本当にご心配おかけしました。
「こ、困ります………ここから先は通すなとブラン様から」
「へぇー、私たち女神仲間なんだけどなぁ」
「せめて謝らせてください!私たちがきちんと見てたら………こんな事には」
俺たちは帰ってすぐにブランに報告しようとするが、もうすでにブランの妹たちが誘拐されたということは広まってしまっていた。
「帰って、あなたたちはいつも迷惑よ」
返す言葉がないというのはこのことか………
「今は何を言っても無駄だ、こちらはこちらで探すしかないだろう」
ひとまずここにいても仕方がない、計画を練らなければならないが時間はかけられない。今日中に助け出さなければ
「すまなかった」
俺はそう言い残してみんなと外に出て行った。
◆◆◆
「ブランったら、これ以上意地張っても仕方ないじゃない!」
「素直じゃないのはノワールの専売特許なのにね」
「はい?」
トウカは一人、あの黒い鎧ヴェアフルについて考えていた。あの男は何者なのか、トウカと同等の力を持つヴェアフルに手加減を加えることはできなかった。
「そんなことより、あの黒い鎧はなんなのよ?」
「トウカが自分の武器使うほどだもんね………」
トウカは四女神と戦う時も基本的に素手で渡り合うためネプテューヌですらトウカが殆ど武器を使ったところを見たことがない、あるとしてもネプギアに戦闘を教える時に使う木刀くらいだ。
「トウカさんと渡り合う敵………油断なりませんわね」
「そうですよね………私じゃ絶対に勝てません……」
「そんな弱気になってちゃダメだよ!私たちが倒すくらいの勢いで行かなきゃ!」
「ダメだ」
トウカは戦おうとするネプテューヌに間髪入れず止める。
「絶対に戦うことは許さん」
「なんで!?やってみなきゃわかんないじゃん!」
「そうよ、あんまり女神をなめないで」
トウカが地面を踏み込むと、地面に少し亀裂が入る。あまり怖がらせることはしたくはないが安全の為だ。
「絶対に奴と戦うことは許さん、良いな」
先ほどよりも低いトーンで皆に言った。
「…………トウカは私の力が信用できないんだね」
「相手が悪過ぎると言ったんだ」
「そうやって子ども扱いして!私はもう子供じゃないんだよ!?私だって女神なんだから自分の身ぐらい自分で守れるし、いつまでも守られるのは嫌だよ!」
「偉そうに言うのは俺に一太刀入れられるようになってか言え」
ぐっ、と何も言えなくなるネプテューヌ、可哀想だか仕方ない。トウカはネプテューヌ認めていないわけではない、ただ、心配なだけなのだ。うまく言葉に出来ず、売り言葉に買い言葉になってしまうために伝わらないが。
「ねえ、お姉ちゃん、なんだろうあれ」
ネプギアが指差す場所を見てみると、そこにはカメラに囲まれたブランの姿だった。
「行くぞ、あの失礼なカメラにおかえり願おう」
トウカ達はブランの元へと走り出す。
◆◆◆
俺たちが入ると、そこには2人のテレビクルー、そして金髪の……小さい子がいた。何はともあれやめさせるか。
「見てください!幼女女神は何も弁解できません!」
何も知らないのに好き勝手言うとはな………これだからメディアというものはあまり好きになれん。
「ちょっと!なにやってんの!?」
ネプテューヌがブランの前に出る。すると、金髪の少女は訝しげな表情を浮かべた。
「あんた誰よ!?」
「私はネプテューヌ、プラネテューヌの女神だよ!」
その姿で言ってもあまり威厳はないだろうがこの際仕方ないだろう。
「あなたも女神ぃ?見た所少女と言えなくもないけど………体が未発達だわ!あなたは幼女、幼女決定よ!」
「ええー!自分より小さい幼女に幼女認定された!」
どうでもいい幼女合戦が目の前で始まったんだがどうすればいい?幼女とか少女か、そんなものはどっちでもいいだろう。俺からしたらどちらも子供だ。
「はぁ、そろそろいい加減にしてもらおうか」
