問 以下の問いに答えなさい。
『海に面していない都道府県を全て挙げなさい』
神楽橙夜、神楽睦月、神楽紫、姫路瑞希、霧島翔子、工藤愛子、吉井明久、木下優子、木下秀吉の答え
『岐阜県、群馬県、埼玉県、滋賀県、栃木県、長野県、奈良県、山梨県』
教師のコメント
正解です。該当する都道府県は八つですね。
吉井君や木下君が正解していて、驚きました。
桜儀燐の答え
『岐阜県、群馬県、埼玉県、栃木県、長野県、奈良県、山梨県』
教師のコメント
滋賀県が抜けています。惜しかったですね。
坂本雄二の答え
『岐阜県、京都府、群馬県、埼玉県、滋賀県、栃木県、長野県、奈良県、山梨県』
教師のコメント
京都府が余計です。
土屋康太の答え
『相生、飯田、加西、国分、瀬田川、千歳、中島、牧ノ原』
教師のコメント
それは『都道府県』ではなく『市町村』です。
「勢いでやっちゃったけど、今思い返すと恥ずかしい……///」by工藤 愛子
第壱弐問目 デートとキスとスタンガン
Side.橙夜
Aクラスとの試召戦争と戦後対談終了後、俺たちは映画館に来ていた。
橙夜「さて、どれ観るんだ?」
睦月「色々とあるな」
明久「こんな時期でも結構あるんだね」
秀吉「そうじゃな」
俺たち男性陣は入り口にある上映作品の目録を見て上映作品の多さに若干驚いていた。
愛子「やっぱデートで観るなら恋愛モノかなー?」
優子「恋愛モノで上映してるのあるかしら?」
紫「確か3、4作あったはずよ」
燐「紫の言うとおり数作あったよー」
女性陣は目録を見ながらどれを観ようか考えていた。
橙夜「それで、どれ観たいか決めたのか?」
愛子「うん。ボクは『世界の中心で僕の初恋2』が観たいんだけどいいかな?」
橙夜「俺は何でも大丈夫だ」
睦月「優子はどれにするんだ?」
優子「アタシも愛子と同じのだけどいい?」
睦月「あぁ、いいぞ」
明久「紫は決めたの?」
紫「ええ。この『君に出会えたこの場所で』なんだけど、いい?」
明久「うん、大丈夫だよ」
秀吉「燐はどれなのじゃ?」
燐「うん、私は『どこまでも君と』だよ」
秀吉「確かそれは有名な役者が沢山出てくるやつじゃな。楽しみじゃ」
橙夜「それじゃ、売り場に行くか」
一同『うん(はい)(ええ)(そうじゃな)』
そう言って俺たちはチケット売り場に向かった。
そしてチケット売り場に着くと見知った人物がいた。
橙夜「お前ら、チケット売り場で何してるんだ?」
雄二「……男とは……無力だ……」
翔子「……あの後、雄二が途中で逃げ出して、捕まえてたらこんな時間になった」
なるほど。だから手を繋いでるんだな。
翔子「……雄二、どれが観たい?」
雄二「早く自由になりたい」
翔子「……じゃあ、『地獄の黙示録:完全版』」
雄二「おい、待て!それ3時間23分もあるぞ!」
翔子「……二回観る」
雄二「一日の授業より長いじゃねーか!」
翔子「……授業の間、雄二に会えない分の……埋・め・合・わ・せ」
雄二「やっぱ帰る!」
そう言って立ち去ろうとする雄二。翔子はそれを追い、雄二の制服の裾を掴む。
さらに翔子は上目遣いで雄二を見る。
翔子「……私と映画を観るのは、イヤ?」
雄二「そ、そうは言っていない!」
翔子「……じゃあ、どうして?」
雄二「流石に約7時間も座って観ていられない」
翔子「……なら、隣で寝ててもいい」
雄二「分かった!分かったから、そんな目で見るな!」
翔子「……うれしい」
雄二「はぁー……」
制服の裾を掴まれるだけなら逃げれたかも知れんが、流石に上目遣いもされたら、誰だって逃げられないよな。
翔子「……学生二枚二回分、これで」
店員「では、拝見させてもらいますね。……こ、これは!?」
雄二「どうしたんだ、一体?」
翔子「……それ、使えないの?」
店員「いえ、そうではございません。これはVIP専用の無期限パスなのですが、お客様はどちらでこれを?」
橙夜「それなら、俺がやった」
店員「へ?……って、と、橙夜様!いらっしゃってたのですか!?」
さっき、目の前で会話してたのを見ていないのか?
