ネプテューヌの保護者的な感じの男   作:煉獄姫

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いよいよ3話ですが、かなりオリジナル展開になっています。


女神誘拐編
怒りと殺意


また明晰夢というやつか、これで何度目だ?まあ気にする必要はない。

 

(うぇぇ、気持ち悪い…………)

(だから言っただろう、程々にしろって)

 

あれは確か敵の基地を落とした後の話だ。俺たちは強固だった敵の前線基地を落として浮かれていたから祝勝会を開いていたのだが、幼馴染が飲み過ぎて吐いていたのだ。あれでも女なのだからもう少し慎みを持って欲しいものだ。

 

(酒は飲んでも飲まれるなってイストワールにも言われただろ?そのうち本気で禁酒させられるぞ?)

(私も飲まれまいと思ってるのよ?でもいつの間にか記憶が飛んじゃってるのよね………)

 

窓際でグロッキー状態の幼馴染を見ていると少し涙が出てきた。こんな奴に率いられている部下が可哀想になってきたからだ。

 

(そんな事でよく特殊部隊を統率できるなお前………)

(そんなもん適当に酒飲まして褒めて士気上げてきちんと金払ったらなんとかなるのよ)

 

兵士たちも兵士たちでよくこんな奴について行っていたな………なんだかんだ言いつつ良い隊長だったのだろう。俺はあまり従軍していないからよく知らないが。

 

(あんたも人心掌握術を身につけたほうがいいわよ、変な研究ばっかりしてないで)

(うるさいな、ほっとけ)

 

この時、その研究は人の生活を豊かにするものだと本気で思っていた。思っていたんだ……………

 

◆◆◆

 

「えぇー!?トウカ行かないの!?」

「ああ、あまり騒がしい場所は苦手なんだ」

 

今日はベールからリーンボックスに招待されているのだが、音楽ライブというものはあまり好かない。

 

「トウカは人混み嫌いだからしょうがないよ」

「ああ、そういえば昔言ってたわね」

「そう、嫌いなものは仕方ないわね」

 

ネプテューヌとアイエフはこの事を知っていて、ブランも嫌いなものは仕方ないと諦めてくれたようだ。

 

「人混み嫌いってどこにも行けないじゃない、克服したほうがいいわよ?」

「悪いが昔からなんだ、すまんな」

 

昔から研究室などに引きこもっていたから人がたくさんいる場所はあまり行きたくない。だから友好条約の時も建物の上から見ていたし、パーティーにも参加しなかった。

 

「やだやだやだ!トウカと行きたい!」

「私もっ!」

 

ラムとロムはやはり納得してくれないようだ。

 

「ラムちゃんロムちゃん、トウカはお仕事なんだって」

 

ネプギアが横からフォローを入れてくれる。ラムとロムは俺が行けないという所しか聞いていないから人混み嫌いというのは気づいていないようだ。

 

「ラム、ロム、ワガママ言わないで。トウカにはトウカの予定があるの」

 

ブランにも諭されようやく納得してくれたようだ。悪いことをしただろうか…………

 

「ベールにもすまないと言っておいてくれ」

「うん、じゃあねトウカ」

 

そう言ってみんなはリーンボックスへと向かった。さて、俺はクエストにでも行くか。

 

◆◆◆

 

「いつもありがとうございますトウカさん」

「気にするな、こっちも報酬をもらってるんだからな」

 

クエストを4つほど終わらすと時間は既に夜、そろそろネプテューヌ達が帰って来る頃だがイストワールに聞くとまだ帰って来ていないようだ。

 

「泊まって来るのか?」

 

別に急ぎの仕事があるわけでもないし、今回は仲間が全員集まったんだ。予定変更があってもおかしくはない。特に気にする必要はないか…………

 

「はぁ、それにしても……ここ最近昔の夢を見ることが多いな」

 

今日も昔の夢を見た、最近はそういうことが多くなっている。昔の夢なんてほとんど見なかったのにな……

 

