バカと俺たちの日常   作:裂やん

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【バカテスト】 化学

問 以下の問いに答えなさい。
『ベンゼンの化学式を書きなさい』

姫路瑞希、神楽橙夜、神楽睦月、神楽紫の答え
『C6H6』

教師のコメント
簡単でしたかね。

吉井明久の答え
『C6Cl6』

教師のコメント
ベンゼン違いです。それではヘキサクロロベンゼンの化学式です。発癌性物質とされているので気をつけましょう。

桜儀燐の答え
『C6H6Cl6』

教師のコメント
吉井君同様ベンゼン違いです。それはベンゼンヘキサクロリドの化学式です。こちらも毒性が高いので使用が禁止されていますね。

土屋康太の答え
『ベン+ゼン=ベンゼン』

教師のコメント
君は化学をなめていませんか。

速水劉太の答え
『B-E-N-Z-E-N』

教師のコメント
後で土屋君と一緒に職員室に来るように。


「やっと召喚獣出せたぜ……」by神楽 睦月
「何だかんだで俺が活躍する」by神楽 橙夜


第陸問目 Bクラス戦開始、ついでにCクラス

Side.明久

 

雄二「さて皆、総合科目テストご苦労だった」

 

 教壇にたった雄二が机に手を置いて皆の方を向いて喋っている。

 今日も午前中からテストで、ついさっき全科目のテストが終わって昼食を取ったところだ。

 

雄二「午後はBクラスとの試召戦争に突入する予定だが、殺(や)る気は充分か?」

『おおーっ!』

 

 一向にモチベーションが下がらない。やっぱりDクラスに勝ったことが大きいのかな?

 

雄二「今回の戦闘は敵を教室に押し込むことが重要になる。その為、開戦直後の渡り廊下戦は絶対に負けるわけにはいかない」

『おおーっ!』

 

 さっきからみんな「おおーっ!」しか言ってない気がするね。

 

雄二「そこで、前線部隊は姫路瑞希を筆頭に神楽睦月、吉井明久にそれぞれ指揮を取ってもらう。野郎共、きっちり死んで来い!」

 

 Dクラス戦の終盤から参加した僕の他に、睦月も今回のBクラス戦は最初から戦争に参加するらしい。

 

瑞希「が、頑張ります」

睦月「一暴れしますかね」

明久「頑張るよ」

 

 僕と睦月にノリについていけないみたいで、若干引き気味な瑞希ちゃんが一歩前に出た。

 

『うおおーっ!』

 

 瑞希ちゃんと一緒に戦えるとあって、前線部隊の士気は最高潮に達しようとしていた。

 

?『……ことは……るか?』

?『…………ば…ぬか……く』

?『それ……じょう』

?『…………でも……のか?』

?『まん………………けん』

?『………………けん?』

?『…Bクラ……あの……からな……』

?『………………した』

 

 他の皆とは別に小声で話し合っている人がいるみたいだ。えっと、あれは……橙夜とムッツリーニ?一体何の話をしているんだろう?僕のいる場所からだと遠くてよく聞こえないな。

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 あ、昼休み終了のベルが鳴った。橙夜たちの会話は気になるけどBクラスとの試召戦争に集中しよう。

 

雄二「よし、行ってこい!目指すはシステムデスクだ!」

『サー、イエッサー!』

 

 それじゃあ、前線に行こうかな。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.橙夜

 

雄二『そこで、前線部隊は姫路瑞希を筆頭に神楽睦月、吉井明久にそれぞれ指揮を取ってもらう。野郎共、きっちり死んで来い!』

瑞希『が、頑張ります』

睦月『一暴れしますかね』

明久『頑張るよ』

 

 雄二や他のクラスメイトの会話をBGMに俺は康太と話していた。

 

橙夜「頼んだことは出来てるか?」

康太「…………万事抜かりなく」

橙夜「それは重畳」

康太「…………でも、必要なのか?」

橙夜「万が一の保険だ、保険」

康太「…………保険?」

橙夜「そう、保険だ。Bクラスの代表はあの(・・)根本らしいからな……」

康太「…………納得した」

 

 保険とは言ったけど、確実に利用することになるだろうけどな。あの(・・)根本だし。

 

 キーンコーンカーンコーン

 

雄二「よし、行ってこい!目指すはシステムデスクだ!」

『サー、イエッサー!』

 

 もう時間か。今回の俺の役割はクラスメイト数名と一緒に雄二の護衛だからな。殆どやることがないんだよな。

 

雄二「橙夜。昨日の情報は確かか?」

橙夜「ああ。あの(・・)根本がBクラスの代表だ。既に確認も取れてる。実力で代表になったのかは知らんが」

雄二「……そうか」

 

 雄二は俺の肯定に少し考えて返事をする。

 で、俺たちの会話に出てくる根本という男――フルネームは根本恭二なのだが、とにかく評判が悪い。

 先程の実力云々と言うのは、カンニングの常連だという噂があるからだし、他にも、目的の為には手段を選ばないらしく、曰く『球技大会で相手チームに一服盛った』、『喧嘩に刃物は当然(デフォルト)装備』とか。

 勝てば官軍って言うからあながち間違いではないんだけど、相手をするとなると気が滅入るな。

 

橙夜「もしものときの為に保険は準備しているから安心しろ」

雄二「橙夜が言うなら大丈夫そうだな。それじゃムッツリーニは作戦通りに動いてくれ」

康太「…………了解」

 

 康太も雄二の指示に従って自分の仕事に向かったようだ。

 さて。前線はどうなっているかな?

