比企谷八幡 「・・・もう一度会いたかった」   作:TOAST

15 / 35
第三章 変革
15. 比企谷八幡は未上場企業に投資する(上)


「何故私はこんな場所にいるのかしら・・・」

「お前でも緊張する事があるんだな、雪ノ下。心配するな。今日は言った通りに通訳してくれれば良いんだ」

俺たちは今、都内のオフィス街にある高層ビルの会議室にいる。落ち着かない様子の雪乃を宥めるように俺は声をかけた。

「すまないねぇ、比企谷君、雪ノ下さん」

俺と雪乃の間、テーブル上座の真ん中に座る中年男性が、申し訳なさそうにそう言った。

「武智社長、これは俺たちの利益にも関わる大事な商談です。前面に出るのは当然のこと。むしろ呼んで頂いて感謝してますよ。絶対に成功させましょう」

「いやはや、頼もしい限りだね・・・私ももっと色々と勉強しなきゃなぁ」

——トントン

武智社長が呟き切る前に軽めのノック音が室内に響いた。

俺は自分のネクタイをもう一度締め上げる。

一瞬の間を置いて、会議室に高級そうなスーツを身に纏った青目の外国人が4名程、部屋に入ってきた。

『Hi, welcome and thank you very much for coming to our office』

うち、1人がニコニコしながらそう言い、手を差し出してくる。

「武智社長、挨拶、挨拶です!手ぇ、握り返して!」

俺は小声で武智社長に握手に応じるよう促す。俺の声にハッとしたような表情を見せた武智社長は、先方の手を握り返し、「ナイストゥーミーチュー、センキュー、センキュー」と、ベタベタな日本人英語で挨拶を行った。かの武智社長も外人との商談は初めてなのだろう。社長をフォローするように、俺は会話を切り出した。

『本日は面談のお時間を頂き有難うございます。既に宮田さん、槇村さんからお聞きかもしれませんが、本日はまず我々の方から、総武光学の紹介をさせていただきたいと思います。その後、御社からはファンドのご紹介に加え、出資条件当についてお話を伺えれば幸いです』

テーブルを挟み反対側に並んで座る4名の外国人は、笑顔を崩さずに俺の言葉に頷くが、その眼光は非常に鋭い。

『こちらの出席者は、総武光学創設者の武智、並びに少数株主である私、比企谷、武智の通訳を務める雪ノ下の3名です』

俺は続けて、自分たちの紹介を行った。

正直、製品技術の話を除く駆け引きに関して言えば、武智社長は戦力外だ。

雪乃には当然ビジネス経験などあるはずも無く、今の段階では通訳以上の働きは期待できそうに無い。この会議は俺がコントロールし、今後の交渉に繋げられるよう、アピールせねばならない。

そんな中、今の俺の見た目が高校生であるということは、明確なハンデだ。相手の印象を覆すだけのインパクトをどれだけ与えられるかが勝負の鍵となるだろう。

俺は久々の緊張感と高揚感で乾いた上唇を少しだけ舐めると、ビジネス交渉の臨戦態勢へと入った。

☆ ☆ ☆

数週間前

中間テストも無事に終わり、今日は待ちに待った職場体験の日だ。

俺は、葉山と戸塚と組んだグループで、朝9:00から総武光学へとお邪魔した。

工作機械が立ち並ぶ工場の隅に申し訳程度にあるオフィススペースに、数十名の社員が立ち並んでいる。これが当社の朝礼の風景だ。

「今日は前もって皆さんに伝えていた通り、総武高校から職場見学の学生が来てくれました」

作業服姿の社長、武智さんがそう言うと、社員が若干ざわついた。

“あら〜、可愛い男の子が二人もいるわ”と、パートのオバちゃんらしき女性が口にするのが聞こえる。それ、除外されてるのは絶対俺だよね。オジサン、泣いちゃうよ。

「じゃあ3人とも、早速自己紹介をお願いできるかな?」

武智社長の言葉に頷く俺たち

「総武高校2年F組の葉山隼人です。今日はお忙しい中、僕たちの学校行事にご協力いただきまして有難うございます。皆様の職場で色々と勉強させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします」

