もしもネギま!の世界に悪魔の実があったら   作:ジョン・N

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86. 防衛作戦開始!

 

 

 

 学園都市周辺の湖岸では光線と魔法が飛び交っていた。

 一見すると戦場のような光景だが、イベントということになっているだけあって参加者の魔法使い達はバトルを楽しんでいる。

 

敵を撃て(ヤクレートウル)!」

「キャーー!」

「いやぁーん!」

『武器とローブをなくした方は危険ですのでゲームエリアから離れてください!』

「賞金は俺がいただくぜ!」

「させるか!」

 

 魔法が当たったロボットは機能を停止していき、光線が当たった魔法使いは裸になっていく。

 SFのようでもありファンタジーのようでもあるその光景は、かなり混沌としていた。

 

 そして、この戦況はイベント運営陣だけでなく、後方の魔法使いの先生や生徒にも情報が回っていた。

 

「湖岸に現れたロボット兵器の総数、およそ3000。うち生徒により、すでに210体が撃破されています」

「すごいなぁ、さすがウチの生徒……」

 

 後方支援の魔法使い達の指揮をしている明石教授は、素人集団にも関わらず侵攻をくい止めている生徒たちに目を見張る。

 

「しかし、数が多すぎます。すでに湖岸の防衛ラインを突破した人型兵器が世界樹前広場に侵入しています」

「広場の状況は?」

「幸い、防衛拠点に配置された生徒たちによって広場に到達した人型兵器は随時撃退されています。ですが、依然、人型兵器ないし戦車型兵器が防衛ラインを突破中です」

 

 

 

 

 

 オペレーターの魔法生徒の言うとおり、湖岸のロボット兵器の侵攻は世界樹前広場まで進んでいた。

 

「うおぉ! どんどんキタァーーっ!」

「高得点ゲットだぜ!」

「よっしゃー!」

 

 しかし魔法先生の心配や焦りなど、つゆほども知ることなく、広場にいた生徒たちはロボット兵が来たことを喜んでいた。

 

敵を撃て(ヤクレートウル)!」

 

 世界樹前広場の中でも、ひときわロボットを撃退していたのは、A組メンバーの明石裕奈だった。

 裕奈はロボット兵達の光線を上手くよけて、的確に反撃の魔法を当てていく。その見事な動きに、周りにいた参加者も「おぉ!」「すげぇ!」と驚き、どよめいていた。

 

「ゆーな、スゴい!」

「あはははぁ、どっからでもかかって来なさーい!」」

 

 ロボット兵器数体を一瞬で仕留め、裕奈は腰に手を当てて笑った。

 だがその時、裕奈の背後では………。

 

「ナッ!」

「裕奈あぶない!」

「あははは……えっ!」

 

 ロボット兵の軍勢が押し寄せていた。

 

「おわっとっと……うわぁ、めっちゃ来てるッ!」

 

 振り向きざま、裕奈はなんとか襲いくる光線から身をかわしたが、広場まで侵攻してきているロボットの数に呆気にとられた。

 その数は一目見ただけでは把握できないが、おそらく50は超えている。しかも、その後ろには多脚戦車のロボットが5機ほど迫ってきていた。

 

 

 その光景を見て、裕奈たち参加者だけでなく、近くで控えていたカモや明日菜たちも冷や汗を浮かべた。

 

「こりゃあ、早いとこ兄貴を呼びに行った方がいいな……姐さん、兄貴に連絡は?」

「ダメ、ケータイも念話(カード)も通じない!」

「超さんの手によって、妨害されているのでしょう……」

 

 カモに訊かれ、仮契約(パクティオー)カードを額に当てた明日菜が首を横に振った。

 刹那の推測通り、現在、麻帆良学園内の無線ないし念話は超鈴音の手によってジャミングされていた。

 

「こうなったら誰かが直接ネギを呼びに行くしかないわね!」

「えっネギ君!」

 

 明日菜の言葉に、近くにいたまき絵が反応した。

 

「ネギ君呼びに行くの? 私も行くぅーーっ!」

「えっ! えーっと、それは……!」

 

 果たして事情を知らないまき絵にネギを呼びに行かせて大丈夫なものかと、明日菜は返答に困った。

 

 するとその時、広場の近くで大きな爆発音が鳴り、物音や人の悲鳴が混じった騒音が響いた。

 明日菜たちがその騒音が聞こえた方を見ると、参加者の多くがロボットの光線を受けて裸にされていた。

 

「くそっ、あの戦車みたいなヤツ、めちゃ強ぇ!」

「ポイントはじゃんじゃん稼げるけど、次から次へと来やがる!」

「ちょっとハードモード過ぎじゃない、このイベント!」

 

 生き残っている参加者の面々が次から次へと侵攻してくるロボット兵を見てぼやく。

 戦況は魔法使い側の劣勢だ。

 生徒たちが押されているのを見て、明日菜たちは自分たちの出番を悟る。

 

