とある上条の過去世界   作:戸塚うさぎ

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なんでもない当たり前の日

 ピロリン♪

「お、メールか」

 表示されていたのは『ウラヌス』。

 

 件名 暇じゃ

 本文 遊んでくれ死んでしまう

 

「あいつ、友達いねえのか?」

 

 ウラヌスと出会ってから5日経った。その間色々とやることがいっぱいでまともにウラヌスの相手をしていなかった。正直今日は何も予定がないから1日寝ていたかった。

 

「あ、そういえば年越しそば買ってなかったな」

 

 件名 Re:暇じゃ

 本文 今日空いてるから遊ぶか?

    俺もついでに買い物したいからさ

 

 送信。数秒後、返信がきた。

「12時に駅前集合だな。了解、と」

 メールが終わると同時にインデックスがトイレから出てきた。

「とうまー」

「なんだ?インデックス」

「いい忘れてたけど、今日みこととお出かけするんだよ」

「そうか。俺も今予定入ったから今日誰も家にいないな。何時くらいに帰ってくるんだ?」

「12時にみことが迎えに来て5時くらいに帰るかもー」

 美琴と4日前から付き合っている。返事をしたあと美琴にインデックスと同棲している事を告白した。その後、美琴と俺とインデックスは話し合いをしてインデックスは冬休みが終わったらイギリスに帰るということになった。俺と美琴は居ても構わないと言ったけど、インデックスは前から考えていたことみたいでイギリスに行ったら魔術文献の資料を研究する仕事をすると言っていた。自分に出来る事で今の魔術サイドをより良い方向にしていきたいらしい。今までのインデックスからは想像出来ない発言で驚いたけど彼女の夢を純粋に応援したいと思った。

 

 12時、珍しく俺は待ち合わせ時刻ちょうどに着いた。駅前は年末だから混んでいてウラヌスを見つけられるかなと思ったところで着信があった。

「もしもし、ウラヌス今どこだ?」

『上条ー、助けてくれー、人がいっぱいで流されるー』

「大丈夫か?俺からそっちに行くけど、どこかに店ないか?抜け出せるならどこでもいいから座ってろよ!」

『うむ』

 そこで電話が切れた。しばらくするとメールで駅前から少し離れた喫茶店の名前と場所が送られてきた。俺はすぐ行くから何か飲み物飲んでろとメールして急いで向かった。

 

 カランコロン

 ウラヌスがいた喫茶店は庶民な俺が入らなそうな少し高級感があるところだった。

「上条ー!ここじゃー!」

 テーブル席でウラヌスが手を降っていた。

「大丈夫か?」

「うむ!・・・と言いたいところじゃが、少し疲れた」

「そっか。じゃあここでちょっと休もうぜ」

「すまんのう」

 いいんだよ、俺はそう言って一番安いココアを頼んだ。

「そういえば上条。御主、彼女はどちらにするのか決めたのか?」

「ああ。もう付き合いはじめてるよ」

「うむ。決断力がある御主は立派じゃ」

「いや」

 そんなことない。俺はあのクリスマス、先輩に先に返事をしに行った。俺はあの日見た先輩の顔を忘れることは出来ないだろう。先輩は俺の返事を受け止めてくれた。俺を好きになってくれた先輩に感謝したい。

「あまり自分を責めるでない。恋とはそういうものじゃ」

 なんだかその言葉を言うウラヌスはどこか大人だった。

「なんだよ、そう言うウラヌスちゃんは誰かと付き合ったことあんのかよ?」

「な!あるに決まっておろう!子供扱いするでない!」

「ほうほう。ではじっくり聞かせてもらいましょうな」

「ふん!プライベートの侵害じゃ。教えるわけなかろう」

「俺の手紙勝手に見たくせに」

「御主こそ妾を辱しめたくせに」

 その後、暫く口論になり勝負で白黒はっきりさせようと言ってゲーセンに行った。最近流行りのリズムゲームをしたけど使い方が分からず、格闘ゲームにしたが俺の圧勝で、それならばクイズゲームにしたらウラヌスの圧勝で、なかなか勝負がつかずに日が暮れた。

 

「今日は楽しかったぞ、上条」

「ああ、俺も久しぶりにいい気分転換になった」

 俺達はゲーセンでとったお菓子を食べながらベンチに座っていた。

「妾はもう何の心残りもない」

「心残りって・・・死ぬわけでもないだろ」

「ふふ、冗談じゃ。それは御主の償いはもう充分という意味で言ったのだ」

「そんなことなしでまた遊ぼう」

「・・・いいや」

 ウラヌスは一瞬間を開けて言った。やはり時折見せる表情はどこか俺より年上のように見える。けどすぐにいつもの上から目線のお姫様みたいな表情に戻って言った。

「気を使ってやってるのだ。まったく妾に感謝してほしいものじゃ」

「はいはい、ありがとござんしたー」

「あー!また妾を子供扱いしたな!」

「いやいやー、してませんよー、ウラヌスちゃんは必死になると顔が赤くなる可愛い性質があるなんて上条さん知りませんよー」

「な!?」

 その後はやっぱり喧嘩したけど最後はお互いに馬鹿らしくなって笑ってしまった。また何かあったら会おうと言って俺達は別れた。

 

 俺はスーパーに寄って晩飯と年越しそばを買って帰宅した。その夜、再びあの夢を見た。今度は声だけで映像は見えなかった。しかし確かに耳にしたのだ。ウラヌスが泣いている声を。

 

 

 




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