葉山が先陣を切って挨拶すると、拍手が鳴り響いた。何やらオバさん連中が大いに盛り上がってるようだ。

「えっと、葉山君と同じクラスの戸塚彩加です。お邪魔にならないように精一杯お手伝いさせていただきます。よろしくお願いします!」

続く戸塚の挨拶にも盛大な拍手が送られた。先ほどの女性陣に加え、一部の男性職員も何やらテンションを高めている様子だ。

「同じく、総武高2年F組の比企谷八幡です。今日をずっと楽しみにしてました。よろしくお願いします」

二人と比べて明らかにまばらな拍手。おい今、”なんか目がヤバイぞ。大丈夫か?”って小声で言った奴、ちゃんと聞こえてるからな!覚えてろよ。

俺たちの挨拶が済むと、朝礼も早々に終了し、俺たちは社長に連れられて、社内の案内と業務の簡単な説明を受ける。葉山も戸塚も、工場に並ぶハイテク工作機械に興味津々といった様子だ。

「いや〜、今時こんな町工場みたいな中小企業にわざわざ来てくれるなんて、嬉しいね。今日は何でも遠慮無く聞いてよ」

武智社長は案内しながら、そんな言葉を口にした。そんな会話の端々からこの人の人柄の良さが窺われる。むしろ度の過ぎたお人好しが疑われるレベルだ。作業場を歩いていると、多くの社員が社長の下に集まり、軽めの挨拶や世間話をふってくる。社内での人望も厚いのだろう。

「あの、この機械は何を作ってるんですか?」

武智社長の言葉に甘える形で、まずは戸塚が質問した。

「これは虹彩認証センサー用の特殊なレーザーを発振するための部品を作ってるんだ。基本はコンピュータ制御で動かしてるんだけど、レンズ部分なんかの調整には、熟練工の腕がものを言うんだよねぇ」

「虹彩認証って、指紋認証みたいに瞳の中の生体情報を読み取ってロックを解除したりするものですよね?大手のセキュリティ会社に製品を販売してるって、事前に聞きましたけど・・・」

葉山が武智社長との会話を繋ぐようにそう言った。

「良く調べてくれてるね。その通りだよ。今の所、この製品がうちの収益を支えてるんだ」

「他にも製品があるんですか?今の所ってことは、何か開発してるとか?」

会話の流れで俺にも質問のチャンスが巡ってくる。当社が携帯や自動車向け部品を世に送り出すのはまだ先の事だ。だが、今の段階から製品開発を行っているのであれば、その裏方をぜひ覗いてみたい。

「・・・良く聞いてくれた! 今はもっと汎用性の高い光学バイオセンサーを開発していてね。電化製品や自動車を”視線”を使って操作をするっていうアイデアなんだ。これが出来れば、世界が変わるっていうような製品を目指してるんだよ!」

武智社長は嬉しそうにそう言った。

——世界を変える

この言葉を聞くのは、雪乃、劉さんに続く3人目だ。

目指す世界は人それぞれだが、そのセリフは何故かいつも俺の心に響いた。

「とは言え、今はまだ構想と設計段階なんだ。製造には高価な機械が必要なんだが、恥ずかしい事に資金がね・・・」

「銀行からお金借りたりできないんですか?」

戸塚が素朴な疑問を投げかけた。

「運転資金と違って、中小企業の設備投資資金は審査がなかなか厳しいし・・・工場の敷地・家屋の方はもう担保に入れてしまっているからね」

戸塚も葉山もイマイチ良くわからないと言った表情を浮かべる。だが、あまり金の絡んだ問題に深入りするのは良くないと判断したのか、それ以上質問する事はなかった。

俺たちから追加の質問が出ないことを確認すると、武智社長は「じゃあ、次行ってみようか」と言い、先頭を立って歩き出した。俺たち3人も社長の後ろに付いて歩き出す。俺は社長に聞こえない程度の声で、葉山と戸塚に先ほどの社長の説明を補足してやった。

