東方停止風   作:シュガーライト

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どうも、シュガーライトです!!

権現と影雲空。
お互いに幻想郷で企んでいる者同士、一体何を語る?

それでは本編をどうぞ!!


第31話 危険な二人

 

「く、くそ! こいつ何者なんだ!?」

 

「ひるんでんじゃねぇ!! 相手はたった一人だぞ!?」

 

「畜生! なんなんだこいつ!!」

 

 

洞穴の入り口前で大混乱している妖怪達。

その視線は真っ直ぐに進んでくる少年に集中していた。

 

 

「慌ててんじゃねぇよ!! 数で押せばこんな奴一人!!」

 

「お前らいくぞ!!」

 

 

 

その言葉を合図に、周りにいた数人の妖怪がその少年に突っ込んで行く。

 

 

「……止めといた方が身のためだが?」

 

「けっ! 知った事か!!」

 

「このやろ! くたばれ!!」

 

 

 

妖怪達は四方向から攻撃を仕掛ける。

少年はその様子を見ても歩みを止める事はしなかった。

 

 

 

 

妖怪が群れとなって少年に襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーその瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーまあ、君たちが悪意に飲まれたいなら別にいいけどさ」

 

少年は不敵に笑った。

そして、

 

 

「影符『心抉る地獄の針山』」

 

 

少年がスペルを発動するのを見た。

 

 

 

 

 

妖怪がそれぞれ少年に向け攻撃をする。

 

 

 

 

 

 

ーーーしかし、

 

 

「が、は………」

 

 

ーーーその攻撃は少年に届く事はなかった。

 

 

「な、にが……おこっ………」

 

 

 

妖怪達が、胸の方を見る。

……皆、針のように変化した黒い物体によって貫かれていた。

 

 

「ば、かな……」

 

「つよ、すぎ…る………」

 

 

貫かれた妖怪は崩れ落ちた。

周りに残っていた妖怪達はその光景を見て驚愕し、口を開くことも出来ななった。

 

 

 

「……ま、この程度か」

 

 

少年はそう呟きながら、入り口へと歩いて行こうとする。

 

 

……と、そこに。

 

 

 

 

「ーーーこいつはまた手荒い挨拶だな」

 

 

洞穴の方から男の声が聞こえてきた。

 

 

「……君がここの主か?」

 

「だったらどうする?」

 

 

少年が洞穴の方に向かって問いかける。

男はその問いかけに応じながら少しずつ洞穴から姿を現してきた。

 

出てきたのは男。髪型は逆立った銀髪で、筋肉質な体つきをしており、その雰囲気はいかにも『ボス』って感じで周りの妖怪とかと格が違うというそんな雰囲気だった。

 

 

「それにしても、よくもまあ人の部下を倒していきやがって。

 

……一体どういうつもりだ? なあ、影雲空」

 

「な、『影雲空』…だって?」

 

「という事は、こいつが話に聞いていた『要注意人物』……!」

 

 

少年の名を聞いて周りにいた妖怪がざわめく。

 

だが、少年……影雲はそんな事は気にする様子はなかった。

 

 

「どういうつもりだって? それはこっちが聞きたいね。だいたい先に仕掛けてきたのはあんたの部下。私はただ抵抗しただけだ」

 

「はっ! 言ってくれるじゃねぇか。だいたい一体なんの用があってここまでわざわざ来やがった?」

 

「それもさっきから言っている。こいつらの主……要はあんたに会いにきたんだよ」

 

 

その言葉を聞いてこの男……権現の表情が変わった。

 

 

「……なるほどな。なら外ではゆっくりと話も出来ないだろうから、洞穴の中で話を聞くとしようか」

 

「……!? 権現様!? こいつは仲間を殺した奴なんだぞ!? そんな奴に語る事なんて……」

 

「ふんっ! 確かにこいつは俺の部下を殺した。

……だがな、戦闘は負けた方が悪いんだよ。勝手に戦い勝手に負けて死んだこいつらがな」

 

「……!!」

 

 

その言葉を聞いて周りが静まる。

 

 

「わかったら、てめぇらは外で待ってろ。

……いつでも動けるようにしておけ」

 

 

権現がそう言い、洞穴の中に入っていく。

その跡を、警戒しながら影雲が追う。

 