 

Side.end

 

 

 

 

Side.睦月

 

 雄二の号令でクラスメイトは教室を出てBクラスへと向かう廊下を駆け出した。

 その後を追うように俺と明久が、体力面でついて来れない瑞希が続く。

 今回のこちらの主武器は数学。Bクラスは比較的文系よりだし、長谷川先生は召喚可能範囲が広いのが理由だ。俺と島田の得意科目が数学だからちょうどいいしな。他にも英語W(ライディング)の山田先生と物理の木村先生も一緒だ。立会人に数学と英語の教師がいるのは俺にとってこの上なくありがたい。

 

F男『いたぞ、Bクラスだ!』

F男『高橋先生を連れているぞ!』

 

 最前線に到達したクラスメイトが大声で報告する。

 そこに追いついた俺と明久も正面を確認すると、Bクラスのメンバーが十人程度でゆっくりと歩いてくる。あくまで様子見といったところか。

 

生徒『生きて帰すなーっ!』

 

 どっちのクラスが言ったのか分からない、物騒な台詞が皮切りとなり、Bクラス戦が始まった。

 

『Bクラス  野中長男  VS  Fクラス  近藤吉宗

  総合   1943点  VS          764点』

 

 流石はBクラスか。Bクラスの総合としては低い方だが、Fクラスとは桁が違うな。

 

『Bクラス  金田一祐子  VS  Fクラス  武藤啓太

  数学    159点   VS            69点』

 

『Bクラス  里井真由子  VS  Fクラス  君島博

  物理    152点   VS           77点』

 

 圧倒的な実力差に第一陣がことごとくやられていく。早くフォローしないと戦力が拙いことになる。

 

 そうやってなんとか戦況を把握していると、

 

瑞希「お、遅れ、まし、た……。ごめ、んな、さい……」

 

 息を切らしながら最後尾にいた瑞希がやっと来た。

 

B生「来たぞ!姫路瑞希だ!」

 

 Bクラスの誰かが叫ぶ。やっぱりBクラスは下調べをしてFクラスに瑞希がいるのを知っていたか。俺や明久の成績については調べていないようだが。

 さっきの叫びでBクラスの生徒の目つきが変わった。明らかに瑞希を警戒しているらしい。

 

明久「瑞希ちゃん、来たばかりで悪いんだけど……」

瑞希「は、はい。行って、きます」

 

 明久に言われてトタトタと戦場に紛れ込む瑞希。明久はあの姿を見て和んでいるみたいだ。この場に康太がいたら間違いなく写真を撮っていただろう。

 

?「長谷川先生、Bクラス岩下律子です。Fクラス姫路瑞希さんに数学勝負を申し込みます!」

瑞希「あ、長谷川先生。姫路瑞希です。よろしくお願いします」

?「律子、私も手伝う!」

 

 早速勝負を挑まれたようだ。Bクラスは十人しか来ていないのにその内の二人がかりなんて、かなりの警戒の仕方だな。無駄だろうけど。

 

『試獣召喚(サモン)!』

 

 喚声に応えて顔を出した召喚獣。敵の二体は剣と槍を構え、瑞希の方は身の丈以上の大剣を持っている。

 瑞希の方の召喚獣の腕にあるアレって。

 

明久「あれ?瑞希ちゃんの召喚獣の腕にあるそれって」

瑞希「あ、はい。数学は結構解けたので……」

明久「それなら安心だね」

 

 明久も気付いたようで安堵していた。

 

岩下「そ、それって!?」

菊入「私たちで勝てるわけないじゃない!」

 

 向こうの二人も気付いて顔色を変えている。

 

瑞希「じゃ、いきますね」

 

 瑞希は小さな手を握り込んで、瑞希の召喚獣もその動きに合わせて左腕を敵の方に向けた。

 

岩下「ちょっと待ってよ!?」

菊入「律子!とにかく避けないと!」

 

 大げなくらい横に飛ぶ敵二人の召喚獣。その直後、瑞希の召喚獣の腕輪が光を発した。

 

瑞希「『熱線』」

 

 キュボッ!

 

岩下「きゃあぁぁーつ!」

菊入「り、律子!」

 

 左腕から光線がほとばしったと思った瞬間、逃げ遅れた敵の召喚獣が炎に包まれた。

 

『Fクラス  姫路瑞希  VS  Bクラス  岩下律子&菊入真由美

  数学   412点  VS         189点&151点』

 

 単教科で400点以上を取ると特殊能力を使える腕輪を装備して出るんだよな。去年までの明久だったら確実に無縁だが。

 

瑞希「ご、ごめんなさい。これも勝負ですのでっ」

 

 大きく避けていたもう一人の召喚獣に肉薄し、大剣を振り下ろした瑞希の召喚獣。武器ごと一刀両断し、一瞬で決着がついた。

 

B生「い、岩下と菊入が戦死したぞ!」

B生「なっ!そんな馬鹿な!?」

B生「姫路瑞希、噂以上に危険な相手だ!」

 

 Bクラスの残りの八人が驚愕の声を上げた。無理もないと思うけど。

 

睦月「それじゃあ、明久。俺たちも出るか」

明久「そうだね。僕は高橋先生の方にいくよ」

 

 そう言って俺は英語Wのフィールドに、明久は世界史か日本史のフィールドを出してもらう為に高橋女史の方に向かった。

 途中、瑞希の台詞で信者が急増したがまぁいいか。

 

睦月「さて、始めますか。山田先生。Fクラス神楽睦月がこの場にいるFクラス全員に代わりBクラス三人に英語勝負を申し込みます」

B生「なっ!」

B生「Fクラスのくせに俺たち三人相手に一人だと!」

B生「なめやがって!後悔させてやる!」

山田「承認します」

 

 山田先生が勝負を承認したのを確認して、英語のフィールドにいたFクラスの面々に指示を出す。

 

睦月「この場のFクラスのメンバーは全員物理のフィールドに移るか回復試験を受けて来い。じゃ、『試獣召喚(サモン)』」

 

 俺の喚声に応えて二本の日本刀を持った召喚獣が現れる。その腕には当然のように――

 

B生「ちょっと!あれってまさか!」

B生「腕輪だと!?」

B生「Fクラスのくせに何であるんだ!」

 

 ――腕輪がある。

 

 さて、あっちの点数はどうなってるかなー?

