アイリスさんのところだけですがね。
測定が終わり、初期ステータスが決定されたトウカ達は各々ゲームの世界に入り込みスタート地点に転移した。服装は適当に選ばれたのか無難なものが多い。ちなみに全員バラバラの場所へと転移させられたみたいで近くにプレイヤーと姿はない。
「ふぅ、街でスタート出来たのは運がいいな」
このゲームの舞台はリーンボックスの湾岸に位置する大都市で名前はリーンサントス。そしてもう一つは山岳地帯や砂漠地帯などが広がるボックス郡だ。今回トウカのスタート位置はリーンサントスの中心街からのため、武器などが購入しやすく、車なども奪いやすい。
「さて、今どれくらい持ってるんだ?ベールによるとランダムで決められるらしいが……」
とりあえずトウカは視界の右上にあるGマークを眺めてみると、金額はおよそ5万、武器や装備などは問題なく買える金額だ。
「まずは武器を調達、そして体力強化だな」
トウカの体力はあまりにも少なく、車に轢かれただけですぐに死んでしまうため体力を底上げするまで注意が必要なのだ。それゆえ、車を奪うのも停まっている車でないと危険が伴う。
「さて、行くか」
トウカは手近に停まっていた車の窓を躊躇なく割り車を強奪した後、ガンショップへと車を走らせた。
◆◆◆
「私は……ダウンタウンからのスタートね」
アイリスもリーンサントスから始まったが、どうやら治安の悪いダウンタウンから始まったようだ。
「所持金少ないわね……現実でもお金少ないからってバカにしてるの?腹立つわね」
アイリスの所持金は5000G、武器を買うことはできるがそこまで強力な武器は買えず弾薬も心許ないだろう。だからこそ、ダウンタウンから始まったのは彼女にとって好都合なのである。
「ようねーちゃん、遊ぼうぜ」
NPCであろうゴロツキどもがアイリスを囲う、男たちの手には拳銃と金属バッドが握られている。それをみたアイリスはニヤリと口を歪ませる。
「良いわよ別に、特別におねぇさんが遊んであげる。かかってらっしゃい………坊や達」
アイリスは手をほぐすようにポキポキと音を鳴らす。
そして、金属バッドを持っていた男へ肘打ちを胴体へ打ち込んで顔面へと躊躇の無い左フックを叩き込むと、流れるような動作で男が手放した金属バッドを空中で掴み発砲しようとした男の腕を叩く。そして、そのまま体全体を使いフルスイングで男の顔面を打った。あまりの衝撃に男の体は空中でなんども回転して仲間へとぶつかり瞬く間に襲ってきたNPC達が壊滅してしまった。
「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃ!」
リーダー格の男は逃げて行く、こんなところまでリアルだとはさすがリーンボックス、技術の高さには脱帽である。
「うーん、やっぱり身体能力は普通の人間が鍛えたくらいかしら………現実だったらこの辺り肉片しか残ってないものね」
そんな物騒なことを言いながらアイリスは金属バッドとハンドガンを拾い上げて装備する。どうやら武器スロットはすべての武器が入るため所持数制限はないようだ。
「さて、行こうかしら」
そう言ってアイリスはハンドガンを構え途中で見つけたスポーツカーを奪い走り出した。
◆◆◆
そして主人公オブ主人公のネプテューヌ(パープルハート)はリーンサントスのビーチからスタートのようだ。
「どうすればいいのかしら………まあまずは武器調達よね」
ネプテューヌの所持金は10万、装備くらいなら簡単に揃えられるだけでなく多少の贅沢もできるほどの金額だ。
「そのあとはトウカと合流でも……いいえ、トウカと協力プレイする時いつもひどい目に遭うから目的はトウカ打倒にしましょう」
そう決意したネプテューヌは近くにあった車の窓を問答無用で叩き割り走り出した。流石はトウカの教え子、やることは一緒である。
◆◆◆
