超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神   作:燐2

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その声に耳を傾けよ

ーーーなんだか、すごいことになっているなぁ。

 

『一応、君にとっては隣人のような存在なんだし、何か言ってやってよ』

 

ーーー無理だな。あいつにとって世界を陥れる行いは人間でいう呼吸をしているようなものだ。

 

『なんてはた迷惑』

 

ーーーけど、それも終わるさ

 

『どうして?』

 

ーーー空が見ているのは邪神で、ナイアさんが見ているのは空なんだから

 

『意味が分からないんだけど?』

 

ーーーくくく、まぁ見てれば分かるさ……ま、そろそろ話さないとな

 

 

 

 

 

地上で強大な熱量を持った爆発が起きた。

大気を激しく揺らして、建物が圧倒的な熱量と爆風によって一気に溶解していく。

両手に武器を持ち、下半身が亀の甲羅とそこから伸びている蠍のような尻尾を持つロボットと細い四足で背中には巨大な翼をもった限りなく人に近い形をしたロボットの二種類のロボットがミサイルコンテナを開き、ミサイルをばら撒く。魔法が発達しているルウィーの本教会には、強固な魔法防御陣はあるものの、同じ場所を的確に撃ち込まれ続ければ限界が来る。悲鳴を上げるように女神の加護を受けた防御陣が砕け散って、手薄となった教会に更なる爆発物が撃ち込まれる。

 

それを黙って見ている筈もなく、建物から多くの人がその手に持つ杖を振ると魔法陣が展開され、そこから幾多の氷の槍が飛び出しロボットの群に撃ち込められるが大した傷を付けられず、アイカメラが人にへと向けられる。

同時にバーニアが火を噴き、距離を詰めるが、杖を重ね合いお互いの魔力を何重に練った氷の大槍が、ロボットの上半身に突き刺さり爆発を起こした。

 

「いったい何体いるんだよ。こいつ等は!!」

 

男が叫んだ。空から雪と共に降りてくるロボットの数は異常の一言だった。部隊を率いる隊長機らしきロボットが10体、そしてその歩兵と呼べるロボットが30体だ。頭数ではこちらの方が圧倒的に上だが、いくらなんでも火力が違いすぎる。教会で支給される祭服には女神の加護により、頑丈に造られているがミサイルが数発でも直撃すれば、流石に耐え切れない。

リーダー格のロボットが前に出た。肩部が開きそこには巨大な主砲が顔出す。それに気づいた数人が氷の槍を主砲目掛けて突き刺すことで止めるが、全ての主砲を潰すことは叶わず極太のレーザーが放たれる。射線上にいた人間が消えた。肉も、血も、髪の一片も残さずに。

 

「---死にたくない」

 

蹂躙が始まる。ある物はモーニングスターで押しつぶされ、ある物はミサイルで吹き飛び、ある物はアックスで切り裂かれた。悲鳴が、絶望がまるでオーケストラのように奏でられる。断末魔がピアノとなって、爆発音がティンパニとなり、ロボットの崩れる音がバイオリンとなって、逃げ惑う足音がホルンのように。

それを見下ろす一人の青年は、なんとも幸福そうな顔でそれを見ていた。

 

「美しい」

 

空気を吸うだけで、尽きる命がある。吐くだけで飛び散る命がある。

逃げ惑う人がいる。恐怖のあまり家族の名を口する人がいる。勇気を奮い讃えてロボットに立ち向かう人がいる。それは正に人間の賛歌だ。格下たる人間の無垢な感情を壊してしまうほど強く愛してしまうほどに美しい。

 

「しかし……」

 

これではいつもやっていることと同じことだ。この世界はこんなことをしなくても深い絶望を孕んだ人間にそれなりに強力な魔導書か外道の知識を教え込んでしまえば、勝手に自滅していく。だが、この世界では神が人の目線で常に顕現しているため、そのような手は効かないだろう。何故ならこの世界の善なる神はいても、その対となる神は存在しないからだ。

 

「サードブレイク!!」

 

