パチュリーは転生者   作:グランド・オブ・ミル

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第10話

~パチュリーside~

 

私達は現在街に向かっている。昨日、3人で買い物をしてたらギルドの長、つまりギルドマスターに今日集会があることを伝えられたのだ。まったく面倒だ。今日はマリアを撫で撫でしながら本を読みたかったのに。集会の内容もおおかた予想がつく。なぜなら

 

「「「ブオォォォォォォォ!!!!」」」

 

「ハァ、また来たのね。」

 

最近妖怪の量が異常に多いのだ。今私達の前には豚の妖怪が数十匹いるが、こんな襲撃を何度もくらっている。もっとも、普通の冒険者なら一大事だろうが、私達にとっては面倒なイベントにすぎない。

 

「"ROOM"・・・」

 

ブゥ・・・ン

 

マリアがオペオペの実のサークルを広げる。

 

「『タクト』」

 

ビュンビュンビュンッ!

 

そしてマリアは足元の石ころを弾丸のように飛ばし、妖怪を次々に仕留める。我が子の成長は嬉しいものだ。胸が温まる。一方、我が一番弟子小悪魔は

 

「『獄炎戒』!」

 

ゴウッ!

 

「「グギャァァァァ!!」」

 

地獄の業火を広範囲に展開し、大量の妖怪を焼き殺していた。小悪魔もかなり成長したなぁ。初めて会った魔力がなかった時とは大違いだ。

 

「魔槍シャスティフォル第五形態・・・」

 

ザザザッ!

 

そんな弟子と娘の成長を見守りながら私はシャスティフォルを展開する。

 

「『増殖(インクリース)』」

 

ズドドドドドッ!

 

妖怪どもはその無数のクナイに撃ち抜かれていく。・・・うん。やっぱこれ好きだわ。めっちゃ気持ちいい♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達はその後も何回か襲撃にあいながらもギルドに到着した。心なしかいつもより冒険者達がピリピリしてるように感じる。

 

「あ!パチュリーさん!来てくれたんですね!」

 

「ええ。本当は来たくなかったけどじいさんがどうしても来いってうるさくてね。」

 

私に話かけてきたのは私がギルド登録をするときにお世話になった受付嬢だ。名前はリンというらしい。何度か依頼を受けるうちに仲良くなって今ではたまに一緒にご飯食べに行ったりする仲だ。ちなみにじいさんというのはギルドマスターのことである。

 

「誰がじいさんじゃ。」

 

「あら、まだ生きてたのね。」

 

「昨日も会ったじゃろ!」

 

噂をすればなんとやら。じいさん登場である。ギルドマスターはあごひげが生えた初老の男性だ。今はあまり活動してないが、若い頃はSランクでブイブイいわせてたそうだ。ちなみに私は今Cランク。これ以上あげる気はない。

 

「パチュリーさん、またお医者様から苦情が入ってますよ。『仕事を取るな!』って。」

 

「私は仕事を取った覚えはないわよ。そいつらが治せないって放り投げた患者を治してあげてるだけよ。」

 

「それはそうとパチュリー。お前さんそろそろランクを上げる気になったか?」

 

「じいさん、私は何度も言ったはずよ。これ以上ランクを上げる気はないわ。」

 

まったくこの二人は会う度にこれだ。ハァ、やっぱり来るんじゃなかった。

 

「で、集会で呼び出したんじゃないの?用がないなら帰るわよ。」

 

「まあ待つのじゃ。まだ高ランクの奴らが来ておらん。そいつらが来るまで何か食べて待っててくれ。」

 

「ハァ、分かったわよ。」

 

高ランクの奴らはまた遅刻か。こういう時に絶対遅れてくんだよね。基本あいつら調子乗ってる奴多いからな。まあ、いいや。とりあえず何か食べよう。

 

「マリア、こあ。何食べたい?」

 

「私パフェ!」

 

「私はサンドウィッチです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらおら道開けろぉ!!」

 

ギルドの食堂で小悪魔とサンドウィッチを食べたり、クリームをつけたマリアの口の周りを拭いてあげたりしてるとA、Bの高ランク冒険者様どもが到着した。相変わらすの傍若無人っぷりだ。まあ、BやAは特別な才能がないとなれないって言われてるし、付け上がっちゃってるんだろう。

 

「よし、全員揃ったようじゃな。では集会を始める。」

 

じいさんの言葉に冒険者達はしんとなり、耳を傾ける。私達は別段興味もないのでパフェやサンドを食べ続ける。

「諸君も知っての通り、最近魔物が異常に増殖しておる。このまま放置するのはあまりに危険と先日、国に相談したところ遠征に行くことになった。」

 

