もう1人の雷竜   作:流々

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ども!
來です!
前回無理やり切ってしまいすみませんでした。
雷竜と猿と牛、今回で完結です!


第3話:雷竜と猿と牛・後編

ルーシィ「さ〜む〜い〜!いくら山の中とはいえ今は夏でしょ⁉︎こんな吹雪おかしいわ!」

 

 

シオンたちは現在ロメオの父親であるマカオを探すため、ハコベ山へ向けて吹雪の中を歩いている。

ただ、この寒さは女の子であるルーシィには堪えるらしい。

 

 

ナツ「そんな薄着してっからだろ〜。」

 

ルーシィ「あんたも似たようなもんじゃないの!」

 

シオン「そんな格好で山に登ろうなんて、いくら夏でも舐めすぎだろ...お前ら...」

 

 

ルーシィは思いっきり夏場の服装である。

そしてそれを指摘したナツ本人も、また薄着である。

唯一この山の天気に見合った服装なのはシオンだけだ。

 

 

ルーシィ「その毛布貸してよ〜!」

 

ナツ「うるせぇ奴だなあ。」

 

ハッピー「あい!」

 

 

ナツのバックパックに入っている毛布を見つけたルーシィは、それを引っ張りながら貸してくれるようにと懇願するが、当のナツは軽くあしらう。

 

 

ボヌール「ねぇシオン!ルーシィ...本当に寒そうだよ?」

 

シオン「そうだなぁ...しょうがねぇ...ルーシィ!これ貸してやるから頑張って歩け!」

 

 

そんなルーシィがかわいそうに見えたのか、ボヌールがシオンに声をかけるとシオンは自分のコートを脱ぎ、ルーシィに差し出す。

 

 

ルーシィ「え⁉︎いいの⁉︎あんたかなり薄着になるわよ⁉︎」

 

シオン「ああ、構わねーよ。そんなヤワな鍛え方してねーからな。」

 

 

少しだけ申し訳なさそうにしたルーシィに軽く返事をすると、シオンはまた歩き出す。

 

 

それからどれだけ歩いたのか。

おそらく50mほどだろう。

ルーシィがまた愚痴をこぼし始める。

 

ルーシィ「やっぱ無理!さ〜む〜い〜!」

 

シオン「オレはもう貸せるものないんだよ。気持ちはわかるがもう少し頑張ろうぜ!な?ルーシィ!」

 

 

シオンはナツとは違う。

火の滅竜魔導師であり、そもそも基礎体温の高いナツはこの程度の寒さはものともしない。

しかし、同じ滅竜魔導師とはいえ属性が雷であるシオンは寒さの感じ方は常人並みである。

だからこそ、ルーシィの気持ちはわかる。

ましてルーシィは女の子なのだ。

耐えられなくても不思議ではない。

だがシオンにももう貸せるものは無いので、精一杯励ましているのだ。

 

 

ルーシィ「うー...あ!そうだ!」

 

 

そんなシオンの優しさを他所に不満そうな声を出したルーシィは、何かを思い出したらしく腰のキーホルダーに手をかけ、銀の鍵を取り出す。

 

 

ルーシィ「開け!時計座の扉!ホロロギウム!」

 

 

「キンコーン」

 

 

すると鐘のような音が辺りに鳴り響き、ホロロギウムと呼ばれた星霊が姿を現す。

 

 

シオン「これが星霊...?」

 

ナツ「おお!時計だぁ!」

 

ハッピー「かっこいい!」

 

ボヌール「僕は少しこわいな...」

 

 

4人はそれぞれ感想を述べたものの、皆驚きを隠せない様子だ。

それもそのはず。

時計座の星霊ホロロギウムとは大きな振り子時計に顔と手足を生やしたような奇妙な見た目をしていたからだ。

 

 

シオン「あれ?ルーシィ中でなんか口パクパクしてないか?」

 

ナツ「あ?聞こえねぇよ!」

 

 

