もしもネギま!の世界に悪魔の実があったら 作:リョーマ(S)
今回、少し短めです。m(__)m
麻帆良学園初等部に入学した頃、俺はある人と出会った。その人はどう思ったかは知らないが、俺にとってその人との出会いは、かなり衝撃的だった。
「お前さんかい? エヴァンジェリンと同じ
頭にアイマスクをのせ、着崩れた格好をしていたのを、今でも覚えている。
(あ、あ……青雉ィィーー!!)
そして、この時、俺は心の中で絶叫し、この世界の認識を改めた。
この世界は、ただ単に『ネギま!』の世界に『悪魔の実』がある世界ではない。『ONEPIECE』のキャラ、或いはそれに似たキャラも存在するのであると……。
☆☆☆
過去を振り返っていたのも一瞬、総一は目の前にいる男を見て、これまでにないほど真剣な表情をしていた。
顔は羽飾りのついた帽子によって見ることはできないが、大きな十字架を思わせる黒い刀剣を右手に持ち、堂々とした佇まいで、男は総一達の前に立ちはだかっている。
やがて、顔をゆっくりとあげ、男は総一達を見た。その目は、“鷹の目”の如く鋭い。まるで見た者全てを戦慄させ、恐怖で動けなくするかのようであった。
「――くッ!!」
「な、なに!?」
明日菜と刹那も、男の読めない表情と放たれている雰囲気に恐怖を覚え、一歩後退りした。総一は男と目を合わせ、互いに様子を窺っている。
《姐さん、刹那の姉ちゃん! そっちは大丈夫か!?》
「カモ!」
「カモさん!?」
《こっちは今大ピンチだ! 力を貸してくれ!!》
突然、明日菜と刹那の頭にカモの声が響いた。二人はそれが念話であると即座に判断し、明日菜は自分の武器をカードに戻し、念話を返した。
「今、向かってるわよ! け、けど、ヤバそうな人がいて……」
《分かった、ならカードの力で喚ばせてもらうぜ!!》
「“喚ぶ”って!?」
明日菜がカモと念話で話す最中、男は動きを見せた。男は両手で剣を持ち、刀身を持ち上げる。そして即座に、剣を振り下ろした。
すると、直線上に鋭い斬撃が走った。
「ヤバッ!!」
剣を持ち上げるという男の事前動作と轟音と共に走る斬撃に、総一は双剣を逆手に持ち、“武装”した腕を交差させた。肉眼で見ることのできる強大な斬撃を、総一は神弓の刃で受け止める。
しかし、その勢いは凄まじく、斬撃によって総一の体は後ろへと押されていった。
「グッ!」
地面に足をめり込ませ、引きずられながらも、総一は踏ん張り、やっとの思いで斬撃を受け止めた。
「せーーのォッ!!」
全身の力をフルに使い、総一は斬撃の軌道を上へ向けた。斬撃は天へと昇り、やがて弾ける。
「ハァ……ハァ……クッ、俺は“ダイヤモンド”じゃねぇんだよ!」
“武装”と構えを解き、総一は前方を見た。斬撃の走った軌道上は、地面が
土煙の中から人影が現れ、男が姿を現す。
ゆっくりと歩いて来る男を見て、総一は剣を構えた。
「ったく、痛ッ!!」
右手に持つ神弓を順手に持ち変え、身構えると、急に右脇腹と左肩に痛みが走った。手で押さえると、生暖かい液体が服に染みついている。そして、放した手には血がべっとりとついていた。
「クソッ、やっぱ腕だけの“武装”じゃ完全には防げなかったか(……つか勝てる気がしねぇっての)」
目の前にいる“鷹の目”の男との圧倒的な力の差に総一は冷や汗と血を滴らせながらも、相手と対峙する。
ふと総一は辺りに明日菜たちがいなくなっていることに気づいた。
(アスナ達がいないな……無事にネギ君の所に向かったか)
総一の考えた通り、斬撃が走る直前、明日菜達はネギによって召喚され、斬撃から逃れていた。明日菜たちがいないことを確認した総一は考える。
(アスナ達がいないなら、俺も“本気で”コイツと
「……アンタ、なんで
総一は警戒の構えを解くことなく、男に話しかけた。男は足を止め、総一を見る。
「今の敵の勢力の中で、アンタは明らかに強さが飛び抜けてる。そんな奴が何故、
「……知ってどうする」
男は初めて声を発するが、同時に剣を横に振った。強力な斬撃が今度は地面と水平に走る。
総一は高く上に飛ぶことでソレを躱すが、男を中心とし扇状に走った斬撃は、木々と共に、妖怪も何体か斬り倒していった。
「クッ!! ……うわぁ、敵味方関係なしか」
総一は先程の開けた場所に着地し、周りの惨状を見渡した。
男が放った、たった二発の斬撃で周りの景色はかなり様変わりしてしまった。地面は抉れ、周辺の目に見える木々は全て斬り倒されている。
(口での時間稼ぎは無理か……けどホント、なんでコイツがここにいるんだ?)
