女神の秘書官
ゲイムギョウ界
それは地球とは違い、四つの国が四人の女神によりそれぞれ統治されている世界のことだ。
この世界は千年間、4国でシェアを武力で奪い合う戦争がほんの少し前まで続いていたが、今まさに友好条約が結ばれ武力でのシェアの奪い合いが禁止され平和へと向かっている。
「女神ホワイトハートが治める国、ルウィー。女神グリーンハートが治める国、リーンボックス。女神ブラックハートが治める国、ラステイション。そして、私女神パープルハートが治める国、プラネテューヌ」
俺の目の前では友好条約締結の式典が行われており、俺の上司の女神、パープルハートが宣誓をしている途中だ。俺はこういう堅苦しいものは嫌いなのだが、教祖のイストワールに言われて参加している。そうは言っても、参列席には並ばず建物の頂上に腰掛けて見ているだけなのだが
「四つの国が国力の源であるシェアエナジーを競い、時には女神同士が戦って奪い合う事さえしてきた歴史は、過去のものとなります」
どこの世界にも戦争はあるのだと落胆したのはもう遥か昔のことだ。これからはもう、そんなことをせずに済む。
「本日結ばれる友好条約で、武力によるシェアの奪い合いは禁じられます、これからは国をより良くすることでシェアエナジーを増加させ、世界全体の発展に繋げていくのです」
それにしても、本当にパープルハートは普段の姿からは想像できないほど大人の女という感じだ。普段からあんな感じにしてくれればいいんだが、いや……無理だな。
「「「「私たちは過去を乗り越え、希望が溢れる世界を作ることを、ここに誓います」」」」
四女神がそう言った瞬間、まわりから歓声が聞こえてくる。これからは明るい時代の幕開け、そう信じていきたいものだ。
◆◆◆
式典の数日後、俺の目の前には数日前見事に宣誓していた女神パープルハートが正座をしている。いや、正確にはパープルハートの普段の姿か
「それで?今日の仕事は終わったのか?」
「お、終わったよ?本当だよ?」
「見せてみろ」
俺は女神パープルハート、もといネプテューヌから今日やった書類を受け取り内容を確認する。確かに内容はきちんとしている………内容は
「きちんと出来てるな」
「でしょー!?私だってやればできるんだから」
「一枚だけだがな」
そう、今日きちんとやったのは一枚だけ、他全ては昨日やったものだったのだ。つまり、昨日やった書類を今日やったと誤魔化したことになる。
「今日は50枚のうち20枚は片付けると約束したな?」
「し、しました……………」
「残り19枚、出来るまで夕飯抜きだ。トイレ以外執務室から出ることも許さん」
「ねぷ!?そ、そんなの無理だよー!死んじゃうよ!」
もう既に分かったと思うが、女神になっている時とは天と地ほどの差がある。普段のこいつは仕事はしない、女神としての自覚はない、能天気、バカ、それで良いのか女神よ。
「仕事しないお前が悪いんだろうが」
「だって面倒なんだもん!それに積みゲーだっていっぱいある「ああん?」ごめんなさいすぐにやるのでその振り上げた拳を下ろしてくださいお願いします!」
残像が見えるほどの速度で土下座するネプテューヌ、そんなに早く動けるなら仕事しろ。気が向いたときはやる癖に。
「まあ俺だって鬼じゃない、仕事はしなくていいが条件がある」
「えっ!なに!?」
「24時間連続クエストマラソンをするならチャラにしてやる」
「ネプギアァァァァァァァァァ!トウカが苛めるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
今ネプテューヌが泣きついた相手はネプギア、女神候補生でネプテューヌの妹だ。妹に泣きつく女神………はぁ、こんなのが女神だと思うと嫌になってくる。
「トウカさん、もう少しだけ減らしてあげてください」
「却下だ、こいつがサボった分の仕事は俺とイストワールに回って来るんだ。俺はまだしもイストワールのことを考えろ」