4人がホロロギウムの不思議な外見に目を奪われている間に、ルーシィはホロロギウムの中に入っていた。

そこから必死に何か訴えているようだがホロロギウムの中は防音対策万全なのか、2人に声は届かない。

すると、突如ホロロギウムが口を開く。

 

 

ホロロギウム「私ここにいる...と申しております。」

 

 

どうやらルーシィの言葉はホロロギウムが代弁するらしい。

 

 

ナツ「何しに来たんだよ...」

 

 

シオン「そこにいるならコート返してくれよ...。」

 

 

2人ともため息まじりだ。

 

 

ルーシィ「このコートは暖かいから返したくない!そんなことよりマカオさんはこんなとこに何しに来たのよ!...と申しております。」

 

 

しかしシオンの心の叫び虚しくルーシィはコートを返すつもりはないらしく、軽く流すと質問を投げかける。

それに対してナツとシオンが答える。

 

 

シオン「なんだ?知らないでついてきたのか?」

 

ナツ「凶悪モンスター!バルカンの討伐だ!」

 

 

シオンはそんなことも知らないでと肩を落としているが、ナツの方は誇らしげに答えた。

 

 

ホロロギウム「あたし帰りたい...と申しております。」

 

ナツ「はいどーぞ。と申しております。」

 

シオン「コートは置いていってくれ。と申しております。」

 

 

凶悪モンスターという言葉に怖気づいたのか、ルーシィは帰りたいと言い出したものの

ナツとシオンは先を急ぐ。

 

 

 

 

それからしばらく進むと少しだけ山が開けたのでマカオを探すことにした。

 

ナツ「マカオー!いるかー?」

 

ハッピー「マカオー!」

 

ボヌール「返事してー!」

 

ナツ達は大きな声でどこにいるかもしれないマカオに呼びかけている。

 

 

シオン「...⁉︎ナツ!上だ!」

 

するとシオンが何かに気がついたようなそぶりを見せ、突然叫ぶ。

 

 

???「うーあ!」

 

ナツ「おわっ⁉︎」

 

 

シオンの叫びとほぼ同時に上空より何かが降ってきたが、ナツはそれを間一髪で避ける。

辺りは衝撃で雪煙が舞い上がっている。

 

 

シオン「ナツ!無事か⁉︎」

 

ナツ「サンキューなあシオン!おかげで助かった!」

 

 

2人はお互いに無事を確認すると、何かが降ってきたポイントに目を移す。

 

 

???「ウホッ」

 

 

舞い上がっていた雪煙が落ち着くと、そこには白毛の大きな猿のような生き物がいた。

 

 

ハッピー「バルカンだ!」

 

ボヌール「こわっ!」

 

シオン「チッ!ついにお出ましか!」

 

ナツ「...。」

 

 

各々その存在を確認すると、ナツ、シオンが臨戦態勢に入る。

 

 

バルカン「うほ?」

 

しかしバルカンは何かを感じ取ったようなそぶりを見せると、匂いを嗅ぐように鼻を鳴らす。

 

 

バルカン「うっほぉう!」

 

 

するとバルカンは何かに気がついたのか、ルーシィの入っているホロロギウムを抱え込む。

どうやらシオンのコートに包まって暖を取っていたルーシィもバルカンの存在に気がついたようだ。

 

 

ルーシィ「え?」

 

バルカン「人間の女だぁ...」

 

そしてルーシィの存在を確認すると、ホロロギウムを抱えて連れ去って行った。

 

 

ナツ「へっ!喋れんのか!」

 

シオン「らしいな。ラッキーだな!あいつぶっ飛ばしてマカオの場所を聞けるぜ!」

 

ナツ「うお!おめぇ頭いいなあ!」

 

ホロロギウム「てか助けなさいよ〜...と申しております。」

 

シオン達2人にとってはルーシィが攫われたことよりも、バルカンが人語を理解できることの方が重要だったらしく、ルーシィはあっさりと攫われて行った...。

 

