ちょっとだけネプテューヌが不遇になるかな………
「はぁ、疲れたぁ」
スライヌを全て倒した後、俺たちは高原に座り込んで休憩をしている。ちなみに俺はネプテューヌの24時間耐久クエストマラソンの内容をどうするか考えている途中だ。
「さすがねトウカ」
コンソールを眺めていると、ノワールとユニがこちらにやってきた。
「お姉ちゃんから聞いてたけど、本当に強いのね」
「あれくらいならユニ達もいずれ出来るさ」
パワータイプのブランなら出来るかもしれないな。なんにせよ、そんなに難しいことはしていない。
「それよりもネプテューヌ!なんで女神化しなかったの!?」
「えぇ、まあなんとかなったからいいじゃん」
ネプテューヌは疲れるという理由であまり女神化をしない。それでいいのだろうか、とは何度も思うが言っても聞かないから言わない。
「女神化すればあんなの楽勝だったでしょう!?」
「ノワール、こいつに何を言っても無駄だ。いずれ慢心して痛い目を見るから放っておけ」
「ちょ、人を犬みたいに言わないでよ!」
「馬鹿が、お前は犬以下だ」
「だから私に対するトウカの評価が酷い!」
仕事をしないお前が悪い。
「ねぷぅ、トウカは私のこと嫌いなの!?」
「嫌いならとっくにお前のようなグータラなんて捨ててると何度言えばわかる?」
「トウカの愛情表現はわかりにくいよ!」
うむ、確かに昔からストレートに伝えろと言われることが多いな。だが俺などにストレートに言われても気分を害するだけだと思うが………まあいい、やってみるか
「ネプテューヌ」
「なに……ってうわぁ!」
俺はネプテューヌを抱き上げながら言葉を紡ぐ。
「お前のことを大切に思ってる」
「ね、ねぷぅ、こ、困るよそんないきなり……」
「といえば満足か?」
へっ?と変な声を上げながらパチクリと瞬きしながらとぼけた顔をするネプテューヌ、こう言えば満足ならこれからそうしよう。
「…………つまり今のはなんとなーく気分だったからやっただけ?」
「満足したなら下ろしてもいいか?」
持つのが面倒だから早く下ろしたいんだが。そう思い俺はネプテューヌを降ろした後、突然笑い声を上げた。相変わらず騒がしいやつだなこいつは……
「私の乙女心を弄んで………万死に値するわ!!」
いきなり女神化して斬りかかって来たため地面へと叩き落とした。何がしたいんだこいつは……
「くうぅ、絶対に許さないんだから………」
「ああ、そうだネプギア」
「聞きなさいよ!」
「どうしたんですか?」
ネプテューヌの攻撃を片手間に弾きながらネプギアと話す。というよりネプテューヌは何故か怒ってるため攻撃が単純になってるから弾くことは難しくない。
「確か機械部品が足らないと言ってただろう、ラスティションは工業が盛んだからあるかもしれん。後で行ってくるといい」
「本当ですか!?」
「クロスコンビネーション!ってカウンター!?」
ネプギアは目を輝かせながら喜んでいる。やはり機械のことに関しては目の色が変わるな。ちなみにネプテューヌは刀を弾き飛ばしてヘッドロックで捕まえている。
「あの、出来ればトウカさんも一緒に行きませんか?」
「別に構わんがユニと行った方がいいんじゃないか?」
「ちょ、離しなさい!痛い痛い!」
こんな無愛想な男よりも親友と回った方が楽しいだろう。
「ユニちゃんとも良いんですけど、たまにはその………トウカさんともお出かけしたいなぁって」
「変わったやつだな」
「相変わらず私のことは無視なのね!?ちょトウカ本当に痛いから離してお願いよ!」
ふむ、最近ネプテューヌのサボった仕事をしていて時間が全く無かったからな………気晴らしにはちょうどいいか。
「分かった、たまには付き合おう」
「やった!ありがとうございます!」
「トウカさん!ねぷねぷが白目むいてるです!!」
おっと、やり過ぎたか。俺はネプテューヌを開放して投げ捨てる。
「はぁ、はぁ、死ぬかと思ったわ………」
「先に仕掛けてきたのはお前だぞ」
自分から仕掛けて返り討ちにされて恥ずかしくないのかこいつは。
「先生、もしかしてストレス溜まってるの?」
「そんなことないさ、ネプテューヌの仕事が全て俺に回ってきたからってそんなことない」
「絶対に怒ってるわよねトウカ?だから今日私に冷たいのよね?そうよね?」