「あいつはまだ国を恨んでいるのだろうか………」

 

俺の幼馴染は2人いたが、うち1人は昔プラネテューヌに殺されたと言っても過言ではない、死んではいないが……死んでいるのと同じだ。今も彼女は眠っている。

 

「昔のようにならなければいいんだがな」

 

そんなことがあったから、俺もそのもう一人も理性を失って暴れまわったことがある。破壊衝動、殺人衝動に任せて全てを壊したあの時の事を、俺は鮮明に覚えている。その事件は、今なおプラネテューヌに災厄の物語として語り継がれている。まあ、その事件の真相を知る者は俺と幼馴染、そしてイストワールしか居ない

 

「俺はいつまで俺で居られるのだろう」

 

そう、一人でつぶやいた。今はまだ人の体を保っていられるがいつ壊れてもおかしくない、もう俺はそんなところまで来てしまっているのだ。感情だってもう殆ど残ってない、人間らしさがどんどん無くなっていく。だから、ネプテューヌには早く一人前になってもらわなければ困るんだ、俺に頼らないで生きて行けるように。

 

「誰からだ?」

 

知らない番号から電話がかかって来た。間違い電話かもしれないが一応出てみようか。

 

「もしもし」

「久しぶりねぇ、元気にしてる?」

 

この声は聞き覚えがある、いやでも忘れない特徴的な声、昔散々近くで嫌という程聞いた声だ。

 

「プル………いや、アイリス…………」

「覚えてくれてて嬉しいわ、もう私のことなんて忘れて女神にご執心だと思ってたもの」

 

俺とネプテューヌのことを知っているのか………俺は居場所すらわからないのに。

 

「なんでその事を知ってる………」

「だって………………貴方の可愛い女神様は私に踏みつけられてるんだもの」

 

携帯が割れそうになる。今みんなはこいつと戦っているのか…………

 

「リーンボックスの離れ小島に来なさい、30秒あげるわ。それ以上遅れたらこの子の首をプラネテューヌの教会に送るわ」

 

通話を切る暇も無く俺は能力を発動してネプテューヌの生体エネルギーを感知しその場所へと瞬間移動した。するとその場所はすでにギルドではなく夜空が輝く空中、そこで俺が見たものは

 

「トウカがすぐ来てくれるって、今回もきちんと護ってくれるみたいよ?良かったわね」

 

首を絞められているボロボロになったネプテューヌだった。

 

◆◆◆

 

「………早かったわね」

 

アイリスと呼ばれた女性はネプテューヌを投げ捨てた後瞬時に剣を呼び出して上から放たれたトウカの斬撃を防いだ。

 

「まさか10秒掛からないなんて、よほど大切なのね」

 

トウカは何も言わない、その代わりにその顔は瞳孔が開き切り殺意に満ち溢れている。ずっと一緒にいたネプテューヌでさえそんなトウカの姿は見たことはない。

 

「トウカッ!」

 

ネプテューヌの声も今のトウカには聞こえない、ただアイリスに攻撃を続けている。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

一回打ち合う度に火花が散り、地面がえぐれる。今まで聞いたことのないトウカの絶叫をネプテューヌや女神たちはただ見ていることしかできなかった。

 

「変わらないわね、大切なものを守るために全てを犠牲にする………本当に何も変わってなくて良かったわ」

 

アイリスがトウカを吹き飛ばし間髪入れずに左腕から巨大な雷撃を放ち、トウカはその雷撃を剣で受ける。金属は雷を通すため普通は持ち手にも電気が通るが、トウカが使っている大剣はトウカ自身が改造した特別製のため電気は持ち手に伝わらない。

 

「なぜこいつらを狙った…………女神は関係ないだろうが!!」

「私も特に興味なかったんだけど、雇われたから仕方ないじゃないの」

「雇われただと?」

 

辺りを見渡すと趣味の悪そうな服を着た女と変なネズミがいた。

 