橙夜「まぁな。で、こいつらは俺の友人で予備のをやったってわけだ」
店員「そうでしたか」
愛子「橙夜くん、この状況について説明してほしいんだけど」
橙夜「ん?あぁ。そういえば言ってなかったな。この映画館、実は家の系列の会社が経営してんだ」
愛子「そうだったんだ」
橙夜「状況説明も済んだから、こっちの二人にチケット渡してやれ」
店員「は、はい!学生二枚、二回分ですね。こちらになります」
翔子「……ありがとう。雄二、行く」
雄二「分かってるから、引っ張るな」
そう言って、雄二と翔子は奥へ進んでいった。
橙夜「じゃ、『世界の中心で僕の初恋2』を四枚、『君に出会えたこの場所で』と『どこまでも君と』をそれぞれ二枚の学生八枚分をこれで」
店員「はい。チケットはこちらになります」
橙夜「ありがとう。チケット代は俺が負担してやったが、飲み物とかは各自で負担してくれよ。じゃ、それぞれの受け取ってくれ」
一同『はーい』
それぞれ飲み物を買って、映画を観て各自帰宅した。
☆
Aクラスとの試召戦争と愛子との初デートを終えて、翌日。
いつもと同じ通学路をいつもと同じ五人で歩いて登校し、下駄箱につくと、そこには雄二がいた。
橙夜「よう、雄二」
睦月「そんなところで何してんだ?」
明久「おはよう雄二」
紫燐「「坂本君、おはよう」」
雄二「よう。おはよう」
挨拶を交わしながら俺たちは靴を履き替える。
雄二「で、お前ら、昨日はどうだった?」
橙夜「結構楽しかったが?」
睦月「俺も同じくだな」
明久「僕もかな」
雄二の質問にそれぞれ答える。
と言っても、二人は端折ったが。
雄二「なんだ、つまらん」
橙夜「そういう雄二こそ、どうだったんだ?」
雄二「面倒だったから映画が始まる前から寝たんだが」
睦月「最初くらいは起きとけよ!」
雄二「……目が覚めると繋がれた牛が殺されるシーンだった」
明久「へ、へぇー……。それで?」
雄二「気分が悪くなって寝て、また目を覚ましたらまた牛が……!」
明久「……本当に二回観たんだ」
雄二「また寝ようとしたんだが、永遠に牛が殺されるシーンで目覚め続けるんじゃないかと脅迫観念に襲われて、眠れなかった」
橙夜「永遠に映画の最初は観れなかったんだな」
軽く雑談をして俺たちは教室に向かった。
☆
あの後、何の問題も起こらず時が過ぎ、週末。
俺はクレープを食べに行くという愛子との約束で、出掛けていた。
明久もいつの間にか瑞希と島田嬢と約束していたらしく、待ち合わせの時間と場所が同じだったから一緒に行くことにした。
明久「僕っていつ、瑞希ちゃんや島田さんと約束したんだろう?」
橙夜「それは俺も聞きたい」
明久「それと、今月はちょっと厳しいんだよね……」
橙夜「そうなのか?」
明久「うん。此間の映画観た時に少し使っちゃたからね」
橙夜「なるほど」
それならほれ、と言いながら俺は明久に三千円を渡す。
明久「橙夜、いいの?」
橙夜「ああ。実を言うと、この金は毎回仕送りの一部を保険として渡してなかったやつだからな」
明久「ええ!何でそんなことをしてるのさ」
橙夜「お前に金を渡したら殆どを趣味に使い込むからだろうが……」
明久「……反論……出来ない……っ!」
橙夜「それと、今までも同じように渡していない金があって、それは明久に知られないように秋さんが作った、お前名義の口座に保管しているから安心しろ」
明久「そんなものまであったんだ……」
因みに、仕送りは全てその口座に振り込まれている。
橙夜「そろそろ、待ち合わせの場所だな」
明久「そうだね。時間の方も結構余裕があるよ。って瑞希ちゃんと工藤さん、もう来てるよ!」
橙夜「マジかよ……」
現時刻は9時40分。一応待ち合わせは10時に駅前の噴水となっているが、こういう時に遅刻するわけにはいかないから、余裕を持って早めに着くように出てきた。
そんな俺の腹積もりは、既に愛子と瑞希が来ていたことで意味がなくなったが。
橙夜「それじゃ、声を掛けるか。おー…い…」
明久「どうしたの、橙夜。いきなり立ち…止まっ…て……」
