問 以下の問いに答えなさい。
『女性は()を迎えることで第二次性徴期になり、特有の体つきになり始める』
姫路瑞希、神楽橙夜、神楽睦月の答え
『初潮』
教師のコメント
正解です。
吉井明久の答え
『明日』
教師のコメント
随分と急な話ですね。
神楽紫の答え
『初潮(これはセクハラだと思います)』
教師のコメント
正解ですが、それは冤罪です。
桜儀燐の答え
『初潮(セクハラで訴えられても知りませんよ?)』
教師のコメント
ですから、ただの問題ですので私たち教師にやましい気持ちはありません。
土屋康太の答え
『初潮と呼ばれる、生まれて初めての生理。医学用語では、生理のことを月経、初潮のことを初経と言う。初潮年齢は体重と密接な関係があり、体重が43kgに達することに初潮をみるものが多い為、その訪れる年齢には個人差がある。日本では平均十二歳。また、体重の他にも初潮年齢は人種、気候、社会的環境、栄養状態などに影響される』
教師のコメント
詳しすぎです。
「優等生を演じて何が悪いのよ!」by木下 優子
Side.明久
僕は睦月と瑞希ちゃんたちとBクラスの生徒たちの相手をしながら、橙夜と根本君の勝負を見ていた。
けど、あれって勝負って言うよりは……蹂躙?
いや、一撃で終わったからそれ以前の話なのかな?
それにしても公民科目で1000点超えか……。
公民科目は必須の受験科目じゃないからあんまり勉強する人いないんだよね。AクラスでもAクラス相応程度位だろうし、まず400点を取れる生徒は10人いるかどうかで、他は教師くらいしかいないんだろうな。
そんなことを考えていると雄二が橙夜と根本君の近くに動いていた。
雄二「さて、それじゃ嬉し恥ずかし戦後対談と行くか。な、負け組代表?」
根本「……」
床に座り込んでいる根本君。さっきまでの強気が嘘のようにおとなしいね。
僕は交渉術なんてものは持ち合わせていないから戦後対談は橙夜と雄二に任せよう。
雄二「本来なら設備を明け渡してもらい、お前らには素敵な卓袱台をプレゼントするところだが、特別に免除してやらんでもない」
そんな雄二の発言に、ざわざわと周囲の皆が騒ぎ始める。
橙夜「落ち着け。試召戦争を始めるときに言ったが、俺達の目標はAクラス。ここがゴールじゃない」
秀吉「うむ、確かに」
雄二「橙夜の言うとおり、Bクラスはあくまで通過点だ。だから、Bクラスが条件を呑めば解放してやろうかと思う」
橙夜の説明に秀吉と雄二が肯定と補足をした。
それを聞いたFクラスのみんなはどこか納得したような表情になった。Dクラス戦の時と同じだし、雄二の性格を理解し始めたのかな?
と言うか、秀吉はいつの間に僕や睦月の近くに来たんだろう?
根本「……条件はなんだ」
橙夜「条件?それはお前だよ、負け組代表」
根本「俺、だと?」
雄二「ああ。お前には散々好き勝手やってもらったし、正直去年から目障りだったんだよな」
橙夜「それに昨日のこともあるからな。その件については、俺たちFクラスの試召戦争が終わったら罰が与えられることは確定しているが、俺もあまり気の長いほうじゃないからな」
雄二と橙夜の言い様は凄いけど、そうやって言われるだけのことを彼はやっている。だからこそ周りの人間は誰もフォローしないし、本人もそれはわかっているみたいだ。
雄二「そこで、お前らBクラスに特別チャンスだ」
昨日の昼に雄二と橙夜が言っていた、あの取引の材料を提案する。
雄二「Aクラスに行って、試召戦争の準備ができていると宣言して来い。そうすれば今回は設備については見逃してやってもいい。ただし、宣戦布告はするな。すると戦争は避けられないからな。あくまでも戦争の意思と準備があるとだけ伝えるんだ」
根本「……それだけでいいのか?」
疑うような根本君の視線。最初はそれだけでよかったんだけどね。
橙夜「ああ。Bクラス代表がコレを着て言った通りに行動してくれたら見逃そう」
そう言って橙夜が取り出したのは、どこから調達したのかわからないフリルが満載のメイド服。
実を言うと橙夜は昨日のことについて若干キレ気味みたいなんだよね。あの感情が根本君じゃなくて僕に向いてたら近寄ることすら躊躇うと言うか、絶対に近寄りたくないね!
