いや、最近動画やらなにやらでとても忙しくてこちらの更新に手が回らなくて……
「だぁぁぁぁぁ、もうマジで疲れた」
アイリスは祭りの準備に追われ、ついに一般公開されていない広場のベンチに倒れ込んでしまった。やるだけのことはやったのだから後はもうライトやネプギアたちに全て押し付けようという魂胆である。
「あー疲れた、ネプちゃんも頑張るわねぇ。そりゃ国民のためなんだから当たり前なんだろうけど。それにしても、他の三女神はほんとケチくさいわね、特にルウィーなんか滅びればいいのよバーカ」
ネプテューヌのチケットを受け取らなかった三女神に文句を言い、そんなことのために、などと揶揄したブランには完全に敵意むき出しのアイリスであった。
「だからルウィーなんか嫌いなのよ、プライド高くて、他の国と一切面識なくて、自分の言うこと曲げないんだから………」
昔のことを思い出したのか、だんだん顔が辛気臭くなっていくアイリス、それを自分でも気づいたからか、寝返りを打ち本格的に眠る事にした。
「こんなとき、あなたならどうしたのかしらね………」
今は亡き幼馴染のことを思い出しながら、アイリスは眠りについた。
『精神的にまだ立ち直れてないのね、しょうがない子……少しだけ元気つけてあげようかしら』
◆◆◆
「んっ?」
アイリスはふっ、と目を覚ます。
するとそこは見たことがあるような部屋で、自分は寝室のツインベッドで寝ていた。この時点でアイリスは自分が置かれている状況がおかしいことに気づく、なぜなら自分は教会のベンチで寝ていたはずなのに、こんな寝室に居るからだ。
「あれ?ここって……?」
とりあえずこのベッドにいても仕方が無いと、アイリスはベッドから出て扉を開ける。すると、少しいい匂いがしてきた。先ほど時刻を見たら午前8時、ちょうど朝ごはんの時間帯だ。
「誰か居るのかしら……」
そう思ってキッチンに近づくと、一人の男性がいた。
「ん?今日は珍しく自分で起きたんだな。雨でも降るか」
真っ黒い髪に目つきの悪い目、真っ赤な瞳に相変わらずハイライトは無い。自分にとって切っても切れない縁で繋がれている男が、そこに居た。今はいない筈の彼が
「トウ……カ?」
「寝ぼけてるのか?早く椅子に座ってろ、もう直ぐ出来る」
どうしてトウカが生きているのか、何故自分の朝食を作っているのか、何が何だか全てがわからなくなってしまった。
「いや、え?なんで生きてるの?」
「生きてたら悪いのか?」
「そうじゃなくて、死んだはずなのに」
「夢でも見たんだろ、ほらとっとと座れ」
そう促されるまま椅子に座って朝食を食べ始める。
「あなたって料理下手じゃなかった?」
「お前が必死に教え込んだんだろう、どこまで寝ぼけてるんだ。いよいよボケが始まったか?」
明らかにおかしい、自分がトウカに料理を教えたことなど一度も無い。そもそもトウカが料理上手になること自体無理というか不可能というか、シチューを作っただけで鍋を溶かす男がどうやって料理上手になればいいのだろうか?
さらに辺りを見渡すと、二人の写真がいくつか飾られていた。その中の一つに驚くべきものがあり、アイリスは自分の目を疑った。
(え?なに、あれって私ウェディングドレス着てない?トウカタキシード着てない?もしかしなくても私たち……結婚したことになってないこれ!?)
そして自分の指を見ると、指輪をしていることが確認され予想が決定的になった瞬間である。しかし彼女にとってそれはさらに事態を迷宮へと誘ってしまう余計なものであった。
(なにこれどういうこと?どういう事!?)