愛子たちに声を掛けようとした俺たちが見たのは、数人の男が愛子と瑞希の前に立ち、その内の二人が愛子たちの手首を掴んでいる場面だった。
愛子『あの、手を放してもらえませんか?』
モブ『いいじゃん。俺たちと遊ぼうぜ?』
瑞希『わ、私たち、ひ、人を待ってるので』
モブ『そんな奴放っておいて、俺たちと行こうぜ?』
なるほど、ナンパか。気をつけないと殴っちまいそうだな。
とりあえず愛子たちのところに行くか。
橙夜「明久、行くぞ」
明久「うん、分かってる」
そう言って俺と明久は二人+αに近付く。
橙夜「俺たちの連れに何か用か?」
明久「彼女たちから手を離してもらえませんか」
愛子と瑞希の手首を掴んでいる男の腕に触れながら声を掛ける。
モブ「あぁ?なんだお前ら?」
明久「僕たちのことは別にどうでもいいんですよ」
橙夜「そうそう。とりあえず、お前らは」
橙明「「その手を離せばいいんだ(よ)!」」
モブ「「ぎゃあああああああ」」
何をしたかって?普通に腕を握り締めてやっただけさ。
俺と明久は握力が50kg超えてたりだったりするんだけどな。
橙夜「愛子、大丈夫か?」
明久「瑞希ちゃんも大丈夫?」
愛子「うん、大丈夫だよ。助けてくれてありがとう、橙夜くん」
瑞希「は、はい。大丈夫です」
男が手を離したのを確認して、俺たちは愛子たちに声を掛けた。
モブ「おい!てめぇら、よくもやってくれたな!?」
モブ「覚悟できてんのか!えぇ!?」
ナンパ野郎共がうるさい。
橙夜「お前らはさっさとナンパをやめて家に帰ってりゃいいんだよ」
明久「嫌がる女の子を無理やり連れて行こうとした時点で失敗してるんだから、諦めればいいのにね」
モブ「舐めやがってっ……!もういい。やっちまえお前ら!」
モブ『おうっ!』
挑発にもならない言葉を聞いて逆ギレか……。
橙夜「明久、二人と一緒に下がってろ」
明久「いいけど……一人で大丈夫?」
橙夜「これくらいなら平気だ」
明久「それじゃ、気をつけてね」
橙夜「お前のほうこそ二人を頼むぞ」
そう言って俺は男たちの前に立った。
☆
数分後。
数人の男相手に本気で喧嘩して、本気の拳や蹴りを入れた末に、数体の屍を満足気な表情で見ながら立つ無傷の男子高校生の姿が、そこにはあった。
ていうか、俺だった。
あれ?今の振り、どこかで覚えが……。まぁ、いっか。
愛子「橙夜くん、大丈夫だった!?怪我とかしてない!?」
橙夜「落ち着け、愛子。この通り無事だし、怪我もしていない」
愛子「よ、よかった~。橙夜くんが怪我とかしちゃってたらどうしよーかと思って、心配したんだよ?」
橙夜「心配してくれてありがとうな。本当に何にもないから安心しろ」
明久「相変わらず橙夜は強いね。流石ってところかな?」
瑞希「橙夜君が無事でよかったです」
橙夜「そっちこそ、大丈夫だったか?」
明久「全員、橙夜の方に向かっていってたから大丈夫だったよ」
橙夜「ならよかった」
現時刻は9時50分を回ったところ。
ナンパ野郎共は撃退と言うか、撃破したから何の問題もないな。
橙夜「それじゃ、愛子。俺たちはもう行こうぜ。時間も勿体ないからな」
愛子「うん、そうだね」
明久「橙夜たちはもう行くだね」
橙夜「ああ。俺たちは適当に見て回って『ラ・ペディス』って喫茶店に行く予定だから、映画を観終わったお前らと会うかもしれんな。後、明久、これもってけ」
俺は映画館で使える無期限パスを明久に渡す。
明久「あ、うん、ありがとう。でもいいの?」
橙夜「気にするな。それも翔子にやったのと同じで予備だ。まぁ、きちんと返してもらうけどな」
明久「分かってるよ。橙夜と工藤さん。会えたらまたね」
橙夜「ああ、またな」
愛子「それじゃあね、吉井くん、姫路さん」
瑞希「あ、はい。橙夜君と工藤さんもまた」
そう言って、俺と愛子は明久たちと別れた。
☆
明久たちと別れた俺と愛子は、駅前にある、大きなデパートに来ていた。
橙夜「で、愛子は何か買いたい物とかあるのか?」
愛子「うーん……明確に買うつもりってわけじゃないけど、服を見たいと思ってね」
橙夜「なるほど。ちょうど、近くに服売り場があるから行くか」
愛子「うん!」
笑顔が凄く可愛いです!?