根本「ば、馬鹿なことを言うな!この俺がそんなふざけたことを……!」
そりゃ、嫌がるよね。でも、根本君。残念なことに、君には拒否権は一切存在しないんだ。
B生『Bクラス生徒全員で必ず実行させよう!』
B生『任せて!必ずやらせるから!』
B生『それだけで教室を守れるなら、やらない手はないな!』
Bクラスの仲間達の暖かい声援。これを見るだけで根本君が今までどういった行動を取ってきたのかがわかる気がする。
雄二「んじゃ、決定だな」
根本「くっ!よ、寄るな!変態ぐふぅっ!」
B男「とりあえず黙らせました」
雄二「お、おう。ありがとう」
橙夜「んじゃ、よろしく」
一瞬で代表を見限って腹部に拳を打ち込んだBクラスの男子。流石の雄二も変わり身の早さに驚いていた。……橙夜は全く驚いていないようだけど。
雄二「では、着付けに移るとするか。明久、任せたぞ」
明久「了解っ」
ぐったりと倒れている根本君に近付き、制服を脱がせる。
男の服を脱がせるなんてこの上ない苦痛だけど、仕方が無い。逆らったりしたら橙夜が怖いからね。
根本「う、うぅ……」
根本君がうめき声をあげる。目を覚まされるとまずいね。
明久「ていっ!」
根本「がふっ!」
橙夜「一発殴っておきたかったんだ。つうことで、ついでに俺も、っとっ!」
根本「ぐぇっ!」
念の為に追加攻撃したら、橙夜もトドメとばかりに殴っていた。その後に見慣れた男子の制服を剥ぎ、メイド服をあてがう。
明久「うーん……。これ、どうするんだろう?」
通常の服とは違い、全然やり方がわからない。順序はどうなっているんだ?
そうやって困っていると
B女「私がやってあげるよ」
Bクラス女子の一人がそう提案してくれた。
明久「そう?悪いね。それじゃ、折角だし可愛くしてあげて」
B女「それは無理。土台が腐ってるから」
橙夜「ついでにこっちもよろしく」
B女「わかった」
ついでとばかりに女子の制服も渡す橙夜。それにしても酷い言いようだ。
明橙「「じゃ、よろしく」」
僕と橙夜はその女子に根本君を託し、手に彼の制服を持ってその場を離れた。
それにしてもメイド服の着付けの仕方を知っているってことは、彼女はメイドカフェとかでバイトしてたりするのかな?まぁ、どうでもいいよね。
明久「これどうしよっか?」
橙夜「捨てちまえ。折角だからあいつにはメイド服か女子の制服の着心地を家まで楽しんでもらおう」
根本君の制服を持って考えていたら、橙夜がそう提案してくれたからそのまま実行することに。
Bクラスのゴミ箱じゃすぐに見つかりそうだから廊下においてあるゴミ箱で良いかな?
そう思って、Bクラスの教室の近くにいたFクラスのみんなと一緒に自分達の教室のある旧校舎に戻る際に捨てておいた。
☆
睦月「それにしても再開してからまだ1時間も経ってないんだな……」
教室に戻って早々、睦月がそう言った。
確かに、橙夜の無双っぷりで忘れてたけど、まだ10時前なんだね。
『こ、この服、ヤケにフリルがいっぱいじゃないか!』
『いいからキリキリ歩け』
『さ、坂本に神楽め!よくも俺にこんなことを――』
『無駄口を叩くな!これから撮影会もあるから時間がないんだぞ!』
『き、聞いてないぞ!』
と、いきなり廊下から響いてきた言い争い。どうやら始まるみたいだ。
伝令だけじゃなくて、いつの間にか撮影会までスケジュールに入れられたみたいだけど。きっと根本君は一生忘れられない素晴らしい思い出を背負うことになるだろう、悪い意味で。
橙夜「ざまぁーないな」
雄二「全くだな!」
さっきのが聞こえていたのだろう。橙夜と雄二の二人は腹を抱えて笑っていた。
秀吉「さっき聞こえた撮影会とやらは、二人の指示なのかの?」
橙夜「流石秀吉、鋭いな」
雄二「その通りだ。提案してきたのは橙夜なんだがな」
どうやら橙夜の考えだったらしい。哀れ、根本君……でもないね。自業自得としか思えないや。
それじゃ、Aクラスとの試召戦争に備えて、補給試験を頑張るとしようかな。
Side.end
Side.橙夜
点数補給のテストを終えた二日後の朝。
遂に残すところAクラス戦となった俺たちはFクラスの教室で最後の作戦の説明を受けていた。
雄二「まずは皆に礼を言いたい。周りの連中には不可能だと言われていたにも関わらずここまで来れたのは、他でもない皆の強力があってのことだ。感謝している」
あれ?あの雄二が素直に礼を言うなんて、一体なにが!?もしかして偽物……?