そして主人公(2代目)であるネプギアは……なんとリーンサントスから一番遠い砂漠が初期位置のようだ。
「えぇ…………中心街まで10キロ以上あるよ……あっそういえばベールさんにタクシーが呼べるって聞いてたんだ!そんなに料金も掛からないって言ってたしそれで行こう!」
そしてネプギアはゲーム内の携帯を使いタクシーを呼ぶ。すると数秒のうちにタクシーがやってきてネプギアは乗り込む。そして一番遠いところまで選択すると料金は500Gだった。自分はどのくらいの金額を持っているのか確かめてみると……なんと
「99G!?なにその微妙な金額!?100でいいよそこは!」
当然そんな金額で行けるわけもなく仕方ないので一番最寄りの場所を選択したのだがその金額はなんと……
「100…………G」
1Gだけ足らなかった。ネプギアはタクシーから降り、ヤケクソでトランク部分を蹴りつけた。もちろんタクシーは走り去り砂漠にはネプギアただ一人が残された。あたりには誰もいない、もうこの世界には自分しかいないんじゃないかと思うほど。
「私………虐められてる?」
ネプギアは属性、いじめられっ子を習得しました。
◆◆◆
そしてツンデレ種ぼっち系女神のノワール(ブラックハート)はこちらもリーンサントスから遠い山岳地帯に来てしまった。それだけならまだいいだろう、しかし彼女の場合
「わぁ……絶景ね………じゃなぁぁぁぁい!」
このゲームで一番高い山の山頂に来てしまっていた。あたりには人はいるがほとんど乗り物はない。所持金は1万となかなかの金額を持っているがこんなところにタクシーを呼べるわけもない。
「なんで私だけこんなところからスタートなのよ……」
どうやって街まで行くか考えても、何もいい案が思い浮かばない、徒歩などもってのほかだ。
「…………」
もう諦めようかと考えたその瞬間、目の前にバイクが目に入った。恐らくNPCのものだろう。
「いやいやダメよ!ゲームとはいえ女神なんだから人のものを取るなんて……」
プラネテューヌの女神はそんなことを気にせず普通に強奪したが、これが常識力の差というものだろう。
「でもこのままじゃゲームに参加できないし……」
女神としてのプライドを取るかゲームに参加して殺伐でもみんなと楽しい時間を取るか………
「…………ええい!ごめんなさい!」
そう言ってノワールはバイクを強奪して山を全速力で降りた。しかし、山からのバイク下山は上級者でも成功するのは稀であるため
「のわーーーーーーーーー!!」
当然初心者のノワールが成功するはずもなかった。
◆◆◆
「あら?」
「うん?」
リーンサントスの4つあるうちの一つ、射撃場もある大きなガンショップにトウカとアイリスが鉢合わせした。
「あらあら…もやしじゃないww」
「もやしじゃないトウカだ」
ニヤニヤとするアイリスに気分を悪くしながらトウカはガンショップに入り彼女も後に続く。
「付いてくるな」
「邪険にしちゃいやん♪」
その言葉にイライラしながらもトウカはハンドガンと長距離装備のヘビースナイパーライフルを購入し、念のためにロケットランチャーとグレネード各種を買っておく。
「これからどうするのもやし」
「もやしじゃないトウカだ。とりあえず勝敗条件が全員を倒すことだ、作戦を立てないとな」
今回の勝敗条件は全員を倒すこと、つまりトウカは体力が無い状態で全員を倒さなければいけないのだ。一人では戦闘機にでも乗らなければかなり厳しいだろう。
「ねぇ、どうせなんだから二人で組みましょう?もやし一人より良いでしょ?」
「もやしじゃないトウカだ」
もやしと言われるのが我慢ならないのか絶対に否定するトウカは仕方なくアイリスとともにスポーツカーに乗り込む。
「さあ行くわよ」
そう言ってアイリスは車を走らせ、トウカがマップを確認していると、赤いマークが高速で近づいてくるのを確認した。
