かんこれとらんすものがたり!   作:れすてう

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この「かんこれとらんすものがたり!」無事3話目を投稿することができました。
たくさんのUA、お気に入り、ありがとうございます!!
ちなみにこの作品は嫁艦への愛と私の趣味でほとんどが構成されております。


出会い

光が水平線の彼方へと沈んでいく。世界が闇に包まれるそれは、穏やかであった海を、一瞬にして恐怖の海へと形をかえる。ーーー夜の訪れである。

しかしながら、月明かりが光のよりどころとなり、波も昼間とかわらず穏やかである。強くも感じた光が淡い光となるそれは恐怖の海というよりは安らぎの海といった方が良いのかもしれない。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

考え事に耽った結果、自分だけ時の流れが他人と違うという感覚を覚えることはあったが、完全に日が沈むまで考えることはなかった。つもりもなかった。もとの時間が日が沈む時刻に近かったのだろうか。あるいは、時の流れが早いのだろうか。

 

···どちらにせよ、考えて今の状況が変わるわけではない。「海上を移動できる」という事が奇跡に等しい今、その奇跡がいつまで続くかはわからない。早めに行動にうつすのが吉だろう。

 

 

 

とりあえずどこか目印になるようなものを探そう。こういったときは北極星から方角を予想して何やらするのがオーソドックスなのだろうが、その北極星は雲に隠れてみえない。月明かりもなく、恐怖心を煽ってくるようであってなおさら怖い。北極星の代わりに死兆星ならみえそうだ。

 

一応日は左後方へと沈んで行ったから、そちらがおおよそ西であるということにはなるのだろう。

しかし、方角がわかったところで現在地はわからないわけでして。現在地がわからければ行動出来ないわけでして。

 

「···どうしよ。」

 

思わず声が漏れてしまったが、予想の斜め上どころか垂直で突き抜けていくかのような絶望的状況だ。これくらい許してほしい。

ーーー漏れた声はやはり自分の声ではなく。この体がもともとの体ではないことを痛感するには充分だった。

 

 

···そういえば、俺が後ろに背負っている機械みたいなものは一体何なのだろうか。

駆動している音はする。だが、その駆動音がやけに静かだ。耳をすまさないと聞き取れないほどの駆動音とは、一体この機械はなんのためにあるのだろうか。先ほど海上を試しに移動したときに波をかきわける小さな音が聞こえたから、耳が悪いということではないだろう。

 

波の音が小さいといっても子どもの足のサイズが波をかきわける程度のものだから波の音が小さいのは十分にうなずける。

 

機械の全貌がどうなっているのか確認しようと後ろを振り向くが、結果、振り向いたと同時に体も一緒に振り向いてしまい失敗に終わった。海上と陸の上では歩いたりする感覚が違うせいなのか、はたまた元々の体と違うせいなのかはわからなかったが、今の姿はさながら自分の尻尾を追いかける猫の様であろう。

 

他人に見られていたら、間違いなく人生最大の恥態だった。

 

ーーー謎の敗北を感じたので、背負っている機械を取ろうと頑張ってみた。おおよそ察しはついていたが、いくら取ろうと頑張っても取れない。背負っているというよりは、体の一部のごとく、同期しているという表現のほうが正しいのではといった感じだ。呪われているわけじゃないよね?

 

後ろに背負っている機械に関していえば、確認できなかった。要するに俺の全面敗北となった。解せぬ。

 

···それにもうひとつ気になる事がある。雲に隠れて北極星がみえないのであれば、何故俺は「雲に隠れて」みえないとわかったのだろうか。よほどのことがない限り、海上の空は墨を塗ったかのように暗く、とても綺麗で、星がよく見えると聞かされているから、見えなければ雲に隠れたと考えるのが妥当であろうが、残念ながらその考えを思い付いたのが今である。

となると、導き出される答えはその「よほどの」ことであるか、俺の体の目がとてつもなく良いことの二つになる。後者であれば雲の姿形がはっきりわかったのにもなっとくがいく。

 

目が良いということは、いいことだ。コンタクトレンズの俺からしてみれば羨ましい限りである。視力が落ちた原因がゲームにはまった結果だから何もいえないのだが。

 

···とにかく、視力が悪いから夜に移動出来ないという事態にならなかっただけでも良しと考えるべきだろう。

 

早めに行動に移したほうがよさそうだと思いながら移せないのは自分としても情けない事だ。

 