「仕方ない! まきちゃん、図書室まで行ってネギを呼んできてくれる?」

「分かった!」

「ほら、アンタも行きなさいよ」

「もちろんでさぁ」

 

 カモは明日菜にだけ聞こえる声で返事をすると、まき絵の肩に飛び乗った。 

 肩に飛び乗ったカモに気にも止めず、まき絵はそのままネギを呼びに走って行った。

 

 

 まき絵を見送ると、明日菜は仮契約(パクティオー)カードをアーティファクト『ハマノツルギ』に変化させた。

 

「行こう刹那さん!」

「はい」

 

 明日菜と刹那は、一緒に広場の高台からロボットの大軍に向かって飛んだ。

 

「このロボ大軍団、キリがないよ!」

「こりゃあ、このまま賞金と服はパァーかなぁ」

「えぇー、そんなのイヤですぅ!」

「これは流石にヤバいんとちゃう……!」

「……うん」

 

 広場まで侵攻してきたロボット軍団に、裕奈と鳴滝姉妹、亜子、アキラは参ったといった感じで顔を引きつらせていた。

 

「ゆーな達、そこどいてぇーー!」

「えっ?」

 

 瞬間、あたりに衝撃波が広がる。すると裕奈の前にいた多脚戦車が真っ二つになった。

 

「神鳴流奥義、百烈桜華斬!」

 

 続けて突風が吹いて人型ロボット兵の大軍が一掃された。

 舞い上がった土煙が晴れて、裕奈はスクラップになったロボットの上に立つ二人の姿を見た。

 

「お待たせ!」

「明日菜!」

 

 ファンタジーの戦士のような格好をした明日菜と猫耳メイド剣士の格好をした刹那を見て、裕奈はびっくりして目を見開いた。

 明日菜は突き刺さった大剣(ハマノツルギ)を軽々と手する。見るからに重そうな剣を難なく持ち上げている姿が一層裕奈たちを驚かせた。

 

「何やってんの?」

「何って、私たちヒーローユニットやってるから」

「へっ、何それ?」

 

 クラスメイトの勇ましい姿にキョトンとしていると、遠くの方で大きな歓声が響いた。

 

『お待たせしました! ヒーローユニットの登場です!』

 

 このイベントの防衛拠点は、世界樹の魔力溜まりとなる6カ所、龍宮神社神門、麻帆良大学工学部キャンパス中央公園、麻帆良国際大学附属高校、フィアテル・アム・ゼー広場、女子普通科付属礼拝堂……そして、裕奈たちのいる世界樹前広場だ。

 今それらの場所では、明日菜や刹那と同様、ヒーローユニットと呼ばれる魔法先生と魔法生徒が、堂々と魔法を使ってロボット兵器を倒していた。

 

「ヒゲグラ先生だ!」

「ヒゲグラだァ!」

「かっけぇ!」

「刀子先生もいるぜ!」

「すげぇ演出! どうなってんのアレ!」

 

 劣勢の状況下で現れた強力な助っ人に、参加者は歓声を上げる。ヒーローユニットの現実離れした動きや攻撃は、普通なら魔法の存在が危ぶまれるところだが、参加者は皆それをイベントの演出だと思い、(どんな演出なのかと不思議がる人はいたが)誰も気にするものはいなかった。

 

 

 

 

 その頃、世界樹前広場近くにある湖岸とは逆側に位置する湖岸。

 この場所も、他の場所と同様、たくさんのロボット兵器が出現しているおかげで防衛に苦戦していた。

 防衛している参加者の数も開始当初から随分と少なくなっている。ロボットの光線で身ぐるみを剝がされたもの、防衛拠点の守護に向かったもの、獲得ポイントの稼げる場所に移動したもの……湖岸の防衛が手薄になった理由はいろいろだ。

 

「くそっ!」

「おい、このままじゃマズくね?」

「せっかく順調にポイント稼いでるってのに!」

 

 湖岸で奮闘していた残りの参加者は皆一様に自分たちが劣勢に立たされているのを感じ取っていた。

 

 だがふと、その中の数人が、参加者の間をすり抜けてロボット兵の軍勢に走っていく影を見た。

 

御使(みつかい)招来(しょうらい)……」

「ハァーーっ!」

 

 その人影の数はふたつ。両者とも中学生くらいの小柄な体格だ。

 二人ともイベントの参加者とは違い、魔法使いのローブと杖は身につけていない。一人は学ランに黒いコート、その両手には光る双剣を握っている。もう一人はショートパンツとチャイナ服だ。

 

「えっ!」

「おぉ!」

「あっ、アイツは……!」

 

 参加者の中で麻帆良祭2日目の武道会を見ていたもの(ほとんど全員)は、その二人が誰なのかすぐに理解した。

 

神速天(カフジエル)!」

 

武装崩拳(ザァンポンチュワン)!」

 

 二人がロボットの大軍に飛び込んだ瞬間、鉄を殴ったような鈍く鋭い音が響いて、ロボットが爆ぜたように吹き飛んだ。

 吹き飛んだロボットの中には、斬られて破損したものもあれば、衝撃で損傷しているものもあった。

 