「金さえ払えばなんでもするか、イストワールが聴いたら泣くぞ」

「軍人崩れは傭兵くらいしかやる仕事がないのよっ!」

 

雷を弾きトウカは右腕で豪炎をアイリスに放ち、アイリスは瞬時に氷でその炎を消し、再び連続で剣を打ち合う。

 

「でもね、聞けばこの子プラネテューヌの女神だって言うじゃない。本当は捕まえた後に殺す予定だったんだけど、面倒だからすぐ殺すことにしたの」

「ネプテューヌは関係ない!」

「私にはあるのよ!」

 

ギャリギャリギャリとトウカの剣が火花を散らしながら変形し中から炎が現れる。

 

「タイラントウェイブ!」

 

剣から炎の波が辺りを焼き尽くしさらにそこから爆発が起きる。既にあたりの地形は大きく変化して見る影もない。

 

「私たちにとってプラネテューヌの女神は一人でしょ?それなのに貴方は今何してるの?こんな小娘の面倒を見て……何がしたいのよ」

「俺は………………」

「わかってるんでしょう?私たちはもう平穏の中に戻れないことなんて」

 

アイリスはトウカをまっすぐ見据えながら言葉を紡ぐ、その表情はとても切なそうだった。

 

「今更この子たちを守ろうと、私たちが昔行ったことは消えない、私は悪いなんて思ってないけど」

「………………………俺たちが行ったことは許されることじゃない」

「じゃあプラネテューヌの国民がやったことは許されるの?全部あの子が悪いっていうの?ただ特別な力を持って生まれてきたあの子が悪いの?自覚も無いのに、何も悪いことをしてないのに、ただ女神として過ごしていたあの子が悪いっていうのねあなたは!!」

 

先ほどまでと打って変わり激情に身を任せながらアイリスは剣を変形させて鞭のようにしならせトウカへ放つ。

 

「今更この世界を恨んじゃいない、でもあの子を殺したプラネテューヌでのうのうと生きてるあなたは許せない」

 

剣を再び集合させてトウカへと向ける。

 

「どうしてよりによってプラネテューヌの女神なのよ、しかも聞いたところによるとこの子を育てたのはあなただって言うじゃない………本当に、信じられないわ」

「俺は、この子を女神にしようとしたわけじゃない」

「そう思ってなくても………結果的にそうなったんでしょうが!!」

 

アイリスもトウカも傷はないが二人とも満身創痍、それだけ凄まじい戦闘が行われたのだ。

 

「おいアイリスッ、もう女神たちは捕まえたッチュ!」

「ちっ、ここまでね」

 

アイリスは剣を収めた。

 

「おいそこの男!今女神は私の手の内にある、下手な気を起こせばすぐに殺してやるぞ!」

 

アイリスが居なければすぐにネプテューヌ達を助けることができるが、今回は部が完全に悪い、それゆえトウカも大剣を収めた所で電話がかかって来た。

 

「先生!大丈夫!?」

「………すまん、ネプテューヌ達の奪還に失敗した」

「………そう、とりあえず戻って先生。作戦を立て直しましょう」

 

そう言ってアイエフからの電話を切った。

 

「明日の夜、ここからもう少し離れた離れ小島に来なさい、そこなら辺りを気にせず戦えるでしょう?」

「………ああ、そうだな」

「そこで全部終わらせてあげるわ、貴方の苦しい人生をね………」

 

トウカは最後にネプテューヌを見る、すると目が合い、ネプテューヌの口が動いていたのが見えた。

 

(私なら大丈夫よ、だから………ネプギアたちをお願い)

 

そう言ったのが分かったからこそ、トウカは唇を血が出るほど噛み締めた。守ることができなかった自分に怒りを滲ませながら。

 

「貴方の苦しみは全部、明日で終わるわ」

 

その言葉を背にしながら、俺はアイエフたちがいるリーンボックスへと向かう。

 




次回から4話です。
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