バカと俺たちの日常   作:裂やん

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【文月新聞】

《二年F組 吉井明久さんのコメント》

僕が小さな頃、祖父がよくこう言っていました。

『明久、泥棒でも何でもいい。一番を目指して精進しなさい』

今、僕は天国にいる祖父にこのことを教えてあげたいと思います。

爺ちゃん……
これで、いいかい……?

以上、

【女装が似合いそうな男子ランキングNo.1】
【モテそうな男子(同性愛編)ランキングNo.1】
【短期間で急激に成績を向上させた生徒ランキングNo.1】

の三冠を達成した吉井明久さんからのコメントでした。

*尚、女装が似合いそうな男子にノミネートされていた木下秀吉さんは審議の結果、アンフェアであるとの結論に達した為除外されています。


予定されていた第二特集
【須川亮、また失恋!?連敗の裏側にある真実とは!】
は都合により延期となりました。


「ガンホー!ガンホー!」byFFF団


第壱参問目 俺と幼馴染とラブレター

Side.橙夜

 

明久「う~ん……ありえない登校時間だ」

 

 晴れ渡る空。澄んだ空気。暖かな日差し。

 そんな風に思っていると俺の隣を歩いている明久が不意にそう言った。

 

橙夜「確かにお前の登校時間は大体1時間は後だからな」

明久「まぁ、早起きは三文の徳って言うから、何かイイコトがあるといいなぁ~」

 

 てか、何で俺は明久と二人で登校してるんだ?

 ああ、そうか。朝早く起きた俺は何か面白いことが起こりそうな予感がしたんだった。

 

明久「さてさて、こんな時間から何をしようかな――ん?ねぇ、橙夜」

橙夜「なんだ?」

明久「校門の近くにいるのって鉄人じゃない?」

橙夜「ああ、ほんとだな。挨拶しとくか」

明久「そうだね」

 

 そのまま歩いて、俺たちは後ろから鉄人に声を掛けた。

 

橙明「「西村教諭(先生)、おはようございます(ございまーす)」」

鉄人「おう、おはよう!部活の朝練か?感心だ――」

 

 鉄人は爽やかな笑顔で振り向いたと思ったら、動きが止まった。

 

明久「先生?」

鉄人「――すまん。間違えた」

明久「人違いですか?いやそんな、別に謝る必要なんて」

鉄人「神楽兄は良いとして、吉井、こんな早朝に学校に来て、今度は何を企んでいる」

 

 そう言って鉄人は、爽やかな笑顔を一転させ、警戒心を露にした表情になった。

 

明久「あの……間違えたのは接する態度ですか?」

鉄人「お前を警戒するのは癖みたいなものだ。去年のお前の行動を知っているだけにな……。それはそうと、丁度良かった。≪観察処分者≫のお前がいるなら手間が省けるからな」

明久「と言うと、また力仕事ですか?」

鉄人「そう言うことだ。古くなったサッカーのゴールを撤去してくれ」

明久「僕も早く起きすぎてやることなかったのでいいですよ」

鉄人「それじゃ、吉井はグランドに来い。神楽兄は教室に行って良いぞ」

橙夜「それならお言葉に甘えて先に行きます。明久、鞄貸せ。持っていってやるから」

明久「あ、うん。お願いするよ」

 

 明久から鞄を受け取って、俺は校舎に向かった。

 

 

 

 

 教室に着いた俺は窓際の一番後ろにある自分の席に座る。

 

 Aクラスとの試召戦争の結果によって、Fクラスの設備はAクラスと同等になった。

 そこで自分たちの席を固定しようと意見が出て、決めることに。

 その際、一騒動あったが詳細は省く。

 

 他の席は、俺の隣は順に瑞希、明久、雄二。

 俺の前に睦月、その隣に秀吉、島田嬢で秀吉の前の席に康太だ。

 それと何故か、瑞希、明久、雄二の三人の後ろに空席がある。後で鉄人にでも聞くとしよう。

 

 さて、HRまで時間あるし寝るとするか。

 

 

 

 

 数人がけのソファーで寝ていると誰かに頬を突かれている感じがした。

 

?「んー。中々起きないなー」

 

 そう言いながらも、未だに突き続ける誰か。

 俺はその誰かに気付かれないように手を動かして、頬に触れるものを掴む。

 

?「きゃっ」

橙夜「で、何をしているんだ?愛子」

 

 と言うか、声を聞いたら愛子だとすぐに分かった。

 因みに俺の手が掴んでいるのは愛子の手だ。

 

