ー昭和七年ー
ーサクラ次元ー由里の世界ー
ー由里の家ー
杉野と斜大は鷹岡達が去った後、由里の遺体を担ぎ、由里の家に帰っていたのだ。二人の顔に笑顔はなかった。
『母ちゃん…』斜大の顔には涙の跡がたくさん残っていた。
母ちゃん…
俺は母ちゃんといられて幸せだった…
なんでだろうな…なんでいまさら…
こんな事を…遅いよな……
本当はこんな事…早くに…もっと早くに…伝えておけば……よかったな…
今まで…学校が…終わって…友達と…野球して……家に帰ったら…
いつも…母ちゃんがいた………
ご飯…が…美味しい……
これも…言うの……遅いよね…
時には…宿題忘れて……
怒られたっけ………
その時は嫌だったけど……今…では…
母ちゃん…………会いたい!
会いたい!会いたい!会いたい!
会いたいよ……また…一緒に…
斜大が由里の遺体の前で泣いている時、杉野は由里が使っていた蒸気演算機を調べていた。
『…さっき、襲ってきた女の人は……真宮寺さくら…由里さんの元の帝国華撃団で一緒に働いてことのある女優さんみたいだな…』(まさか…鷹岡とつるんでいたとは…なぜ、斜大の命を狙う…)杉野はもくもくと演算機を調べた。
『なんで…なんで…母ちゃんよ…あんなにも傷つけやがったぁ!』斜大は壁を殴りつけた。
『たしか…帝都や巴里の華撃団もきっと…ここに来て、お前の命を奪いにくるだろう……』
『クリエ家を……俺は知っている。』
『さっき、鷹岡先生が言っていたクリエ家、一体何なんだ?』
『クリエ家…メル・レゾンって人が…俺のもう一人の母ちゃんじゃないかもしれない人が…いるんだ。』
『鷹岡先生が雇われている場所か…しかし、なんでそのクリエ家はお前を襲うんだ?』
『もしかして…俺が、メル・レゾンって人の子供だから。』
『……お前の記憶から推定したら…その可能性も否定出来ない…でも………不自然じゃないか?』
『えっ?』
『お前を殺すだけだったら、お前が2歳の時に殺せばよかったし、わざわざ由里さんを殺すのも不自然だし、しかも俺や鷹岡がこの世界にきて、すぐにやるだなんて…いったい何の意味が…ん、なんだこれ?』杉野は蒸気演算機の側に落ちていた青い水晶を拾いあげた。
『それは俺が拾った奴だ、母ちゃんが預かっていたんだ。』
『これは…えーと…これは霊子水晶!霊子甲冑を動かす動力源みたいなものだと!なんでこんなものがここに…』
『…霊子甲冑って、あの華撃団が使っていた!じゃあ、何で落ちてたんだ。』
『…もしかして…斜大、お前に霊力があるのかもしれない。』
『れ、霊力ったって俺、男だし…それに由里母ちゃんやメル・レゾンには霊力がそんなにないから…』
『……この霊子水晶がお前の手にあるのは…偶然じゃない気がする…もし、お前に霊力があるならば…この霊子水晶を霊子甲冑に入れて、戦えって事なのかもしれない…』
『俺に……霊力が…霊子甲冑に乗れるのかな…』
『ただ、由里さんが持っていたデータによると…光武二式、光武F2改、スター…現状使えるどの霊子甲冑にも問題なく、霊子水晶は入っている…となると、現在使われていない霊子甲冑……大神一郎さんの光武二式だ!』
『でも…俺に霊力があるかどうか…』
『しかし、また誰か来るかもしれない…確か、ここは華撃団の基地だ……この家の裏口から基地に行ける…霊子甲冑があるかもしれない…一か八かだ!』杉野は霊子水晶を斜大に渡した!
ドカァン!!!爆音とともに、突然!由里の家に穴が開いた!
『そうはさせまーせん!』穴から女性が二人を見つめた。
『だ、誰だっ!』斜大は腰がすくんでいた。
『あ、あなたは…織姫さん!』杉野は覚えていた、かつてオーク時空巨樹城戦に参加した彼女の顔を。
『あなたが鷹岡さんの言っていた杉野って人ですか、あなたにようはありまーせん!斜大!あなたを殺しまーす!恨むなら、自分の運命を恨んでくださーい!ええぃ!』織姫は光武二式からビームを放った!だが、杉野は側にあった鏡でビームを弾いた。
『ちっ!斜大!隠れていろ、俺が織姫さんの相手をする!お前はこの基地の格納庫に行け、霊子甲冑があるかもしれない、早く行け!』杉野は斜大を裏口に投げとばした。
『杉野兄ちゃん…でも…』
『いいから、行け!敵の狙いはお前なんだぞ!』
『わかった…頼んだ!』斜大は裏口に向かっていった。