「す、すげぇ!」

「あの子たち、いま何したんだ!」

「加賀美だ!」

(フェイ)部長もいるぞ!」

「あの二人、たしか昨日の武道会に出てた子たちだぜ」

「あれが武道会ベスト3の二人か!」

 

 目の前にいたロボットの軍勢が、一瞬で倒されたことに参加者は目を疑った。

 しかしそんな周りの反応には眼もくれず、総一はロボット兵達をつぎつぎと双剣で切り倒していった。総一が動く度に、彼の羽織っている黒いコートがはためく。

 その背中には、白い塗料で描かれた“海賊旗のドクロ”があった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 天使の亡骸のような骸骨のマークと十字架、総一の持つ双剣を模した2つの剣……そのドクロのマークが何を表すのか、周りの誰にも分からない。だがそれでも、その象徴的な格好と流れるような動きに、皆が目を奪われた。

 

 総一の近くでは、彼の弟子である古菲(クーフェイ)が中国拳法を駆使してロボットを殴り飛ばしている。本来、生半可な物理攻撃ではビクともしないロボット兵だが、彼女が拳に纏った『武装色の覇気』は、ロボット兵の固い装甲だけでなく内部のコンピュータごと破壊していた。

 

「ふふーん、チョロいアルネ!」

「あんま油断すんなよ、まだ序盤だからな」

「分かってアルヨ!」

 

 古菲は得意げに笑って、さらに多脚戦車ロボットを突き飛ばす。戦車ロボットは周りの人型ロボットを巻き込んで転倒した。

 

「ホントに分かってるのか……嵐脚(ランキャク)

 

 巨大鬼神ロボットに強制時間跳躍弾などなど、まだ超が表に出していない兵器がある。序盤でこんなに飛ばしていたら、どんなに古菲が体力バカとはいえ、イベントの最後までもたない。

 本当に古菲がそれを分かって戦っているのか、総一は首を捻りながら、続々と湖から出てきていたロボット兵に向かって足を振った。

 鎌風が一直線にのびて、射線上にいたロボット兵を切り裂いていく。

 二人が攻撃する合間に、光線を撃つロボット兵もいたが、『見聞色の覇気』を使う二人には、例え死角からきた光線でも当たることはなかった。

 

「おぉ、スゲェーー!」

「あんなにいたロボットがあっという間に!」

「ヒーローユニットか。こりゃあいいぜ!」

「俺たちも負けてらんねぇ!」

「バカ張り合うな! あの二人のそばじゃ点稼げないだろ!」

 

 先ほどまで押され気味でやや諦めムードだった参加者の雰囲気が、二人の活躍を見て、一気に変わった。

 ある者は二人に続く形で、またある者はポイントを稼ぐため二人から距離を取る形で、ロボット兵器を倒していく。

 

 

 明日菜や刹那、神多羅木先生や葛葉先生、総一と古菲……また、高音・D・グットマンや佐倉愛衣などのヒーローユニットによって、劣勢気味だった各防衛拠点と湖岸の魔法使いチームは勢いを取り戻した。

 

 だが、こんな魔法使いチームにとって都合の良くなってきた戦況の中で、敵側のボス……あの策略家の(チャオ)鈴音(リンシェン)が、このまま何もしないなどということは、あるはずもなかった。

 

 異変は急に起こった。戦闘が行われている騒がしい学園都市の街や湖岸とは対称的なほど静かな湖の中心、そこから地鳴りのような音が響いてきたのだ。

 

「ん?」

「お、おい! 何だあれ!」

 

 地鳴りがし始めたと思ったら、湖の中央から大きな水柱がいくつも昇る。その水柱の中から新手の敵の兵器と思わしきロボットが姿を現した。

 

「で、でかッ!」

「なにアレ、巨〇兵!」

「スゲェーー!」

「カッコイイーーッ!」

「どーなってんだァ!」

 

 それを見た参加者たちは、皆一様に目を見開き半ばパニックになる。

 ビルの高さに匹敵するほどのロボット兵器ともなれば無理もない。一般人なら尚更である。

 

「うひゃーー! アレがネギ坊主たちが言ってたヤツアルカぁ!」

 

 戦闘していた古菲も、思わず面白いものを見つけたような顔で見ていた。

 

「……出たな、鬼神ロボ!」

 

 その隣で機械仕掛けの鬼神を見据え、総一は一人呟く。

 

「先輩、雪広、出番ですよ……!」

 

 

 

 

 

 

 TO BE CONTINUED ...

 

 

 

 

 






ペイントツールで遊んでみました
作ったはいいですけど、総一の海賊旗、厨二全開だなぁ。

アンケートのご回答、よろしくお願いします。
アンケートの回答次第では、また作者が作るかもです
(5年後ぐらいに……)

もしも本作のネギまキャラに海賊旗があったら、見てみたいのは……?

  • ネギ・スプリングフィールド
  • 神楽坂 明日菜
  • 雪広 あやか
  • エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル
  • 超 鈴音
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