真斗は足音を立てて走ってユリスの所へ近付いた。
「ユリス!大丈夫か⁉︎」
「真斗ッ……!」
ユリスは思わず奥歯を噛んだ。真斗を巻き込むつもりは無かったのに、と。そんなユリスの気も知らずに真斗はユリスを見ている。が、その真斗の前に人形が立ちふさがった。
「……ああ、絢辻真斗くんでしたか。何やってる、と聞きましたね?見ればわかるでしょう」
言うと、ニヤリと笑うサイラス。
「邪魔者を排除しようとしてるんですよ」
「……テメェにユリスがどう邪魔になるってんだ」
「近々行われる鳳凰星武祭で、彼女を邪魔に思っている方がいらっしゃるんですよ。それを阻止するのに依頼されたというわけです」
「……たかが学生のイベントで闇討ちなんて、情けねぇと思わねぇのか‼︎」
「さぁ?僕は金がもらえればそれで十分ですから。あなたも仕事の邪魔をするなら、ここで殺しますよ」
銃を構える人形達。
「やってみろよ。お前みたいに、自分の拳も汚さねぇで、喧嘩を人形任せにしてるような奴に、負けられるかよ!」
真斗は正面から走り込んだ。
「やれ」
サイラスの号令で真斗に乱射する人形達。それをまったく気にせずに真斗は突っ込んだ。銃弾が直撃し、血が噴き出るも、真斗は前に進み、剣を出した。
「邪魔だァァァァッッ‼︎」
そのまま人形を力任せに叩き斬った。ビギッ!と人形に減り込むが、大破させるほどのダメージではない。にも関わらず、ガシャアンと、音を立てて人形は倒れた。
「っ⁉︎ 何だと」
「そうか……どうやらテメェの人形は魔法によって操ってるみたいだ、な!」
言いながら自分の眼の前に並ぶ三体を叩き斬った。人形に掛かっている魔法が剣に吸収され、ガシャンと倒れる。そして、ユリスの元へ走った。
「な、何をしてる!動け!」
デッカい斧を持った人形が真斗に迫る。そして、斧を振りかぶり、思いっきり振り下ろした。が、振り下ろされた所に真斗はいない。
「……特訓の成果が出てるな」
いつの間にか人形の、背後を取った真斗は後ろから斬って倒した。で、ユリスに張り付いてる人形をあっさり倒すと、倒れそうになるユリスを抱えた。
「大丈夫かユリス!」
「……ッ!馬鹿者!何をしにここまで来た⁉︎」
「ば、馬鹿⁉︎」
「ああそうだ!何のために今日は休みにしたと思ってる!天霧との約束はどうした!」
「すっぽかした」
「ほら見ろ馬鹿だ!こんな、ボロボロになって……!」
「馬鹿はお前だ馬鹿!」
「んなっ……⁉︎」
怒鳴り返され、思わず怯むユリス。
「1人で突っ走りやがって!ご丁寧にあの紙机の中に置いて行きやがって……本当は助けてほしかったんじゃねぇのかよ!」
「んなっ……」
かあっと顔が熱くなるユリス。
「ち、違う!そんなわけあるか‼︎というか人の机の中勝手に見たのかお前は!」
「ならなんであれ机の中に置いてった!あんなもん見ちまったら、助けるしか無くなるだろうがッ‼︎」
「ッ……‼︎」
何も言えなくなるユリス。そのユリスの頭の上に真斗は手を置くと、言った。
「もう1人で戦おうとなんてするなよ。孤児院の子達、助けるんだろ?だったら、俺もそれを半分背負ってやるからさ」
どくんっと、何かがユリスの中で高鳴った。頬が赤く染まる。すると、サイレスの声が響いた。
「もうお話は終わりですか?そろそろ片付けたいのですが」
「律儀に待っててくれたのか。お約束の守れるもやしじゃねぇか」
「もやしはやめて」
「じゃあエノキダケ」
「変わってねぇですよ」
「大根の葉」
「ドンドン細くなってますよぉ⁉︎」
「ま、俺もそろそろ終わらせたいとは思ってたからな。やってやるよ」
言いながら血だらけの真斗はサイラスを睨んだ。
「ククッ、そんな体で何が出来るというのですか。今にも倒れそうなんじゃないんですか?」
「はっ、舐めんな。ボコボコにされんのは慣れてんだよ」
「いやそれ自慢にならねぇから。まぁいいですよ、それならもっとボコボコにしてあげます!」
言いながら指を鳴らすサイラス。その瞬間、銃を乱射する人形。真斗はユリスの腕を握って柱の後ろに隠れた。
「ユリス、お前は逃げろ」
「なっ、何を言ってる真斗!お前1人で勝てると……!」
「勝てない。けど奴の狙いはお前だ。だから、」
真剣な顔で真斗は言った。
「助けを呼んできてくれ」
「……………」
「お前とレスラーが2人がかりで勝てない相手に俺が勝てるワケがない。だから助けを呼んできて下さい」
「…………呆れた。自信満々で助けに来たと思えば……あとレスターだ」
「い、いいから!ご主人様として命令だ!」
「分かった。ご主人様の命令なら仕方ないな。ただし、奴隷として命令する」
「えっ?奴隷としてっておかしくね?」
「黙れ。命令だ。死ぬなよ」
「どっちが?黙ればいいの?死なないこと?」
「死なないことだ!」
「分かってる。死んでたまるかってんだよ」
「ならいい」
真斗は柱から出て、ユリスは廃ビルから出た。
「1人で僕と戦うつもりですか?」
「ああ。知ってるか?漫画やアニメで細いヤツってのは、大抵強いんだぜ?」
「……あ、ああ。お褒めにいただき光栄です」
「あれ?褒めてた?」
「はい」
「……………」
「……………」
「行くぞおおおおおお‼︎」
「会話の最中だろうがぁああああッッ‼︎」
人形と戦い始める真斗。が、有利なのは真斗で、こっちは剣をぶつければ敵を倒せる。次々に敵を倒していった。
「チィッ……!相性は最悪ですね。なら!」
すると、前衛に斧や剣装備、そして後衛に遠距離を付けた。
「そんなのが何体来たって、同じだろうが!」
前衛の近距離装備達を倒す真斗。その真斗に遠距離装備の奴がクロスボウを向ける。
「っ⁉︎」
「死ねェ!」
だが、その遠距離人形が叩き潰された。
「っ⁉︎ レントラー⁉︎」
「レスラーだ!じゃない、レスターだ!いい加減覚えろ!……テメェが根性見せてんのに、俺がヘバッてられるかよ!」
「……そりゃ助かるぜ」
「ッ! この死に損ない共がァアアアアッ‼︎」
口調を崩してサイラスは怒鳴った。二人で敵を叩いた。