俺は見兼ねたためネプテューヌの前に出る。しかし、金髪の少女………幼女?はさらに機嫌が悪くなった。
「なによこの男!目つきが完全に犯罪者だわ!殺人鬼の目じゃない!」
「ちょっと!私のことはどう言っても関係ないけどトウカのことバカにするのは許さないよ!」
ネプテューヌが自分に言われた時よりも怒り出したため諌める。それだけ大切に思ってくれているのに………俺はちゃんとした言葉で伝えられない。
「良いんだネプテューヌ」
「ダメだよ!トウカは殺人鬼なんて言われて悔しくないの!?」
「何も………間違ってなんかいない」
そう、何も間違ってなんかいないのだ。俺は、血にまみれた殺人鬼、化け物なのだから。
「さて、お前たち今何をしているか分かっているんだろうな?」
「なによ、私はただ放送してるだけよ!」
「その放送が合法なら、俺は何も言わん」
この放送は合法ではない。なぜなら
「お前たち、教会にアポは取っているのか?」
「それは…………………」
突っ込まれると痛いところを突っ込んだようだな。やはり叩けば埃が出てくるようだ。
「まず、ここは教会でも一般公開していない区域だ。許可もなく入れば罪に問われる。そして、許可もなくブランを映すことにも問題があるぞ。これはブランが不快に思ったとしたら肖像権の侵害としてお前たちを訴えることもできるのだからな」
ここまでまくし立てるとさすがに本人たちも萎縮してしまったようだ。すこし言い過ぎかもしれないが早急に帰ってもらうための措置だ。今はすぐにでもラムとロムを探さなければならない。
「今すぐここから出て行くなら何もしないとブランも言っている、さあ…………どうする?」
俺が睨みながらそう言うと、金髪の少女は捨て台詞を吐いてどこかへと消えていった。殺人鬼というくらいだ、睨まれたら怖いだろう。
「相変わらず怖いわねあんた………」
少しノワールが青い顔をしていた。そんなに怖かっただろうか…………少し傷つく。
「ブランさん!」
ネプギアの叫びを聞いて振り向くと、ブランがネプギアに支えられていた。すぐさま駆け寄るが気を失っているらしい。見た所疲労が溜まっているようだ。大事には至らないだろう。
「だが、なぜこんなに疲労が溜まっている?」
なにか大事な仕事でもしていたのだろうか、それにしては無理にし過ぎだな。
「皆様に、お話がありますわ」
ベールから話された言葉は信じられないものだった。ルウィーで少し前打ち上げられていた人工衛星を利用してリーンボックスの研究所とともに地上の映像を見られるようにしたらしい。やはりリーンボックスが一番進んでいるな
「それって、あなた達だけが世界中の映像を見られるってこと!?」
「えぇー!?それじゃあ私たち見られすぎて困るじゃん」
「安心しろ、女神化してないお前なんて物好き以外誰も見ん」
「どーいう意味かなぁトウカ!?」
飛びかかってきたネプテューヌの頭を鷲掴みにしながら話を聞く。
「サプライズプレゼントみたいで洒落てるでしょう?ブランが言い出したんですのよ?友好条約を結んだんだからみんなで等しく利用するべきだって」
サプライズプレゼントか…………ブランもなかなか粋なことを考えるじゃないか。だが、それで本人が倒れていたらせっかくのプレゼントも台無しだろう。
「ふっ、やはり良い女神だな。お前も倒れるくらい誰かのために何かやってみるかネプテューヌ」
「あははははは………さすがにやめとくよー……そろそろ離して………」
そして、俺たちはブランが研究していたシステムを使いラムとロムが攫われた場所を見つけた。これは………
「灯台下暗しという奴だな、さあ、取り戻しに行くぞ」
俺たちはラムとロムが拉致されてると思われる場所、ルウィーのテーマパークへと向かう。さあ、犯人たちにどういう裁きを下してやろうか。
次回は誘拐犯討伐です。
さて、どうしてくれようか