ドンっと大砲でも撃たれたような衝撃共にキラーマシンの二体が一気に吹き飛ばされる。地面に叩きつけられたて積もった雪が津波のように流れた。

 

ーーー来た。この世界の善なる神が。

彼/彼女と比べると、無残に思えるほど、ひ弱で、小さく、軟弱な神が。

 

疑問が思考を埋め尽くされる。どうして彼/彼女が彼女たちに肩入れをするのだろうか?初恋をした神の因子を受け継ぐものだろうか?それともただの好みだったのか?ーーーいや、ない。絶対に彼/彼女は気に入ったあいつとなら例外を除き突き放す筈だ。だとすれば、鍛え上げる。教育するために彼女たちを前に立ち塞がるのだろうか?

 

あぁ、くだらない。彼/彼女の耳に残る神籟が激しく妬ましい。

こっちは彼/彼女の瞳を釘着けにするために様々なことをしてきたのに。

罪遺物から離れ、始原なる闇(ティシフォネ)から離れ、神殺しの頂点(パンテオン・エヘクトル)は王の元で暮らしている。そして、彼/彼女でたっぷり遊ぼうと思ったのにこんな過小な世界に執着心を復活させてこの世界に縛られている。

 

「彼/彼女の困苦を見届け煽り喜ぶのは、私だけの特権だ」

 

キラーマシンとハードブレイカーの女神殺しの機構が動き出す。

FDVシステム、この世界の女神の源であるシェアエナジーを吸収して物理的なエネルギーに変換することで一方的に攻勢に回ることが出来る彼/彼女の視線を釘着けにするためだけに造った作品。試作品は人間に渡して十分にデータを取り一応完成させている。

白き女神が膝を付き、ロボットが性能を上げて攻勢に入る。人間は必死に魔法で攻撃をするが女神のエネルギーを吸収した彼らは、地獄から放たれた悪鬼の如く蹂躙する。一体のハードブレイカーが教会に潜入して、内側から破壊し始める。子供だろうが、赤ん坊だろうが、殺せ。それで彼/彼女の視線がこちらに向くなら。

 

「あぁ、来た。我が愛しき者よ」

 

そんな白金の鎧を付けないでおくれ。この世界の有象無象の弱小な女神と同じようにならないでおくれ。

枯れ葉の様に散ってしまった初恋は忘れて、本来の貴方に戻っておくれ。

 

 

 

 

 

 

「分かっていると思うけど、現地に着いたら女神化は解除しろよパープルハート!ガソリンに火を突っ込むようなことだからね!!」

 

「えぇ、分かっているわ」

 

教会に火が上がった。それに俺達は全速力で場に急いでいた。

敵は恐らく、FDVシステムを搭載しているキラーマシンとハードブレイカー、近くなっていく教会を見ればまるで照明に群がる虫のように集まっている。

 

「既にあんなに量産していたの!?世界征服を目指している訳じゃあるまいし」

 

「明らかに過剰戦力ね。あれを知らないホワイトハートが心配だわ」

 

「コンパはいるだろう怪我人を誘導して、僕が突っ込んで拡散させるから、紅夜達は各個撃破!多分知らず女神化して弱っているホワイトハートを確保してなんとか押し返せ!出来なければルウィーが終わる!」

 

空の言葉に全員が力強く返事をする。

あそこには、空と共に運んだ女神候補生のロムちゃんとラムちゃんがいて、女神ホワイトハートと教祖である西沢ミナさんもいたはずだ!このメンバーで一番早い空がコンパとアイエフを抱えて疾走する。それを大急ぎで女神化したネプテューヌと俺が追いかける。

 

「守って見せる、救って見せる…!」

 

「あぁ、その意気だ。ネプテューヌ!!」

 

決意を新たにした女神パープルハートと共に俺達は本教会に向った。

そこは正に戦場だった。ラステイションで見たキラーマシンとハードブレイカーが教会に攻撃して、周囲の人間が必死で魔法を攻撃している。地面には既に倒れて動きもしない人間と爆発物のクレーターが幾多にも広がっている。