因みに愛子の服装は水色のTシャツに藍色のハーフパンツだ。
愛子「橙夜くん。試着してくるね。覗いたらダメだよ?」
橙夜「はぁー……。女の子がそう言うこと言ったらダメだろ……」
よくよく考えると、試着室の前に一人でいるのって初めてなような……?
紫や燐、優子とかと服を買いに行くときは睦月や明久、秀吉の誰かが必ず一人は一緒だったからな。
愛子「橙夜くん、お待たせー」
どうやら俺が思考の海に沈んでいる間に試着を終えて出てきていたらしい。
愛子「これ、どうかな?」
そう言う愛子の格好は、先程までのTシャツとハーフパンツとは打って変わって、紺色の薄手のカーディガンに中はオレンジ色の無地のシャツ、下は丈が膝上の薄緑色のスカートだ。
橙夜「俺は似合ってると思うぞ」
愛子「本当!他にも気になってるのがあるから次の試着してくるね」
その後も愛子はワンピースやニットベストなど十数着の試着を続けた。
その中で愛子は特に気に入ったものや俺が特に似合っていると言ったものを買った。
勿論、費用は俺持ちだが。
服売り場を後にした俺たちはデパートの中を見て回った。
CD売り場などで視聴したり、書籍売り場で参考書や小説・漫画を買ったりした。
そして、時間もいい感じになったから、俺たちは『ラ・ペディス』に向かった。
Side.end
Side.明久
橙夜と工藤さんと別れてから五分後くらいのときに島田さんがやってきた。
美波「おはよう。瑞希、吉井」
瑞希「おはようございます。美波ちゃん」
明久「おはよう。島田さん」
美波「二人とも早いのね。出てくるときに何を着てくるか迷っちゃってね。去年のブラウスがまだ着れてラッキー」
明久「へー。それって去年から全然膝の関節があらぬ方向に曲がろうと痛って!まだ何がと言っていないのにィイイイイイイイ!!」
美波「言いたいことは分かってるからいいの!」
明久「ロープ、ロープ!」
?「おおぉ!みえ、みえ、みえ、みえー」
明久「なんでムッツリーニが此処にぃい」
康太「自主トレ」
こんな感じの一悶着があったが、僕らは映画館についた。
瑞希「明久君は何が観たいですか?」
美波「意見くらいは聞いてあげるわよ」
明久「僕?」
チケット代に関しては橙夜にパスを借りてるから気にしなくてもいいから、何がいいかな?
