「で?なんでプラネテューヌの女神が私の教会で寝てるのかしら?」
「あ〜、気にしないで仕事して〜」
「気にするわよ!」
現在、俺たちはラスティションの教会のテラスに来ているのだが、まあ予想していた通りネプテューヌはサボり始めていた。
「やれやれ………」
「ほらトウカ、あんたもこっちに来なさいよ」
アイエフに引っ張られてノワールたちのところへと向かう。
「ちょっ!ちょっと待ちなさい!」
俺に気づいたノワールは突然手鏡を取り出して髪の毛を確認した後、顔を少し赤くして俺に怒鳴る。
「なっ、なんで貴方まで居るのよ!?」
「開口一番がそれか」
全く嫌われたものだな。
「行く気はなかったがこいつらが付いて来いって煩くてな」
「だってトウカは私の秘書だもん」
「保護者の間違いじゃないの?」
ノワールにまで言われてるならもう俺は秘書じゃなくて保護者として認知されているな。概ね間違ってはいないが。
「そんな事より、早く女神の心得とやらを聞け」
「えぇー、いいじゃん別にー」
こいつは何のためにここに来たんだ。というより、俺から逃げる為に来たなら俺を連れてきたらダメだろうに。
「悪いけどお断りよ、私は敵に塩を送るつもりはないから」
確かに、友好条約を結んだからといって仲間になったわけではない。シェアの奪い合いが武力から他のものに変わっただけだ。まあネプテューヌはそう思ってはいないようだが
「もうー、そんなんだから友達居ないんだよ?」
「い、いるわよ友達くらい!」
ノワールはネプテューヌと違いコミュニケーション能力に難ありかもしれない、というか………素直じゃないのだろう。俺もあまり人のことは言えないけどな。
「だ、大体私に聞くならトウカに聞きなさいよ!」
「トウカはもういっぱい教えて貰ったもん!」
ノワールは友達の話から見事に話を逸らした。もう自分には友達がいませんと言っているようなものだろう。
「それよりネプギア、今日の訓練は休みでいいぞ。その分駄女神の面倒を見てやれ」
「え?はい…………」
少しだけネプギアはしゅん、と落ち込んでいた。いや、普通は喜ぶところじゃないのか。訓練が無いんだぞ。
「ネプギアってトウカに稽古つけてもらってるの?」
「はい!トウカさんのアドバイスは本当に為になってるんですよ!」
「知ってるわよ、私もちょっとだけだけど見てもらったことあるから」
俺はネプテューヌがアイエフに会う前に既に面識があったから、アイエフを連れて来た時は本当に驚いたことを覚えている。
「ちなみに言っておくけど、まだ私は負けだって認めてないから!」
「勝手にしろ、俺はどうでもいい」
「女神相手に勝ち逃げは許さないわ、次こそ絶対に勝ってやるんだから!」
ノワールには少し前、シェア戦争の時に戦って以来目の敵にされているのだ。少し面倒なのだが………まあこいつの性格上仕方ないといえば仕方ない。
「お姉ちゃん、仕事終わったよ」
俺たちが話していると、ノワールの妹であるユニがやって来た。あの量の仕事を女神候補生でありながらやり遂げるとはな………ネプテューヌにも見習わせたい。
「お疲れ様ユニ、そこ置いといて」
「うん、それでね………お姉ちゃん。私、今回早かったでしょ?私すごく頑張って……」
「そうね、普通レベルにはなったわね」
あの数が普通レベルならネプテューヌは素人以下になるぞ。あれだけの書類量を処理出来るなら大したものだと思うんだがな………
「あっ!もしかして友達ってユニちゃんのこと?妹は友達とは呼べないんじゃないかな」
「ち、違うわよ!ちゃんといるわよ!」
「そんなこと言って〜、ほんとはボッチなんじゃ無いの〜〜?」
「そんなこと無いわよ!」
そんな言い合いを続けている間にユニは深く思い悩んだ表情を浮かべながら何処かへと出て行ってしまった。全く………
「ネプギア、行こう」
「はい!」
◆◆◆
「あれ?トウカとネプギアは?」
「二人が話してる間にどっか行ったわよ」
ネプテューヌが2人がいないことに気づくと、アイエフがどこかに行ったと伝えた。
「なーんだ、どこ行ったんだろ二人とも。それよりお腹すいたなぁ」
ネプテューヌがポケットから懐中時計を取り出して時刻を見てみると、既に11時が過ぎていた。
「もうこんな時間か、お昼ご飯食べようよ」
「なによそれ」
「知らないの?懐中時計っていう時計だよ」
ゲイムギョウ界の時計はほとんどデジタル化されているので懐中時計などはほとんど無い。それ故ノワールのように懐中時計を見たことがない人も少なく無いのだ。
「へぇ、でも面倒くさがりのあんたがよくこんな物使ってるわね」
「えへへ、トウカにこの服と一緒に貰ったんだ」
