王女様を奴隷にしてしまいました   作:フリーザ様

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結局、最後まで立っていたのは真斗1人だった。が、真斗も無事ではない。ボッコボコになった身体に無理矢理言うことを聞かせて、なんとか立っていた。

 

「………口ほどにもねぇ奴らだ」

 

「アホんだらー!」

 

後ろからガンッ!とユリスに殴られた。

 

「って!何すんだよ!」

 

「よくもまぁこんな泥試合を続けられるものだなお前は!」

 

「いいだろ。勝ったんだから……いてて」

 

「……もしかして、お前のその喧嘩スキルというのはこんなことを繰り返してついたものなのか?」

 

「え?うん?まぁ、そうかな?」

 

「なんで全部疑問形だ……。まったくバカ者が……」

 

ため息をつくユリス。

 

「とにかく、手当してやる。帰るぞ」

 

「へ?て、手当てしてくれるの?」

 

「私に手を出させない為にあえて1人で戦っていたんだろう?それくらいは見抜ける」

 

「まぁ、その通りだけど……」

 

「まったく馬鹿者が……まぁいい。そのザマでは午後の特訓もついてこれないだろう。手当てくらいはしてやる」

 

「なんか、悪いね」

 

「いいから行くぞ」

 

2人はとりあえず学校の方に戻った。

 

 

 

 

ユリスの部屋。まずは手当てすることになった。

 

「……なんか、悪いね」

 

「謝らなくていい。しかし、意外だな。お前は割と喧嘩っ早い奴だったんだな」

 

「まぁ、やられっぱなしは腹立つからね。それに、あのまま喧嘩引き受けないと、お察しの通りユリスに手ぇ出されちゃうからな」

 

「私があんな卑怯者に負けると?」

 

「いや、やり過ぎて殺しちゃうんじゃないかなーって……」

 

「……お前は私をなんだと思ってる」

 

「炎の女王」

 

「………大体合ってるのが腹立つ」

 

で、まずはブン殴られた顔に湿布を貼る。あまり、というか全く女性に顔を触られる機会は無かったから、思わず顔を赤くする真斗。

 

「……顔が赤いぞ」

 

「るせーな。誰のせいだ誰の」

 

「………?」

 

本当に不思議そうな顔でキョトンと首を傾げるユリス。それに半分イラッとしつつも、真斗は目を逸らした。ちょうどその先には写真が飾ってあった。子供の写真なのか、写ってるほとんどが小学生だ。

その真斗の視線に気付いたのか、ユリスが慌てた様子でその写真を奪った。

 

「なっ、何を勝手に見ている⁉︎」

 

「……なぁ、ユリスってロリコンかショタコンなのか?」

 

「何故そうなる!普通に考えれば子供の頃の写真だろうが!」

 

「あり得ない!ユリスに友達がいてたまるか!」

 

「どういう意味だそれは!」

 

「だってほとんど初対面の男に炎飛ばしまくる女だぜ?そりゃ友達どころかお近付きにも……」

 

「その口を今すぐ閉じないと傷口を広げるぞ……」

 

「すいませんでした!」

 

とりあえず速攻で謝った。

 

「いやでも、本当に友達居たんだな……」

 

「まだ言うか貴様……!」

 

「いやそういう意味じゃなくて!友達いたってことは今みたいにツンツンしてなかったろうにどうやってできたんだろーなーって」

 

「……まぁ、少しキッカケがあってな。私はこう見えてお転婆だったんだ」

 

「見たまんま」

 

「……………」

 

「傷口を引っ搔かなああああ!」

 

絶叫されたので手を止めて、手当を再開するユリス。

 

「よく勝手に宮殿を抜け出していたんだ。まぁ、窮屈だったんだろうな。で、いつものようにその日も抜け出したんだが、道に迷ってしまったんだ。知らないうちに貧民街の方へ行ってしまった。そんな場所に裕福な子供が迷い込めば、まぁいい的になるな」

 

(昔から怖いもの知らずだったんだな)

 

「その頃、私の力も……そうだな。ライターくらいの力か。戦闘には役に立たないし、仮に当時から火拳くらいの力が出せても、喧嘩の一つの経験もなかったからどうしようもなかっただろう」

 

(ワンピース読んでんのかよ)

 

「すぐに私は路地裏に連れ込まれ、何もできずに泣きじゃくっていた。そんな時に助けてくれたのが、写真の中の私の周りの奴らだ。その時の私の気持ちがわかるか?まさしく彼女たちはヒーローだった」

 

(ヒーローって……)

 

「宮殿に戻って調べてもらい、彼女たちは貧困街にある孤児院の子供だと分かった。それ以来、私はよくそこの子供たちに付いて回るようになってな。最初は当然疎まれたが、しつこく通っているうちになんとか仲良くなることが出来た」

 

「あーお前しつこいもんな。火拳というより麦わらじゃね?」

 

「そうかそうか、傷口に塩を塗って欲しいか」

 

「すいませんでした。でも、親は何も言わなかったのか?」

 

「その頃には父も母も亡くなっていた。周囲はうるさかったが、私はあまり気にしなかったぞ」

 

「えっ?そなの?」

 

「うん?知らなかったのか?今のラーゼルタニアの国王は私の兄上だ」

 

「兄貴いるのにそんな躾がなってないの⁉︎」

 

「お前にその台詞をそっくり返してやろう」

 

「ごめん悪かったからその塩しまって」

 

「で、調べてみて驚いたのが、その孤児院は母の創設した基金で作られたものだったということだ。さすがに奇妙な縁を感じたぞ」

 

「そりゃ、確かに縁があったのかもな」

 

「とはいえ、その基金もすでにない。孤児の数は年々増えたし、資金も厳しくなっている。だからこそ、私はここに来て、今度は私が子供達を助けるためにな。今、あの子達を助けられるのは、悲しいことに金だからだ」

 

「……なるほど。大変だなお前も。面白そうだからここに来た俺とは大違いだ」

 

「そんな理由なんて無くても、お前と一緒なんて真っ平ゴメンだがな。……さて、手当は終わりだ」

 

「おお。サンキュー。じゃあまた明日な」

 

「何を言っている。特訓の後半を再開するぞ」

 

「…………」

 

2人は演習室に向かった。

 

 

 

 

翌日、傷だらけの顔に湿布やら何やらを貼っつけた真斗が教室に入った。

 

「はよーっす」

 

「おう、絢辻」

 

綾斗とテキトーに挨拶を交わした。

 

「随分とお疲れだね」

 

「ああ……そこのピンク髪のお姫様にしごかれてたんだ。なぁ、ユリス?」

 

「…………」

 

だが、ユリスからの答えはない。

 

「おーい、ユリス?」

 

「! な、なんだ真斗?」

 

随分と慌てた様子で、読んでいた手紙のようなものを机の上に隠すユリス。

 

「今日もやるんだよな?あれ」

 

「いや、すまない。今日は別件の用事がある」

 

「は?」

 

「だから、今日は休みにしてやる」

 

「…………?」

 

それ以上は聞いても教えてくれそうになかったので、追求しなかった。

 

「……どうしたのあれ?」

 

「さぁ……ていうか、アレってなんだ?」

 

「ああ、俺の剣の修行をしてくれてるんだよ」

 

「ふーん……お姫様も意外なところあるんだね」

 

「まぁ、多分根はいい奴だからな。炎飛ばしてくるけど」

 

「あ、でも今日は空いてるんだよね?今度は街を色々案内してくれないかな?」

 

「いいよ」

 

「じゃ、放課後な」

 

言いながら、2人は席に着いた。

 

 

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