「・・・銀行は返済の見込みがあって初めて金を貸す。運転資金ってのは、通常業務を回すのに必要な金の事だ。材料費とか電気代とか人件費とかな。これは今の事業を普通に続ければ売上で回収出来る金だから銀行も貸しやすい。だが、新しい機械を買って新製品を開発するとなると話は別だ。その製品が完成する保証は無いし、仮に開発が成功しても売れるかどうか、誰にも分からない訳だからな。下手すりゃ焦げ付くような融資は、担保でも無けりゃ、まず出来ないんだよ。社長の話から推測するに、既に今ある機械の幾つかを買うために、工場を担保に金を借りているんだろう。だからこれ以上借入は出来ないって訳だな」

俺は社長の言葉を自分なりの解釈に置き換えて二人に小声で説明した。

「・・・八幡、スゴイね!?何でそんな事が分かるの!?」

「俺も驚いたよ比企谷、いったい何処でそんな事を勉強してるんだい?」

二人が驚いた様子で俺に質問する。

「毎朝経済新聞を読んでりゃ何となく分かるようになるぞ」

俺には一般の銀行員のような企業向融資の業務経験は無い。金融業界と一口に言っても、俺の専門はマーケットでのトレーディングと、プロジェクト投資だ。それでもこうした事が分かるのは日々の積み重ねによる知識の蓄積のためだ。読んでて良かった日○新聞。社会人の必須アイテムと言っても過言では無いだろう。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

俺たちは一通り工場の見学を終えると、再度オフィススペースに案内され、今日の体験学習の一部である経費処理の手伝いをする事となった。武智社長に変わり、経理の女性が、伝票処理の仕方を丁寧に教えてくれた。

総武光学は中小企業だ。事務のシステムまでにコストを掛けられない事情があるためか、経費処理も一般的な表計算ソフトを使っていた。俺は、伝票のインプット作業と並行して、自ら入力した経費データがリンクされているシートを探し出し、当社の財務状況の把握を試みた。やはり先程俺が想像した通り、当社は債務水準が既にギリギリの状況にあり、これ以上借入を増やす事は難しい状況にあるようだ。

「あれ、八幡まだ作業してるの?こっちは全部終わっちゃったよ・・・って何見てるの?」

一足早めに作業を終えた戸塚が、俺の作業画面を覗き込んで質問してきた。

「ああ、入力した伝票データを集計した財務データを見てたんだよ」

「そんな数字の羅列を見て、分かることがあるのかい?」

今度は反対隣に座っていた葉山が声をかけてきた。

「ああ。財務諸表っていうのは会社の活動を映し出す鏡みたいなもんだからな。色々分かって面白いぞ。例えば、当社の収益構造。年商は億単位だが、ここ数年金額はほぼ一定だ。これは取引先と安定した長期販売契約を結んでいる証拠だが、今の契約が終了したり、取引先が破綻するようなことがあれば、途端に金の流れが途切れる」

「え!?それって大丈夫なの!?」

戸塚が驚き混じりで大きな声を上げた。オフィスにいる経理担当者の視線が一手に集まる。

俺は若干の居心地の悪さを感じながら、小声で切り替えした。

「販売先は大手と言ったから、破綻の懸念は少ないんじゃ無いか?まぁ、こういうリスクを避けるには商品種類を増やして、取引先を拡大するのが有効だ。社長もその辺のことを分かった上で新商品を開発してるんだろう」

「君、なかなかやるわね。貴方達、普通科の生徒よね?総武高校って商業高校じゃないんでしょう?」

俺たちに伝票処理の作業をレクチャーしてくれた女性が、興味深げに会話に混じってきた。

「あ、勝手に見ちゃってすみません。趣味で投資をやってるんで、決算書は見慣れてるんですよ。でも、伝票からデータを積み上げて決算書を作る過程ってのは初めてで、新鮮です」