明久「ゆ、雄二、どうしたのさ。らしくないよ?」
睦月「そ、そうだ。らしくないぞ、雄二?」
雄二「ああ。自分でもそう思う。だが、これは偽らざる俺の気持ちだ」
明久と睦月も俺の思いと同様のようだ。
雄二「ここまで来た以上、絶対Aクラスにも勝ちたい。勝って、生き残るには勉強すればいいってもんじゃないという現実を。教師どもに突きつけるんだ!」
『おおーっ!』
『そうだーっ!』
『勉強だけじゃねぇんだーっ!』
最後の勝負を前にクラス全員の気持ちが一つになっているようだ。
雄二「皆ありがとう。そして残るAクラス戦だが、これは一騎討ちで決着をつけたいと考えている」
『どういうことだ?』
『誰と誰が一騎討ちをするんだ?』
『それで本当に勝てるのか?』
雄二の考えにざわめきたつFクラスだが、すぐに机をバンバンと叩いて落ち着かせ、説明を続ける。
雄二「やるのは当然、俺と翔子だ」
Aクラス代表の翔子とFクラス代表の雄二。クラス間の戦争を代理で行うなら、代表同士の一騎討ちは当然といえば当然だ。
明久「馬鹿の雄二が勝てるわけなぁぁっ!?」
なにやら明久が口に出したらカッターが明久の頬掠めて飛んでいった。
雄二「次は耳だ」
どうやら次からは本気で殺すつもりらしい。これでこの雄二が本物だと証明出来たような気がする。
雄二「まぁ、明久の言うとおり確かに翔子は強い。まともにやりあえば勝ち目はないかもしれない」
認めるなら明久に向かってカッターを投げるなよ。
雄二「だが、それはDクラス戦もBクラス戦も同じようだっただろう?まともにやりあえば俺たちに勝ち目はなかった」
Dクラス戦は明久と瑞希が、Bクラス戦はそれに加えて俺や睦月がいたからこそなんだけどな。
雄二「今回だって同じだ。俺は翔子に勝ち、FクラスはAクラスを手に入れる。俺たちの勝ちは揺るがない。俺を信じて任せてくれ。過去に神童とまで言われた力を、今みんなに見せてやる」
『おおーーーっ!!』
意思を確認するまでもなく、全員が雄二を信じきっているようだ。俺としては信用は出来ても信頼はし辛いんだがな……。
雄二「さて、具体的なやり方だが……一騎討ちではフィールドを限定するつもりだ」
秀吉「フィールド?何の教科でやるつもりじゃ?」
雄二「日本史だ」
明久たちは此間の昼食会で翔子に苦手科目がないことを知っているから不審になっているようだ。
雄二「ただし、内容は限定する。レベルは小学生程度、方式は百点満点の上限あり、召喚獣勝負ではなく純粋な点数勝負とする」
やはりそうか。翔子にはあれがあるからな……。
明久「でも、同点だったら、きっと延長戦だよ?そうなったら問題のレベルも上げられちゃうだろうし、ブランクのある雄二には厳しくない?」
秀吉「確かに明久の言うとおりじゃ」
確かにブランクのある雄二よりは日本史が得意な明久が出るべきだろう。そっちの方が確実だからな。
雄二「おいおい、あまり俺を舐めるなよ?いくらなんでも、そこまで運に頼り切ったやり方を作戦などと言うものか」
明久「??それなら、霧島さんの集中を乱す方法を知っているとか?」
雄二「いいや。アイツなら集中なんてしていなくとも、小学生レベルのテスト程度なら何の問題もないだろう」
そりゃ教師の監視がある中での妨害程度で、あの翔子の集中が揺らぐことなんてないだろ。
秀吉「雄二。あまりもったいぶるでない。そろそろタネを明かしてもいいじゃろう?」
雄二「ああ、すまない。つい前置きが長くなった」
業を煮やした秀吉が先を促し、雄二はかぶりを振って、改めて口を開いた。
雄二「俺がこのやり方を採った理由は一つ。ある問題が出れば、アイツは確実に間違えると知っているからだ」