気が向いたときは恐ろしいほどの仕事をするくせに……一から訓練し直してやろうかこいつ。
「ネプテューヌさん!」
執務室の中に本に載った少女が現れる。名前はイストワール、このプラネテューヌの教会で働いている教祖だ。
「どうしたイストワール」
「トウカさんにネプギアさんも丁度良いところに!少しこちらにいらっしゃってください!」
そう言われた俺たちはイストワールに続き、すこし薄暗い部屋にたどり着くと、その中央には小さなクリスタルが浮かんでいた。名前はシェアクリスタルというものだ。
「シェアクリスタルがどうかしたの?」
「はい、クリスタルに集まる我が国のシェアエナジーが、最近下降傾向にあるんです」
シェアエナジーのグラフを見てみると、最近シェアエナジーがだんだんと下がっている様子が見て取れた。やれやれ……どうせこんな事だろうと思った。
「まだたくさんあるんでしょ?それなら心配ないんじゃないかな?」
「アホかお前は」
ネプテューヌの耳を引っ張りながら話す。
「いいか、シェアエナジーが減ってるということはお前への信仰が薄れてるということだぞ?」
「トウカさんの言う通りです!この下降傾向は国民の皆さんの心がネプテューヌさんから、少しずつ離れているのですよ!」
「ねぷ〜、でも嫌われるようなことしてないよ?」
さっき俺が耳を引っ張ったところを摩りながらイストワール言葉に反論する。
「好かれるようなこともしてないかも」
「ねぷぅ!?」
「ネプギアの言う通りでしょ」
すると、部屋の中に2人の少女が入ってきた。オレンジ色の髪の女はコンパ、プラネテューヌの病院で看護師をしているらしい。そして、片方がアイエフだ。
「すみませんイストワール様、会話が聞こえてしまったもので……」
「いえ、コンパさんとアイエフさんなら別に」
「えぇー!あいちゃんもいーすんとトウカの味方なの!?」
「ねぷねぷ、これを見るのです!」
そう言ってコンパが見せつけたのは女神いらないという内容が書かれたビラだった。こんなものまで出回ってるのか………
「女神いらない………はうぅ」
「これはもう一度鍛え直しだなネプテューヌ」
「いやぁー!」
さて、どうやってこいつを鍛え直すか
「もしかして私大ピンチ!?」
「ピンチなのはこの国だ」
ネプテューヌにゲンコツを落とす。
「さぁて、どうやってそのダラけきった根性を叩き直すか……」
(どうしよう……このままじゃ地獄が再臨しちゃうよ………なにかこの場から逃げる手は…………あっそうだ!)
ネプテューヌは何かを思いついたかのように顔を笑顔にする。
「私、ラスティションに行って女神の心得を聞いてくるよ!いつまでもトウカだけに教えてもらうより同じ女神仲間に教えてもらうのもいいと思うんだ!」
確かに一理あるが………こいつの場合はただ遊びたいというのが本音だろう。
「良いよね!?」
「まあ、構わん」
やったぁ!と喜びながら飛び跳ねるネプテューヌは女神の威厳も何もない。まだまだガキだな
「もう知らん、勝手にしろ」
「え?トウカ付いてこないの?」
「なんで俺が付いていく必要があるんだ」
俺はクエストをやらなきゃいけないから少し忙しいのだ。
「一緒に行こうよ!トウカは私の秘書でしょ!?」
「保護者だ」
「保護者ね」
「保護者ですね」
俺の他にアイエフとイストワールが同意してくれた。一応役職は女神秘書となっているが、ネプテューヌとはこいつが女神になる前からの知り合いなのでもう保護者のようなものだ
「ねえ〜行こうよトウカ」
「そうですよ、行きましょうトウカさん」
「そうよ、あんたネプ子のお目付役でしょ」
「トウカさんも一緒がいいですぅ」
イストワールに助けてくれという目線を送るが、行ってこいよというような目で見られたため仕方なく付いていくことにした。
ところで皆さん、昨日のラピュタ見ましたか?