かんこれとらんすものがたり!   作:れすてう

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主人公はあまり喋らなかったり。


司令官

太陽の日差しが痛い。気温が高いという訳でもなく、日差しが強いということもないのだが。「この世界」で目覚めたのが日暮れ頃で、夜中には文字通り満身創痍の電を助けだし、その後あの大雨の地帯を抜けて来たから、確かに疲労が溜まりに溜まったこの体で日差しを浴びるのは確かに酷というものだろう。しかも、休もうにもここは「海上」、こんな不安定な足場に寝転がった日には、深海の底でおねんねすることになってしまう。となると、何処か羽を休めることのできる場所を探すのが得策である。・・・という自論を展開しつつ、今は電に連れられて何処かに向かっている最中である。

 

「いかづちちゃん、もうすぐ着くのです!」

 

おしとやかさを感じさせる優しい声が響く。声の調子は明るいが、彼女の状態は良くはない。服は至るところが破れていろいろなところが見えそうである。残念ながら見えないが。彼女の後ろに付いている機械―――「艤装」は機関部がイカれてでもいるのだろうか、灰色とも黒色ともとれるような煙を吐き出す。移動速度が落ちているのは俺の艤装の速度と比べて三分の一しか出てないであろうことからわかったことである。

良く言って中破、悪く言えば大破だろうか。そんな状況にも動じることのない彼女の精神力には敬意を評したい。俺なら心が折れるどころか、二階から落ちるガラス製のコップのように跡形もなく壊れていただろう。こんなかわいい子に精神面で劣るのは情けない話だ。今の俺の姿も子供ではあるのだが。

そんな彼女に対して感心しつつ、先程から気になっている事についてとりあえず二つ聞いてみる事にした。一つ目は、今現在何処に向かっているのかを、二つ目は、電を助けだした直後に聞こえた無線の声についてだ。この二つの質問に対して電は特に疑問を抱く様子もなく答えてくれた。

 

「今向かっている場所はいなづまが所属している鎮守府なのです!といっても、いなづまが着任したのはつい最近の事で、鎮守府も出来たばかりなのです。でもでも、司令官さんはとてもいい人なのです!無線を掛けてくれたのも司令官さんなのです!」

 

満面の笑みで、手を使ってまで説明してくれた。なるほど、電が可愛いということがわかった。電の表情から、司令官さんとやらは慕われていることがみてとれる。

他にも聞きたいことは山ほどあるが、電のかわいい顔が見れたので良しとしよう。

 

「見えたのです!あの煉瓦の建物が電が所属している鎮守府なのです!」

 

そう言って、指を指した方向には、成程、確かに煉瓦色の、いかにも鎮守府ですと言わんばかりの堅苦しそうな建造物が見えた。ネットで見た資料とは比べ物にならないような迫力。あたかも建物が意思を宿しているかのようで、気おされそうだ。

なににせよ、その司令官さんとやらからお話を聞いた方が早そうだ。ただ一つ、あるいは二つ心配な事があるとするならば、無線から聞こえた声は、明らかに真面目そうな、荘厳そうな雰囲気ではなく、青少年のような幼い声で、この鎮守府の長とは思えなかったことくらいだろうか。

 

···この鎮守府がネットで見た資料より小さく、人の気配がない事は気のせいだと思っておこう。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

現在、その司令官さんがいるという部屋の扉の前にいる。緊張しているのはもちもんである。が、どうもこの鎮守府はおかしい。人の気配がしない。全員何処かへ行ったのだろうか、人っ子一人いない。本当に鎮守府なのだろうかと心配である。

 

「電、ただいま戻ったのです。」

 

そんな事を考えている内に、左にいる電の声が廊下に響く。静かである分、少し不気味に感じさせられる。扉の向こうからの返答は少し経ってからだった。

 

「いいよ、入って~。となりにいる電ちゃんのお姉ちゃんも一緒にね。」

 

「失礼するのです。」

「し、失礼します。」

 

電の後ろに続くように部屋の中に入る。そこで見たのは、どう見ても少年という言葉が正しい男がそこにいた。身長は高め、そう思ったが俺の目線は提督机より少し上。そういえば高校生の体ではなかった。そういったことから正確な身長は測れないが、今の俺よりも背が高いのは明らかなようだ。

ボーイッシュにまとめた少し長めの黒髪に、少し袖の余る提督着。そこから微かに見える色白の肌、幼さの残る顔立ちから、女であると言われても違和感は無いだろう。今の説明では女であること前提だが。

総括すると、「比叡カレーも笑顔で食べてくれそうな美少年」である。

想像した提督像とはあまりにもかけ離れていることに唖然としていると、少年がこちらから見て右、俺を見ながら口を開いた。

 

「報告は聞いているよ。電ちゃん一人に全て任せた僕に責任があったんだ。電ちゃんが気にするようなことじゃない。それよりも、大丈夫だったかい?軽巡洋艦から直撃を受けたそうじゃないか。ゆっくり休んでくれ。報告書はその後によろしく頼む。」

 

―――ん?電は左にいる訳だが、何故に俺なんだ?普通は電の方に向かって話す訳だが。···まさか、電と俺、間違えられてる?

 

 

誤解が溶けたのは、これから数分後のお話しである。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

「本当にごめんなさい。だって、二人とも外見似てるじゃん?僕も寝不足じゃん!?······」

 

外見なら電が損傷受けてるでしょうに。とりあえずこの宴会の出し物が滑ったかのような空気をどうにかしてくれ。電が司令官の所に駆け寄って行ったが、そういう相手に慰めは逆効果だと思うぞ。

 

 

「···取り乱してしまって申し訳ない。まずは自己紹介からかな。僕はこの『横須賀鎮守府』の提督だ。提督でも、司令官でもどちらでも呼んでくれて構わないよ。君は···いかずちと言うのかい。いい名前だ。うん。···それで、電を助けてくれた君の力を見込んで頼みがあるんだ。君も艦娘という存在なのだろう?今、人類は、生物は、滅亡の危機に晒されているんだ。君も見ただろう?あの怪物、深海棲艦を。あの怪物に対抗出来るのは君らしか居ないんだ。人類の最後の希望なんだ。無理は承知している。だが、頼まれてはくれないだろうか?」

 

···なんだ。あれだ。展開が急過ぎる。話を整理する時間をください。えっと。ここは横須賀鎮守府で、人類は滅亡の危機に面していて、人類の最後の希望?俺が?···なかなか悪い気はしないな。・・・とにかく、仲間になってほしいという事で間違いは無さそうだ。もともとそうなるようにお願いするつもりだったから、願ったり叶ったりなわけだ。話に全くついていけないが、今はこれでいいとしよう。

 

―――申し出に頷きで返しながら、かわりにと言っていくつか疑問に思った事を質問する。いくつかといっても、世界情勢についての事なのだが。さっきから質問しかしてないなぁと思いつつ、こればっかりは知らないと困るので仕方のない事と割り切っていると、司令官の口から紡がれる言葉は、俺の想像を越えるものであった。




もう少し更新ペースは上がると思います。多分。文章力は?という意見は受け付けておりますん。勉強しないとですね・・・
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