パチュリーは転生者   作:グランド・オブ・ミル

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第9話

~パチュリーside~

 

3年後・・・

 

私達3人は街ではなく、森の中に小屋を建ててそこで暮らしていた。なぜ街ではないのかというとでかい狼3体を倒した依頼の後にマリアが

 

「私を強くしてください!」

 

と頼んできたのだ。ちなみにマリアはあの後新しい服を着せたり、髪を洗ったりしてあげたらますます灰原哀ちゃんそっくりになった。そしてそんな子が力強い瞳で頼みこんできたら断れないのがお人好しな私なわけで修行をつけることにした。ただ私の魔法はやたら他人に見られるわけにもいかないので森の中に住むことにしたのだ。

 

まあ、それはそれとしてマリアに小悪魔の時と同じように何で強くなりたいのか聞いてみると剣を使いたいと答えた。なんでも木刀なら毎日振り回していたそうだ。そしてさらに医療の知識もわずかだがあるとない胸を張って言ってきたではないか!本人が言うには母親が医者でその本が家に置いてあって家で一人だから暇でよく読んでいたらしい。そんな親がいないこの子の話を聞いて私が母としてありったけの愛情を注ぎ込んでやろうと思うのは別の話。

 

おっと、話が逸れてしまった。剣と医療。この二つのフレーズから私がとった行動はただひとつ。マリアに赤いハート型の果実を食べさせた。そう「オペオペの実」だ!灰原哀ちゃんの身体でローさんの技を使う姿が楽しみでしょうがなかった。まあ、実の不味さに涙を流す我が娘にかなりの罪悪感を抱いたが。

 

それからマリアに医療知識と剣術を叩き込んでいった。ん?私に医療知識があるのかって?ふふふ、誰がお医者さんカバンを作ったと思ってるの?なぜかあったんだよ。パチュリーに医療知識が。あと剣術のほうはぶっちゃけ私はよく知らない。シャスティフォルだって私が魔力流して指先で操ってるだけだし。だから剣術はマリア自身に学んでもらうことにした。方法としては「名刀"電光丸"」でひたすら小悪魔と模擬戦してもらった。そうやって体に剣術を覚えさせるのだ。いや~剣術とか武術って教わるよりひたすら戦って感覚を身につけるのが一番だと思うのよね♪

 

そして今日はマリアの誕生日(なんの因果か私がマリアを拾った日とマリアの誕生日って同じ日だった)。私はあの子にあるものを渡そうと呼び出している。今の時間はちょうど修行にその辺の妖怪を倒しに行ってる。

 

「わっ!綺麗な刀ですね!それマリア様への贈り物ですか?」

 

小悪魔が私が2年前くらいから馴れない剣造りに試行錯誤して昨夜徹夜までしてなんとか間に合わせた刀を見て詠嘆の声をあげる。その黒く、乱刃の刀を・・・

 

「お母さんただいまー!話ってなーに?」

 

マリアが体中泥んこになって帰ってくる。腰に下げた電光丸もこの3年でもうボロボロだ。

 

「話の前にマリア。お風呂に入りましょう。来なさい。洗ってあげるから。」

 

「はーい!」

 

私達はお風呂に向かった。その道中、小悪魔が微笑ましい視線を向けてたのが気恥ずかしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~マリアside~

 

お風呂から上がった私達はリビングで向き合っていた。

 

「さて、マリア。今日はあなたの誕生日だったわね。」

 

お母さんが話し始める。お母さん、私の誕生日覚えててくれたんだ。

 

「うん♪そうだよ♪」

 

私は嬉しくなって上機嫌で返す。

 

「あなたは今日まで厳しい修行をよく耐えてきたわ。これはそのご褒美の意味合いも込めたプレゼントよ。」

 

そう言ってお母さんはワノ国の「刀」という剣を私に差し出す。

 

「きれ~♪ありがとうお母さん!これなんていう刀!?」

 

「それはね、黒刀乱刃大逆丁字、"秋水"よ。象が踏んでも1ミリたりとも曲がることはないわ。」

 

「パチュリー様ったら、2年くらい前からその刀を造り始めましてね、昨日なんか嬉しそうな顔して徹夜してたんですよ♪」

 

「ちょ、ちょっとこあ!」

 

お母さん・・・私のために・・・

 

ボスッ!