そりゃ間違えるって。大切な、本当に大切なお前との思い出の一つなんだからな。
雄二「その問題は――『大化の改新』」
明久「大化の改新?誰が何をしたのか説明しろ、とか?そんなの小学生レベルの問題で出ないよね?」
雄二「確かにそんな掘り下げた問題は出ないだろう。もっと簡単な問いだ」
秀吉「簡単というと――何年に起きた、とかかのう?」
雄二「おっ。ビンゴだ秀吉。お前の言う通り、その年号を問う問題が出たら、俺たちの勝ちだ」
確かに勝てるだろうな……満点を取れるという話ならだが。
雄二「大化の改新が起きたのは、645年。こんな簡単な問題は元バカの明久やこの場にいるお前たちすら間違えない」
雄二はそう言うけど、一部の奴らが雄二の方を向いていた顔をいきなり逸らしたり、俯きだしたぞ。まさかとは思うが……。
雄二「だが、翔子は間違える。これは確実だ。そうしたら俺たちの勝ち。晴れてこの教室とおさらばって寸法だ」
と説明している雄二なんだが、一部の奴らがさっきからずっと思案しているんだよな。
横溝「なぁー坂本」
雄二「ん?なんだ横溝」
横溝「さっきから霧島さんのことを『アイツ』とか『翔子』とかって呼んでいるが、どういう関係だ?」
やっぱりその話題かー。このあとの反応が手に取るように分かるぞ……。
雄二「ああ。アイツとは幼馴染だ」
速水「総員、狙えぇっ!」
雄二「なっ!?なぜ速水の号令で皆が急に上履きを構える!?」
速水「黙れ、男の敵!Aクラスの前にキサマを殺す!」
雄二「俺が一体何をしたと!?」
速水「遺言はそれだけか?……待つんだ須川。靴下はまだ早い。それは押さえつけた後で口に押し込むものだ」
須川「了解です隊長」
やっぱりこうなったか……。このクラスの団結って呆れを通り越して感心してしまいそうだ。
橙夜「とりあえず落ち着け、お前ら。そうしてくれないと話が進まない」
速水「むっ……それもそうだな」
須川「冷静になってみると、確か霧島にはあの噂があったな」
横溝「むしろ興味があるとすれば……」
福村「……そうだな」
そんな感じに話がまとまり、昼食会に参加した男子を除いたメンバーの視線が一人に集中する。
瑞希「な、なんですか?もしかして私、何かしましたか?」
安心しろ、瑞希。お前は何もしちゃいない。他の奴らが勘違いしているだけだ。
雄二「とにかく、俺と翔子は幼馴染で、小さな頃に間違えて嘘を教えていたんだ。アイツは一度覚えたことは忘れない。だから今、学年主席の座にいる」
確かに一度覚えたことは忘れないほどに頭が良い。覚え直そうと思えば簡単に直せた。だけど翔子は雄二との思い出を選んだ。それが今回は仇に……ならないと思うなー。
雄二「俺はそれを利用してアイツに勝つ。そうしたら俺たちの机は――」
『システムデスクだ!』
本当にこのクラスの団結力は色んな意味で凄いと思った。
☆
?「一騎討ち?」
橙夜「ああ。Fクラスは試召戦争として、Aクラス代表に一騎討ちを申し込む」
恒例の宣戦布告。
今回は代表の雄二を筆頭に、俺、睦月、明久、瑞希、秀吉に康太と首脳陣勢揃いでAクラスに来ていた。
毎回こうして数人で宣戦布告していたら誰も怪我をすることもないのにな。
?「うーん、何が狙いなの?」
現在俺と交渉テーブルについているのは優子。
本来は雄二だったのだが、あえてAクラスとの交渉は俺がすることにした。
橙夜「もちろん俺たちFクラスの勝利が狙いだが?」
確かに訝しむのも無理はないだろう。下位クラスの俺たちが主席の翔子に一騎討ちを挑むこと事態が不自然なのだから、裏があると考えるのが当然だな。
……勿論優子の言う取り、裏があるんだけどな。
