ダンジョンに第4十刃がいるのは間違っているだろうか 作:KUSAN
穴のことを話した次の日、俺は一応ファミリアを抜ける準備をして、皆の所に行った。
すると、フィンが俺に話しかけてきた。
「ウルキオラ、昨日の事は僕達だけの秘密だ。だから、これからもよろしくね」
俺はそれを聞き安心した。
「…杞憂だったか」
「ん? 何か言ったかな?」
俺の呟いた一言が、フィンに聞こえていたらしい。
ここで、ファミリアを抜ける準備をしていたのがバレたら、面倒くさい事になりそうだったので、誤魔化すことにした。
「何でもない」
「じゃあダンジョンに行こうか!」
「ああ」
こうして俺は晴れてロキファミリアに入った。
あれから数年後、ロキファミリアも大手ギルドと言われるくらい大きくなった。
当初のメンバーもレベルアップし、強くなった。
フィンはlevel4で二つ名が『勇者(ブレイバー)』
ガレスはlevel4で二つ名が『重傑(エルガルム)』
リヴェリアはlevel4で二つ名が『九魔姫(ナイン・ヘル)』
この3人がロキファミリアの主要メンバーだ。
俺か?
俺はlevel1だ。
理由は何となくだが予想がつく。
俺は偉業を成し遂げる事が出来ていないからだ。
俺は以前、フィン達と17階層のモンスターレックス、ゴライアスを討伐した。
その時、フィン達はlevel4にランクアップした。
俺はその時ランクが上がると思っていたが、結果は上がらなかった。
多分他の人から見たら偉業なんだろうが、俺自身が普通だと思ってしまうからだ。
そして、俺は今1人で17階層に向かっている。
17階層まで行くのは簡単だ。
穴に落ちていけばいい。
そして俺は17階層に着いた。
ん?
あんな大きな穴あったか?
まぁ気にすることでもないか。
俺はゴライアスのいる部屋に入った。
「ゴオォォォォォ!!!」
17階層に入り、俺の存在に気づくとゴライアスは雄叫びを上げた。
そのまま俺に殴りかかってきたので、俺は片腕で拳を払った。
そして、指先をゴライアスに向けた。
『虚閃』
ゴライアスは俺の虚閃を両手で防いだが、ゴライアスの腕がもう使い物にならないくらいの、怪我を負っていた。
俺は響転で、ゴライアスの後ろをとった。
「弱すぎる」
そう言って、手刀でゴライアスを斬った。
弱すぎだ。
開始一分も立たずに、ゴライアスを倒してしまった。
俺は強いモンスターを探しに行こうと思い、下の階層に繋がる階段に向かった。
「グォォォォォ!!」
後ろから、雄叫びが聞こえてきたので振り向くと、倒したと思っていたゴライアスが、後ろで雄叫びをあげていた。
「なに?」
驚いていると、ゴライアスが攻撃を仕掛けてきた。
俺は最初と同様に片腕で攻撃を弾こうと思ったが、その攻撃を見て避けることにした。
理由は、さっきより攻撃の威力が上がっているような気がしたからだ。
俺は剣を抜き、ゴライアスに斬りかかった。
俺の剣はゴライアスの皮膚を貫通する事ができなかった。
その時、一瞬動きが止まってしまい、ゴライアスの攻撃が直撃した。
そのまま俺は壁にぶつかった。
そもそも何故アイツが生きている?
確かに倒した筈だ。
新たに生まれたのか?
そもそも、さっきの奴より体が一回り小さくなっていないか?
考えているとゴライアスが攻撃をしてきたので、戦いながら考えることした。
まず、間違いなくコイツはさっきのゴライアスとは違う奴だ。
だとしたら、どこから出てきた?
まさか、上の階層からか?
17階層手前の穴はコイツの仕業か?