「あら、高校生で投資家だなんてカッコいいじゃない。比企谷君、だったわよね?あなたの目から見て、うちの財務に問題はあるかしら?」

経理の女性は試すような目で俺に質問を投げかけた。

「そうですね。まずは材料の購入金額が年度によって大きく違うのが気になりますね。売上がほぼ一定なのに、仕入コストが動くせいで粗利が安定しない。とは言え、毎期黒字は確保してましすし、減価償却費がそれなりに大きいから、営業キャッシュフローは何とか回ってる印象です。ただ債務負担が重いから、借入のコベナンツ充足のためのやり繰りとか、結構厳しいんじゃないですか?この辺は他の経費とかを抑えて調整してる感じっすかね」

「・・・は、葉山君、今の八幡の言葉、理解できた?」

「いや。特に後半なんてさっぱりだよ」

――戸塚はともかく、葉山は企業向けコンサルをやってる弁護士事務所で働くんだから、この辺は将来必死こいて勉強するんだろうな

二人の言葉を聞き流す素振りで、そんなことを考えた。

「スゴイわ!本当に比企谷君の言う通りなのよ!原料費が上がっちゃった年なんかは、社長や営業担当に接待を控えてもらうのが大変でねぇ~」

経理の女性が、愚痴に近い言葉を漏らすと社長がオフィスに入ってきた。

「3人ともどうだい、調子は?」

「社長、この子凄いんですよ!伝票処理の仕事をちょっとしただけで、私の苦労を理解してくれたんですよ!・・・そうそう、来月も銀行に財務資料を提出しますけど、やり繰りが厳しいんだから、今月も接待ゴルフは禁止ですからね!」

――いや、貴女の苦労については自分でペラペラ喋ったんでしょうが

俺は心の片隅で突っ込みを入れた。

「いや~、参ったな」

武智社長は面目なさそうな表情で薄くなった頭をポリポリと掻いた。

「・・・差出がましくて恐縮ですけど、仕入の方も販売の契約期間に合わせて固定価格で契約を取ったりされないんですか?原料によっては先物取引とかで、価格を固定させることもできますよね?」

申し訳無さを感じながらも、武智社長のビジネスセンスを試すような質問を投げかける。

「比企谷君、本当に凄いね!いや、実はうちの抱えてる問題は、君の言う通りなんだ。うちが仕入れなきゃいけない材料や部品は種類が多い上に、特殊なものばかり、おまけにロットが小さいからね。もちろん一部の材料は先物で価格変動のリスクをヘッジしてるんだけど、他は交渉力が弱くてね」

「なるほど。サプライヤーの数が多い一般的な材料だったり、総武光学が大量に仕入を行うような場合は、価格を抑えるための交渉力も高くなる・・・今はその逆ってことか」

社長の話を聞いていた葉山がそう呟いた。流石、未来の弁護士先生、いいセンスしてやがる。

「そう言えば、さっき入力した伝票に、販売先の会社じゃない企業向けの接待領収書が入っていたんです。これって、仕入先の方だったんですか?」

戸塚も葉山に負けじと、積極的に質問を投げかけた。2人とも、今はビジネスに興味深々と言った表情だ。

今回、俺の我侭で訪問先に総武光学を選んだが、これなら大企業の展示ブースを歩いて終わった前回に比べ、学校行事としても大いに有意義なものになったと言えるだろう。

「本当に驚いたよ。君たち、本当に高校生かい?その通りだよ。戸塚君からも言ってやってよ。この接待は必要経費だって。社長の僕が言っても、信じてもらえないんだ」

「ダメなものはダメなんです!」

経理の女性がややヒステリックに声を張ると、オフィス内が社員の暖かい笑いに包まれた。

 

☆ ☆ ☆

 