なんのことかわからんな。
「そんなことよりノワールはどうした?」
「お姉ちゃんなら次のクエスト場所に向かったわよ」
どうやらのんびりしすぎたようだ。俺たちも早く行かなければ……と思ったが、みんな疲れてるだろうから俺一人で行くとするか。
◆◆◆
「なによ、二人の世界に入っちゃって………」
ノワールは現在モンスターを討伐するために洞窟へと赴いていた。みんながあまり相手をしてくれないため拗ねながら。
「そもそも…………なんで今だにプラネテューヌに住んでるのよ、もうあの子に構う理由はないはずなのに……」
ノワールがトウカに出会ったのはほんの少し前、まだ女神たちが天界で守護女神戦争をしていた時だ。
「あの時はただの優男だと思ってたのに………」
少し前のことを思い出しながら雑魚モンスターを倒していく。
「さて、この洞窟はここで打ち止めね」
そう思い、ノワールは洞窟から出て行こうとした時、何かのうなり声が聞こえてきたため振り向くと、そこにはエンシェントドラゴンと呼ばれる接触禁止種が居た。
「面白いじゃない!」
エンシェントドラゴンの攻撃を躱し、隙をついて突撃するがエンシェントドラゴンの頭上からモンスターが攻撃を仕掛け、ノワールの腹部へと命中してしまう。
「がはぁ、はぁ、油断した……」
しかし、それだけでは終わらずノワールの女神化が解けてしまう。
「どうして変身が!?」
何度試みても再度変身することができない。そうしている間にもエンシェントドラゴンは刻一刻と近づいてくる。完全に油断した、変身して突っ込む癖は自分の悪いところだと分かっているのに、大丈夫だろうという慢心が起こしてしまった結果だ。
「くぅ、体が……動かない……」
不意に、トウカの言葉が思い出される。
(何を言っても無駄だ。いずれ慢心して痛い目を見るから放っておけ)
慢心、そんなことをした覚えはなかった。だが、知らず知らずのうちにしていたのかもしれない。一人で出来ると、一人でやらなければいけないと。だって、自分は女神なのだから
「ノワール!」
不意に頭上から声が聞こえてくる。薄紫色の髪をたなびかせる少女、いつもグータラとして女神としての威厳など皆無に等しいプラネテューヌの女神
「変身っていうのは、こういう時にするものだよ!」
そうして、ネプテューヌは変身してエンシェントドラゴンに攻撃を仕掛ける。その姿は、普段の姿からは想像できないほど凛々しいものだった。
「大丈夫か?」
ぐいっと体を抱きしめられたと思ったら、後ろにはトウカが立っていた。どうやらノワールの体を気遣って立ち上がるのに手を貸してくれているようだ。
「二人とも………」
「エンシェントドラゴンはネプテューヌに任せて大丈夫だ、お前は下がってろ」
「い、良いわよ別に!私だって……」
しかし、立ち上がろうとしても体が言うことを聞かない。
「良いから休め、あとは任せろ」
そして、トウカが手刀で空を切ると、周りにいたモンスターが全て消え失せていた。トウカから放たれた手刀の斬波が周りにいたモンスターに直撃したのだ。
「ネプテューヌ、そっちはどうだ」
「こっちは終わったわよ」
エンシェントドラゴンはネプテューヌが討伐を終えたらしい。
「この洞窟はこれで終わりだ、帰るぞ」
「………………」
女神なのに、なにも出来なかった。それがノワールの胸に突き刺さった。しかし、トウカから出た言葉は意外なものだった。
「すまなかったな、お前にまで気を遣わせて」
「何言ってるのよ……」
「ネプテューヌのシェアを回復する手伝いをしてくれたんだろう?」
そう言われた瞬間、全身が沸騰したように暑くなるのを感じた。全てトウカには見透かされていたのだ。
「ななななな何言ってるのよ!?そんなわけないでしょ!?どうして私が」
「ならどうしてわざわざプラネテューヌの国境付近のクエストを受けたんだ?早く帰ってもらいたいなら近場のクエストを終わらせてそのまま解散という流れにも出来ただろう?そういうことなら今回のスライヌ退治の時に俺たちに任せて写真撮影をしていたことも頷ける」
だめだ、全てばれてしまっている。それが分かってしまいノワールはトウカを直視することができない。
「こいつはお前と違って未熟な所が多い、これからも俺共々よろしく頼む」
「ちょ、なんで私まで」