?「……雄二。何観たい?」
?「俺の希望は……叶えられるのか?」
僕らの後ろから知った声を聞き、振り返るとそこには霧島さんと霧島さんと手を繋いでいる雄二がいた。
翔子「……じゃあ、『戦争と平和』」
雄二「おいそれ7時間4分もあるだろ!」
翔子「……二回見る」
雄二「14時間8分も座ってられるか!」
翔子「……退屈なら、途中で寝てていい」
雄二「ちょっと待て!そのスタンガンどこから入手した!と言うか、それは気絶だろうが――」
翔子「……ずっと一緒にいるのは同じだから、大丈夫」
雄二「の!の!ノーモア!!」
翔子「……学生二枚、二回分、これで」
店員「はい、学生一枚、気を失った学生一枚、無駄に二回分ですね」
霧島さんは雄二にスタンガンを押し当て、気絶させた後、チケットを受け取って雄二を引き摺っていった……。
瑞希「はっきり気持ちを伝えられる人って羨ましいです」
美波「憧れるよねぇ」
2時間くらいのにしよ……。
と言うか、霧島さんの今の行動を羨ましがったり、憧れたりしたらダメだと思う。
☆
2時間30分くらいの映画を観終わった僕らは次の予定を話し合っていた。
明久「これからどうしようか?」
美波「そうね。時間も時間だし、お昼にしましょう?」
瑞希「でしたら、『ラ・ペディス』に行きませんか?橙夜君と工藤さんも既に行っているかもしれませんし、喫茶店なのでお昼に適した料理もあるでしょうから」
確か橙夜は、クレープを食べる以外にはデパートとかを見て回るとかって言ってたから、橙夜の方も行っているかもしれないね。
明久「じゃあ、次は『ラ・ペディス』で決定かな?」
美波「ウチもいいわよ」
瑞希「では、行きましょうか」
そうして、僕らは『ラ・ペディス』に向かった。
Side.end
Side.橙夜
ウィンドウショッピングなどを一旦終えた俺たちは『ラ・ペディス』で昼食をとっていた。
愛子「ここのナポリタン、美味しい」
橙夜「俺のカレーも結構いけるぞ」
愛子「本当?」
橙夜「ああ。一口食べてみるか?」
愛子「それじゃお言葉に甘えて、一口もらおうかな」
橙夜「それなら、ほれ。あ~ん?」
愛子「あ、あ~ん(モグモグ)……ほんとだ、美味しい。それじゃ、お返しに。あ、あ~ん……」
橙夜「あ~ん(モグモグ)……ナポリタンも中々いけるな」
そういえば、無意識?無自覚?であ~んってやったけど、普通に間接キスじゃ……?
愛子の方も理解したのか顔が真っ赤になってるし。
でも、前にも箸であ~んってやったから今更間接キスで恥ずかしがらなくてもいいんじゃ?
それから、雑談をしながらそれぞれのお昼を食べ終わり、食後のデザートとして頼んだクレープを食べていると新しい客がやって来た。
店員『いらっしゃいませ』
?『三人で禁煙席でお願いします』
店員『それでは、こちらへどうぞ』
ん?今入ってきたのって明久たちか?
どうやら俺たちの隣の席に案内されるみたいだから、声掛けるか。
橙夜「よ、明久。お前らも来たのか。時間的にはお昼ってところか?」
明久「あ、橙夜。やっぱり来てたんだね。うん、お昼だよ。橙夜たちは何を食べたの?」
橙夜「俺はカレーで愛子はナポリタンだ」
明久「味はどうだった?」
橙夜「結構いけるぞ」
明久「橙夜がそう言うなら他のも期待できそうだね」
美波「工藤さん。少し顔が赤いけど、どうかしたの?」
愛子「な、なんでもないよ!大丈夫だから、気にしなくていいよ!」
美波「そう?それならいいけど」
瑞希「風邪とかには気をつけてくださいね?」
愛子「う、うん。心配してくれてありがとう」
どうやらまだ余韻が残ってたっぽいな。島田嬢の指摘で思い出して、また少し赤くなってたけど。
それからは俺たちは明久たちが今日観た映画の感想を聞いたり、逆にこっちはどうだったか聞かれたりした。
橙夜「さて、デザートのクレープも食べ終えたから俺と愛子は午前の続きをするとしますか」
愛子「そうだね。それじゃ、吉井くん、姫路さん、島田さん。今日はもう会わないと思うから、また学校でね」
食後のコーヒーと紅茶を飲み終えた俺と愛子は、そう言って席を立った。
明久「うん、また明日」
美波「また学校でね」
瑞希「また明日学校で」
そんな俺たちにそう声を掛けてきた三人。
ああ、そうだ。明久と島田嬢には言っておかないといけないことがあった。
橙夜「明久、島田嬢」
明久「橙夜、どうしたの?」
美波「何?神楽兄」
橙夜「この喫茶店、清水美春の家だから気をつけろよ?」
そういい残して、俺は愛子の手を握って足早に立ち去った。
後ろで明久と島田嬢が何やら喋っていたが、スルーだ、スルー。
☆
『ラ・ペディス』から立ち去った後、俺たちはファンシーショップやアクセサリーショップを見て回った。