その後、俺たちは武智社長達と、早めの昼食を取った。

武智社長は、飯の時間、技術に対して馳せる自身の夢を惜しげもなく高校生の俺たちに語ってくれた。

総武光学は、少しばかり財務の問題を抱えているとは言え、間違いなく優良企業だ。

たった半日一緒に過ごしただけで、社員が一丸となって社長の夢を叶えようと尽力する姿勢が伝わってきた。それは経理の女性も例外ではない。何かと口うるさくなってしまうのは、夢の土台であるこの企業を少しでも磐石な物にせんと、努力してるからだ。

――癪だが、槇村さんの言った通りだな

世の中、データじゃ分からないものが沢山ある。プロジェクト投資でなくても、人を見て投資をするってのは、存外重要なのかもしれない。俺はグラフやテーブルの数字ばかり見て投資判断をしてきた、これまでの行動原理を反省した。

「ところで君たち、今日は済まないねぇ。もう少し経理処理に時間がかかると思っていたものだから、午後のスケジュールは特に考えていなかったんだよ」

昼食を食べ終わった頃、武智社長は突然俺たちに謝罪した。

俺たち3人の事務処理能力が想定外に高く、1日かかると思っていた仕事が半日で終わって終わってしまったとのことだった。

「提案なんだが、午後はうちのパソコンを自由に使って、学校に出す研修報告を書いてくれても構わないよ。それから、工場の業務の方に興味があれば、各班長の裁量で仕事を割り振るように伝えておくから、自由に歩いてくれていいからね。・・・あ、でもその時はヘルメットを被るのを忘れないでね。怪我でもしたら大変だからね」

そう言って武智社長は一足先に仕事に戻っていった。

「・・・底抜けにいい人だな」

「同感だよ」

「僕、何かお礼しなきゃ申し訳ないくらいだよ」

俺の言葉に葉山と戸塚が反応する。

はたから見れば俺たちは世間知らずの高校生だ。その場のノリで騒ぎながら、勝手に機械に触ってトラブルを起こしたり、携帯で写真を撮って無断でネットにアップロードしたりと、常識の無い行動を取らないか、監視されてもおかしくは無い。"工場を自由に歩いていい"なんて、俺が社長だったら絶対に許可しないだろう。

「ま、俺ら3人も一応常識ある学生と認めてもらえたってとこかな。戸部とかが混じってたら、今頃、温厚な武智社長の裏の顔が見えてたかもな」

ウェーイと声を上げながら、やたらめったらに機械設備を弄る戸部の姿、その結果引起こされる惨事に、翁面を外し般若面を被る武智社長の姿を思い浮かべる。

「・・・そ、それは偏見だろ、比企谷」

「そ、そうだよ、そんなこと言ったら戸部君に悪いよ」

「とか言ってお前ら、今絶対俺と同じ想像しただろ」

そんな馬鹿話をしながら、俺たちは一先ずオフィススペースへと戻っていた。

――さて、どうしようかな。

俺たち3人は午後のスケジュールについて話し合った。

武智社長はパソコンを自由に使って課題を作成していいと言ってくれたが、学校に提出する研修報告はA4一枚の手書きで十分なのだ。

それでも折角だからということで、俺たちはそれぞれプレゼンテーションソフトを使って、今日の研修の記録と所感をまとめ、総武光学の皆にも見てもらおうと言う、葉山の提案に乗ることにした。

プレゼン向けのスライドを作成するためか、二人は社員と一緒に写真を取ったり、社長の説明で足りなかった技術的な知識の更なる掘り下げのため、工場とデスクを行ったり来た入りで大忙しだ。

 

――何かお礼しなきゃ申し訳ないくらいだよ

俺はPCの前に腰掛けて、先程の戸塚の言葉を反芻していた。

 

 

――俺ができる礼って言ったら、内容は決まってるよな。

俺はプレゼンソフトを起動し、スライドの作成に着手した。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。