ネプテューヌの保護者的な感じの男   作:煉獄姫

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ルウィーの女神とプラネテューヌの青い魔導師

ブランとネプテューヌは剣を交える。

それはネプテューヌにとって望んではいないことだが、ブランは手加減できるほど甘くは無い。

 

「やめてブラン!私たちが戦うことなんて!」

「お前になくても、私にはあるんだよ!!」

 

二人の戦いはさらに苛烈さを増していく、そう思われたが二人の頭上から恐ろしい大きさの雷が光の速さで落下し二人をとらえた。

あまりの痛さに二人とも絶叫を上げる。

 

「コラァそこの二人!!何やってんのよ!」

 

二人がフラフラしながら上を見上げると、物凄く機嫌が悪そうな顔をしているアイリスが右手にバリバリと電気を纏いながら電撃で出来た蝶の様な羽で空を飛んでいた。

 

「テメェこそいきなり何しやがる!!」

「それはこっちのセリフよ!ただでさえ忙しいのにうちの女神呼び出してんじゃ無いわよ!!用事があるなら自分から来なさいボケ!!ネプちゃんも!自分からお祭りするって言い出したんだから準備抜け出してホイホイ行かないの!」

「ご、ごめんなさい?」

 

どうして自分が怒られてるのかよく分かっていないネプテューヌはこれ以上火種を撒かないようにとりあえず謝っておくが、隣にいるブランは興奮しきってそうはいかないようだ。

 

「ふざけんな!これは女神の問題だテメェはすっこんでろ!」

「ちょっとブラン、今お姉さんをあんまり刺激したら……」

「うるせぇ!テメェらはどこまで私に舐めたことすれば気が「じゃあかぁしわぁぁぁぁぁぁ!!」ぐはぁ!」

 

有無を言わさずアイリスはブランの頭にげんこつを叩き込む。

 

「で、何の用よ?くだらない用事だったらルウィーまでぶっ飛ばすわよ」

「お姉さんは本当に物騒ね……」

「お黙り」

 

ブランは興奮気味に現在の状況をアイリスにはなす、端的に述べればプラネテューヌのシェアが伸びている分だけ他の3国のシェアが増えている。だからネプテューヌが自分たちのシェアをだまし取ったと言うのだ。

 

「くだらな、さっさと帰るわよネプちゃん、あー来て損した」

「えっ、ちょっとお姉さん!」

 

アイリスは心底どうでもよさそうにネプテューヌを引きずってプラネテューヌへ戻ろうとするが、ブランがそうはさせまいと立ちはだかる。

 

「くだらねぇだと!ふざけんな!」

「くだらないもんをくだらないって何が悪いのよ、そもそも頭の弱いこの子がそんな賢いことできるわけ無いでしょ?」

「あれ、さりげなく私馬鹿にされてる?」

 

ネプテューヌの疑問をスルーして、アイリスとブランは話を続けていた。

 

「なら、イストワールやネプギアかもな!」

 

アイリスはブランが振り下ろした斧を躱しながら会話を続けていく、女神一人の攻撃を簡単に避けるということ自体普通では無いのだが、ブランとてそんなことはとうにわかっている。

 

「イストワールがそんなことしてる余裕があるわけ無いでしょうが、ギアちゃんだってお人好しなんだからそんなこと出来ないわよ。まあ確かにだまし取られたっていうのは気になるけど、あなたには関係無い話よ」

「何が言いてぇ………」

「本当に突き止めたいなら、こんな所で喧嘩売らないでネプちゃんのお祭りに参加すればよかったじゃない」

 

仮にプラネテューヌがシェアをだまし取っていると仮定しているのであれば、直接ブランが教会に行って調査すれば問題は無いのだ。そしてそれをするには今回のお祭りは絶好の機会、お祭りに遊びに来たふりをして探りを入れれば何か分かるかもしれない。

 

「もしだまし取ってたとしても、こんな馬鹿正直に突っ込んだってしゃべるわけないじゃない。頭に血が昇るのはわかるけど、その辺きちんと考えなさいよ」

「そんなもん、袋叩きにしてから聞けばいい話だろうが!!」

 

そしてもう一度振り下ろされる斧を、アイリスは片手で掴んで止めた。ブランは距離を取ろうとするが全く動かない。

 

「………ちなみにこれでも私女神のエージェントだから、私はネプちゃんを守る義務があるの。これ以上攻撃するなら……ルウィーがどうなるか分かんないわよ」

 

ゾワリッと、これまでに感じたことの無い怖気がブランの中に駆け巡る。殺気というには生易しい、初めて殺されると思った瞬間だった。自分はこの女には勝てない、分かってはいたが改めて思い知らされてしまう。だが、自分は女神なのだ、弱みを見せてはいけない。

 

「やめてお姉さん!ルウィーとは友好条約を結んでるのよ!!」

「だから何?先に攻撃してきたのは向こう、私たちは防衛するだけ、友好条約に違反してるのはルウィーよ。他の国からも責められることは無いわ」

「そういうことじゃない!ブランは、ブランは大切な友達なの!」

 

友達、という言葉が、アイリスに昔の記憶を思い出させる。

かつてのプライドの高い友達を、そのプライドを完膚なきまでにズタズタに引き裂いたある男のことを

 

「あなたは優しいわねネプちゃん、こんな奴のことまだ友達だって言ってあげるなんて」

 

自分にはない優しさを持っているネプテューヌ、彼女のそんな姿を見てトウカもこんな気持ちになったのだろうか。

 

「シェアをだまし取ったってタカくくって友好条約を無視して攻撃してきて、友達だったらそんなことする?表面上の調査だけじゃなくて、きちんと調査した上で、それでも怪しかったら直に話すのが友達っていうものじゃないの?」

「それは、ブランはちょっと喧嘩っ早いだけよ」

「それでもしあなたが重傷を負ったら?ギアちゃんやライトは絶対にブランちゃんを許さないでしょうね」

 

それだけではない、国のトップが重傷を負ったなどということが国民にしてたら大惨事が起きる。プラネテューヌのルウィーに対する心象は下がり、ルウィー自体のシェアも下がってしまうだろう。

 

「自分の国の不利益が生じる、そこまで考えたんでしょうね?ブランちゃん」

「それは…………」

 

そこまでは考えることができなかった、という顔をしている。確かに冷静な判断ができない状態だった。しかし、一国のトップはそれではいけない。アイリスは、ブランの首を力を込め掴む。

 

「一国を治めてる女神が、そんなことも考えないでどうするの!!!!貴女には自覚ってもんが足りないのよ、自分の行動の一つ一つが国を動かすってことを自覚しなさい!!」

「っ!………てめぇに、てめぇに何が分かるんだよ!!!」

 

怒鳴られたことに反射的に言い返してしまい、咄嗟に武器を振るう。

それをアイリスは腕で弾いて、ブランの腹に膝蹴りを見舞った。

腹が破れるかと思うほどの衝撃に悶えながら、ブランはアイリスを見据えるが、アイリスは彼女の顎を蹴り上げた。蹴り上げられた衝撃で目の前が湾曲し、それでもなんとか体制を立て直した。

 

「私はあいつみたいに優しくないから、攻撃してきた奴を簡単に許したりはできないの、だから……全力でかかってきなさいよ。そうすれば、貴女を殴る大義名分が出来るから」

 

アイリスはブランを睨みつけ、腕に電撃を纏った。


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