 

「……そんなに警戒しなくても罠なんて張ってねぇよ。だいたいてめぇに罠なんて効かねえだろうが」

 

「……………」

 

 

影雲は答えず、歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洞穴の奥。

中にいた妖怪達は権現によって追い出され、現在は権現と影雲の二人のみ。向かい合うように座っていた。

 

 

「長ったらしいのは無しにしようぜ。

……それで俺に何の用だ?」

 

 

権現は聞く。

影雲は表情を変えず、答える。

 

 

「それじゃあ単刀直入に聞くが、……あんたら一体ここで何を企んでいるんだ?」

 

「ふんっ……これはまたストレートに聞いてくるな。 これを言って何かてめぇに得でもあるのか?」

 

「別に、これは好奇心だよ。

……まあ、内容によってはそれなりの対処をするが」

 

 

二人がそれぞれ答える。

 

 

「それで? 結局答えてくれないのか?」

 

「……答える義理はないが、まあせっかくここまで来てもらったんだ。計画の行き着く先だけ言ってやろう」

 

「……?」

 

「ま、シンプルな話。幻想郷を『征服』する事が今の目的だ」

 

「……征服……か」

 

 

一瞬、影雲が黙る。

そして、その後また口を開いた。

 

 

「確かに、それはシンプルでスケールがでかいね。……ありきたりで子供っぽいが」

 

「……そうだな。確かに征服なんて子供が考えそうな事だからな。それは認めよう。

 

 

ーーーだがな、こう言うのはだいたい子供みたいなものだろ? 歴史を動かす奴だって元々は子供の夢物語のようなところから始まっているだろう?

……まあ、これは俺が勝手に思っている事だが」

 

 

権現が語る。笑みを浮かべながら。

 

 

「……幻想郷を征服した先に俺の本来の目的がある。だからこその計画だ。具体的な内容は言わねえが、一つ一つ確実に進めていく。

……これが今やっている俺たちの企みだ」

 

「………」

 

 

権現の話を静かに、だが笑った表情の影雲が聞いていた。

 

 

 

 

 

話終えたのか、椅子にもたれかかる。

と、何か思いついたような感じで、権現が影雲に話し出した。

 

 

「さて、今度はこっちの番だ」

 

「……なんだ?」

 

「いやなに、一つてめぇに提案をしようと思ってな」

 

 

そういうと、権現は身を乗り出し言った。

 

 

 

 

「ーーーてめぇ、俺たちと手を組まねぇか?」

 

「……? 急になに言ってんだ?」

 

「俺たちにてめぇのような実力者が手を貸してくれるならいろいろとやりやすいんだよ。

……てめぇはてめぇの、俺たちは俺たちでそれぞれの計画を進めていく。どうだ? 悪い話じゃないと思うが?」

 

 

権現の提案に影雲の言葉が止まる。

 

……確かに幻想郷を征服しようとしている権現に手を貸せば、影雲の目的である悪意集めがやりやすくなる。

 

 

影雲が立ち上がる。

そして言った。

 

 

「ーーー確かにこちらにも得がある。

……だが、あいにく私は誰とも組むつもりはつもりはない。そして何よりあんたとは気が合いそうにないんでね。お断りだ」

 

「ふっ……そうか。ま、どうせこうなるとはわかっていたが……」

 

 

こう言うと、権現も立ち上がる。

ーーー薄っすらと、妖力を纏いながら。

 

 

 

「……だが、そうなると、今からてめぇと俺たちは今から敵同士になるって事、てめぇならわかっているんだろうな?」

 

「当たり前だ。互いに自身の計画の障害になるのだからな」

 

 

一方、影雲の方も足元からまるで影のような悪意が形になったであろう物体が揺らめきながら出てきていた。

 

 

「てめぇをほっといたら後々面倒な事になるだろうからな。

……ここで死んどけ」

 

「やれやれ……出来るもんならやってみなよ」

 

 

権現と影雲はそれぞれ戦闘態勢に入る。

 

権現は纏っていた妖力を能力で鎧に変え、影雲の足元は穴が開いたみたいに黒く染まりそこから影が揺らめいている。

……いつ、戦闘が始まってもおかしくなかった。

 

 

 

 

 

 