 

 

 

 

【ハコベ山】

 

ハコベ山山頂付近。

 

シオン「あの猿ども、いくら言葉を話せても頭の構造は猿並みらしいな。」

 

ボヌール「あい!こんなに思いっきり足跡残してるよ!」

 

ナツ「オレ達には鼻もあるしな!」

 

ハッピー「すぐに見つけられそうだね!」

 

 

4人はルーシィを連れ去った...と言うよりマカオの居場所を知っているかもしれないバルカンを追っていた。

追っていたとは言っても、バルカンは大きな足跡を残していたし、滅竜魔導師は鼻が利くため見つけ出すのには苦労しなさそうだ。

 

 

ナツ「シオン!」

 

シオン「ああ...かなり近いな。」

 

2人はその嗅覚で、バルカンの存在が近いことを感じ取る。

するとそんなやり取りもそこそこにナツが走り出す。

 

シオン「おい!ナツ!足元滑るぞ!気をつけろ!」

 

ナツ「さぁぁぁぁぁぁるぅぅぅぅぅぅぅ!!!マカオは...どこだぁぁぁぁぁぁ!...あ...。」

 

シオンの忠告も虚しくナツは盛大に足を滑らせ転倒する。

 

 

ナツ「うげっぐはーーーー!」

 

ルーシィ「えー...かっこわる〜...。」

 

 

転倒後壁に衝突するまで滑り続けたナツにルーシィは引いているようだ。

 

 

シオン「ルーシィ!無事か?」

 

ルーシィ「シオン!」

 

シオンもナツに続いてルーシィの元へと向かってくる。

気を付けて歩いているためか、転倒せずにたどり着く。

 

ルーシィ「...。」

 

が、シオンの方を振り向いたルーシィは彼にも冷たい視線を送る。

そう。

彼は気を付けて歩いていたのだ。

転倒しないように、踵ではなく、足裏全体を使って。

例えるのであればアシモ君のような歩き方をしていたのだ。

彼の歩き方は途轍もなく滑稽である。

 

 

ルーシィ「あんたらは普通に登場できないのかしらぁ...」

 

シオン「あんたら?一緒にすんな!オレは普通だ。」

 

 

ルーシィは言葉の通り頭を抱えているが、シオン本人は普通に登場したつもりらしい。

 

 

ナツ「おい!猿!マカオはどこだ!」

 

 

そんな2人を余所目に珍しくナツが本題に入る。

ただし、彼はひっくり返ったままだ。

 

 

バルカン「おぉ?」

 

シオン「お前言葉わかるよな?マカオだ。人間の男だ。」

 

 

意味がわからないと言った様子のバルカンに対し、シオンも問いかける。

 

 

バルカン「男?」

 

シオン「そうだ。男だ。」

 

ナツ「どこに隠した!」

 

ルーシィ「うわぁ!隠したって決めつけてるし!」

 

 

指をさしながら質問攻めにするナツにルーシィはドン引き状態だ。

 

 

バルカン「うほうほっ!」

 

ナツ「おお!通じた!」

 

 

バルカンもようやくシオン達が言わんとしていることを理解したのか、手招きしながら小さな穴の方を指差している。

ナツは、通じたことに感動しながらその穴を覗き込むと、そこは外への抜け穴であった。

 

 

ナツ「どこだ⁉︎」

 

バルカン「うほぉう!」

 

 

が、このバルカン、悪知恵だけは働くらしい。

穴から顔を覗かせているナツのケツを蹴り飛ばすと、ナツは崖下へと落ちていった。

 

 

ナツ「さぁぁぁぁぁぁるぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

 

そこにはナツの断末魔のみが残った。

 

 

ルーシィ「ナツーーーーー!!!」

 

バルカン「男いらん!女好き!」

 

シオン「(ナツは頼んだぜ...ハッピー!)」

 

ルーシィ「やだ...ちょっとシオン!ナツ...死んでないわよね?」

 

 