愛子「橙夜くん。今日は楽しかったね」
橙夜「そうだな。俺も楽しかった」
周囲は既に夕暮れ時。楽しい時間を過ごした俺と愛子は、帰路についていた。
愛子「送ってくれてありがとう。家もすぐそこだから、ここまでで十分だよ」
橙夜「そうか。万が一があったら大変だけど、すぐ近くだし大丈夫だな」
愛子「ふふふ。橙夜くんって結構心配性だよね」
橙夜「そうかもしれないな。これでも一応、長男だからな……」
愛子「どうしたの?橙夜くん」
橙夜「いや、なんでもない。それとこれ。此間は放課後デートだったから買えなかったけど」
初デートの記念の遅いプレゼントだ、と言って、俺は持っていた荷物の中から梱包された長方形の箱を取り出して愛子に差し出した。
愛子「ありがと。今、あけてもいい?」
橙夜「ああ」
一体どんなのかなー?と言いながら丁寧に梱包を解いていく愛子。
愛子「これってネックレス?」
橙夜「ネックレス以外に見えるのか?」
どうやら、箱を開けて中を確認したらしい愛子に茶化しながら肯定する。
愛子「形はハートなんだね」
橙夜「そりゃな。愛子の愛はLoveって意味だからな」
愛子「嬉しいな。ボクのことを考えて選んでくれたんだね」
橙夜「まぁ、アクセサリーショップに寄ったときに二千円程度で買った安物だけどな」
愛子「そうだったとしても、嬉しいよ。橙夜くん、これつけてもらってもいいかな?」
橙夜「いいぞ。貸してみろ」
ネックレスを受け取って愛子の後ろに回る。
留め金を外して腕を前に回して首の横を通して首の後ろで留め金を留めて、前に回る。
愛子「ありがとう。これ、大切にするね」
橙夜「そうしてくれると、俺も嬉しい」
愛子「それじゃ、橙夜くん。お礼したいから目を閉じて」
橙夜「一体何をするつもりだ?」
まぁ、いいけど、と言って俺は目を閉じた。
それから数秒後、不意に、唇に柔らかいものがあたった感触がして、目を見開くと目の前に愛子の顔があった。
愛子「えへへ。ボクのファーストキスだよ。……それじゃ、また明日学園でね!」
橙夜「あ、ああ。また明日な」
そう言って、真っ赤な顔をして愛子は走り去っていった。
……明日から、どうやって顔を合わせればいいんだろう?
Side.end
Side.明久
『ラ・ペディス』で一緒になった橙夜が、去り際に残酷なことを言い残していった。
橙夜「この喫茶店、清水美春の家だから気をつけろよ?」
美波「ちょっと、神楽兄!それって……って、もういない!」
清水さん?誰のことだろう?
それと僕は一体何に気をつけたらいいんだろう?
明久「よく分からないけど、とりあえず注文したクレープが来たから食べよう」
美波「そうね……。嫌なことは後で考えましょう……」
瑞希「美味しそうですよ」
島田さんに一体何があったんだろう?
ん?島田さんと清水さん?そういえば、清水さんって島田さんのことを好きな同性愛者って噂があったような……?
美波「吉井のチョコクレープ美味しそうね、ウチのバナナクレープと一口交換しない?」
瑞希「それなら私のストロベリークレープも一口交換しませんか?」
明久「いいの?なら交換しよっか」
美波「それじゃ、はい。あ~ん」
瑞希「明久君、どうぞ。あ~ん」
明久「あ、あ~ん」
そんな感じに、瑞希ちゃんと島田さんのクレープがもう少しで口に入ろうかとした瞬間、横からフォークが飛んできた。
?「いけません、お姉さま!」
声がした方を向くと、女の子がフォークを持って僕のことをを睨みつけていた。
もしかして、彼女が清水さん?
美春「ひどいです!お姉さまの甘い甘いクレープを、その口をつけたフォークごと、薄汚い家畜に与えるなんて!美春許せません!これ以上豚が図に乗って狼藉を働かないよう――」
明久「ぶ、豚ぁ?」
美春「――今、この場で成敗します!」
明久「えぇ?僕ぅ!?」
それからは完全な逃走劇だった。
僕は先頭を走って逃げ、清水さんはそんな僕を追い、瑞希ちゃんと島田さんは僕と清水さんを追う。
途中で瑞希ちゃんと島田さんと合流して、三人で引き続き逃走。
そんな僕たちは通りかかった公園で秀吉と遭遇した。
秀吉「おお、明久。何をしておるのじゃ?」
明久「秀吉、こっちに!」
秀吉「何じゃ!」
とりあえず、清水さんが見えたから秀吉も一緒に草陰へ。
清水さんが発していた言葉を聞いて、とても怖くなって島田さんを避けてしまったのはしょうがないと思う。
秀吉「よく分からんが、お主らは、追っ手から逃げておるのか?」
明久「そうなんだ。何か逃げ切るいい方法はないかな?せめて僕の召喚獣を使えればいいんだけど」
瑞希「学園を離れると召喚システムを使えないんですよね」
美波「うん……」
召喚獣を使えれば何とかなる……。でも、学園を離れると使えない……。それなら学園に?