ネプテューヌが持っている懐中時計と今身につけている服は昔女神になった祝いの時に貰ったものなのだ。それ故もう何百年も使っている。
「私がトウカの懐中時計を羨ましそうに見てたから、持ってるうちの一つをくれたんだよ」
昔、トウカの部屋に入ってたくさんの懐中時計が入った箱を見つけたネプテューヌはそれを眺めていた時がある。その際トウカに見つかり怒られるかと思ったが、トウカはネプテューヌを抱き上げてから膝に乗せて懐中時計のことを教えてくれたのは彼女の中でのいい思い出の一つである。
「そうなんだ。ちょっと見せてよ」
「これはダメっ!」
「良いじゃない、少しくらい見せなさいよ!」
「ダメなの〜!」
「コンパ、この2人はほっといてお昼いきましょ」
「はいですぅ」
コンパとアイエフは二人を置いて昼食を食べに出かけてしまった。
◆◆◆
「はぁー」
ユニは噴水の近くで座っていた。やはり褒めてもらえなかったこと、というより認めてもらえなかったことがショックみたいだ。
「ユニ」
「あ、トウカ」
呼び捨てにされているがこの際気にしないでおこう。
「ネプギアまで」
「えへへ」
俺たちはユニの近くへと向かい、ネプギアはユニの隣に座って俺は柱に寄り掛かる。
「ごめんね、お姉ちゃんが話の邪魔しちゃって」
「ううん、お姉ちゃんは私にはいつもあんな感じだから」
いつもあんな感じって………あいつは妹も素直に褒められないのか。
「お姉ちゃんよりも上手くできないと褒めてくれないみたい。そんなの、無理に決まってるのに」
「ユニちゃん………」
「そうだな」
「トウカさん!」
「事実だろう、今現状でノワールよりも上手くやることは出来ん」
なんせ女神と女神候補生なのだ。経験も実力も全く違い過ぎる。そんなことは不可能に近い。ネプテューヌのような怠け者ならば別だが
「だが、お前たちの可能性は無限にある。これから先努力をすればネプテューヌやノワール達を越えることができるかもしれないぞ」
絶対に、とは言えない。この世界に絶対というものはないからだ。でも、この子たちならそれを成すことができると俺は思う。
「少なくとも、あの書類整理は一人前だ。じきにノワールよりも上手くこなせるようになるさ」
あれが普通ならプラネテューヌはすでに滅びてる。
「本当に?」
「ああ、俺に褒められても嬉しくないだろうけどな」
「そんな事ないですよ!ねえユニちゃん」
「えっと、ま、まあ悪い気はしないわね」
てっきり嬉しくないと思ったが、そんな事はなくて良かった。
「でも、私まだ女神化も出来ないのよ?」
「それは私もだよ、ラムちゃんにロムちゃんだって」
こいつらが女神化できるのはいつになるのだろうか。
「ま、まあ一番最初にできるのは私でしょうけどね」
「うん!私も負けないんだから!」
そうだな、すこしだけやる気にしてみるか。
「じゃあ、女神化したらなんでも好きなものをやろう」
「「本当に!?」」
二人とも目を輝かせて喜んでいた。こういうことで喜ぶところは、普通の子供なのに。
「ああ、先に言っておいてもいいぞ」
「じゃあ私……トウカさんと同じ懐中時計が欲しいです!」
「俺と同じ懐中時計?」
俺はポケットから懐中時計を取り出す。こんな物が欲しいとは、やはり好みはネプテューヌと同じということか。
「お姉ちゃんが使ってるのを見て私ずっといいなぁって思ってたんです!」
「綺麗…………それって時計なの?」
「ああ、全部時計がデジタル化されてるゲイムギョウ界では珍しいだろう」
俺はユニに懐中時計の中身を開いて見せると、もっと目を輝かせていた。珍しいからマジマジと見ている。
「持ってみるか?」
「いいの?」
俺はユニの手のひらに懐中時計を乗せてみる。
「意外と重いのね」
「ああ、ずっと使ってる骨董品だ」
これを手に入れたのはかなり昔だから………もう俺は懐中時計を何百年も使っているのか。
「だが本当にこれでいいのか?」
「はい!」
ネプテューヌには紫をやったから………ネプギアには薄紫色の懐中時計をやる事にしよう。ちょうど家にあったはずだ。
「ユニは何がいい?」
「…………………それ」
「うん?」
よく聞き取ることができない。
「だから………私もそれがいい」
「お前も懐中時計がいいのか?」
「そうよ!悪い!?」
別に悪くはないが………少し意外だ。
「わかった、ユニにも懐中時計をやろう」
今の子供の好みはあまりよく分からないな。珍しいから欲しいだけなのだろうか。まあいい、とりあえず元気が出たならいいだろう。
「よし、そろそろ帰るぞ」
そして俺たちはネプテューヌ達のもとへと帰った。その際、ネプテューヌとノワールが女神化して喧嘩していたので蹴り飛ばしておいた。女神としての自覚がないのかこいつらは
も、もちろん投稿はきちんとしますよ(汗