もしもネギま!の世界に悪魔の実があったら 作:リョーマ(S)
とりあえず更新。
相変わらずの駄文です。(´;ω;`)
23. 悩みの実?
「………975……976……977……978」
現在、京都から帰ってきて一日が経ち、エヴァさんの別荘『ダイオラマ魔法球』内の広場。腕を曲げる回数に従って、俺は数をカウントしていく。左腕で体を支え、右手で腰のベルトを掴み、両足は空に向けまっすぐ伸ばしていた。
「……997……998……999………せぇぇんッ!」
最後のカウントは終了の意味を込め、ハッキリと発音したが……まぁ、そんなことはどうでもよくて、俺は片腕の逆立ちから体勢を普通に戻した。
「ふぅ、さぁーてと」
呼吸を整え、ウォーミングアップを終わらせると、俺は建物の下にある浜辺へと移動した。
下に降りると、目の前に広がるのは穏やか波打つ海とゴミ一つ落ちていない砂浜。後ろには先程までいた石でできた円形状の建物があるが、俺は海の方を向きながら、アーティファクト“天界の神弓”を両手に持ち、目を閉じてただ静かに砂の上に立った。
頭の中では、修学旅行三日目の夜、あの“鷹の目”の男との戦いの記憶を巡らせる。
やがて、目を開き、俺は水平線を見据えた。
記憶にある“鷹の目”の斬撃を放つ予備動作をまねる様に、俺は両手に持った双剣を右肩に抱える様に持って、一気に振り下ろした。
すると、刀身から斬撃が走り、まるで地を伝うようにまっすぐ海へと走っていった。
「よっしゃ、出た」
俺は今、海上を走る斬撃を見て心の中でガッツポーズをした。
斬撃はある程度先まで走ると、そこで轟音を鳴らしながら破裂し、水柱をあげた。
“飛ぶ斬撃”が出せたことに内心かなり喜んだ俺であるが、少しして考える。
「うーん……大した威力はないなぁ」
あの“鷹の目”が出した斬撃は高さにして十メートル以上あったように見えたけど、今俺が出した斬撃は二メートルやそこら。同じ位の斬撃を出そうとは思わないが、もうちょっと威力があっても良い気がする……というか、出したい。
これは、俺の筋力が足りないからなのか?
「……要修行ってことかな」
ゾロみたく、バーベルで素振りでもするか……?
そういえば、俺ってなにか事あるごとに、こうやって修行したり、エヴァさんや高畑先生に稽古つけられたりしてるけど……“六式”使えたりするのかな。
「実際にやってみよう」
とりあえず、まずは“
ルフィ曰く、
俺は足をゆっくりと動かし、地を蹴るフォームを確認した。
「これを、十回、連続……でェ!!」
瞬間、砂浜に砂煙が舞い、海面に大きな水柱が上がった。
そして、海面に向かって突っ込んだ俺は、当然泳げるわけもなく、為す術なく気絶し、波によって浜に打ち上げられた。
着地失敗。
☆☆☆
「僕を弟子にしてください!!」
「あれ?」
魔法球の中で一日が経ち、外へ出るとログハウスの二階でネギ君がエヴァさんに弟子入り志願していた。
「何で私がそんなことを。タカミチにでも頼め」
「実際に魔法使いの戦いをこの目で見て、魔法を習うならエヴァンジェリンさんしかいないと思いました」
「……ほう」
ネギ君の言葉に少し気を良くしたのか、エヴァさんはニヤリと口元を緩めた。
褒め言葉に弱いエヴァさんである。
まぁ、でも、こういう時、良心を誤魔化すために悪ノリで返すエヴァさんだ、きっと今回も変な返しを――
「良いだろう、弟子に取ってやっても良い」
……あれ?