ルーシィはナツの落ちた崖を覗き込み、身を案じている。

バルカンはそんなルーシィを他所に変な踊りを披露している。

 

 

シオン「大丈夫だろ?殺しても死なねーようなやつだからな。」

 

 

しかしシオンは至って冷静である。

なぜなら彼はナツの元にハッピーが飛んで行ったのを確認している。

翼のあるハッピーであれば、ナツを助けるのは簡単なことだ。

 

 

バルカン「女女女女うっほっほーぅ」

 

相変わらず謎の歌を披露しているバルカンに対して、シオンのコートを脱ぎ捨てたルーシィが睨みつける。

 

 

ルーシィ「このエロ猿!見てなさいよ!」

 

 

そしてルーシィは腰のキーホルダーの金色の鍵に手をかける。

 

 

ルーシィ「開け!金牛宮の扉!タウロス!」

 

 

「キンコーン♉️」

 

タウロス「モォォォォォォォ!」

 

 

すると大きな斧を担いだ牛人のような星霊が召喚される。

 

 

シオン「ルーシィ!加勢する!」

 

 

ルーシィの脱ぎ捨てたコートを拾い上げたシオンが雷を帯びつつタウロスの横に並び立つ。

 

 

ルーシィ「シオン!お願いね!」

 

 

バルカン「牛?あと男。」

 

 

素直にシオンの加勢を受け入れるルーシィと牛が現れたこと、シオンが残っていたことに戸惑うバルカン。

 

 

ルーシィ「タウロスはあたしが契約してる星霊の中で1番のパワーの持ち主よ!」

 

シオン「残念だったな猿!嫌いな男は2人とも能無しじゃなかったようだぜ?」

 

 

戸惑うバルカンにルーシィ、シオン共に挑発じみた言葉を並べる。

 

 

タウロス「ルーシィさん...相変わらずナイスバディですなぁ...モォ素敵です♡」

 

 

が、そんな雰囲気をぶち壊すような発言をしながらタウロスはルーシィを眺めている。

 

 

ルーシィ「こいつもエロかったぁ...」

 

そんなタウロスにルーシィは頭を抱える。

 

 

バルカン「うほっ!俺の女とるな!」

 

 

タウロス「俺の女?それはモォ聞き捨てなりませんな!」

 

 

バルカンの一言によって2人は...1匹と1体はにらみ合う。

 

 

ルーシィ「シオン!行ける?」

 

シオン「待ちくたびれたくらいだ。」

 

 

ルーシィはシオンに戦闘開始の確認をするとタウロスに指示を出す。

 

 

ルーシィ「タウロス!」

 

 

タウロス「モォォォォォォォレェェェェツッッッ!」

 

 

ルーシィの一言にタウロスは飛び上がり背中の大斧を振り回すと大地へと振り下ろす。

それと同時に帯電させていた雷を全身へと放出させたシオンもバルカンへと向かって駆け出す。

 

 

タウロスの攻撃により、地面が割れ、破片がバルカンへと飛ぶが、バルカンはそれを難なく回避する。

 

 

ルーシィ「速い!」

 

 

見た目に似合わず俊敏な動きを見せるバルカンに対し驚きを隠せないルーシィだがそんなことは御構い無しと言わんばかりにバルカンはタウロスへ攻撃態勢に入る。

 

 

シオン「いや!遅い!」

 

 

雷竜の翼は稲妻より速い。

シオンに言わせればバルカンの動きなど決して速くはなかった。

 

 

シオン「はぁ!」

 

ナツ「おらぁ!」

 

 

気合一閃シオンの拳はバルカンの顔を直撃した...と同時にタウロスもいつの間に戻ったのかしれないナツに蹴り飛ばされた。

 

 

バルカン「うほぉぉぉぉぉ...」

 

タウロス「モォォォォォォォ...」

 

ルーシィ「ナツ⁉︎」

 

 

ナツの登場もあり2人の異形の生き物は宙を舞う。

 