自分がは未熟じゃないと言いたそうなネプテューヌの頭をつかんで深く二人で礼をするトウカは、娘の友達にこれからも自分の娘と仲良くしてくれと言っている父親のようだった。
「べ、別に構わないわよ。どうしてもっていうならね」
「ああ、ありがとう」
その時のトウカの顔は微笑んでいた。
「さて、そろそろ帰りましょう?みんな待ってるわ」
「そうね、早く帰りましょ……うっ」
先ほど墜落した時、ノワールは足をひねってしまったようで歩くたび足に痛みを感じてしまう。到底ラスティションまで帰るのは無理だ。
「歩けないの?」
「大丈夫よ、これくらい……」
「失礼するぞ」
そういうとトウカはノワールを抱き上げて歩き始めた。もちろん、素直ではないノワールはジタバタと暴れ始める。
「何してるのよ!下ろしなさーい!」
「暴れるな、お前の歩くスピードに合わせてたら日が暮れる、それに少しは人を頼れ」
そうして、トウカはノワールにこう続けた。
「お前は一流の女神だろう?」
優しく語りかけてくるトウカを間近で見てしまったノワールはもちろん、顔を赤くせざるをえない。ノワールも女神といえど女、憧れの人に優しく微笑みかけられたら照れてしまうのも無理はない。
「人に頼ることができない奴は二流だ。俺のような二流にだけはなるな。少なくとも、ネプテューヌはその面では無事に一流に育ってくれた」
ネプテューヌは少し人に頼りすぎ、というのはここでいうのは野暮だろうと思いノワールは喉元まできた言葉を飲み込む。
「あいつもお前も、負けないくらい素晴らしい女神だ。だからこそ、これからも頑張り過ぎないように頑張ってくれ」
「………当たり前じゃない」
ノワールは少し照れながらそう呟いた。
◆◆◆
その日の夜、俺たちはみんなの元に戻りノワールは治療を受けて明日はラスティションを観光しようということでノワールの教会に泊まることになった。
「ネプ子、いい加減機嫌直しなさいよ」
「別に怒ってないよーだ!」
夕食は各自で取るという事になったのだが、ネプテューヌがみんなで食べようということで全員で集まって食べている。そこまでは良かったのだが……なぜこいつは機嫌が悪い?
「どうしたんだネプテューヌ」
「今日はトウカと話さないもん」
ふんっ、とそっぽを向くネプテューヌ、なるほど……これが反抗期というやつか。女神になっていろいろ成長したということだろうか?
「全く、話さなくても構わないが今日は早く寝ろ。明日は名物のプリンを食べに行くんだからな」
「え?なんでそれを?」
「ずっと前から食べたいと言ってただろう?ラスティションに来たんだから連れて行ってやろう」
ずっと前から食べたいと俺にせがんで来ていたのだが最近は忙しくて連れて行ってやれてなかったから、この機会に連れて行ってやろうと思ったんだが……そんなに意外だったのか?
「覚えててくれたんだ………」
「あれだけ言われたら覚えてるさ」
買ってきてやろうかとも思ったが、やはり現地で食べたほうが美味しいだろう。それに……今回は少し怒りすぎたかもしれない
「トウカさんも怒りすぎたかなって思ってるんですよねぷねぷ」
「なぁんだ!それならそうと言えばいいのに、トウカはノワールと一緒でツンデレだなぁー!」
「「誰がツンデレだ(よ!)」」
俺とノワールの声がかぶった。まあノワールの声にかき消されてしまったのだが
「そういう事なら着いて行ってあげるよ!しょうがないなぁトウカは」
「わかったわかった、ありがとう」
隣の席にいるネプテューヌの頭を撫でながら言う。
「よしっ!じゃあ明日に備えてお風呂に入って寝よう!トウカ背中流して〜」
「はぁ、全くお前は………」
「ほらほら早く!」
笑顔で俺の下から手を伸ばしてくる、まだ抱き上げて欲しいのかこいつは。仕方ない奴め
「ほら、行くぞ」
「わーい!」
俺はネプテューヌを抱き上げて風呂場へ向かった。
((((えっ、あの二人って一緒にお風呂入ってるの?)))))
(二人ともこの空気に気づいてないんだろうなぁ……)
戻ってきたときみんなが顔を赤くしていたが一体どうしたのだろうか?それにしても、なぜ風呂の時にネプテューヌは疲れるのに女神化するのだろう。まあいいか
そして最後にネプテューヌがかっさらうw
なぜ女神化したかは………ご想像にお任せします。