愛子「橙夜くんに会いに来たんだよ。それで来て見たはいいけど、お目当ての橙夜くんは居眠り中。だから、寝ている隙にちょっとした悪戯をしようと思ってね♪」

橙夜「そうか。まぁ、いい。で、今何時だ?」

愛子「HRまでまだ30分はあるってところだね」

橙夜「なら、また寝なおすか」

愛子「それじゃ、膝枕してあげようか?」

橙夜「折角だし、頼む」

愛子「うん、頼まれたよ。HR開始の5分くらいに起こすね」

橙夜「ああ、よろ……しく……」

 

 そう言って俺は再び眠りについた。

 

 愛子の膝枕はとても気持ちがよかった、とだけ言っておこう。

 

 

 

 

 あの後、普通に愛子に起こされて、席に座っている。

 

 起こしてもらった時に愛子の顔が少し赤くなってたが大方、瑞希や島田嬢にいじられたのだろう。

 

「工藤」「はい」「久保」「はい」

 

 チャイムと同時に、明久が教室に駆け込んできて、間髪容れずに鉄人もやって来て出席を取り始めた。

 俺と睦月は既に呼ばれたが。

 そういえば、教室に駆け込んできた時の明久の挙動が不審だったが、まぁいいか。

 

「近藤」「はい」「斉藤」「はい」

 

 淡々と進む気だるい毎朝の恒例行事。

 それにしても眠い……。

 

 あぁ、静かで長閑なひとときが訪れている。

 いつもと変わらない平穏な日常が――

 

鉄人「坂本」

雄二「………………明久がラブレターを貰ったようだ」

 

『殺せぇぇっ!!』

 

 雄二の一言でブチ壊された。

 

 皆殺しにスルカナ……。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.明久

 

明久「ゆ、雄二!いきなりなんてことを言い出すのさ!」

 

 明らかに小声だったのにクラスの誰もが聞き逃さなかった様子。ここの連中は本当にどこかおかしいとしか思えない。

 だがしかし、今回はそんなことを考えている余裕はない。間違えた。気にしている余裕もないだった。

 

『どういうことだ!?吉井がそんなものを貰うなんて!』

『それなら俺たちだって貰っていてもおかしくないはずだ!自分の席の近くを探してみろ!』

『ダメだ!腐りかけのパンと食べかけのパンしか出てこない!』

『もっとよく探せ!』

『……出てきたっ!未開封のパンだ!』

『お前は何を探しているんだ!?』

 

 怒号が飛び交う我が教室。予想通りクラス全員の妬みに狂う光景が展開されていた。

 と言うか、パンが出てくるってどういうことさ。

 

鉄人「お前らっ!静かにしろ!」

 

 ――シン

 

と、鉄人の一喝でクラスに静寂が舞い戻ってくる。ふぅ、良かった……二重の意味で。

 

鉄人「それでは出欠確認を続けるぞ」

 

 出席簿を捲る音が教室内に響く。

 

「手塚」「吉井コロス」「藤堂」「吉井コロス」「戸沢」「吉井コロス」

 

明久「皆落ち着くんだ!なぜだか返事が『吉井コロス』に変わっているよ!」

鉄人「吉井、静かにしろ!」

明久「先生、ここで注意するべき相手は僕じゃないでしょう!?このままだとクラスの皆は僕に殴る蹴るの暴行を加えてしまいますよ!」

 

「新田」「吉井コロス」「布田」「吉井マジ殺す」「根岸」「吉井ブチ殺す」

 

 あ、これは終わった――

 

橙夜「初日に言ったはずだ。明久たちに危害を加えるならコロスと」

 

『ヒッ!!』

 

 ――みんなが。

 

橙夜「特に雄二」

雄二「な、なんだ……?」

橙夜「念入りにコロシてやる」

 

 橙夜は相当殺気立っている。僕に危害を、って言っているけど、絶対に建前だね。幼馴染だからじゃなくても、橙夜の好きなモノを知っていれば断言できるね。

 それで本音は、さっきまでの静かで長閑な平穏な時間を邪魔されたからだろうね。

 特に、この騒動の発端である雄二に対しての怒りが半端じゃないみたいだし。

 

鉄人「よし。遅刻欠席は無しだな。本日も、一日勉学に励むように」

 

 そんなやり取りを見ていないかのように、出席簿を閉じ、教室を後にしようとする鉄人。

 

『待ってくれ先生!可愛い生徒たちを見殺しにしないでくれ!』

 

 保身の為に必死に鉄人を呼び止めようとするみんな。

 

鉄人「間違えるな、お前たち」

 

 鉄人が扉に手をかけたまま告げる。一体、何を言いたいのだろう?