「アイリス、後方400mから敵だ!」
「反応の数は!?」
「一つの車両に二人、名前は………ベールとユニだ!」
後方から緑のスポーツカーが物凄い勢いで近付きながらアサルトライフルを撃ってくる。
「ユニちゃん!チャンスは今ですわ、最強候補2人を潰しますわよ!」
「分かりました!確実に当てます!」
そう言って狙い澄ました弾丸がアイリスたちの車のタイヤを撃ち抜く。後輪を撃ち抜かれた車はバランスを崩すがそれだけでは停止させるに至らない。
「アイリス、俺に作戦がある!」
「なんでもいいわ!説明しなさい!」
トウカは端的にアイリスに作戦を説明した
「OK!それでいきましょう!」
トウカは窓からロケットランチャーを構えてユニ達を狙い撃った。しかしベールはロケットランチャーを躱すため進路を変更し、上の道路から飛び降りてもう一度トウカ達の後ろへ着いた。
「逃がしませんわ!」
「いや、逃げさせてもらう」
トウカは窓からベール達のフロントガラスに向けて二つの何かを投擲する。一つは躱すがもう一つはガラスを破り車内に入った。
「これは!?」
トウカが最初に投げたものは殺傷用のグレネード、そして最後に投げたのはスモークグレネードだ。殆ど同時に爆発し、車内はスモークで見えずさらに近くで起きた爆発によりバランスを崩して壁に激突した。
「まだですわ………この先に彼らの反応が」
凹んだ車を走らせ、トウカ達が乗っていた車を追いかけると、建築現場へと入っていった。
「あらぁ、いらっしゃい」
「トウカはどこですか?」
「私のこと見捨ててどっか行っちゃったぁ、体力ないから怖くなったのかしらね」
アイリスは両手を上げて降参と言わんばかりに二人の目の前で膝をつく。
「いいえ、彼はそんなことしませんわ。この近くにいるはず………貴女もこんなところで脱落したくはないでしょう?」
「まあ所詮ゲームだし?負けても構わないけど……ただで負けるのは癪よね?」
やはり、トウカはこの近くにいるのだと判断したベールはミニマップを見るがどこにもいない、しかし………次の瞬間横にいたユニが倒れた。
「なっ!どこですの!?」
ベールはその瞬間アサルトライフルを構えて辺りを警戒する、しかし………その隙をついてアイリスは銃をベールへと向け、ベールもアイリスに銃を向ける。
「銃を下ろしてくださるかしら」
「いいえ、あなたの負けよ」
ベールは狙撃を恐れ銃を構えながら壁へと移動する。これで狙撃はされないはずだ。
「ハンドガンとアサルトライフルでは性能が違いますわよ?」
「ああ、その辺は大丈夫よ?私の武器は一撃必殺だから」
ベールはアイリスの銃を確認するが、なんのカスタマイズもされていない普通のハンドガン、一撃必殺のわけがない。ハッタリか……そう思った瞬間
「そうでしょうもやし?」
ガッ!とベールの体が固定される。そんな馬鹿な、反応はどこにもなかったはずだ。そう考えるベールに非常にも刃が迫る
「もやしじゃないトウカだ」
ナイフを持ったトウカが後ろにいたのだ。
「あ、ありえませんわ………こんな至近距離に居たら絶対にミニマップに表示されるはず……」
「おや?覚えていないのか?」
トウカはナイフをくるくると回して逆手に構える。
「俺のステルスは100だぞ?」
つまりトウカは至近距離であろうとステルスモードであればミニマップにも映らない、気配も悟られない。絶対的な暗殺者なのだ。無論、銃撃戦などが主流のGTAにとってあまり役には立たないが………それはトウカたちの作戦勝ちと言えるだろう。
「そ、そんなのひ、卑怯ですわ!」
「卑怯者か…………だが」
トウカは非情にもナイフを振り上げて笑顔で言った。
「それはGTAでは褒め言葉だ」
そして、そのナイフは振り下ろされた。
ギアちゃんファンとノワールさんファンの皆様、すみませんでした!次回ブランさんと一緒に登場しますのでご勘弁を!