 

バルカン「うほ!」

 

タウロス「ダメ...無理ですモォ...」

 

ルーシィ「弱っ!」

 

 

バルカンは空中で体制を立て直し着地を決めたものの、タウロスの方は無様に地面に転がる。

こちらも見た目に似合わず打たれ弱いらしい。

 

 

ナツ「おいシオン!なんか怪物増えてんじゃねえか?」

 

シオン「ああ...いつの間に...」

 

ルーシィ「ああじゃないわよ!味方よ!味方!星霊よ!」

 

ナツ「猿が?」

 

ルーシィ「牛の方!」

 

 

天然ボケをかますナツにツッコムことを諦めたシオン、例に漏れずそれにツッコムルーシィ。

が、ルーシィがあることに気がつく。

 

 

ルーシィ「てゆーか、どうやって助かったの?」

 

シオン「間に合ったんだな!ハッピー!」

 

ハッピー「あい!」

 

ナツ「そーゆーことだ!ありがとな!」

 

 

先に述べた通り何も知らなかったのはルーシィだけでシオンは気づいていた。

するとルーシィはさらに続ける。

 

 

ルーシィ「てゆーかあんた乗り物ダメなのにハッピーは大丈夫なのね⁉︎」

 

ナツ「はあ?何言ってんだお前?ハッピーは乗り物じゃねえ...仲間だろ?」

 

シオン「その通りだ。オレもボヌールやハッピーに飛んでもらう時には酔わない。酔うはずがないだろ?仲間なんだから。」

 

シオン・ナツ『引くわぁ...』

 

ルーシィ「そ、そうねぇ...ごめんなさい...」

 

それに対してドン引きしながら正論?を返す2人。

と、そんなやり取りをしていると突如バルカンがキレる。

 

 

バルカン「俺の女ぁ!!!」

 

 

そう叫んだバルカンは飛び上がり、その大きな拳を振り下ろす。

が、ダメージを与えることは叶わずその拳はナツの拳により止められる。

 

 

ナツ「いいか?妖精の尻尾のメンバーは全員仲間だ!」

 

 

シオン「そして、大切な家族だ!」

 

 

その瞬間バルカンに対してシオンが蹴りを叩き込み、吹き飛ばす。

 

 

ナツ「じっちゃんやミラも...ウゼェ奴だがグレイやエルフマンも...」

 

 

シオン「そしてもちろんボヌールやハッピー、ルーシィも...」

 

 

バルカンが2人に突撃してくるが2人は続ける。

 

 

シオン・ナツ『皆仲間だ...。』

 

 

2人は魔力を解放する。

 

 

シオン・ナツ『だから俺たちは...マカオを連れて帰るんだ!』

 

 

2人は同時に跳躍すると雷、そして炎を纏った蹴りをバルカンに叩き込む。

すると、2人の足から雷、炎が噴射しバルカンを吹き飛ばす。

その衝撃で天井に激突し、天井の氷柱が槍のように降り注ぐ。

が、さすがのバルカンも体制を立て直し雄叫びをあげる。

 

 

バルカン「うっきぃぃぃぃぃ!」

 

それと同時にバルカンが手を叩くような動きをすると、強烈な風圧とそれにより飛ばされた氷柱がシオン達を襲う。

 

 

ルーシィ「いやぁぁぁぁぁ!」

 

それをルーシィはギリギリ避ける。

 

シオン「チッ...めんどくせえ真似しやがる...」

 

シオンは持ち前のスピードで難なく回避する。

が、ナツは両手を広げそれを受け止めている。

 

 

ナツ「火にはそんなもん効かぁん!」

 

 

ナツに当たった氷柱達は彼の熱の前に簡単に蒸発していく。

それにより辺りは蒸気に包まれ少しの間真っ白になる。

 

 

シオン「クソっ!あのバカ...敵が見えねえ...」

 

 