着地して、総一がそんな事を考えながら身構えると、男は地を蹴って総一に斬りかかった。総一の神弓と男の黒刀がぶつかり合い、辺りに凄まじい衝撃波が広がる。その衝撃を受け、周辺の妖怪達は「のわぁ!!」「うわぁ!」と声を上げるが、二人は次々と剣をぶつけ合う。
空を斬る音、神弓と黒刀がぶつかり合う音が響き、互いの刃が擦れ、火花が散る。二人の力は均衡しているようであったが、二人の表情は全く異なっている。
「………」
「……クッ」
黒刀を持つ男は無表情かつ冷静に淡々と剣を振るうが、神弓を持つ少年は苦しい表情で息を乱しながら剣を受け止めていた。
二人の剣がぶつかり合う中、やがて総一の方が動きを見せた。
総一は後ろにさがったかと思うと地を蹴って、男に向かって瞬時に攻めかかった。男は剣を構え、迎え撃つ体勢となる。
「
互いに剣を走らせながら、総一と男はすれ違う。
「………」
「………」
二人の間に一時の静寂が支配した。
「………」
「……ガハッ!!」
総一の胸部に一線の切り傷が走る。血が噴き出し、総一の足元が赤く染まった。
「くっ……こ、コノ、やろぅ……ハァ……ハァ…」
総一は膝をついて傷口を手で押さえた。
「………」
対して男は無言で剣を下ろし、振り返り、総一を見た。その体には傷一つ入っておらず、表情も一切の変化がない。
男はしゃがんでいる総一にトドメを刺そうと剣を持ち上げた。
だが、男は斜め後方から感じた殺気に反応して、すぐに剣先を下にし、盾とした。やがて銃声が数発鳴り、黒い刀身に火花が走る。
男が剣をずらし、銃弾が飛んできた方向を見ると、そこではハンドガンを持った真名が男に銃口を向けていた。
男は真名に体を向け、剣を振りあげて、斬撃を走らせようと構えた。
しかし、男は斬撃を放たなかった……いや、放てなかった。
なぜならば、立ち上がった総一が神弓を使って斬りかかって来たからだ。
「ハァーーッ!!」
総一は声を上げながら剣を振るが、剣は空を斬った。
男は総一の斬撃を後ろへとさがることで避け、斬りかかってきた総一に目を見張った。目を見張ると言っても微々たるものだが、ずっと表情を崩さなかった男が初めて表情を変えた瞬間であった。
「……ほぅ、“覇気”か」
男が見る総一の神弓は黒く変色していた。よく見ると、神弓だけでなく総一の腕も光沢のある黒に変色している。
「だが、それだけでは、この俺に勝つことはできない」
(……だろうな)
総一は両手に持った神弓を順手で持ち変え、フッと息を漏らした。
「だからって、ここで諦めるか!」
ニッと口元を緩ませ、総一は地を蹴って男に近づき、身を捩り、斬りかかる。
男はその斬撃を受け流すが、それでも総一の攻撃は途切れなかった。
右から二撃、上から二撃、真っ直ぐ一刺し、左右から一撃ずつ、瞬時に双剣を逆手に持ち変え、体を旋回させ、回転切りと、総一は変則的な斬撃を次々と放つ。
ぶつかり合う刃が火花を散らし、空振りした刃が空を斬る。
やがて、息をつく為、総一は後ろへ下がった。
「ハァ、ハァ……クッソー!」
息をする最中、総一の体を
「ハァ、ハァ……ふぅぅ、やっぱ、アンタ、強ぇーわ」
息を深く吐き、総一は「
「ハハッ……やっぱ“本気”出していきますか」
軽く笑った後に総一は俯き、呼吸を整えながら、一瞬だけ体を脱力させた。
「変形、“獣型”」
総一の体に光が差し、ゆっくりと体の形が変わっていく。
――パャキィーーーーン
しかし、突如発生した大きく響く音によって総一の変化は止まった。氷が割れ、崩れていく音が、光を放っていた方角から聴こえる。
総一と“鷹の目”の男はそちらに目を向ける。
その方角では、氷像と化した鬼神が大きな音をたてながら、崩れていた。
「………」
壊れていく鬼神の姿を見て、黒刀を背に戻し、男は立ち去ろうとする。
「おい、どこに行く?」
「……鬼神が敗れた今、もはやお前と闘う理由はない」
顔だけを総一の方へ向け答えると、男は去って行った。
「……はぁ」
男の後姿が見えなくなると、総一は膝をついた。
「ハァ、ハァ……クッ!」
傷口を押さえ、総一は出血を抑えるが、体を滴る血が地面に落ち、辺りはすっかり赤く染まっていた。
戦闘が終わり、辺りにいた妖怪たちは姿を消し、やがて月詠も帰っていった。
「大丈夫か?」
「……大丈夫に見えるか?」
「うわぁ、血だらけアルね」
真名と古菲は膝をつく総一へと近づき、容態を見た。
「出血がひどいな。歩けるか?」
「あぁ……クッ!」
痛む傷口を押さえ、総一はフラつきながらも、何とか立ち上がった。
「肩、貸すアルよ」
「サンキュ、悪いな」
古菲に支えてもらいながら、総一たちは湖の畔へと向かった。
そして、ネギたちの元へと向かう中で、総一の意識は薄れていき、湖の畔に着いた時には総一は意識を失っていた。
TO BE CONTINUED ...
もしも本作のネギまキャラに海賊旗があったら、見てみたいのは……?
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