確かにこの大きさなら、ギリギリあの穴くらいなら入れるだろう。
そして、あの穴の奥に行きモンスターを食べて成長したてっ事か。
それなら、この強さはあり得るな。
これが所謂イレギュラーという奴か。
…丁度良い、俺の力を解放しなければ、倒せない相手が欲しかった。
『鎖せ 黒翼大魔』
解放した際、黒い液体が舞い上がり、雨のようにゴライアスに降り注いだ。
さらに姿も変わり、背中に巨大な漆黒の翼が形成され、仮面の名残が四本の角のついた兜のようになり、服も下部がスカート状のものに変わった。
この姿に変わった瞬間から、ゴライアスが静かになった。
「動揺するなよ。構えを崩すな。意識を張り巡らせろ。一瞬も気を緩めるな」
そう言った後、魔力で形成した槍で、ゴライアスの首をなぎ払った。
ゴライアスは俺の攻撃が見えなかったのか、何もせずに首を斬られた。
「終わったか」
俺はゴライアスが消滅するのを確認した。
そして、初めての解放で疲れたので、ダンジョンから出ることにした。
そして俺は、ファミリアのホームに帰り、ロキの部屋に向かった。
「おい。入るぞ」
「良えでー!」
声が聞こえてきたので、入ることにした。
「ステイタスの更新をしてほしいんだが」
「良えでー。ほな、服脱いでそこ座り」
そしてステイタスの更新をしてもらった。
level 1
ウルキオラ・シファー
力…S 999→SS 1050
耐久…S 999→SS 1080
器用…S 999→SS 1080
敏捷…S 999→SS 1080
魔力…S 999→SS 1080
〖魔法〗
〖スキル〗
《第4十刃》
それ相応の力が使える。
成長する事によって威力があがる。
《帰刃》
解号 『鎖せ 黒翼大魔 』
《帰刃・第2階層》
「自分、今日何してきたん?」
ステイタスを更新したら、ロキの雰囲気が変わった。
「ゴライアスを倒してきた」
「な! ほんまか? まさか1人でか?」
「ああ」
「何でそんな無茶したんや?」
「無茶? まぁゴライアスを倒した理由は、ランクアップが目的だ。どうだったんだ?」
「自分の目で見てみ」
そう言ってステイタスの写しを見せてくれた。
「ステイタスの限界突破?」
「そうや。自分ほんまに余計な事してくれたな」
「ランクアップは?」
「してないな」
してないのか。
それにしても何故、限界突破したんだ?
多分『帰刃』を使ったからだろう。
今後の様子を見てけばいいか。
「そうか」
「それより、《帰刃》の所が読めるようになったんやけど、心当たりあるん?」
「多分このスキルを使ったからだろう」
「は!? ウルキオラは《第4十刃》っていうスキルのみで、今までやっとったんか?」
「そうだが、可笑しいか?」
「はぁー。もう良えわ。ゴライアス単独撃破出来るスキルとかないわ…」
ん?
今思ったらアイツはゴライアスなのか?
そう思い、俺はロキに見てもらうことにした。
「ロキこれを見てくれ」
俺は自分の眼球を取り出した。
「何しとるんや!!!」
俺の行為にロキが驚き、大声をあげた。
多分近くにいたのだろう。
フィン、ガレス、リヴェリアが入ってきた。
「「「何があった!」」」
「丁度良かった。お前等にも見てほしかった」
「ちょい待て待て、その眼球を取り出す意味あったんか?」
その発言に、今来た3人は驚いていた。
「俺は心臓と脳以外、再生するから心配はない」
「「「「え!?」」」」
付き合ってられなかったので、俺は取り出した眼球砕いた。
そして俺が17階層に着いたときから、二回目のゴライアスを倒す時までの映像が流れた。
「ふぅー。色々質問したい事があるけど、まずは二戦目のゴライアスだね。ウルキオラの予想は?」
映像を見終わり、最初に言葉を発したフィンが質問してきた。
「17階層入り口の大きな穴だ。あそこの奥でゴライアスはモンスターを食べて強くなったんだろう」
「やっぱりね。じゃあもしこのゴライアスを討伐する為の最低のlevelと人数は?」
「level4だと、有効打を撃てる奴がいないと、いくら集めても勝てないだろう。level5だと10人いれば勝てるだろう」
「そんなにかい?」
「当たり前だ。このオラリオにアイツを傷つけられる奴は中々いないだろう」
「はぁー。それを余裕で倒してしまうウルキオラは、どういう体の作りをしてるんだが……」
「ガハハ! 良いじゃないかフィン! ウルキオラのこういう所が面白いんだ!」
「じゃあ、後は僕達が調べておくよ。ギルド関係は僕達の方が向いているからね」
「わかった」
そう言って部屋に戻ろうとしたが、リヴェリアに腕を掴まれてしまい戻れなかった。
「待て。ちょっと話がある。こっちに来い」
そう言えば、さっきから何も話してなかったな。
そう思い、リヴェリアについて行くことにした。
「何故あんな無茶をしたんだ?」
「無茶? あれくらい、俺にとっては無茶ではない」
「つまり無茶ではないって事は、これからもああいう事をやるつもりか?」
「ああ」
「なら、せめて私にだけは何をしに行くか話してくれないか?」
そう言うリヴェリアの顔は、目に涙を浮かべ本気で心配している表情だった。
「わかった。これからダンジョンに行くときは、なるべく何をするか言うようにしよう」
「本当か!」
「ああ」
そう言った時のリヴェリアの表情はとても綺麗だった。
俺はこのリヴェリアの表情は忘れられないだろう。