でも、学園に行ったら清水さんも召喚獣を使える……。その上で逃げ切るには?
明久「あっ!そうか!」
美波「吉井、何かいい方法閃いたの?」
明久「うん、これなら何とかなるよ」
瑞希「それはどういう方法ですか?」
明久「学園に行くんだ。それで―――――だ」
秀吉「なるほどのう。ならば、急いで学園に向かうと良いじゃろう」
明久「うん。それじゃ、秀吉。また明日、学園でね」
美波「木下またね」
瑞希「木下君、また明日学園で」
秀吉「うむ。また明日じゃ。気をつけるんじゃぞ」
そうして、僕らは逃走劇を再開して学園に向かった。
☆
学園に着いた僕らは現国の竹内先生に遭遇した。
瑞希「竹内先生、模擬試召戦争をやりたいんですけど」
竹内「え、あ、はい。承認します」
明久「よし。試験召喚獣、試獣召喚(サモン)!」
美波「試験召喚獣、試獣召喚(サモン)!」
瑞希「試験召喚獣、試獣召喚(サモン)!」
僕らが召喚を終えた直後、清水さんが追いついてきた。
美春「ひどい!私の愛を邪魔する気ですか!試獣召喚(サモン)!」
清水さんも召喚に応じて召喚獣を出す。
明久「瑞希ちゃんの召喚獣がいれば、怖いものなしだ!この勝負、勝てる!」
瑞希ちゃんの召喚獣を先頭にして立ち向かう。
『Fクラス 国語 島田美波 16点
姫路瑞希 345点
吉井明久 175点
VS
Dクラス 国語 清水美春 132点』
瑞希「清水さん、ごめんなさい!」
美春「そうはいきません!」
そう言うと、清水さんの召喚獣は瑞希ちゃんの召喚獣を飛び越えて島田さんの召喚獣に攻撃した。
美波「ウチにぃ!?うそー」
攻撃直後の隙をついて、瑞希ちゃんが清水さんの召喚獣に攻撃して戦死させた。
鉄人「0点になった戦死者は補習ぅぅーーー!」
美波「ええ!今日はお休みなのにぃー!?」
美春「美春はお姉さまとなら、鬼の補習も天国です!」
美波「私はいやぁぁああああああああ!!」
島田さん、ごめん。僕には補習はどうにも出来ないんだ。
☆
それから、島田さん――いや、美波の補習が終わるまで僕と瑞希ちゃんは待って、一緒に帰った。
補習から解放された美波に、僕は関節技をかけられこれからは名前で呼ぶように言われたんだ。
関節技をしている時の美波曰く、「よくもさっきは見捨てたわね!」らしい。
美波が戦死したのって、一切とは言わないけど僕には関係ないよね!?
Side.end
シ「今回結構甘い話じゃないか?」
裂「頑張った」
紫「一度消えたらしいわね?」
裂「消えてなろう時代の活動報告をテンパリながら書いた後に、何とか復元できた」
燐「そうなんだ」
裂「で、お前らは何か言いたいことでもあるのか?」
全『いや、全然』
裂「まぁいいや。次回はラブレター騒動を書いて、次にオリキャラ紹介で書いた出ていないキャラが遂に本編出演だ」
橙「3.5巻の一部を書いてやっと2巻突入か。当時は初稿からもう3週間経ってたな」
シ「枠外は3週間で40部程書いてたけどな」
裂「あの頃の枠外は毎日更新だったんだから言うな」
睦「今回の裏事情はもういいな」
紫「そういえば、今回のバカテストなんだけど、かなり悩んだらしいわ」
シ「駄作者の裂やんのことはどこかに置いといてっと」
橙「また次回も」
シ「よろしくお願いする」
燐「またね~♪」