 

『Fクラス  神楽睦月  VS  Bクラス  モブA  &  モブB  &  モブC

  英語W  641点  VS       157点  &  173点  &  164点』

 

 Bクラスとしては平均くらいか。まぁ、妥当か。

 

B生「641点って、なによ!」

B生「600点超えって担当教師並だろ!」

B生「なんでそんな奴がFクラスにいるんだ!」

睦月「んー、641点か。まぁまぁだな。今回はちょっと調子が悪かったからな」

山田「神楽君。そう言われると私の教師としての威厳がなくなるのでやめてください……」

睦月「それはすいません。ですが最高点が750点くらいなんで」

 

 俺の台詞で山田先生の背中に哀愁が漂い始めた。Bクラスの奴らも喚き始めたし、さっさと決着(ケリ)をつけるか。

 

睦月「それじゃ、早速で悪いがお前たちには戦死してもらうぞ」

 

 言葉を言い終わると同時に俺の召喚獣が敵の召喚獣に向かって駆ける。その速さは加速の腕輪程ではないにせよ、かなりのものだ。

 

B生「早すぎて目で追いきれない!」

B生「どうにかしろよ!」

B生「くそっ!こうなったら自棄だ!」

 

 あまりの速さに敵は混乱する。攻撃や動きが大雑把になったその隙に近づいて一体一体首を刎ねていく。

 そしてあっという間に相手は残らず戦死した。

 

鉄人「戦死者は補習ぅぅぅーーー!」

 

 そう言って鉄人がBクラスの生徒を担いでいく。

 

B生「補習はいやぁぁぁああ!!」

B生「誰か助けろ!」

B生「まだ死にたくない!」

 

 戦死した連中は色々と叫びながら連行されていった。そういえば担いでいたのが6人だったけど、明久の方も無事に終わったのか?

 

Side.end

 

 

 

 

Side.明久

 

睦月「それじゃあ、明久。俺たちも出るか」

明久「そうだね。僕は高橋先生の方にいくよ」

 

 瑞希ちゃんがBクラスの二人を戦死させたのを確認してから、僕と睦月はそれぞれのフィールドに移った。

 

明久「高橋先生、Fクラス吉井明久がこの場にいるBクラス三人に世界史勝負を申し込みます」

B生「Fクラスのくせにふざけるな!」

B生「アイツは≪観察処分者≫の吉井だ!なめやがって!」

B生「世界史は俺の得意科目だ!後悔させてやる!?」

高橋「承認します」

 

『試獣召喚(サモン)!』

 

 Bクラスの言葉が怖いけど僕も負けられないからね。

 

明久「この場にいるFクラスのみんなは物理のフィールドに移るか、点数が危ない人は回復試験を受けてきて」

 

 僕の喚声に応じて召喚獣が顔を出す前に指示を出す。

 指示を出し終えたと同時に四体の召喚獣が完全に姿を現した。

 僕の召喚獣の装備は――

 

B生「木刀だと?」

B生「なめてるのか?」

B生「これはいいカモだ!やっちまうぞ!」

 

 ――改造学ランと木刀だった。

 

 ……僕だってもっとマシなのがよかったさ!去年の学年末試験で頑張ったのに結局装備は変わらなかったんだからしょうがないじゃないか!

 でも、僕の装備はそれだけじゃない。そう――

 

B生「おい!あいつの召喚獣の腕にあるアレって」

B生「ちょっと待てよ!ありえねーだろ!」

B生「何で腕輪なんて持ってんだよ!」

 

 ――腕輪があるんだ。

 

 とりあえずお互いの点数はどうなってるのかな?

 

『Fクラス  吉井明久  VS  Bクラス  モブD  &  モブE  &  モブF

  世界史  591点  VS       163点  &  182点  &  231点』

 

明久「実は僕も世界史は得意なんだ」

B生「約600点って……」

B生「得意ってレベルじゃないだろ!」

B生「なんで教師でもないのにそんな点数取れるんだよ!」

 

 去年までなら僕もそう思ってたよ。これも全部、橙夜や睦月たちのお陰なんだよね。

 

明久「早速腕輪を使おうかな。『武装強化』」

 

 僕がそう言うと召喚獣が持っていた木刀が日本刀に変わった。

 

B生「くそっ!点数差がなんだ!」

B生「いくら点数が高くても三対一だ!」

B生「数で押し込めばどうにかなるはずだ!」

 

 そう言って敵の召喚獣がぎこちない動きで僕の召喚獣に向かってくる。

 

B生「なんで当たらねーんだよ!」

B生「掠る気配すらないぞ!」

B生「いくら点数が高くてもありえないだろ!」

 

 相手は正面から突撃してくるだけだから操作に慣れている僕なら簡単に避けられる。避ける瞬間におまけとして足払いもしている。

 そして、足払いで転んだ隙に近づいて首に木刀が変化した日本刀を刺していく。

 

『Fクラス  吉井明久  VS  Bクラス  モブD  &  モブE  &  モブF

  世界史  441点  VS         0点  &    0点  &    0点』

 

 結果、揃って相手は戦死することになる。

 召喚獣と言っても首や心臓のある辺りは急所だからね。一撃なんだ。

 