優子「面倒な試召戦争を手軽に終わらせることができるのはありがたいけどね、だからと言ってわざわざリスクを冒す必要もないかな」
橙夜「流石に賢明だな、優子は」
これは予想通り。相変わらず優等生という猫を被った反応だが、交渉の本番はここから。
橙夜「ところで、Cクラスとの試召戦争はどうだった?」
優子「時間は取られたけど、それだけだったよ?何の問題もなし」
和平交渉どおり昨日Aクラスに攻め込んだCクラス。戦争自体は半日で決着がついて今はDクラス相当の設備に落とされている。
橙夜「Bクラスとやりあう気はあるか?」
優子「Bクラスって……、昨日来ていたあの(・・)……」
橙夜「ああ。アレが代表をやっているクラスだ。幸い宣戦布告はまだのようだが、さてさて、どうなるかね」
優子「でも、BクラスはFクラスと戦争したから、三ヶ月の準備期間を取らない限り試召戦争はできないはずよね?」
試召戦争の決まりの一つ、準備期間。
戦争に敗北したクラスは三ヶ月の準備期間を経ない限り宣戦布告をする権利がない。これは敗北クラスがすぐに再戦を申し込んで、試召戦争を泥沼化させない為だ。
橙夜「知っているだろ?実情はどうあれ、対外的には『和平交渉にて終結』ってなっていることを。規約には何の問題も無い。……Bクラスだけでなく、Dクラスもな」
設備を入れ替えていないからこそ出来る芸当なんだがな。
優子「……それって脅迫なの?」
橙夜「人聞きが悪いぞ、優子。ただのお願いってやつだ」
優子「うーん……わかったよ。何を企んでいるのか知らないけど、代表が負けるなんてありえないからね。その提案受けるよ」
明久「え?本当?」
意外とあっさりとした返事に驚いたようで、会話に参加していなかった明久が声を出していた。
優子「だって、あんな格好した代表のいるクラスと戦争なんて嫌だもん……」
確かにあれは嫌だろうな。俺も勘弁してもらいたい程だ。
優子「でも、こちらからも提案。代表同士の一騎討ちじゃなくて、そうだね、お互い五人か七人ずつ選んで、一騎討ちで三勝か四勝した方の勝ち、っていうのなら受けてもいいよ」
明久「う……」
かかったっ!雄二がどうかは知らんが、この場にいる連中は俺の思惑は知らない。
元々俺は五対五か七対七を望んでいたからな。上手く話が進んでいる。
だからこそここは、落ち着いて何事もないように冷静に言葉を返すんだ。
橙夜「なるほど。こっちから俺や睦月、瑞希が代表者として出る可能性を警戒しているんだな?」
優子「うん。多分大丈夫だと思うけど、代表が調子悪くて橙夜たちが絶好調だったら、万が一があるかもしれないしね」
橙夜「安心しろ。こっちからは雄二が出るから」
雄二「橙夜の言うとおり俺が出るつもりだ」
優子「その言葉を鵜呑みにするのは無理だよ。これは競争じゃなくて――戦争だからね」
確かに、俺たちがこれからやるのは戦争だ。そこに約束なんてものは意味を成さないからな。
橙夜「そうか。それなら七対七の条件を呑んでも良いだろう。雄二も良いだろう?」
雄二「ああ、それで構わん」
俺と雄二の言葉に睦月以外が驚いているようだが、まだ話は終わっていない。
優子「ホント?嬉しいな♪」
優子の笑顔に睦月の顔が少し赤くなったのはきっと気のせいだ。
橙夜「ただし、勝負する内容の決定権は七つのうち四つはこっちが、三つはそっちとさせてもらう」
優子「え?うーん……」
再び悩む優子。勝利条件の四勝分の科目決定権をこっちが持たせるという事はかなりの危険を生じさせることになる。その辺を考慮するなら、クラスの交渉役となっている優子が慎重になるのは当然のことだ。
?「……受けてもいい」
明久「ぅわっ!」