 

「一発デカい花火を上げる!!」

 

その惨状に思わず目を逸らした俺達に喝をいれるように女神化を解除した空が叫ぶ。

その手には、見惚れる程美しい一丁の回転式拳銃が握られていた。空の声に気付いたのかキラーマシン五機とハードブレイカー一機が空に銃口が向けるが、既に霊的存在の物質化を促進させる霊薬『イブン・ガズイの粉薬』で造られた特殊弾丸がセットされている拳銃の引き金が引かれた。

 

 

「ヴァルヴァトス《神獣形態》!!!」

 

二つの角を持った幻想的なドラゴンが放たれた。莫大な熱量をもった白き魔龍が、キラーマシンとハードブレイカーの群を一気に飲み込み、森林を焼滅しながら、爆音と共に銃口の先に合った山に風穴を空けた。

 

「……やりすぎじゃねぇ?」

 

「行くよ!!」

 

「無視かよ!」

 

拳銃を投げ捨てて、その手に黄金の剣『クタニド』と『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』の二刀流を構えた空は躊躇なくロボットの群に突撃した。

 

「……俺達も行くぞ!」

 

「「「おぉ!!」」」

 

空が超人的な動きで次々にロボットを切り裂いて弱体化している。

女神化が出来ないネプテューヌに変わり、アイエフが腕を切り捨てられて火花をキラーマシン目掛けて走り出す。キラーマシンは、片腕でアックスをアイエフ目掛けて振り下ろすが、紙一重でそれを躱してアックスの棒を駆け巡り、跳躍して顔部に着地した。

 

「---はぁ!」

 

装甲の間を見切ったカタールの刺撃がアイカメラを破壊して、キラーマシンは目標を失った様に武器をミサイルコンテナを開く、アイエフはその場から跳躍してその場を離れた時、俺とネプテューヌは懐に潜り込んで得物を振るっていた。

 

「「ヴィクトリースラッシュ!!」」

 

キラーマシンの装甲に二つの軌跡が走って、崩れ落ちて爆発する。

 

「ナイス、アイエフ!」

 

「あの空の舐めきった模擬戦の経験が役に立ったわ!」

 

巣から出てくる蟻の如くキラーマシンが迫ってくるが、どれもが火花を上げている。向こうではハードブレイカーやキラーマシン相手に無双している空がいた。想像を絶する怪力に鮮明された剣術に固定武器を次々破壊されていき、吹き飛ばされる。俺達の後ろではコンパが怪我をして動けない人を安全な場所まで運んでいる姿が合った。

 

「ッ、ホワイトハート様がどこだ!?」

 

「こぅちゃん、また一杯来るよ!まるでゲイムギョウ界防衛軍4をプレイしているみたいだよ~!」

 

実際にあんな感じで襲ってきたら絶望しかないぞ!?蜘蛛は鬼畜!

 

「泣き言、言っている場合じゃないわよ!!」

 

降り注ぐミサイルをアフーム=ザーとイォマグヌットで迎撃するが、全てを撃ち落とすことは出来ずミサイルが爆発する。視界が真っ白に染まる。

 

「「紅夜!/こぅちゃん!?」」

 

「ッ、大丈夫だ!」

 

『ギリギリだね!!』

 

瞬間、漆黒の皇神鎧(アーリマン・ディメイザスケイルメイル)を展開することダメージはない。けど、使ってしまった以上、あと一分でなんとかしないと!