 

鉄人「お前たちは不細工だ。そして、自業自得だ」

『そ、そんな!』

鉄人「授業は真面目に受けるように」

 

 みんなの叫びも空しく、鉄人は教室を出て行った。

 

『こ、こうなったら自棄だ!』

『殺(や)られる前に神楽兄を殺(や)るんだ!』

 

 教室に満ちた橙夜の殺気に中てられて、冷静な判断が出来なくなっているみたいだ。

 

 とりあえず僕は――

 

美波「アキ、ちょ~っと話を聞かせてもらえる?」

 

 ――こっちをどうにかしないといけないようだ。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.橙夜

 

『こ、こうなったら自棄だ!』

『殺(や)られる前に神楽兄を殺(や)るんだ!』

 

 鉄人が教室を出て行ってから男子数人が襲い掛かってきた。

 俺がそれに対応している間に俺と睦月、明久、秀吉を除く男子が二手に分かれ、明久は瑞希や島田嬢と何か話した後、教室から脱走していた。

 一方は俺の方に、もう一方は脱走していった明久の方に向かった。

 

 明久の救援にも行かなきゃならなくなったか。

 

 まぁ、とりあえずまずは、俺に向かってくる愚者を沈めるとしますか。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.明久

 

 僕は瑞希ちゃんと美波と話した後、教室から逃げ出した。

 

 そして、それを追ってくるクラスのみんな。

 

 まずは、今朝方外したサッカーのネットとスタンガンを使って空き教室で数人を撃破。

 次に旧校舎の古書保管庫の本棚の入り組みを利用して、みんなの視界に入らないように部屋から出て出入り口を封鎖した。

 その直後、ムッツリーニが僕の元にやって来た。

 

明久「ム、ムッツリーニ!?」

 

 僕は警戒心を露にしてムッツリーニと対峙する。

 が、次に思わぬ言葉をかけられた。

 

康太「…………橙夜からの預かり物を届けに来た」

明久「橙夜からの預かり物?ムッツリーニは敵じゃないの?」

康太「…………違う。橙夜に逆らっても良いことはない。だから、そっち側」

 

 なるほど。橙夜はムッツリーニを制する何かを持っているようだ。

 ……多分、脅迫だろうけどね。

 

康太「…………それで、これが預かり物」

 

 そう言ってムッツリーニが差し出してきたのは――

 

明久「木刀?」

 

 ――何故か木刀だった。

 

 何故木刀なのかはこの際置いておくとして、どこから調達したのだろうか?

 今朝、橙夜は木刀なんてものを持っていなかったはずだ。

 という事は、睦月の私物かな?

 ……あっ!そういえば、橙夜って暗器術使えたんだったね……。

 

 調達元がどこかもこの際どうでもいいとして、武器を入手できたことは大きいね。

 

明久「ありがとう、ムッツリーニ。お礼に今度、僕の秘蔵コレクションの中から一冊持ってくるよ」

康太「…………教室に戻る(グッ)」

 

 親指を立てながらそう言って、ムッツリーニは僕に背を向けて去っていった。

 

 その後は、屋上に向かおうとしたら、美波に発見され逃走再開、途中遠藤先生に遭遇し機転をきかせてなんとかやり過ごした。

 その際に美波の今日の色がライトグリーンだと知れたのは、棚から牡丹餅としか言いようがないね。

 

 そして、再び屋上に向かうと三階の廊下で須川君が待ち構えていた。

 しかも、須川君は剣道部から借りてきたらしい木刀を取り出してきた。

 そう言う僕もムッツリーニから木刀を受け取っているんだけどね。

 

 木刀のお陰もあってか、須川君も撃破。その場に須川君を残して階段を昇る。

 四階の廊下を越えて、階段を昇れば――

 

雄二「やはりここまで来たか、明久」

瑞希「明久君、言う事を聞いてください」

明久「雄二に瑞希ちゃん……!」

 

 屋上へと続く階段。その前に立つのはラスボスの雄二と瑞希ちゃんだった。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.橙夜

 

 俺は向かってきた連中を全員沈めた後、明久を追っていた連中をどうにかしようと歩いていた。

 その際に、康太とエンカウント、戦闘という名の交渉(きょうはく)をして、木刀を明久に届けてもらうことにした。

 あれ?戦闘という名の交渉(きょうはく)じゃなくて、交渉という名の脅迫が正しいのか……?