翔子か。大方突然現れたことに明久は驚いて声を出したといったところか。
翔子「……橙夜たちの提案を受けてもいい」
優子「あれ?代表。いいの?」
翔子「……その代わり、条件がある」
優子「条件?」
翔子「……うん」
頷いて、翔子は俺を見ていた視線を雄二に移し、じっと見つめていた。そして、気が済んだのか俺のほうに向き直って言い放つ。
翔子「……負けたほうは何でも一つ言う事を聞く」
なるほど。これを盾に雄二に交際を強制するつもりだろう。
康太「…………(カチャカチャ)」
明久「ムッツリーニ、まだ撮影の準備は早いよ!というか負ける気満々じゃないか!」
やっぱりこいつらは阿呆だったようだ……。
橙夜「明久と康太が何を考えたか知らんが、お前ら二人はその想像通りにならないことを既に知っているはずだろうに……」
いい加減その手やら思考をやめないと明久は紫だけでなく瑞希や島田嬢に、康太は須藤嬢にお仕置きされるぞ……。
優子「代表が良いみたいだから、七対七の一騎討ち七回勝負で科目選択権は私たちAクラスが三つ、橙夜たちFクラスが四つで、負けたほうが一ついう事を聞くって事でいいよ」
橙夜「それじゃ交渉成立だ」
翔子「……勝負はいつ?」
橙夜「だそうだが雄二、どうする?」
雄二「そうだな。十時からでいいか?」
翔子「……わかった」
橙夜「これで交渉は成立した。一旦教室に戻るぞ」
明久「そうだね。皆にも報告しなくちゃいけないからね」
そうして交渉は終了し、Aクラスを後にする。
これで舞台は整った。後は時間(とき)が来るのを待つだけだ。
Side.end
裂「作者こと裂やんと――」(ダラダラ)
シ「前回に引き続いて私、神儀紫稀と――」ダッ!(裂やんが逃亡する音)
紫「明久のヒロイン予定の私、神楽紫と――」ガシッ!(そんな裂やんを紫稀が捕まえる音)
燐「秀君のヒロインの私、桜儀燐の4人でお送りします!」
シ「裂やんは逃げんなよ」
裂「は、放せ!私を放すんだ、紫稀!」
紫「あら?どうして逃げるのかしら?」
燐「やましいことがないなら逃げる必要はないよね?」
裂「…………」(ダラダラ)
紫「それじゃ、弁解があるのなら聞こうかしら」
裂「えっとですね……」
燐「うん?」
裂「前回はキノコを戦死させたところで区切りが良かったもので……」
紫「それならしょうがないわね」
裂「あれ?許してくれるんですか?」
燐「うん、その事に関しては許してあげるよ。だけどね……」
裂「へっ……!?」(ダラダラ)
紫「だけど、今回も出ていないのよね?」
裂「ひっ!?」
燐「そうそう、今回も出ていないんだよね。だから――」
裂「く、来るんじゃない!」
裂やんはログアウトと念じた。
……しかし、ログアウトは出来なかった。
紫燐「「OHANASHIしましょうか(しようよ)」」
裂「い、イヤァァあああああああああああああああああああああああああ!?」
シ「わ、私は何も見ていない……見ていない……っと、恐怖に震えている場合じゃなかった」
シ「私以外の三人が少し離れているが話を続けないとな」
シ「今回の原作との相違点は根本、もといキノコの格好と一騎討ちの勝負回数だな」
シ「次回からはいよいよ原作第一巻の目玉?のAクラス戦開始だ」
シ「誰と誰が戦うかを予想してみるといいだろう」
紫燐「「ただいまー」」
シ「裂やんはどうしたんだ?」
(服にある返り血のような真っ赤な染みには突っ込まんぞ!)
紫「じっくりとOHANASHIしたから今頃じっくりと眠っていると思うわ」
燐「そうそう。1話分はここに来ないと思うよ」
シ「それじゃ、次回もよろしく」
紫「また次回ね」
燐「またね~♪」