じいさんの言葉に冒険者達がどよめきだす。まあ、遠征なんて滅多にないからね。それほど事態を重く見てるんだろう。どうでもいいけど。

 

「遠征には危険がつきまとうが、同時に成果が出ればAやBへのランクアップも夢ではない。勇敢な冒険者達よ。ぜひ参加してくれ!」

 

「「「うおぉぉぉぉ!!」」」

 

ランクアップができると聞いて冒険者達が参加の意を示す。なんで皆そんなにランク上げたいのかな?金持ちボンボンの貴族どもに踊らされるだけなのに。

 

「私はいやよ。」

 

「私もー。」

 

「私も参加する気はありません。」

 

当然私達は不参加だ。そんなことするくらいなら小悪魔と一緒に魔導書の整理をしたほうがいい。

 

「・・・お前達ならそう言うと思ったがのう。どうしても嫌か?お前達がいてくれると助かるのだが。」

 

「ええ、いやよ。そんなのに参加する理由はないわ。話はそれで終わりかしら?だったらお先に失礼するわ。」

 

この後は前に父親の心臓病を治した少女から野菜を貰う約束があるからね。

 

「・・・分かった。だがお前達も冒険者だ。遠征の間は街には冒険者が少なくなるから街の防衛にあたってもらうぞ。」

 

「ええ、それで構わないわ。」

 

それくらいならやってあげよう。私もこの街が嫌いなわけじゃないし、第一この話し合いはあまり意味がない。

 

「マスター大丈夫なんスかぁ?遠征にビビるような奴に街の防衛なんか任せて。それに女とガキじゃねぇか。」

 

高ランク冒険者の一人が私達を見て嘲笑う。よくある話だとこのまま決闘とかに発展するが私は面倒事が嫌いなので軽く受け流す。

 

「そう思うなら早く帰ってきて頂戴。私も暇なわけじゃないし、防衛なんてしてられないのよ。」

 

これは本当の話。例によってバカみたいな量の魔導書の整理や魔法、悪魔の実、ひみつ道具の研究。さらにマリアと小悪魔を愛でなきゃいけないし、最近は患者も多いからその対応もある。

 

「ヒャハハハハッ!やっぱり怖気付いてんじゃねぇか!!」

 

「ええ、その認識で構わないわ。それじゃあ、じいさん。いい遠征になることを祈ってるわ。」

 

「リン、またねー!」

 

「失礼しました。」

 

そうして私達はギルドを後にした。まあ、じいさんにはああ言ったけど間違いなくいい遠征にはならないだろう。というか遠征にすらならないと思う。なぜなら見物色の覇気を展開するとこの街のすぐ近くにやたら大きい妖気があって、その周りに大量の妖気が確認できる。恐らく知能が高い妖怪が雑魚妖怪をまとめてるのだろう。さらにその沢山の妖気はゆっくりこちらに近付いて来ている。このペースだとちょうど遠征出発の日にこの街に到達する。

 

「パチュリー様。妖怪どもが街を襲った時に私達はどうしましょうか?」

 

小悪魔が私にそう聞いてくる。どうするかか。う~ん、ぶっちゃけ深くは考えてないんだよね。

 

「襲って来るのが遠征出発日なわけだし、基本はじいさんや高ランクの奴らに任せるわ。まあ、じいさんはともかく、高ランクの奴らじゃあの高い妖気には勝てないだろうし、街が危なくなれば私達がやりましょう。」

 

うん、こんなもんでいいだろう。あんなにでかい顔してたんだ。偉い偉い高ランク冒険者様の実力をみせてもらおうじゃないか。あの程度の気じゃたかが知れてるけど。

 

「お姉ちゃ~ん!」

 

「あ、お母さん。あの子が来たよ。」

 

マリアの声に前を見るとあの時の少女が母親の手を引っ張って走ってきていた。

 

「パチュリーさん。この前は主人がお世話になりまして、ありがとうございました。」

 

「別に気にしなくていいわ。仕事だもの。あれから特に問題はないわよね?」

 

「はい。おかげさまで以前のように農作業に精を出すことができています。」

 

母親は嬉しそうに話す。この顔が見られただけでも治療した甲斐があったってもんだ。

 

「お姉ちゃん早く行こ!新鮮なお野菜収穫しといたから!」

 

「はいはい。そんなに急ぐと転ぶわよ。」

 

少女に手を引かれる私を他の3人が微笑ましく見ていたのを私が気づくことはなかった。

 

 

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