「だが、頭を下げて物事が通るなら苦労はしない」
「えっ……」
「今度の土曜日にもう一度、ここへ来い。テストしてやる」
キョトンとしたネギ君を無視して、更にエヴァさんは続けた。
「そのテストに合格すれば、貴様を弟子にとってやろう」
「は、はい! ありがとうございます!!」
「……ふん」
ネギ君に礼を言われ、照れているのかエヴァさんは顔を背けた。
「なんか、あっさりだな」
「わぁ! って、総一」
驚く明日菜に対し、俺は「よっ」と手を上げた。
明日菜が声を上げたため、ネギ君とエヴァさんもこっちを見た。
「何でアンタがここにいるのよ?」
「ちょっとあるもの(魔法球)を使わせてもらいに」
俺のあやふやな返答に、当然明日菜は首を傾けたが、俺はそれ以上なにも言わなかった。
「それより、ネギ君を弟子に取るなんて、エヴァさんならもっと渋るかと思ったけど」
「ふん、貴様には関係ないだろう」
「そりゃ、そうだけどさ……」
「えぇぇぇい、もう良いだろ! 用が済んだなら、さっさと帰れ!」
なぜか機嫌を悪くしたエヴァさんに追い出され、俺とネギ君達は、エヴァハウスを後にした。
☆☆☆
「そういえば、加賀美さん」
「ん、なに?」
エヴァさんの家を出て、通りを歩いているとネギ君が話しかけてきた。
「一昨日、別荘を出るときに西の長さんから何か渡されてましたけど、あれって何だったんですか?」
「……あぁ、あれね」
忘れてないさ。忘れたかったがな。
俺は目を虚ろにさせ、別荘での出来事を思い出した。
別荘に行ったとき、俺は西の長の近衛詠春さんから昨夜のサポートと木乃香の護衛についてお礼を言われた。
正直それは別にどうでも良い。問題はその後だ。
実は、その後、別荘を後にしようとした時に、俺は真剣な表情をした詠春さんから皆に内緒で呼び止められ、「これをお義父さんに渡してください」と、“あるもの”を預かった。
そして、その“あるもの”が問題であった。
それは、一見はなんの変哲もない桐の箱。しかし、この箱の中を見て、俺は思わず頭を抱えた。
「うん……御見舞いの“果物”だった」
「嘘よね?」
嘘じゃねぇよ…………半分くらい本当だよ。
上等な桐の箱に入ったイチゴの形をした“果実”だったよ。
藍色で若干奇っ怪な唐草模様をしてたけどな。
「けど、なにか重要なモノみたいでしたけど?」
「そうだな、学園長に渡してくれって言われたよ」
そう言いつつ、その箱はまだ俺が持っていたりする。
というのも昨日、学園に帰ってきて、すぐに学園長に渡そうとしたら、本人が腰痛でダウンしていた為に、治るまで俺が預かる事になったのだ。
正直、なんだかイヤな予感がするので、とっとと学園長に渡してしまいたい。
「アンタ、何か隠してる?」
「別に……いずれ分かるさ」
ネギ君と明日菜が訳がわからないと言いたげな疑いの眼差しで俺を見るが、俺は目を逸らして誤魔化した。
「まぁ、時が来るまでは知らなくて良いって事さ。今はエヴァさんの弟子入りテストのことだけ考えな、少年」
「え、えぇ。ですけど――」
「じゃ、俺、こっちの道だから」
「あっ! ちょっと!!」
これ以上の追求から逃げるため、俺はネギ君と明日菜の言葉を遮り、「そんじゃーな」と二人から逃げ出した。
☆☆☆
――二日後。
いつものように教会の掃除に来た俺は、箒で床を掃きながら頭を抱えていた。
「……なんだかなぁ」
「どうかしたの、総一」
「いや、どうもこうも……」
横ではシスター服を着た美空とココネがモップ掛けしている。
頭を抱えている原因としては、あの“実”のことだ。
何故かって?
