~パチュリーside~
「ひどいものね。」
「まったくです。あれで魔法だなんてバカにしてます!」
私達は今木の上から大きい豚のような妖怪と戦うドラクエに出てくるような男三人組を見ている。森を歩いていたらちょうどその現場にでくわしたのだ。あ、私達は魔物のことを妖怪って呼んでるよ。小悪魔に聞いたらやっぱり種族は妖怪で合ってるんだって。たぶん魔物っていうのはここら辺特有の呼び方なんだろう。まあ、そんなことは置いといて
おそらくあれがギルドの冒険者的なやつなんだろう。冒険者っていうのはこれまた後でわかったんだけど、どうやらギルドって妖怪退治だけじゃなくて未開の地の調査や国から国へ移動する商人の護衛とかまでするなんでも屋みたいなものみたい。で、そのギルドで依頼を引き受ける人を「冒険者」っていうんだと。なんかよく聞く話だよね。
で、今そんなご立派な冒険者様の戦いを見てたんだけどてんでダメだね。剣とかの扱いは百歩譲って良しとしよう。問題は魔法だよ。魔女狩りのせいでまともに教える人がいなかったんだろうね。魔力すら使えてない。ただ霊力を固めて撃ったりしてるだけだ。あれじゃ人によって属性が決まっちゃって使い勝手が悪いし、魔力の十分の一程度の力しかでないだろう。
「くっ!こいつさすがに強い!」
「慌てるな!落ち着けば負けることはない!」
男達がなんかほざいてるな。ハァ、見てられない。あんなの魔力弾一発撃てば終わりなのに。・・・これ以上は気分が悪いな。
「こあ、行くわよ。これ以上は不愉快だわ。」
「はい。」
私達は木から降りてまたのんびり歩きだす。街まであとどのくらいかなぁ?さっき男達が戦ってたのをみるとそう遠くはないだろう。ま、気楽に行きますか。グルメテーブルかけがあるから飢え死にはしないし。ん?
「グオォォォォ!!」
さっきの豚の妖怪よりさらに大きい熊の妖怪が出てきた。
「こあ。お願い。」
「はい!」
小悪魔は妖怪に向けて右の掌を向ける。そして
「獄炎!」
地獄の業火を放つ。
「グギャアアアアア!!!」
妖怪が断末魔の叫びをあげて燃え上がる。反応が早かったし、攻撃前後のスキも小さい。・・・うん、上出来だ!
「こあ、あなた随分強くなったわね。頼もしいわ。」
「えへへ♪パチュリー様のおかげですよ♪」
小悪魔は本当に強くなった。前にも言った通り、"覇気"や"六式"も習得し、能力も完璧に使いこなしている。上級悪魔達と戦ってもまず負けないだろう。主人といても師匠としても鼻が高い。
「しかし困ったわね。まさかギルドのレベルがこんなに低いとは思わなかったわ。」
そう、これは由々しき事態である。仮にさっきの男達を最低のレベルだと見積もってもかなり低レベルだ。そこに私達が入っていくとたいへんメンドくさいことになってしまう。
「こんなことなら定期的に偵察しとくんだったわ。」
「パチュリー様が優秀すぎて周りがついてこれないだけです!」
小悪魔が胸をはって誇らしげにする。可愛い顔でそう言ってくれるのは嬉しいけどマジでどうすっかな。ギルド入るのやめっか。金稼ぎにちょうどいいから入ろうと思ったけどこうなったら話は別だ。また小悪魔とのんびり暮らそう・・・ん?
「こあ、気づいた?」
「ええ、パチュリー様。この先に悪い気がたくさん集まってますね。」
小悪魔も気づいてたか。見聞色の覇気で悪の気を大勢感じ取った。そしてその中に今にも消えてしまいそうな弱々しい気が一つ。・・・まあ、十中八九面倒事だ。たぶん盗賊の類いだろう。いつもなら面倒だし素通りするのだが、弱々しい気のほうは悪い気ではないので人質か奴隷か。
「ハァ、気づいたのに放っておくのは後味悪いわね。いくわよ。」
「はい!」
~女の子side~
私は・・・なんのために生まれてきたんだろう?