鉄人「戦死者は補習ぅぅぅーーー!」

 

 そう言いながら鉄人は戦死者を担いでいく。

 担がれたBクラスの人たちは6人くらいだったから、睦月のほうも倒せたようだね。

 

睦月「やっぱ明久の方も終わったか」

明久「あ、睦月もお疲れ様」

 

 そう考えていたら睦月がやって来た。

 

明久「残ってるのは物理のフィールドだけ?」

睦月「そう言うことになる。俺と明久、瑞希の三人はとりあえず一旦下がるぞ」

明久「わかった。瑞希ちゃん!とりあえず下がって」

瑞希「あ、はい」

 

 Bクラスの8割を戦死させたからあっちの前線部隊の崩壊は時間の問題だろうから、僕らが下がっても大丈夫だろう。

 

B生『中堅部隊と入れ替わりながら後退するぞ!』

B生『分かった!』

 

 そんな相手の指示が聞こえた。と言っても前線に残っているのは二人しかいないんだけど。少し離れたところに数人見えるけど、あれがBクラスの中堅部隊かな?

 とりあえず狙い通り、相手を徐々に下がらせることに成功かな。目的のBクラス教室に釘付けにするくらいで今日の戦闘は終了になりそうだね。本当なら一気に攻めきりたいんだけどね。

 

?「睦月に明久、ワシらは教室に戻るぞ」

明久「ん?なんで?」

睦月「なんかあったのか?」

 

 戦況を眺めていた僕たちのところに秀吉がやって来た。

 教室に戻るって、睦月の言ったとおり何かあったのかな?

 

秀吉「Bクラスの代表じゃが……」

明久「うん」

秀吉「あの(・・)根本らしい」

睦月「根本って、あの(・・)根本恭二なのか?」

秀吉「うむ」

 

 そっか、あの(・・)根本恭二なのか……。

 

明久「なるほど。戻っておいた方が良さそうだね」

秀吉「一応、橙夜が対策を講じているらしいから雄二に何かあるとは思えんが、念の為にの」

睦月「それじゃ、俺はここで戦況を確認しているから二人は戻ってくれ」

 

 睦月の言葉に従って、瑞希ちゃんにも一言報告してから、僕と秀吉は何人かを連れて教室に引き返した。

 

 

 

 

明久「……うわ、こりゃ酷い」

秀吉「まさかこうくるとはのう」

明久「卑怯、だね」

 

 教室に引き返した僕らを迎えたのは、穴だらけになった卓袱台とヘシ折られたシャープや消しゴムだった。

 

明久「酷いね。これじゃ補給がままならない」

秀吉「うむ。地味じゃが、点数に影響の出る嫌がらせじゃな」

 

 それにしても、なんか、根本君って器小さいなぁ……。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.other

 

 時は少し遡り、睦月や明久が戦闘を行っている頃。

 Fクラスの教室に来訪者があった。

 それはBクラスからの使者だった。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.橙夜

 

B生「Fクラス代表の坂本はいるか?」

雄二「俺が代表の坂本だが、何の用だ?」

B生「根本が今回の試召戦争について協定を結びたいらしい」

雄二「なるほど……橙夜、お前は協定のことをどう考える?」

 

 協定……ね。根本は何を考えているんだか。

 

橙夜「一応受けるか」

雄二「それじゃ、協定場所まで案内してくれ」

B生「ついてきてくれ」

橙夜「待て。念の為に護衛としてついていくが問題ないだろ?」

B生「あぁ。こっちも近衛部隊を連れているから構わない」

橙夜「なら俺と3、4人でいいな。他は中堅部隊に合流してくれ」

F男『了解』

雄二「じゃ、案内をよろしく頼む」

 

 そうして俺たちは教室を後にした。

 

 

 

 

 案内されてついていった先は音楽室だった。

 

B生「ここだ。根本連れてきたぞ」

根本「ご苦労さん。それじゃFクラス代表の坂本。Bクラスと協定を結んで欲しい」

雄二「内容次第だ。さっさと話せ」

根本「ああ、そうだな。内容は4時までに決着が付かなかった場合、戦況をそのままにして続きは翌日の午前9時に持ち越し。その間は試召戦争に関わる一切の行為を禁止というものだ」

雄二「ふむ……」

 

 雄二は少しばかり考えているな。それにしてもあのキノコがニヤニヤしていてうざい。

 少し手助けしてやるか。

 

橙夜「(雄二。これは受けるべきだ。体力的に瑞希が危ないからな)」

雄二「(やはりそうか)」

橙夜「(それと試召戦争に関わる一切の行為の禁止だが、『Bクラスとの(・・・・・・)試召戦争』と強調してくれ)」

雄二「(分かった。)4時を過ぎたら翌日の9時まで休戦。そしてBクラスとの(・・・・・・)試召戦争に関わる一切の行為の禁止だな。協定を受けよう」

根本「ああ、感謝する」

 

 一瞬キノコが怪訝そうな顔をしたが、すぐに戻して協定書を出してきた。

 紙に書かれている内容を確認して、若干修正して雄二はサインした。

 俺はその内容を持ってきていたノートPCに写した。

 

雄二「それじゃあ、俺たちはこれで失礼する」

 

 そう言って俺たちは協定書のコピーを受け取って音楽室を出て教室に向かって歩く。

 