――学園長が見つかんねぇからだよ。
ネギ君がエヴァさんに弟子入りをお願いした翌日、“実”を渡そうと男子校エリアにある学園長室に出向いたら、学園長が不在。
少し時間が経って再び訪れるも不在。
新田先生に許可を得て女子校エリアの学園長室に行くも不在。
高畑先生に居場所を訊こうにも、先生が不在!
電話を掛けても『ただいま、電話に(以下略)』とかいって出ない!
マジでどこいんだ、あの妖怪!?
ホント、たまに消えるのやめてくれ!
「なぁ、美空は学園長がどこにいるか知ってたりするか?」
「えっ? 学園長室じゃないの?」
「……他は?」
「…………さぁ」
ダメ元で訊いてみたが、案の定か。
「はぁ」
「ちょ、ちょっと! 何、その『やっぱりな』みたいなため息は!?」
「別にぃ」
そんなこんなしてると、いつものように教会の扉が開く音が響いた。多分、シャークティさんが来たんだと思う。
コツコツと響く足音を聴き、予想が当たったと確信した俺は、特に行動を変えるわけもなく掃除を続けた。
しかし、足音は俺のそばまで来ると、急に止まった。
シャークティさんが俺に用があるのかと思い、振り返ると、予想通りシャークティさんがそばに立っていた。
「あぁ、シャークティさ――いひゃぁぁ!!」
声をかけるやいなや、俺はいきなりシャークティさんに頬を引っ張られた。
「総一! あなた、また無茶したようですね!」
「いひゃい、いひゃい、ひゃーふひぃしゃん! いひゃいへは!!」
訳『痛い、痛い、シャークティさん! 痛いってば!!』
「なんでも出血多量で倒れたと聞きましたが、一体あなたは何を考えているのですか! 常日頃からあれほど無茶はしないよう言っているのに、事あるごとに大ケガして!」
「ひや、あへはひひゃひゃにゃいひゃにゃっへイヒヤッ!!」
訳『いや、あれは仕方ないかなって痛ッ!!』
弁解しようとしたら、頬を引っ張る力が強くなった。
「仕方ないではありません! いくらあなたの体が普通より丈夫だからといっても、そんなことではいずれ命を落としますよ! わかってるんですか!?」
「くぅっ……はい、すみませんでした。心配かけて」
手を離され、俺は頬を擦りながら、シャークティさんに頭を下げた。
「まったく、自分の命はちゃんと大事にしなさい! ……ほんとに心配したんですから」
小声で言ったシャークティさんの最後の言葉に、何故か少しドキッとしつつ、俺は心配させたことを申し訳なく思い、頬を指でポリポリと掻いた。
横にいる美空がなにやらニヤニヤしているが……何が可笑しい?
「コホンッ……まぁ、今回は事情も事情ですから、これ以上は言いません。それより時間ですから、もう終わって構いませんよ」
「はいはーい」
「………」
シャークティさんの言葉を聞き、美空とココネは清掃道具を仕舞った。
俺も二人に続いて道具を片付けるが、俺は学園長の居場所を訊ねるため、「シャークティさん」と声をかけた。
シャークティさんは「なにか?」と言うような表情でこちらを見た。
「シャークティさんは学園長が今どこにいるか、知ってますか?」
「学園長ならお留守ですよ」
……は?
「なんでも一昨日の夜、魔法省から緊急の呼び出しがあったそうで、急いでロンドンに行かれたそうです」
「……マジかよ」
まさかの学園長、麻帆良不在かよ!
