐらい持つかだ……)

 

風真の霊力は普通の人並み。その霊力もすでに残り20%ぐらいしか残っていない。

 

ーーーそれでもやらないといけなかった。

 

 

 

「何、立ち止まってやがんだ……?」

 

「……!」

 

妖怪が風真に向かってくる。

が、

 

「……っ! 何だ……?」

 

妖怪の足が重く動きが止まる。

 

 

(……まさか)

 

その様子を見て、風真にある想像をさせる。

 

 

(………とにかくチャンスだ! 今のうちに……!)

 

風真が一枚のスペルカードを取り出す。

 

 

「……! こいつ……!」

 

「……いくぞ! 停弾『リピートストップ』!」

 

 

一つの弾幕を打ち出す。

この弾幕はよく使う風の弾幕とは違い、霊力弾みたいな白い球体の弾幕だった。

 

その弾幕がゆらゆらと飛んでいく。

 

 

「あ……? 何だそれ?」

 

妖怪がやる気のないようなこの弾幕を見て顔が強張る。

ゆっくりであることが逆に普通の弾幕ではないことだと思わせた。

 

 

その弾幕が真ん中まで飛んできた辺りで弾幕が光輝く。

そして、

 

 

「っ……!」

 

 

弾幕が破裂し、小さな100個ほどの弾幕が妖怪に向かって飛んでいく。

 

「ちっ! なめてんじゃねえ!」

 

弾幕が濃いとはいえ、決して速度が速いわけではない。

妖怪が弾幕の雨を避けていく。

 

 

「ーーー5秒」

 

風真が静かに呟く。

 

 

ーーーその瞬間。飛んで行っていた弾幕が一斉に『停止』した。

 

 

「くっ!?」

 

急に止まった弾幕に勢いあまって当たりそうになる。

 

 

弾幕が停止して5秒。

 

すると、

 

 

「……!? 何……!?」

 

 

再び弾幕が動き出す。

 

……だが、今度は真っ直ぐではなく一つ一つ不規則に。

 

 

「くっ……! 軌道が読めねぇ!」

 

不規則な軌道に翻弄されていく。

と、

 

「っ!? また止まった!?」

 

弾幕が停止する。

 

5秒おきに『停止』と『再生』を繰り返す弾幕。

それが妖怪を少しずつ追い詰める。

 

『停止』に停止は出来ない。

このスペルを止めることが出来ない為、妖怪にできることは避け続けることだけだ。

 

 

「こいつ……………何!?」

 

風真がいた方に振り返った妖怪が驚く。

 

「どこに……どこに行きやがった!!」

 

 

視界から風真が消えた。

このスペルに気を取られている隙に風真はどこかに移動していた。

 

(何故だ……どうして気がつかなかった?)

 

風真には姿を消すスペルがある。

だが、それはすでに使われている為現時点で使うことは出来ないはずだ。

 

「ちっ、そんなことはどうだっていい!! どこに行きやがった!!」

 

と、唐突に。

 

 

「ーーー嵐符」

 

 

妖怪の背中から風真の声が聞こえた。

 

 

「ーーー『即席大竜巻』!!」

 

「な、ーーーー!」

 

 

 

……反応する暇も無く、妖怪が竜巻に飲み込まれていく。

 

「ふっ飛べぇぇぇぇぇぇえええええ!!!!」

 

足りない霊力は羽織が補う。

風真の渾身の一撃が妖怪を吹っ飛ばしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……くっ!」

 

霊力をほぼ使い果たし、地面に倒れこむ。

 

 

「………どうやら、俺…様の勝ちの…ようだな」

 

「……!! 嘘、だろ」

 

 

倒れこんだ風真の前。

そこには、血だらけでボロボロの妖怪が立っていた。

 

ーーー倒れない。風真の渾身の一撃を受けてもなお健在だった。

 

 

「これで…終わり…だ」

 

「………」

 

妖怪の腕が振り下ろされるーーー

 

 

 

 

 

 

「………?」

 

だが、いつまで経っても一撃が来ない。

 

風真は上を見る。

そこには、

 

 

「ぎ、っーーーー。い、一体…何をした…」

 

妖怪が風真の前で倒れこんでいた。

 

 

(……まさか)

 

先ほどと同じ想像をさせる。

 

 

「体…が、動…かな…い、だと?」

 

「……!」

 

その言葉を聞いた瞬間、さっきまでの想像が確信に変わった。

 

 

 

「……俺は、忠告したぞ」

「な…んだと……」

 

静かに、木にもたれかかって風真が立ち上がる。

妖怪に起こっている状況を理解した風真の顔はとても暗い。

 

 

「……その能力を使うのはやめておけって言ったぞ…………。これは、停止の代償(・・・・・)だ」

 

「……!」

 

「短期間に……『停止する程度の能力』を…限界以上使うと、能力が暴走する」

 

「な……何、を言って…やがる」

 

 

妖怪は言葉の意味が理解出来ていなかった。

 

「一度暴走すると…少しずつ体の機能が止まっていく。……お前もわかるはずだ」

 

「が、っ……! な…ん……だと?」

 

 

妖怪も気がついている。

さっきの戦闘にて、妖怪の足が重くなって動きが止まった時があった。

この時にはすでに足の機能が停止し始めていたのだ。

 

 

「わかったか? この能力は決して『最高』なんて言えるような能力じゃない。

 

ーーーああ、そうだ。この能力が無ければ俺はあんなことをしなくてもよかった。

俺の友達だって死ぬことも無かったかもしれない。

 

ま、お前にそんなことを言っても意味わかんないだろうがな」

 

風真は言う。

……自分自身に訴えかけるように。

 

 

「……俺、は…一体……どうな…るんだ?」

 

「……さあな、最終的にどうなるかは俺も知らない」

 

語る。

感情の消えた声で。

 

 

「ーーーだが、お前の行き先はどちらにしろ地獄だ。それだけは変わらないんだ……」

 

静かに、そう言った。

もう妖怪からの返事もない。

風真は最後に。

 

「……さよならだ」

 

そう言って、この場をゆっくりと立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーその帰路。

 

 

(……あの妖怪の末路は他人事じゃない。この能力を持っている限り、俺もいつか……)

 

家に帰る足取りは重い。

今回の戦いは風真の過去を少し思い出させた。

 

さっきにも言った通り、少女が死んだ要因の一つにこの『停止する程度の能力』がある。

そして過去のある出来事の事もあって風真はこの能力を使う事を躊躇い、そして一度封印したのだった。

 

 

ーーーもう一度、封印すればいい。

そうすれば、こんなことを考えなくてもいいし。停止の代償も気にする事も無くなるのだから。

 

(だけど……それでは駄目だ)

 

ーーーあの時、フランに殺されかけ封印が解けたことに気がついた時に能力を封印しなかったのは何故か。

 

 

「………」

 

風真が立ち止まる。

 

ーーー声が聞こえてくる。

 

 

『ーーーそれでな? これはこうやってーーー』

 

『ーーーああ、なるほど!ーーー』

 

 

目の前には見慣れた家がある。

 

 

(それでも……こんな能力でも、守れるものがあるのだからーーー)

 

 

 

 

ーーー少年は、力を使い続ける。

少年の守りたい人達の笑顔の為にーーー

 

 




いかがだったでしょうか?

今回はほんの少し風真の過去が明らかになりましたね。

第5章もあと2話(の予定)です!!
5章が終わったら一回今まで出てきた謎や伏線をまとめて見ようかな?

それでは、次回もお楽しみに!!
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