ーーーだが、二人は戦闘態勢を解いた。

 

 

「……どうやら、今回はお預けのようだな」

 

「……みたいだね」

 

「今、『あの野郎』に見つかるにはごめんだからな。ここでトンズラさせてもらうぜ」

 

 

そう言うと、権現は纏ってあった妖力を解いて入り口の方に歩き出した。

 

 

「それじゃあな、この勝負は次の機会だ」

 

 

そう言い残すと、権現の姿が視界から消えていった。

 

 

 

 

 

一人残された影雲。何も無いところを見ていた。

 

 

「……さて、取り敢えず久しぶりだな」

 

「ーーー!? どうして貴様が!?」

 

「……どうして貴方がここにいるのかしら?」

 

 

何も無いところから声が聞こえる。

と、目の前の空間が裂け、スキマが開いた。

スキマから出てきた人影は二人。一人は妖怪の賢者。もう一つは九尾の狐だった。

 

 

「遅かったな八雲紫。あんたの探している奴はもう逃げたぞ」

 

「……ッ!」

 

 

藍は表情を歪ませた。

 

 

「どうせ君達もあの男を探していたんだろう?

……一人じゃあの男に勝てそうに無いから自身の式を連れて、ね」

 

「な、……! 貴様!! 紫様に何て事を!!」

 

 

主を馬鹿にされたからか、藍が激昂する。

影雲がそれを気にする様子は無い。

 

 

「ま、別どうだっていいけど。という事で私も帰らせてもらうよ」

 

「……このまま無事に帰らせると思って?」

 

 

影雲が見ると、すでに二人は構えていた。

 

 

「偶然とはいえ、貴方も狙いの一人よ。ここでやられて貰うわ!」

 

「威勢のいい事で。

 

……だが、君達には無理だよ」

 

「何だと!」

 

「君達はいつも一手遅い。君達ができる事は周りの人達に『悪意』を撒き散らす事しか出来ない。そんな奴に私を止める事なんてできないよ」

 

 

そう言うと、突然影雲が天井に向かって攻撃を仕掛けた。

 

 

「……!?」

 

「一体何を!?」

 

「……ほら、また一手遅れた」

 

「………! まさか!」

 

 

紫が天井を見る。

そこには攻撃された箇所から亀裂が走り崩れようとしている天井が見えた。

 

 

「……君達には止める事は無理。私を止めたければあの『少年』でも連れてくる事だ」

 

「え?」

(どうして今、あの少年の事を?)

 

「……『あの少年』は私と同じ物を見てきている。……同じ悪意を受けてきた。止めるとしたら同じ事をされてきたあの少年だけだ」

 

 

影雲がそう語った。

 

 

「話は以上だ。失礼させてもらう」

 

「……ッ! 待ちなさい!」

 

 

紫が今にも影の中に消えそうな影雲のもとに向かおうとする。

 

……だが、天井から降ってくる瓦礫をスキマで受け止めようとする時一度立ち止まるため、なかなか近寄る事が出来なかった。

 

 

「……! 待て! 影雲空!!」

 

「紫様! ここは引きましょう!!」

 

「くっ……!」

 

 

そうこうしている内に影雲は影の中に入っていってしまった。仕方がなく紫と藍はスキマの中に引く。

 

 

ーーーその瞬間。

洞穴が完全に崩壊していった。

 

 

しばらくして、紫は能力を使って影雲や権現とその手下を探したが、結局見つける事は出来なかった。

 

 

 

 

 

権現と影雲空の接触は、紫と藍を除く幻想郷の住民が知る事はなく、静かに幕を閉じる。

 

ーーーそしてこの出来事が、のちに起きる幻想郷を巻き込む大異変のターニングポイントの一つとなる事となった。

 

 




いかがだったでしょうか?

少しずつ、でも確かに動き出している二人。
のちに起きる大異変とは何でしょうね〜

今回で一体シリアスは終了です。

そしてここで皆様にご報告を。

第5章をもって、東方停止風の序盤に当たる話が全て終わりました!!
活動報告の方で序盤の伏線と謎をまとめたいと思うので、良ければそちらの方も見て頂ければ嬉しいです。

次回から中盤。そろそろ日常編も書いていかないとな〜

それでは! 次回もお楽しみに!!!
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