道理で見つからないはずだ。
てか、“悪魔の実”を俺に預けたまま行かなくても……あぁ、緊急で出かけたのか。
「学園長に何か用があったのですか?」
「え、えぇ、まぁ……色々と……」
「一体どのような?」
「それは、そのぉ……えぇ~と……」
俺の言葉が濁ったことに疑問を持ったのか、シャークティさんはジト目で俺を見てきた。
「何かあったのですか?」
……あぁ、この表情は、またこの子は厄介事を引き受けたのですね、と思ってる顔だ。
「とりあえず、話を聞かせてください」
「……はい」
シャークティさんから発せられるなんとも言えない雰囲気に俺は大人しく、事の詳細を語った。
☆☆☆
「要するに、あなたは関西呪術協会の長から渡された悪魔の実を一時的に預かっていると?」
「まぁ、そうですね」
「因みに、その悪魔の実は今どこに?」
シャークティさんの問いに答えるように、俺は自分の学生鞄を持ってきて手を突っ込んだ。そして、中から件の桐箱を取り出し、蓋を開け、中身をシャークティさんに見せた。
「おぉ、これが」
「………」
シャークティさんに見せた悪魔の実を覗き見るように、美空とココネが顔を出した。
美空は珍しいものを見るかのような目をしているが、ココネは相変わらずの無表情だ。
「俺的には、こんなの持ってると碌な事がないんで、さっさと学園長に渡したいんですけど……」
「その学園長がいないんじゃ、そういうわけにも行かない……ってことですか」
シャークティさんの言葉に俺は苦い顔をしながら、頷いた。
「………」
すると、シャークティさんは顎に手を当て、しばし思考を巡らせた。
「……確かに学園長に所持してもらうのが一番良いとは思いますが、学園長がいない今、それはあなたが持っているべきだと私は思います」
「え、なぜ?」
「悪魔の実は口にするだけで能力を得るという代物。魔法使いの間ではおとぎ話レベルの認知とはいえ、それを狙って来るものも少なくないというのは、総一も知っているでしょう?」
えぇ、知ってますとも。
過去に
「そういう輩からその悪魔の実を守るには、それに対抗できる力がそれなりにあるものが持っているのが最良です。どこかに保管しておくのも良いとは思いますが、完璧ではないでしょうし」
「………」
この学園で悪魔の実と関わってて、それなりに強い人といったら、学園長と高畑先生、エヴァさんに青藤先輩、あと雪広なんだろうが、前二人は不在だからそもそも無理だし、エヴァさんは“呪い”のせいで昼は力が出せないし……雪広に持たせるのは論外だな、嫌な予感がする。
となると、やっぱり持つとしたら、俺か青藤先輩となるわけか。
……はぁ~メンドくせっ。
「誰かがそれを食べれば話は済むのですけどね」
「あぁ~、確かにそうですね」
シャークティさんの呟きに俺は首を縦に振り頷いた。
悪魔の実を奪われない確実な方法は、誰かが実を食べてしまうことである。そうすれば、何か特別な事をしない限り、その能力が奪われることはない。
「美空、食べない?」
無論、冗談だ。
「それ食べたら、どうなるの?」
「さぁ。そういや、まだなんの実か調べてなかったな」
あのエヴァさんにもらった“悪魔の実大図鑑”、どこやったかな?
多分、俺の部屋にあるはずなんだけど……。
「まぁ、なんの実にせよ、カナヅチになる代わりに、能力が身につくよ」
「えっ! いやいや~、カナヅチは勘弁っす」
ですよねぇ。
やっぱり、カナヅチになる、かつどんな能力が付与するか分からない実を食べようとは思わないか……しかも、味はゲロまずらしいしな。
それに、この悪魔の実はいわば預かりモノ。学園長の許可なく勝手に誰かに食べさせるのはあまり良くない。
「まぁ、なんにせよ、あと数日もすれば学園長は帰ってくるでしょう。それまではあなたが管理してください」
シャークティさんに言われ、俺はため息をついた後、「了解です」と返事をした。
数日ね。
その間に何事もなきゃいいけど……。
TO BE CONTINUED ...
色々と雑になってる気がする……|||orz
てか最近、忙しすぎて書けない。
はやく『麻帆良祭編』とか『エピソードオブ○○』とか書きたいのに……。
けど、俺めげないぜ!
憶えとけ!また会おう!!
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