 

私は感激のあまりにお母さんに思いっきり抱きついた。

 

「ありがとうお母さん!私これず~っと大切にするね!」

 

「ふふ、嬉しいわマリア。ありがとう。」

 

お母さんが微笑みながら私を撫でてくれる。初めて会った時から私はこの手が大好きだ。あ!そうだ!お母さんに頼みたいことがあったんだ!

 

「ねぇ、お母さん。誕生日だしもう1つ頼み事してもいい?」

 

「あら、何かしら?」

 

「私に不老魔法をかけて!お母さんとずっと一緒にいたいの!」

 

お母さんが不老魔法で歳をとらないことはずっと前にこあから聞いた。その時何で私にはその魔法をかけないのか聞いてみたらお母さんが

 

「マリアが望まないことを私が無理矢理するつもりはないわ。あの子がそれを望むなら良し。人間として生きたいならそれも良し。子の道を開くのが親の役目だもの。」

 

と言っていたと言われた。私の答えはとうに決まっている。お母さんに拾われたこの命はお母さんのために使いたいし何よりお母さんといつまでも一緒に暮らしたい。

 

「そう・・・あなたはそれで後悔しないのね?」

 

「うん!もちろんだよ!」

 

「分かったわ。じゃあ、少し目を閉じて。」

 

私は言われた通りに目を閉じる。するとお母さんの手が私の頭に乗せられた。そして体に不思議な力が入ってくる。よく分かんないけどこれが「魔力」ってやつなんだろうか?

 

「ふぅ、もういいわよ。」

 

お母さんが手を離してそう言ったので私は目を開ける。これで私はお母さんとずっと一緒にいられる。そう思うとまた嬉しくなってお母さんにこう言った。

 

「これでずっと一緒だね!お母さん!」

 

「ふふ、そうね。」

 

その時のお母さんの笑顔は本当に綺麗で私はポカーンと見惚れてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~パチュリーside~

 

いや~マリアが喜んでくれて良かったよ。それにずっと一緒にいたいなんて・・・お母さん涙が出そうだよ!マリアにあげた刀はかつて竜を切り落とした侍から三刀流剣士が貰い受けた大業物を私が擬似的に再現したものだ。まあ、私の魔法で切れ味や硬さを数段アップさせたり、盗難防止として私達以外が持つと重さが数十トンにもなる魔法を施したりと本物より高性能だが。

 

「良かったですねパチュリー様!マリア様凄く喜んでますよ!」

 

マリアは電光丸を外して秋水を差し、それを見てニコニコしていた。うん、かわいい。

「コホン。今日は依頼を受ける日だったわね。」

 

私は自分の頬が赤くなってることを自覚しつつも照れ隠しに話を反らす。私は別にランクを上げる気はないので週に2、3回気まぐれにギルドへ行っていた。生活だけならひみつ道具で何とかなるのだが、服とか買うのにどうしてもお金がいる。

 

「ふふ、そうですね。確か今日は医療関係の依頼です。8歳の女の子が父親の心臓病を治して欲しいと。」

 

私はマリアがオペオペの実を食べてから街の医者が直せない病気や怪我をした人をこの小屋に招いて治す依頼も受けていた。断じてマリアの能力の実験台などではない!ちなみに街の医者達からこれでは我々の立場がない!と言われたから

 

「悔しかったらあなた達が治してみなさい。」

 

と言ってやった。みんな黙っちゃったけどね♪

 

「あら、そうなの。じゃあ迎えに行かなきゃいけないわね。」

 

私達3人は少女に家に出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女移動中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女の家は街の外れにあった。家の周りに畑があるのでたぶん農家か何かだろう。私は乗っていたシャスティフォルから降りてドアをノックする。

 

コンコン

 

しばらくすると見た目30代前半くらいの女性とマリアと同い年くらいの女の子が出てきた。

 

「依頼を受けたパチュリー・ノーレッジよ。旦那さんの治療のためにお伺いさせていただいたわ。」

 

「あなたがパチュリーさんですか!?お願いします!主人を助けてください!」

 

「お姉ちゃんお願い!パパを助けて!」

 

この様子から察するにかなり切羽詰まってるんだろう。私の医術はこの街の医者達の腹いせなのか「邪道な医術」という噂が流れている。それで街の人もすぐに私には頼らず、まず街の医者に行く。それでどうしようもないと言われたら私を頼るのだ。ま、私は気にしてないが。

 

「ええ、もちろんよ。ただ、私の医術は特殊な道具を使うのであなた達には私の家に来てもらうわ。送り迎えはちゃんとするから安心して。」

 