事態に混乱してながらもなんとか朝食を食べ終え朝のまったりした時間を過ごす事になった。ちなみに朝食は大変美味しかったらしい。
(この時間に教会に行かないって事は仕事はもう引退したのかしら………)
「ねぇ、教会には行かないの?」
「どうしてだ?」
「いやぁ、その……久しぶりにネプちゃん達の顔見たいなーって」
「どのみち今日は居ないぞ、ラスティションに遊びに行ってるらしいからな」
行く用事は無い、という事はもう仕事は引退済みらしい。
まあ彼は仕事しなくても余りあるくらい財力があるのでおそらく問題は無いだろう。トウカは甘味以外にほとんど物欲が無いためお金を使うことが無く、国のナンバー2の年収が300年ほど続けばそれくらいの金額になる。そもそも仕事しかしてなかったのでお金を使っている時間が無かったのも一つの原因だろう。
「何処かに行きたいなら行ってこい」
「いや、そういう訳じゃないのよ、えーと……なんていうかぁ」
全くこの距離感に馴染めていないのだ。
確かにトウカと性行(アイリスが一方的に)は何度も経験があるが、夫婦というのは全く経験したことがないため、一言で言えばどう接していいのかわからないのだ。
(よし、思い切ってやってみようかしら)
思い立った瞬間、アイリスはトウカの座っている隣に座りそのまま横になって彼の膝に頭を乗せる。俗に言う膝枕を勝手にやってみた。
いつもならここで膝から突き落とされて終わりなのだが、今回は当たり前のようにトウカはアイリスの頭を撫でていた。
(あー、なんか全てどうでもよくなってくるわね……ていうかこっちが現実見たいな……)
「ねえ、一つ聞きたいんだけどさ」
「どうした?」
アイリスは、たとえ話として先ほどまでに自分が悩んでいた事をトウカに話してみた。どういう状況なのかはわからないが、ここに彼がいるのだ。ちょうど聞いてみたかった事を聞いてみる。
「そうか、そうだな………俺なら放っておく」
「ほっとくの!?」
まさかの発言に驚くアイリスだが、トウカはさも当たり前のように話す。
「自国の祭りなんだから他の国の女神が来なくたって十分盛り上がる、嫌々来ても向こうだって楽しくないだろう。それにこちらとしても無理強いはしたくない。だから、あちらが参加したくなるような祭りになる様に俺は努力する」
「……流石ねぇ、私そこまで考えられなかったわ」
「お前は元々頭が弱いしな」
「なにそれバカにしてる?」
「それに、それは俺のやり方だ。お前のやり方じゃない」
「私の……やり方?」
この意見はあくまでトウカの意見であり、トウカのやり方だ。
もちろん人間の数だけやり方がある、それは当たり前の事である。
「お前は俺とある意味対極だからな、やり方にも違いが出るさ。だから、俺のマネなんてしなくていいんだ」
自分は、ネプテューヌのためにトウカの代わりにならなければならないと思っていた。彼が守ったあの子を自分が守る、育てる、導く、それが自分の役割だと思ってた。でも、それはトウカのマネをする事ではない事に今ようやく気付いた。
自分はトウカとは違うのだから、自分なりのやり方でやればいいのだと。
「そっか、あなたのマネする必要なんて……どこにもなかったのね」
どうしてこんな簡単な事に気付けなかったのだろう。
普通なら、誰でもわかっている事なのに
アイリスは起き上がり、扉へと手をかける。
そんなアイリスの姿をトウカは、こうなる事がわかっていた様に微笑む。
「行くのか」
「ええ、たまにはあなたに甘えられてよかったわ」
「そうか…………あの子を頼む」
「任せなさい、あなたと違ってスパルタ教育してあげるから」
そう言ってアイリスは扉を開ける。大好きだった幼馴染に、背を向けながら。
◆◆◆
「いざ戻ってくると、寂しいものね」
アイリスは広場のベンチで目を覚ました。
あの空間は夢だったのか何だったのかはわからないが、今はそれは置いておく。
「団長ー!」
「なによライト」
「ネプさん見ませんでしたか!ブランさんに呼び出されて行っちゃったんですよ」
「呼び出された?妙ね………」
そもそもブランはシェアの回復で躍起になってるはず、そんな時にネプテューヌをわざわざ呼び出すには何か理由があるはずだ。
「なんかキナ臭いわね、ちょっと様子見に行ってくるわ」
「わかりました」
アイリスはそう言ってネプテューヌがブランに呼び出されたところへと向かった。
今度もおそらく遅くなりますが宜しくお願いします