目が使えずなす術のないシオン達が身構えていると、徐々に蒸気が晴れ、視力が回復する。

少しずつ、バルカンのシルエットがはっきりしていく。

 

 

バルカン「うほっ」

 

 

そして完全にバルカンの姿が確認できたときそこにいた全員が驚愕した。

そこには大斧を構えたバルカンがいた。

 

 

ナツ「おっと⁉︎」

 

シオン「クソが...」

 

ルーシィ「タウロスの斧⁉︎」

 

タウロス「ルーシィさ〜ん...」

 

そんな3人を他所にタウロスは伸びている。

 

 

バルカン「うほぉい!」

 

バルカンが大斧を振り回す。

それをナツは最小限の動きで回避していく。

が...再び足を滑らせたナツは転倒する。

バルカンはここぞとばかりにナツに大斧を振り下ろす。

 

 

シオン「てめぇ...オレのこと忘れてんじゃねぇだろうな⁉︎」

 

しかしその大斧は寸での所でシオンにより止められる。

真剣白刃取りだ。

実戦で使うのにはかなり危険な技ではあるが、稲妻より速く動けるシオンの動体視力を持ってすれば難しいことではない。

 

 

シオン「ぐ...ががががががが...」

 

そう。

止めるところまでは難しくない。

しかしバルカンとシオンの圧倒的な体格の差、そして立ち上がっているバルカンに対してしゃがんでいるシオンという地理的な不利性も相まり、シオンは押されていた。

 

 

ナツ「シオーン!」

 

 

ルーシィ「タウロス!戻りなさい!そうすればあの斧も消えるのよ〜!」

 

ルーシィは必死にタウロスに呼びかけるが相も変わらずタウロスは伸びている。

 

 

シオン「う...ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

シオンは叫びをあげると更に力を込める。

そして微弱な電流を腕の筋肉に流していく。

人間は本来の筋力をほとんど使えていないというのは、よく言われることだ。

シオンはそれを、己の雷で強制的に解放した。

そしてその強化された筋力で斧を吹き飛ばす。

それによりバルカンは体制を崩した。

 

ルーシィ「パワーを上げた?自分の体を感電させて...無理やり?シオン!これで一気に!」

 

ボヌール「あい!」

 

 

この時ルーシィはシオンの勝利を確信した。

が、シオンは本来使えない筋力を使用したのだ。

筋力への負担は想像を絶する。

更には己を感電させている。

本来、雷竜の鱗は絶縁体と呼ばれる。

要するに電気を通さない。

それと雷を食べるという特徴からシオンは雷属性には耐性がある。

しかしシオンとて人間である。

故にシオンは現在感電している。

全身の痙攣で動けない状態だった。

 

 

シオン「ナツーーーーーーー!!!」

 

 

それでもシオンは1人ではなかった。

信じていた。

仲間を。

家族を。

 

 

ナツ「任せろ!」

 

 

その言葉に呼応するようにナツは拳と拳を打ち付ける。

 

 

ナツ「いくぞぉ!火竜の鉄拳!」

 

 

その拳はバルカンを捕らえ、吹き飛ばした。

 

 

ハッピー「やったあ!」

 

ルーシィ「あーあ...この猿にマカオさんの居場所聞くんじゃなかったの?」

 

シオン「こりゃ...完全に伸びてんな...叩きおこすか?」

 

 

そんな会話をしていると、突然バルカンが輝きだした。

3人は咄嗟に目を塞ぐ。

 

 

ナツ「なんだ⁉︎」

 

ルーシィ「なに⁉︎」

 

シオン「魔法...陣⁉︎」

 

 

各々が驚きつつ、バルカンの方に再び向き直る。

 

 

ナツ「な⁉︎...マカオ⁉︎」

 

ルーシィ「ええ⁉︎この人が⁉︎さっきまでエロ猿でしたが?」

 

シオン「て、テイクオーバー⁉︎」

 

 

 

そこにはバルカン...ではなくマカオがいた。

 

 

ハッピー「バルカンにテイクオーバーされてたんだ。」

 