嘘である。オペオペの実の能力を使うだけなので道具は特にいらないのだがこの街の医者達にこの能力を見られると面倒だし癪なので、治療は小屋に患者を招いて行っている。移動もどこでもドアなので尾行の心配もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~小悪魔side~

 

「お父さん大丈夫かなぁ?」

 

「あの、主人は本当に治るのでしょうか?」

 

パチュリー様とマリア様が手術室に入って治療をしている間、私は小屋のリビングでパチュリー様達の治療を待つ少女とその母親の相手をしていた。治療を待つその親子は凄く不安な顔をしている。

 

「ええ、大丈夫ですよ。まったく心配いりません。」

 

「でも・・・街のお医者様はもう手の施しようがないと・・・」

 

私がお茶をだしながら心配ないと言ってもまだ二人は不安気だ。まあ、本人が言うようにパチュリー様に頼んだということは街の医者どもから無理だと言われたということだ。不安にはなるだろうが、そんな無能者どもとパチュリー様を一緒にしないでほしい。

 

「そんな街の医者が諦めた病気を持った人がたびたびこの小屋を訪れますが、今までパチュリー様は失敗したことがありません。 それほどパチュリー様の医術は偉大です。」

 

「あのお姉ちゃんそんなにすごいの?」

 

「ええ、そうですよ。パチュリー様に治せない病気はないんですから。」

 

そう、この小屋に来て治らなかった病人怪我人はいない。まずマリア様がオペオペの実の能力で診察をし、できそうならそのまま治療を、特別難しそうならパチュリー様が治療をする。この方法ならまず失敗することはない。

 

ガチャッ

 

手術室の扉が開く。どうやら治療は終わったようだ。

 

「え!?もう終わったんですか!?」

 

「ええ、比較的簡単な手術だったわ。こんなのも治せないなんて街の医者はホントレベルが低いわね。」

 

「まったくだよね。お母さんに文句言う前に研究に汗を流してればいいのに。」

 

母親があまりに早く治療が終わったことに驚いている。初めての人はいつもこんな反応だ。そして驚く母親にあっさりと答えるお二人の後ろから

 

「パチュリーさんありがとうございました。おかげで助かりましたよ。」

 

頭をポリポリとかいて少女の父親が現れる。

 

「パパ!!」

 

「あなた!!」

 

そんな父親に少女と母親が駆け寄る。

 

「パパ!もう平気なの!?どこも悪くない!?」

 

「ああ、大丈夫だよ。いやまったく信じられないな。」

 

パチュリー様の治療は入院など殆どいらない。基本的に治療が済めば即帰宅できる。それほど街の医者とパチュリー様の間には差がある。

 

「パチュリーさん本当にありがとうございます。それで、あの、報酬なんですが・・・」

 

母親がパチュリー様が高額な報酬を請求すると思ったのか気まずそうに言い淀む。でもパチュリー様は

 

「報酬なら今貰ったわ。」

 

「え?」

 

あっけらんと答える。母親はポカンとしている。そんな母親の反応に笑みを浮かべるパチュリー様の足元には

 

「お姉ちゃんありがとう!」

 

と言って笑顔を浮かべる少女が抱きついていた。

 

「・・・っ!」

 

母親は涙を流し始める。パチュリー様のもとに来る患者は街の医者から諦められた人達ばかり。それはつまり街の医者に既に高い診察料をとられたということだ。街の医者どもは腕がないくせにやたらと報酬は高いのだ。お優しいパチュリー様はそれが分かっているのか医療関係の依頼からはあまりお金を請求せず、今回のようにうまく誤魔化したりする。まあ、そんな優しさのためか1度ここで治療を受けた患者は次から街の医者には頼まず、パチュリー様を頼るのだが。

 

その後パチュリー様はどこでもドアから少女達を送り届けたのだが、なぜか野菜を沢山抱えて戻ってきた。

 

「さて二人とも、ご飯にしましょ。」

 

私はパチュリー様に仕えることができてとても誇らしい。

 

「「はーい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 




・名刀"電光丸"

元ネタ:ドラえもん

原作ではコンピューター内蔵の剣でド素人でも剣の達人と渡り合えるようになる。パチュリーの電光丸は若干刀身が長い。また、コンピューターなんてハイテクなものはないので、相手を瞬時に見切り対応する魔方陣が組んである。
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