橙夜「康太。今の協定に関する映像は撮れているな?」

康太「…………問題ない。音声も画像も高解像度で記録した」

雄二「橙夜の対策ってのはこれのことか?」

橙夜「いや。これはその内の一つだ。後二つほどある。俺の予想が当たっていればもう一つ作用しているが……」

雄二「お前が味方で本当によかったぜ」

橙夜「やる時はとことんやるのが俺だからな。それと康太。あの情報の確認は出来たか?」

康太「…………それも問題ない。情報通りだった」

橙夜「それならBクラス戦の奥の手になるな」

雄二「どんな情報なんだ?それとお前の予想ってやつも教えてくれ」

橙夜「情報に関しては放課後に教える。それと予想の方は教室に戻れば分かる」

 

 そう言いながら俺たちは自分達の教室がある三階に向かった。

 

 

 

 

 調停もすんで教室に戻ってみると、入り口のところに明久や秀吉たちがいた。

 

明久「酷いね。これじゃ補給がままならない」

秀吉「うむ。地味じゃが、点数に影響の出る嫌がらせじゃな」

雄二「あまり気にするな。修復に時間はかかるが、作戦に大きな支障はない」

明久「雄二がそう言うならいいけど」

橙夜「それにシャープや消しゴムくらいなら俺が持っているしな。ほれ」

 

 明久と秀吉の言葉に雄二が混ざり、俺も混ざる。

 

秀吉「橙夜よ。今、一体どこから出したのじゃ?」

橙夜「あれ?秀吉は知らなかったっけ?俺って暗器術使えるんだぜ?こんな感じに」

 

 そう言いながら今度はボールベンやカッター、定規など沢山の文房具を出して見せた。

 

秀吉「初耳なんじゃが……」

橙夜「そうだっけ?まぁいいんじゃね?」

明久「橙夜、それってもしかして物○シリーズのガ○ラさんの真似?」

雄二「物○シリーズ?なんだそれ?」

橙夜「よくわかったな、明久。雄二、物○シリーズってのはある小説の通称だ」

 

 なんかいいなぁーって思って頑張ったら出来るようになったんだよな。

 

明久「それはそうと、どうして橙夜と雄二たちは教室がこんなになっているのに気付かなかったの?」

雄二「協定を結びたいという申し出があってな。調印のために教室を空にしていた」

秀吉「協定じゃと?」

橙夜「あ、康太。例の確認してくれ」

雄二「ああ。4時までに決着がつかなかったら戦況をそのままにして続きは明日午前9時に持ち越し。その間の試召戦争に関わる一切の行為を禁止する。ってな」

康太「…………了解」

 

 俺は雄二たちが喋っているのを無視して康太と例の保険を確認することにした。

 

明久「それ承諾したの?」

雄二「そうだ」

橙夜「康太、どうだった?」

明久「でも、体力勝負に持ち込んだ方がウチとしては有利なんじゃないの?」

雄二「姫路以外は、な」

康太「…………完璧」

雄二「あいつ等を教室に押し込んだら今日の戦闘は終了になるだろう。そうすると、作戦本番は明日という事になる」

橙夜「本当に完璧だな。これでもしもの時は安全だな」

明久「そうだね。この調子だと本丸は落とせそうにないね」

雄二「その時はクラス全体の戦闘力よりも姫路個人の戦闘力の方が重要になる」

康太「…………これくらい朝飯前」

明久「だから受けたの?瑞希ちゃんが万全の体勢で勝負できるように」

雄二「そういうことだ。この協定は俺達にとってかなり都合が良い。で、橙夜とムッツリーニは何の話をしているんだ?」

 

 あぁ。近くで話されてたら気になるか。

 

橙夜「とりあえず明久と秀吉は前線に戻ってくれ。そしたら雄二には説明する」

秀吉「分かったのじゃ」

明久「ん。橙夜、雄二、あとよろしく」

雄二「おう。分かっている」

橙夜「お前らこそ気をつけてな」

 

 明久は背中を向けて、先に行った秀吉の後を追っていった。

 

橙夜「で、話していたのはこれだ」

雄二「カメラ?」

 

 そう言って俺は手に持っていたカメラを雄二の目の前に持っていく。

 

橙夜「そう、カメラだ。これが例の保険の一つだ」

雄二「カメラが保険?それって一体……そういうことか。よくやった、橙夜にムッツリーニ」

康太「…………橙夜の指示があったから」

 

 流石は『元』神童だな。あれだけですぐに理解してくれる。

 

雄二「きちんと映像が撮れているんだろう?」

橙夜「そりゃムッツリーニの仕掛けたカメラだから当然だろう?」

康太「…………当たり前」

雄二「で、この映像の使いどころはいつだ?」

橙夜「康太に確認してもらった情報があるからな。俺の読みどおりなら休戦になってからだ」

雄二「そうか。ならこの件は橙夜に一任するか」

橙夜「とりあえずはこのままだな」

 

 とりあえず映像に関しては保留し教室でのんびりしていると、前線に行っていた速水が戻ってきた。

 

橙夜「どうした速水。脱走か?」

速水「違うわ!島田が人質にとられた」

橙雄「「は?」」

速水「だから島田がBクラスの奴に人質にされたんだよ」

雄二「ふむ……。科目と人数はどうなっている?」

速水「英語Wで二人だ」

橙夜「なら睦月にフィールドの範囲ギリギリのところで召喚させて一気に救出させろ。明久に余計なこと言わせないように注意するのも忘れずにな」

速水「分かった」

 

 そう言って速水は再び前線に戻っていった

 

雄二「一体どうして人質にされたんだ?」

橙夜「知らん。そういえば島田嬢って明久のこと好きなのか?」

雄二「俺にも分からん。照れ隠しで暴力揮っているのか憎くて暴力を揮っているのか」

橙雄「「どうでもいいな!」」

 

 それから暫くして島田嬢は無事救出されて、4時になり協定どおり休戦になった。

 

 

 

 

 休戦になってFクラスのメンバーは俺達数人を残して大半が帰宅した。

 