 

「行くぞ!!」

 

『サポートは任せて!』

 

腕の籠手にある黒い宝玉から龍の手が伸びアフーム=ザーとイォマグヌットを掴んだ。これはありがたい!黒曜日を二刀にして迫ってくるキラーマシンと一刀両断に切り裂き、デペアが操る龍の手がミサイル等を撃ち落としていく。空との模擬戦に鍛えられたアイエフとネプテューヌと協力して、少しずつキラーマシンを撃退していく。そんな中で、地面に倒れているネプテューヌぐらいの少女が地面に倒れているのを見つけた。

 

『あの娘、女神だ!』

 

「チッ!!」

 

スラスターの出力を全開にして、ビームブレイドを振り下ろしていたハードブレイカーから少女を抱えて、その場から離れる。頭上にミサイルの雨が降り注いで来たのをデペアが撃ち落とした。

 

「ホワイトハート様聞こえるか!?直ぐに女神化を解除しろ!!」

 

スクール水着のような服装に水色をした髪をした妖精のような容姿をしているホワイトハート様に声を掛ける。俺の声が聞こえたのか、女神化が解除されコートを羽織った少女に戻った。顔色は悪くシェアエネジーをかなり吸われて意識がほとんどなかった。女神化が解除されたのも、疲労が重なった影響だろう。

 

『紅夜、前だ!』

 

引き離していたハードブレイカーが一瞬で距離を詰めてきた。FDVシステムによる強化か!。

振り落されたビームブレイドを体を捻って回避すると、奴の首元に黒曜日を突き刺して装甲に穴を空けて、兜から伸びた触手を捻じ込む。

 

Drain(ドレイン)!!!』『Drain(ドレイン)!!!』『Drain(ドレイン)!!!』

 

機能不全に陥るまでにエネルギーを吸い取ろうとするが、俺目掛けて墜ちてくるミサイルにハードブレイカーを蹴り飛ばしてミサイルの盾にした。足のスラスターを吹かしながら、その場を離れる。今の俺はホワイトハート様を抱えた状態で、こんな戦場のど真ん中だ。非常に不味い!

 

「紅夜、先に行ってその子をコンパの元に!」

 

「少しくらいなら、抑えてみせるよ!」

 

「すまん、ネプテューヌ!アイエフ!」

 

既に鎧顕現のタイムリミットが始まっている筈だ。俺は急いで、一時撤退をしようとするがキラーマシン共はホワイトハートのシェアエナジーの臭いを覚えたのか必要に追いかけてくる。レーザーを回避して、ミサイルの処理はデペアに任せていると一気に力が抜けた。鎧が解除されてしまった。

 

「デペア!?」

 

『ご、ごめん…これ以上は!』

 

アックスが振り下ろされる黒曜日で受け止めるが、片手じゃ抑えきれない!

 

「「紅夜/こぅちゃん!!」」

 

ネプテューヌ達が来ようとするが、キラーマシンの手によって道を塞がれて増援は絶望的だ。

 

「う、……ロ、ム…、…ラム…」

 

顔色悪くして息を荒くするこの手に抱えているホワイトハート様。

絶望的な状況だ、いつまで手が持つか分からない。ギリギリとまるで火花を上げる黒曜日と少しずつ下がっていく足腰。ありったけの魔力で強化して、歯を食い縛り、なんとか立ち上がるが、体中が悲鳴を上げる。

腕の中では、意識を失いかけても妹達の事を心配する女神様がいる。

 

「あぁ、理不尽だよ……!」

 

これまでいろんなことに努力しても、こんなところで実らないと全然役にたたないじゃないか!

人の命が、この国の未来が掛かっているんだぞ!あぁ、くそ!罪遺物でも、邪神でもなんでもいい!

 

もう一度、渇望(・・)した。

力が欲しい!この絶望的な状況を圧倒的力でねじ伏せれるだけの力が!今を掴むことが出来る力が!

代償なんてない。俺が積み上げてきた物は、この世界で生きていた一年間だけだ。だけど、それは誰にも手に入れることが出来ない至高の物だ!俺だけの物だ。他ならなんでもくれてやる。目でも、舌でも、足でも手でも!なんでも、喜んで差し上げてやる!!!

 

 

だから、俺に力を寄こせぇぇぇぇ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー横暴だな。だが、その魂の叫びは気に入った。

 

俺の声が脳内に響いた同時に、俺の意識は闇に染まった。




パーツは揃った。
次回、『紅き覚醒』。
そしてこの世界の円環を紅夜は知る。

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