文法ガバガバかもしれません。
IS<インフィニット・ストラトス>の登場で女尊男卑の世界になったとある世界の晴れた日の昼下がり、高校生の比村 啓介はイベント会場の警備のアルバイトに励んでいた。
自慢の愛車である古い中型バイクを中古で買ったのはいいが修理に次ぐ修理で資金難に陥ってしまった為だ。
個人売買で安く手に入った所は良かった。が、運が無かった。あちらを直せばこちらが壊れるといったまるで土竜叩きのように壊れるのだ。
資金繰りに頭を抱えていると自給の良いイベント警備のバイトが見つかり、しかもそこでバイトをしている友人である谷本 遼の紹介ですぐに採用された。
人生における不幸と幸運の割合は半分づつ。どこかで聞いた格言のようなものをしみじみと考えながら仕事に励んでいた。
だが彼はこの後もう一度不幸な目に会う。
「休憩貰います」
ある程度客が少なくなった頃を見計らい啓介はチーフに声を掛ける。
思ったよりも楽なバイトだとペットボトルの水を飲みながら啓介は思った。町内の祭など参加したことが無い啓介にはどの程度客が来るのか予想がつかなかったのだ。
一息ついていると同じタイミングで休憩を取った遼が来た。おつかれ、と声を掛け合う。
「そういや啓介、お前ロボット好きだって言ってたよな?」
「ああ、というか乗り物が好きだな。エンジン付いてりゃなんでも」
「確か会場内に地元の企業が作ってるISの展示があった筈だ、見にいこうぜ」
遼はマップを取り出し、確かここだ。と場所を指差す。
「今時は町内の祭りで兵器も展示するんだな」と啓介は皮肉交じりに言った。
啓介はやはりというか一般的な男性があまりISが好きでないのと同じくISが好きではなかった。正確に言えば『女性』が嫌いなのだが、啓介には同じ事だった。
「まぁ、そういうな。機械は悪くない」
「作った奴の顔が見てみたいね」
「意外と美人という噂だ。しかも若いとか」
「天は二物を与えないんじゃなかったのか」
「三つ与えないとは言ってないだろう」
嫌な話だ、と啓介は空になったペットボトルをゴミ箱に投げ入れる。
「あんまり近くで見れる機会は少ないんだ。さ、行こう」
ゆっくりとした足取りで二人は展示スペースへと歩き出した。
昼時であるにも関わらずISの周りにはそれなりに人がおり、その7~8割が女性であったため啓介は呆れ「お前だけ見て来いよ」と近くのベンチに腰掛け、ため息を吐いた。「そんなに女が嫌いなのか」もしかして同性愛者なのかと遼は思ったが「ああ、生肉のオナホが歩いてるようにしか見えない」という啓介の答えに頭を抱えるも、とりあえず性的対象としては見ているのかと理解した。
「結婚できんぞお前」
「あんな腹黒生物と人身売買契約を結ぶぐらいなら独身でいいさ。なんなら機械が相手でもいい」
「おいおい、機械には感情や愛なんてないぞ?」
「裏切らないだろう。それで十分だ」
啓介の吐き捨てるような言い方から遼はただならぬ嫌悪感を察した。啓介とは友人になってまだ数ヶ月だが、たまに表れる女性嫌いの激しさに驚くばかりだった。
啓介は徹底的に女性が嫌いだった。感情任せの発言、やたらと群れて陰湿ないじめを繰り返す。中学校までの体験でうんざりだった。故に男子が多い高校に入ろうと考え、地元から少し離れてはいるが趣味と一致している工業高校に通っているのだった。
結局、少し待つと人が少なくなったので啓介も一緒に見ることにした。
「どう動いてるのかさっぱりだな」と啓介は一通り見回して呟いた。こんなパワードスーツが作れるなら昔のアニメや漫画のロボットでもつくれるだろうと啓介は思ったがそういったものが作られたとは聞かない。現実的に実用性がないのか、技術的問題なのかはわからなかった。
遼はといえばひたすら感嘆してばかりで語彙力を失っていた。
啓介はおもしろくない、といった様子でISのブラックボックスぶりになんとなく腹が立ってボディを叩いた。
が、叩いたボディから手が離れなかった。
腕が痺れて動かない、筋収縮だ。焦って体ごと離そうとするが思うようにいかない。
「クソッ――遼、俺の体を突き飛ばせ!」
「何を言っている?というか何してるんだお前」
遼から見れば啓介はISに手を置いているようにしか見えず事態が飲み込めない。
「ふざけるな!いいから突き飛ばせ――なんだこれは」
おそらくISが出したであろうポップアップディスプレイにアルファベットの羅列が高速で表示され画面がスクロールしていく。
啓介は直感的にコンピューターのプログラムを書き換えていると思い更に焦った。この一連の流れは自分がやった事になると思うとより一層この場から逃げ出さなくてはと動く。
画面のアルファベットの高速タイプが突然止まる。一瞬画面が消え、再び現れる。
「―good luck―」
その文字が脳に焼きついた後、啓介の脳内に莫大な情報が流れ込む。
そのまま啓介は意識を失って倒れた。
啓介の右手には指輪が握られており、ISは消えていた。
織斑一夏がISに触れた3日後の事だった。
つづく?