雄二「協定どおり今日は休戦になったわけだが……」

 

 そう言って雄二は主要メンバーを見回す。

 

橙夜「油断は出来ないだろうな」

雄二「そうだな」

 

 俺の言葉を肯定した雄二に続いて他のメンバーも頷いた。

 

康太「…………(トントン)」

雄二「お、ムッツリーニか。何か変わったことはあったか?」

 

 情報収集に戻っていた康太が戻ってきた。どうやら動きがあったようだな。

 

雄二「ん?Cクラスの様子が怪しいだと?」

康太「…………(コクリ)」

雄二「戦争の準備か……。漁夫の利を狙うつもりか?」

明久「雄二、どうするの?」

雄二「んー、そうだなー。Cクラスと協定でも結ぶか。Dクラスを使って攻め込ませてやるぞ、とか言って脅してやれば俺たちに攻め込む気もなくなるだろ」

明久「それに、僕らが勝つなんて思ってもいないだろうしね」

雄二「よし。それじゃ今から行ってくるか」

明久「そうだね」

橙夜「それなら俺にやらせてくれ」

 

 俺は雄二と明久が腰を上げようとした時にそう言った。

 

雄二「何か策でもあるのか?」

橙夜「当然だ。例の情報の真偽の確認をしてもらったのはこの為でもあるからな」

雄二「なるほど。なら交渉は橙夜に任せることにしよう」

明久「それじゃ行こうか」

雄二「秀吉は念の為にここに残ってくれ」

秀吉「ん?なんじゃ?ワシは行かなくて良いのか?」

雄二「橙夜の策が失敗したときの為に手札を残しておこうと思ってな」

秀吉「よくわからんが、雄二がそう言うのであれば従おう」

 

 素直に引き下がる秀吉。失敗なんて一切しないんだけどな。

 

橙夜「じゃ、メンバーは俺と睦月、雄二も明久、康太に瑞希でいいな」

睦月「ああ」

雄二「おう」

明久「うん」

康太「…………(コクリ)」

瑞希「あ、はい」

 

 そうして俺たちはCクラスへ向かう。

 途中、廊下でお手洗いに行っていたらしい島田嬢と須川に会った。

 

明久「あ、島田さんに須川君。ちょうど良かった。Cクラスまで付き合ってよ」

美波「んー、別に良いけど?」

須川「ああ。俺も大丈夫だ」

 

 何だかんだでメンバーが増えた。明久的には瑞希の為の盾とでも考えていそうだが。

 

雄二「Fクラス代表の坂本雄二だ。このクラスの代表は?」

 

 教室の前につくなり扉を開いて雄二がそこにいる全員に告げた。

 やはりCクラスの教室内にはかなりの人数が残っていた。こうも予想通りに進むと怖いな。

 

?「私だけど、何か用かしら?」

 

 これがCクラスの代表ね。感情で動きそうなタイプだな。

 

橙夜「ああ。名前は小山だったな。話の前に確認なんだが、お前がBクラス代表の根本と付き合っているってのは事実か?」

小山「事実だけど、それがなに?」

 

 俺と小山のやり取りを聞いて須川が覆面を取り出そうとしていた。それは睦月が押さえたんだが。

 

橙夜「実は、お前の彼氏の根本に関する面白い映像が手に入ってな。彼女のお前にどうかと思ったんだ」

小山「是非見せて頂戴」

橙夜「ああ、勿論だ。それとそこにいる数学の長谷川教諭も如何ですか?」

一同『なっ!』

長谷川「お言葉に甘えて私も一緒に見させてもらいますね」

 

 俺の言葉に全員が驚愕を露にしていた。まぁー理由は正反対だったりするんだが。

 

橙夜「それと今話題になっている根本含むBクラスのメンバーはその場を動くんじゃないぞ?」

B生『ぐっ!』

雄二「なんでこの場にBクラスの代表とその取り巻きがいるかは追求しないでいてやるか」

橙夜「んじゃ、この映像だ」

 

 そう言って俺は持ってきていたノートPCを操作してある映像をCクラス代表の小山と長谷川教諭にみせた。

 その映像の内容は根本がBクラスの生徒に命令してFクラスの設備を壊しているというものだった。

 

B生『いくら根本の命令でも面倒だな』

B生『そう言ってやるな。これもFクラスに勝つための作戦ってやつだ』

B生『おい、これ見てみろよ。ラブレターなんて書いてるぜ?』

B生『今時ありえねーって』

B生『アハハハハ』

B生『このラブレター持っていこうぜ』

B生『いいんじゃね?これで脅せば有利になるだろ』

 

橙夜「といった内容なんですけど長谷川教諭。これをみてどう思いますか?」

長谷川「……そうですね。設備を壊すだけでなく、他人の物を盗んでいますから、西村先生に頼んで彼らに生活指導を受けさせた後、数日間の停学処分と言ったところでしょうか」

橙夜「それもいいですね。根本君は盗んだ物をこちらに引き渡してくださいね?」

根本「チッ……」

橙夜「さて、そろそろCクラスに来た本題と行くか。Cクラス代表小山」

小山「……なに?」

 

 長谷川教諭の言葉に根本と一部の取り巻きが苦い顔をしていたが、俺は根本から手紙を受け取り、ポケットにしまった後、小山に話しかけた。

 

橙夜「不可侵条約を結ぶ為に交渉をしにき「それは協定違反だ!」たん……」

 

 最後まで言い切る前にキノコに遮られた。

 