私のお母さんは体が弱くて私を生んだ後すぐ死んじゃった。お父さんは冒険者だったけど、魔物に殺されちゃった。私は強くなりたかった。強くなってもう誰も失わないようになりたかった。だから私は毎日ひたすら木刀を振り回した。でも、ダメだった。ある日村にやって来た盗賊達に友達と一緒に捕まっちゃった。一人になった私に優しくしてくれた村のお姉ちゃんやお兄ちゃん、おじさんやおばさんは皆殺されて私達子供だけが連れ去られた。
友達は皆泣いていた。お父さんやお母さんが殺されたから。その悲しみは私がよくわかってる。盗賊達はそんな友達をうるさいって言って次々に殺していく。
次の日、起きたら首輪と手錠がはめられていた。私達をこれから奴隷商に売り付けるんだって。友達はまた泣いた。そしてまた殺された。気づけば私一人になっていた。
私はなんのために生まれてきたんだろう?私は生きてちゃダメなのかな?なんでこんなに辛いのかな?
あ、今日もまた盗賊が部屋に入ってきた。盗賊達は毎日私のところに来て笑いながら私を痛めつけていく。今日もまたひどいことをされるんだ。そう思っていたのに・・・
「やっぱりあなた一人だけのようね。」
入ってきたのは紫の髪の綺麗な女の人だった。
~パチュリーside~
盗賊どもをお片付けしてアジトを探索してたら案の定首輪と手錠をつけた5歳くらいの女の子を見つけた。名探偵コナンに出てくる灰原哀ちゃんをさらに小さくしたみたいな女の子だ。ん?盗賊との戦闘?説明いる?シャスティフォルでただただめった刺しにしただけだけど。まあ、とりあえず女の子の首輪と手錠をはずしてあげよう。
「・・・お姉ちゃんが・・・奴隷商?」
「は?」
女の子が不意にそんなことを言い出す。
「私を・・・売るの?」
「大丈夫よ。私はそんなセコい商売やるつもりはないわ。」
「・・・・・」
か、会話が続かん。なんだこの気まずい空気は!?
ボスッ
ん?
「・・・・・・」
女の子が私に抱きついている。
「うぅ・・・ひっく・・・」
え!?ちょちょ!どったの!?何で急に泣き出すの!?
「怖かった・・・友達もお姉ちゃんもお兄ちゃんも・・・
皆殺されて・・・私・・・一人ぼっちで・・・」
「・・・あなた、名前は?」
「・・・マリア。」
「じゃあマリア。あなたは今日からマリア・ノーレッジと名乗りなさい。」
「え?」
「あなたはもう、私の娘なんだから。」
「!・・・ひっく、うえぇぇぇぇん!!!」
私は泣き崩れる小さな女の子をぎゅっと抱き締めていた。
「落ち着いた?」
「ぐすっ、うん。ありがとうお母さん。」
ぐっ!お母さん呼び!上目遣い+涙目でそれ使うのは反則でしょう!ああヤバイ!娘が可愛すぎる!この子のためなら世界を敵にまわせるぜ!・・・親バカか。
「パチュリー様~!盗賊掃除完了です!あら?その子は?」
「お母さん・・・あの人誰?」
現れた小悪魔にマリアが私の後ろに隠れてそう聞いてくる。
「大丈夫よマリア。こあは私の使い魔だから。こあ、この子はマリア。今日から私の娘になったわ。」
「そうなんですか。初めましてマリア様。私は小悪魔。あなたのお母様、パチュリー様の使い魔です。気軽にこあって呼んでください。」
「私はマリア・ノーレッジ。よろしく。」
マリアはノーレッジを名乗るとき嬉しそうだった。小悪魔とは違った可愛さがあるね。
「さ、こあ、マリア。近くの街に移動してギルド登録してしまいましょう。」
「しかしパチュリー様。ギルドに入ってしまうと実力差から色々と面倒が生じるのでは?」
「私もそう思ってたんだけど、マリアの服とか買ってあげたいし、てっとり早く稼ぎたいのよ。」
マリアが今着てるのはボロボロの白いワンピース一枚だけだ。よく見ると髪もボサボサだし、綺麗にしてあげたい。
「お母さん・・・ありがとう。」
「いいのよ。さ、マリアはこれに乗って。」
私はマリアを抱っこしてクッション状態のシャスティフォルに乗せてあげる。
ふかふか
「・・・♪」
ふかふかのシャスティフォルにマリアは嬉しそうにしている。
「さて、行くわよ。」
「はい!」
「うん。」
間違いなく面倒な事になると思うが、まあ、可愛い娘のためだ。頑張ろう。
・マリアは妹にするか娘にするか散々迷ったんですが、思いきって娘にしました。