ーーーそんなことを考えていると、ポケットというべきだろうか。男の俺にそこに手を伸ばせというのはすこしばかり抵抗があるところーーー膝に届かないほどのスカートのなかに何か違和感を感じた。あ、ニーハイはいてたのね。道理で脚が寒くならないわけだ。そことは別にアソコは涼しげだが。···なんかごめんなさい。

 

で、その違和感の正体は、なんと方位磁石だった。

今の俺からしてみれば救世主以外のなにものでもないはずだったのだが。···はずだったのだが。

 

その方位磁石は、回る。回る。俺の期待はスルーしながら。さながらルーレットのようである。ーーー左後方に止まった。そっちは太陽が沈んだから西でしょ。

 

ここまで期待が空回りするとは思ってみなかった。方位磁石と同じく期待も空回ってろってことなのか?笑えないジョークだ。そんなものは艦これの世界だけでいいからこんなところにまで持ち出さないで欲しかったなぁ…。

 

方位磁石にしろ、海上を移動できる事にしろ、何から何まで艦これの世界をモチーフにしたような感じだ。いっそのことここが「艦これの世界である。」と断定してしまうのなら、この現状にも説明がつき、辻褄もおおよそ合うだろう。

 

しかし、それでは「ここが現実である。」という根本的なところを否定してしまう。よく「現実は小説より奇なり」というが、あいにくそんなオカルトは信じない派だ。もっとも、ここが現実であるという証拠も五感のみなのだが。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

数秒いろいろと考えた結果、方位磁石が指した方向である左後方ーーー西へ行こうという方針になった。方針といっても一人だから脳内会議によるものなのだが。

 

視界は良好、進路クリア···夜だけど。

夜明けを待つ選択も無いわけでは無かったが、とにもかくにも行動することが先決だと判断した。願わくはこれが裏目にでないことだが···

 

 

 

ーーー行動に移してから数十分経っただろうか。陸地が見えることはおろか、生き物の類いすら見られないのは明らかにおかしいのではないだろうか。

いくら夜で暗がりとはいえ、活発に動いているであろう魚の影も見ることができない。けっこうな速度で移動して反応もないのだからこの辺りにはいないと考えるのが筋と言ったところだろうか。

 

まぁ、少し特殊とは言え海上を移動する立派な「航海」において、たかが数十分で陸地にたどり着けたら一生分の運を使い果たしてしまうのだろうが。

 

 

ふとおもったが、一体俺はどれくらいの速さで移動しているのだろうか。少なくとも俺が全力で走っても到達しうる速さではないことは確かだ。どのような速さに近いかと問われるなら、車が一般道路を走る時の速度くらいだろうか。この速さで移動してバランスを崩さない俺をだれか誉めてほしい。そういえば昔レースゲームにはまった時期があったっけ。アクセルとブレーキを何回も間違えて踏んで一人でゲームに怒ってたっけ。

 

 

ーーーそれからまた数十分経過したところだろうか。波をかきえわける音しかしばらく聞いていなかった俺にとって、やけに新鮮味をおびた音が聞こえたのは。

 

一体この音の正体はなんなのだろうか。そう思い、音のする方向へ出向こうとした瞬間ーーー閃光。そのあとに聞こえる花火のような音。速度を自然とあげる。近づくにつれ、深まる不安と確証。花火の音にしては大きすぎる爆発音。TVの特番や動画くらいでしか見たことがなかったが、印象に残るには十分なほどの煙。水柱。規模としてはとても小さいが、間違いない。ーーーあれは砲撃戦だ。

 

砲撃戦ということは、当然砲撃している「艦」があるはずだ。規模の小ささからかなり小型な艦艇同士の砲撃戦ということも察しはついた。だが、それであればその場へ赴くのはそれこそ死地に裸で赴くのと同じだ。砲弾の流れ弾を喰らうのならまだしも、最悪の場合両者から砲口をむけられる可能性だっておおいにある。

 

しかし、そんな理由でこの砲撃戦を見過ごすというわけにはいかなかった。だって、見えてしまったのだから。

 

俺の体とよくにた髪の毛の色。明るさを表しているかのような栗色とよくにた、優しさを感じさせるような丁子色に近い髪の毛。セーラー服はぼろぼろになっていても。真っ赤なパータイなどなくとも。ワンポイントの錨などなくとも。その姿は忘れることなどない。あれは、彼女はーーー

 

 

 

ーーー「私」の妹なのだからーーー

 

 

 




ここまでの主人公の発言回数・・・1回、5文字。
状況が大きく動きました。私はどうもゆっくりと場面を動かす描写が苦手なようです…
文章力に関しては精進致します・・・
時間がありましたらご意見、ご感想、ご指摘のほどをコメント欄にてお願いします!!

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