橙夜「協定違反?言いがかりはやめてくれ。そんなもの俺たちはしていないが?」

根本「休戦中の間、試召戦争に関わる一切の行為を禁止としただろ!」

橙夜「確かにしたな。Bクラスとの(・・・・・・)試召戦争に関わる行為の禁止とな。今しているのはCクラスとの(・・・・・・)試召戦争に関わる行為だ」

根本「屁理屈だ!協定書には試召戦争に関わる行為の禁止と書いていたはずだ!これを見ろ」

 

 そう言って協定書を見せてくる根本。

 

橙夜「確かにお前の持っていた協定書にはそう書いてあるな」

根本「当たり前だ!」

橙夜「ただし、それが改竄されていなければ、だ。康太、協定書のコピーを」

康太「…………ここに(スッ)」

 

 ありがとう、と言って康太が懐から出した協定書のコピーを受け取りこの場にいる全員に見えるように持つ。

 

橙夜「これは調停後に受け取ったコピーだ。ここにはきちんと『Bクラスとの(・・・・・・)』と書いてある」

根本「そんなもの偽物に決まっている!」

橙夜「なんなら協定交渉をしている時の映像を見るか?実はきちんと撮影していたんだ。勿論編集もしていないオリジナルそのものだ。協定書もきちんと映しているからな。長谷川教諭、確認を」

長谷川「あっ、はい。…………確かに撮影されていた映像を観るかぎりFクラスの持っているコピーの方が本物の様ですね。よってFクラスの行動は協定違反ではないと証明できます」

根本「くそっ!」

 

 俺に正論を言われ、長谷川教諭が俺を正当化したのを見て、根本は忌々しげに言葉をはいた。

 

橙夜「で、話を戻すがCクラス代表の小山」

小山「なに?」

橙夜「丁度Cクラスは戦争の準備をしていたんだろう?本来ならば不可侵条約を結びに来たんだが、気が変わった。この場にいる俺を含む、Fクラス8人がCクラスに対して試召戦争を申し込む。宣戦布告の理由は先に協定を破ろうとしたBクラスに加担してFクラスに攻め入ろうとしたCクラスへの罰だ。そして開戦は今、この時からだ」

一同『なっ!』

 

 俺の発言に敵味方問わずに驚愕の一言をあげる。

 

雄二「(勝手に宣戦布告するんじゃない!俺たちは認めていないんだぞ!)」

明久「(そうだよ!いくらなんでも8人じゃ厳しすぎるよ!)」

橙夜「(安心しろ。実際に戦闘をするのは俺一人だ)

明久「(尚更危ないじゃないか!)」

橙夜「(Cクラス程度に俺が負けることはありえない。黙って俺の後ろで見ていろ)」

雄二「(……その言葉、信じるぞ?)」

明久「(ちょっと雄二!何言ってるんだよ!)」

橙夜「(当たり前だ。俺は出来ないことは言わない、俺の本気の力ってやつの片鱗を見せてやる。そして精々それを脳裏に焼き付けるんだな)」

 

 とりあえず味方であるFクラスの説得には成功した。後ろで雄二と明久が睦月を除いた面々に説明しているが。まぁ、知らん。

 

橙夜「で、Cクラスとの戦争は何も問題ないだろう?両クラスの代表はこの場にいるし、Bクラスとは休戦中で戦争中ではないからな。それに上位クラスは下位クラスの宣戦布告を拒否できないから確定だ」

小山「うっ!……分かったわ。その宣戦布告を受けるわ……」

C生『勝手に受けるんじゃない!』

C生『俺たちは認めていない!』

C生『私たちはBクラスに加担なんてしていないわ!』

小山「黙りなさい!ルール上、私たちCクラスはFクラスの宣戦布告を断れないのよ!とにかく勝てばいいのよ!」

 

 そりゃ、いきなり言われてすぐに開戦なんて嫌だろうな。だけど、受けるしかないんだ。根本の彼女がお前らのクラス代表になったのが運の尽きってやつだ。

 

橙夜「話は纏まったな?それじゃ、長谷川教諭。Fクラス神楽橙夜がこの場にいる代表を含むCクラス全員に数学勝負を申し込む!」

C生「なっ!」

C生「なめてるのかっ!」

C生「返り討ちにしてあげるわ!」

長谷川「承認します」

橙夜「さっさと召喚しろ。でないと敵前逃亡とされて補習室行きだぞ?」

C生「しょうがないわ!」

C生「補習室送りはいやよ!」

C生「そっちこそ補習室送りにしてやる!」

 

『試獣召喚(サモン)!』

 

 狐の仮面を頭の横につけて鉄扇を持った全身黒一色の俺の召喚獣とCクラスの召喚獣が顔を出す。

 その直後、召喚獣の頭上に次々と点数が表示されていく。俺のほうはまだ処理しきれていないようで表示が遅れているが。

 

 Cクラスは代表の小山をいれて30人ちょっとってところか。これなら余裕だな。

 

『Fクラス  神楽橙夜  VS  Cクラス  小山友香  &  Cクラス32人

  数学   ???点  VS        163点  &  合計約5000点』

 

C生「Fクラスのくせに生意気なのよ!返り討ちにしてあげるわ!」

C生「これだけの数に点数なら楽勝だな!」

C生「さっさと補習室に送ってやる!」

 

 そう言って興奮しているCクラス。だが、残念だ。その台詞は死亡フラグだ。なぜなら――

 

『Fクラス  神楽橙夜  VS  Cクラス  小山友香  &  Cクラス32人

  数学   978点  VS        163点  &  合計約5000点』

 

 ――俺の召喚獣は一対多向きなんだ。教えていないし、根拠とは関係ないけど。

 