ルーシィ「テイクオーバー?」

 

シオン「体を乗っ取る魔法だ。どうやらバルカンは人間を接収...つまりはテイクオーバーすることで生き繋ぐモンスターだったらしいな。」

 

 

 

それからシオン達はマカオに応急処置を施し、休ませている。

 

 

ハッピー「テイクオーバーされる前に相当激しく戦ったみたいだね...」

 

 

ナツ「マカオ!死ぬんじゃねぇぞ!ロメオが待ってんだ!目ぇ開けろ!」

 

シオン「マカオてめぇ!ガキ残して死にやがったらぶっ殺すかんな!」

 

 

するとその呼びかけに応えるようにマカオが目を覚ました。

 

 

マカオ「ナツ...シオン...」

 

 

その瞬間、それまで険しい顔をしていたナツとシオンに笑顔が戻る。

 

 

シオン・ナツ『マカオ!』

 

 

マカオ「情けねぇ19匹は倒したんだ。20匹目にテイクオーバーされちまった。」

 

ルーシィはあのバルカンを19匹倒したと聞いて驚きを隠せない様子だ。

 

 

マカオ「ムカつくぜ。これじゃロメオに会わす顔がねぇ。」

 

 

が、マカオは納得が行っていないようだ。

 

 

ナツ「そんだけ倒せば上等だ!」

 

シオン「ああ。あんま言いたくねえけどオレ達ゃ3人がかりで1匹だからな。」

 

 

そう言いながらシオンとナツはマカオに手を差し伸べる。

 

 

ナツ「帰ろうぜ!ロメオのとこによ!」

 

シオン「きっとあいつ今頃首長くして待ってるぜ!」

 

2人の微笑みにマカオも笑みがこぼれる。

 

 

ハッピー「ルーシィはなににやけてるの?」

 

ボヌール「怖いよ...」

 

ルーシィ「ヒゲ抜くわよ?猫ちゃん達...」

 

 

 

 

 

 

 

【マグノリア】

 

ここはマグノリア。

ハコベ山から帰ってきた為、もう夕方である。

 

 

シオン・ナツ『ロメオ〜!』

 

 

ロメオ「とうちゃぁん!」

 

 

ロメオは涙を浮かべながらマカオへと飛びついた。

シオン達はそれを嬉しそうに、そして誇らしげに眺めている。

 

 

ロメオ「とーちゃん!ごめん!オレ!」

 

マカオ「心配かけたなぁ...すまねぇ。」

 

ロメオ「いいんだ!オレは魔導師の息子だから!」

 

マカオ「今度クソガキどもに絡まれたらこう言ってやれ!てめぇの親父に怪物19匹は倒せんのかってよぉ!」

 

 

そんなやり取りを見ていたシオン達はギルドへの帰路へつく。

 

シオン「さてと...オレ達もそろそろ行くぞ!」

 

ナツ「おう!」

 

ルーシィ「うん!」

 

 

ロメオ「ナツにぃぃぃぃぃ!!!シオンにぃぃぃぃぃ!!!ありがとーーーーー!!!」

 

するとロメオの声が聞こえてきた。

 

 

ナツ「おう!」

 

ナツは返事をしたが、シオンは黙っていた。

その代わりに人差し指を天へと高々と掲げる。

妖精の尻尾式の挨拶。

マカオへの敬意も込めたようだ。

 

ロメオ「それと...ルーシィねぇもありがとぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

ルーシィはロメオに対して少し照れ臭そうに手を振った。

 

 

 

 




ルーシィ「マカオさん見つかってよかったね!」

ナツ「ところでよー...ルーシィってなんかしてたか?」

シオン「してただろ〜?時計に入ったり牛呼んだり...」

ルーシィ「仲間にそんなこと言うのー?傷ついちゃう♡」

ナツ・シオン『あそ』

シオン「まあいいや...とにかく皆、次回もよろしくな!」

ボヌール「あい!」
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