 

 交渉(きょうはく)の内容が何かって?寡黙なる性識者(ムッツリーニ)である康太にとって最大級の痛手を与えることが出来ることさ。

 つまり、学園敷地内にある全ての盗聴器と隠しカメラの排除。

 実を言うと俺、康太が仕掛けた盗聴器と隠しカメラの位置を余すところなく把握しているんだ。

 

 話がそれたな、閑話休題。

 

 その後は、授業開始時刻となり俺は教室に戻った。

 気絶していたはずのバカ共はいつの間にかいなくなっており、教室にいたのは睦月と秀吉の二人だけだった。

 ……いよいよ瑞希もFクラスに染まってきてしまったようだな。

 

 授業開始から暫くして康太が静かに教室に戻ってきた。

 無事に木刀を明久に届けてくれたようだ。

 それにかなり機嫌がいいようだ。木刀を渡す以外に明久と何があったんだ?

 

 さらにその後、悲しい表情をした明久と、何かをやりきったような満足な表情をした雄二、何かを決心したような表情の瑞希が戻ってきた。

 明久に話を聞いた限りだと、瑞希が明久に届いたラブレターを破り紙くずにし、その紙くずを雄二が未練を断ち切るためと言って容赦なく燃やしたらしい。

 他人の書いた手紙(・・・・・・・・)を破り捨てたら問題だろうが、今回は(・・・)問題ないだろう。

 

 そのほかの連中は途切れ途切れに教室に戻ってきた。

 

 これにてラブレター騒動は終わりを告げた。

 

 

 

 因みに雄二への仕返しは、秀吉に雄二の声真似をさせて、『翔子、綺麗だ。翔子、愛してる』と言ってもらい、それを録音して翔子に渡すことだ。

 というよりも、既に渡しておいたんだがな。

 

 雄二……幸せにな(笑)。

 

Side.end




裂「今回は私、裂やんと――」

紫「明久の恋人(仮)の私、神楽紫と――」

島田美波(以降:波)「ボコデレ?なウチ、島田美波と――」

瑞「えーと、趣味はお料理(化学兵器)、姫路瑞希の4人でお送りします」

波「ところでボコデレってなんなの?」

裂「詳しくは北海道某所にあるらしいファミレスの日常を描いた漫画を読んでくれ」

紫「それって直訳すると『働いています』って言う漫画よね?」

裂「そうだ。さて、その辺のことは置いておくとして、三人の登場なんだが、話題は決まっている」

瑞「どういう話題なんですか?」

裂「お前たち三人で明久トークをしてくれ」

波「な、なんで、ウチがアキのことを話さなきゃいけないの!?」

紫「いい加減、素直になったらどう?照れ隠しに私の彼氏(仮)の明久に関節技とか、かけてほしくないのよ。
  それにOHANASHIする私の都合も考えて欲しいわ」

波「うっ!?」

瑞「ゆ、紫ちゃんも落ち着いてください」

裂「とりあえずありきたりだが、お前らどうして明久のことを好きになったんだ?」

紫「私の理由は第壱壱問目 Aクラス戦、戦後対談を読んで頂戴」

波「ウチの理由は作者が未読だから原作7.5巻の『ウチと日本と知らない言葉』を読んで欲しいって、カンペに書いてあるわ」

瑞「わ、私の理由も原作3.5巻『僕と暴徒とラブレター』52ページを読んで欲しいそうです」

裂「で、どうするのお前ら?」

波「どうするってなにをよ?」

裂「明久巡って四角……いや五角関係でもするわけ?」

瑞「五角って明久君を取り合ってるのって私と紫ちゃんと美波ちゃんの三人ですから、四角関係じゃないんですか?」

紫「いいえ、瑞希。裂やんの言うとおり五角なのよ……。二人は知らない方がいいことだから教えないけどね」

裂「本当、知らなくていい情報だよな……。アイツの扱い、どうしようか悩んでる。原作どおりの気持ちで行かせるか、若干修正するかで」

紫「確かに悩みどころよね……」

裂「まぁ、この話は後回しにするとして、清涼祭の時に瑞希の気持ちとは決着がつく予定だ」

瑞「そ、そうなんですか!?」

紫「予定、ね……」

波「ウチのは……?」

裂「美波はまだ考えていない。けど、必ず決着はつけさせるさ。
  それと瑞希の気持ちの決着時には紫に大変な思いをしてもらうことになっている」

紫「なに、その意味ありげな発言。フラグ建築しないでほしいわ」

波「まぁ、いいわ。そろそろ終わりましょう。いい加減にしないと長くなるわ」

瑞「そ、そうですね」

裂「それでは、また次回も」

瑞「よ、よろしくお願いします」

紫波「「お願いします」」
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