橙夜「実は数学は政経に並んで俺の得意科目なんだ」

C生「なっ!」

C生「あんな点数人間が取れるの!?」

C生「才女と専らの噂の高橋女史よりも高いんじゃないか!?」

美波「同じく数学が得意なウチって……」

睦月「流石は橙夜兄だな。俺でも数学で900点は取れないからな」

明久「そう言う睦月は何点なの?」

睦月「最高で850点前後だな」

雄二「……化け物だな……」

康太「…………ありえない」

須川「神楽兄弟って一体……?」

瑞希「と、橙夜君って、凄いですね……」

 

 一応俺って『神楽グループ』の総帥だから数字に強くないといけないだろ?みんなには秘密にしてるけど。

 

小山「い、いくら点数が高くてもこれだけの数がいれば大丈夫よ!それにあっちの武器は鉄扇一つよ!」

C生「そ、そうだな!接近しないとダメージは与えられないはずだ!」

C生「遠距離主体で攻めるぞ!」

C生「Fクラスなんかに負けられないわ!」

 

 そう言ってCクラスの生徒達が動き出す。しかし、その直後――

 

『Fクラス  神楽橙夜  VS  Cクラス  小山友香  &  Cクラス20人  &  Cクラス12人

  数学   978点  VS        163点  &  合計約3000点  &          0点』

 

 ――最前線にいた12人ものCクラスの生徒が一度に戦死していた。

 

C生「な、なんで私の召喚獣が戦死しているの!?」

C生「俺のもだ!一体何が!」

C生「腕輪の能力なのか!?」

C生「見ていたけど、腕輪は光ってないわよ!何があったの!?」

 

 そりゃ、腕輪を使うまでもないし。それに、武器が鉄扇一つなんて誰も言ってないしね。

 

橙夜「動かないなら次々戦死させるぞ」

C生「い、いやぁあああああ!」

C生「誰かあいつを止めろよおおおおおお!」

C生「無茶言うな!」

C生「どうやって攻撃しているのか分からないから防ぎようがないじゃない!」

 

『Fクラス  神楽橙夜  VS  Cクラス  小山友香  &  Cクラス6人  &  Cクラス26人

  数学   978点  VS        163点  &  合計約900点  &        0点』

 

小山「本当に何があったのよ!一度に10人以上が戦死するなんて、ありえないわ!」

C生「や、やめてくれええええ!」

C生「誰でも良いから近づいて攻撃して来いよ!」

C生「そういうならお前が行け!」

C生「そ、そうだ!お前が行って来い!」

 

『Fクラス  神楽橙夜  VS  Cクラス  小山友香  &  Cクラス32人

  数学   978点  VS        163点  &         0点』

 

 なんか気付いたら小山以外のCクラスが全滅していた。雑魚すぎじゃね?まぁ、いいか。

 

橙夜「残ったのはお前一人のようだな、小山」

小山「ひっ!そ、その場から一歩も動いていないのに、なんで遠くにいたのも戦死しているの!腕輪の能力じゃないなら、一体なんなのよ!」

橙夜「そりゃ、企業秘密だろ?じゃ、これで終わりだ」

 

 そう言って俺は、俺の召喚獣に攻撃しようとしている小山の召喚獣にその攻撃を避けながら近づいて召喚獣の首元に鉄扇を突き刺した。

 

『Fクラス  神楽橙夜  VS  Cクラス  小山友香  &  Cクラス32人

  数学   978点  VS          0点  &         0点』

 

 約800点差の上に人体の急所の首元に突き刺したので一撃で小山は戦死した。

 

長谷川「Fクラス対Cクラスの試召戦争はCクラス代表小山友香の戦死によりFクラスの勝利です!」

C生「そ、そんな……」

C生「たった一人のFクラスの生徒に負けるなんて……」

C生「これは夢に違いないわ……そうよ!夢なのよ!」

小山「こ、こんなことってありえないわ……」

 

 長谷川教諭の宣言により崩れ落ちるCクラスの生徒達。

 

雄二「まさか本当に一人でCクラスに勝つとはな……」

美波「点数もそうだけど、一体どうなってるのかしら……?」

睦月「橙夜兄だからしょうがないだろうな」

瑞希「本当に一人で勝ちましたね……」

康太「…………腕輪の能力?でも、点数を消費していない」

須川「……一歩も動いていない上に腕輪の能力でもないなら本当になんなんだ?」

明久「……橙夜。鉄扇しかもっていないのに、一体どうやって勝ったの?」

 

 こちらもこちらで何か打ちひしがれているようだ。

 

橙夜「だから企業秘密だって。ヒントを挙げるとしたら、こっちが一人の時にこそ本領を発揮するってところだな。味方がいると巻き添えにしちまいそうだし。それと誰も俺の武器が鉄扇だけとは言っていないぞ?」

 

 混戦状態だったら間違いなく敵味方関係なく皆殺しになっているだろうしな。それと何度も言うようだけど、鉄扇はメインじゃなくて付属品的な武器だしな。

 

橙夜「それじゃ、Cクラス代表。戦後対談と行こうか?あっ、Bクラス代表とその取り巻きはさっさと出て行ってね」

 

 そう言って俺は根本たち、BクラスをCクラスの教室から追い出した。

 

Side.end




橙「この展開って新しくないか?」

裂「私もそう思ってる」

睦「それでCクラスはどうするんだ?」

裂「原作どおりAクラスに戦争を申し込んでもらう」

愛「つまり、原作であった優子の評判を落とすことがないってことだね」

裂「そう言うことになる。流石に優子の評判落とすのも、秀吉が折檻受けるのもあれだと思ってね」

紫「今回は出番なしなのね」

裂「予定的には次回でBクラス戦が終わる予定だからAクラスの面々もでれると思う」

燐「やったね」

愛「それじゃ、また次回よろしくね~♪」

翔「……よろしく」

燐「またね~♪」
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