バカと俺たちの日常   作:裂やん

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バカテストと翔子と雄二の会話は前書きで書きます。


「……ねぇ」
「ん?なんだ?」
「……さっき雄二が話していた、大化の改新っていつのこと?」
「三年生になって、まだそんなことも知らないのか?翔子は馬鹿だなぁ」
「……まだ習ってない。雄二の頭が良すぎるだけ」
「覚え方は簡単だぞ?『無事故の改新』で覚えるんだ」
「……無事故?」
「忘れるなよ?大化の改新は無事故で起きたから――」
「うん」

「――625(・・・)年だからな」

「……わかった。きちんと覚えた」
「よし。忘れるなよ」
「……大丈夫。絶対に忘れない」


【バカテスト】 化学

問 以下の問いに答えなさい。
『調理の為に火にかける鍋を製作する際、重量が軽いのでマグネシウムを材料に選んだのだが、調理を始めると問題が発生した。この時の問題点とマグネシウムの代わりに用いるべき金属合金の例を一つ挙げなさい』

姫路瑞希、桜儀燐の答え
『問題点……マグネシウムは炎にかけると激しく酸素と反応する為危険であるという点
 合金の例……ジュラルミン』

教師のコメント
正解です。合金なので『鉄』では駄目という引っ掛け問題なのですが、姫路さんと桜儀さんは引っかかりませんでしたね。

神楽橙夜の答え
『問題点……マグネシウムを空気中で加熱すると炎と強い光を発して燃焼するため
 合金の例……鋼』

教師のコメント
『鉄』では間違いですが、『鋼』は『鉄』を主成分とした合金なので正解です。

土屋康太の答え
『問題点……ガス代を払っていなかったこと』

教師のコメント
そこは問題じゃありません。

吉井明久の答え
『合金の例……未来合金(←すごく強い)』

教師のコメント
すごく強いと言われても。それと吉井君は去年の終わりごろからすごい勢いで成績が上がったと思ったのですが……。


「俺は俺の目的のために試召戦争をやる」by神楽 橙夜


試験召喚戦争期
第壱問目 Fクラスと自己紹介と戦争の引き金


Side.橙夜

 

 俺達が文月学園に入学して二度目の春が訪れた。

 

 そんな今、俺は文月学園までの通学路を一人で歩いている。

 

 いつもは睦月と紫、明久に燐のうちの誰かとは一緒なのだが、今日に限っていつもよりかなり早い時間に目が覚めてしまったのだ。

 

 二度寝出来るほど早くは無かったから、とりあえず自分の朝食を作り、食べ終わってから睦月と紫の分の朝食を作って家を出た。

 

 今日はクラス発表があるわけだが、俺はFクラスだと分かっているからドキドキ感がないな。

 

 そう思いながら歩いていると――

 

?「おーい。橙夜くーん」

 

 ――ふと呼びかけられた。

 

 なので声のした方を振り返ってみると、そこには――

 

?「おはよう。今日はいつもより早い上に一人なんだね」

 

 ――一年生の終わりごろに俺がいたクラスに転入してきた女生徒、工藤愛子がいた。

 

橙夜「おはよう、愛子。今日はいつもより早い時間に起きちまったからな。だから一人なわけだ」

愛子「なるほどね。それじゃ一緒にいこっか」

橙夜「そうだな」

 

 そう言って一緒に学園に向かう。

 

愛子「昨日の動物番組観た?」

橙夜「あれだろ。子供のパンダを育てるみたいなやつ」

 

 とか。

 

愛子「駅前のクレープが美味しいって噂の喫茶店には行ってみた?」

橙夜「あぁー『ラ・ぺディス』って名前のところだろ?行ったことはないな」

愛子「実はボクもまだ行ったことないんだよねー」

橙夜「それなら今度一緒に行ってみるか?」

愛子「いいの?なら一緒に行こっか」

 

 とか。

 

愛子「そういえば、今日はクラス発表だけどドキドキするね」

橙夜「まぁー愛子ならAクラスも余裕だろ」

愛子「そういう橙夜君だってAクラスは固いでしょ」

橙夜「いや……俺はちょっとあってな」

愛子「ちょっと何があったの?」

橙夜「話すようなことでもないしな。っと校門が見えたぞ」

 

 こんな感じに他愛もない話をすること十数分。学園の近くについていた。

 

愛子「あっ、本当だね。えっと玄関のところに誰かいるっぽいよ」

橙夜「あれは……。西村教諭か?」

愛子「どうしたんだろうね?まぁー早く行こう」

 

 そう言いながら俺と愛子は校門を通って玄関の前まで行く。

 

鉄人「おはよう。神楽兄と工藤」

 

 すると西村教諭に呼び止められた。

 

橙愛「「おはようございます。西村教諭(先生)」」

 

 だから挨拶をかえすことに。

 

 西村教諭には生徒の間で『鉄人』と言う渾名がある。

 その由来は、趣味のトライアスロンだ。真冬でも半袖でいるあたりも理由なわけだが。

 

鉄人「神楽兄が一人なのは珍しいな。一体どうしたんだ?」

 

 そう聞かれて愛子に話したのと同じ内容を西村教諭にも説明する。

 

鉄人「そういうことか。それと受け取れ」

 

 納得した西村教諭は徐に足元に置いてあった箱から封筒を取り出し、俺と愛子に渡してくる。

 頭を下げながら受け取った封筒には宛名の欄にそれぞれ『神楽橙夜』『工藤愛子』と書かれていた。

 愛子の封筒の中にはAと書かれた紙が入っていた。どうやらクラス発表のようだ。

 

橙夜「どうも。でも、いちいちこんな渡し方って面倒じゃないですか?」

愛子「そうだね。掲示板とかで大きく張り出すなり、春休み中に郵送すればいいんじゃないですか?」

 

 効率の悪い渡し方に俺と愛子が意見をする。と、予想の範囲内だったのか西村教諭はすぐに理由を説明してくれる。

 

鉄人「そっちの方が楽なんだが、ウチは世界的にも注目されている『試験召喚システム』を導入した試験校だからな。これもその一環というワケだ。それと早く封を切って中を確認したらどうだ?」

 

 中の確認を促す西村教諭。それに返答しながら封を切って紙を取り出す。

 

橙夜「クラスなんて分かってるんですけどね」

鉄人「そりゃそうだろうな。テストを受けた張本人なわけだから」

橙夜「当たり前ですよ。だってあのテストそこまで難しいものはありませんでしたし」

鉄人「ならなんであんなことをしたんだ、お前は……」

愛子「先生が呆れるほどのあんなことって一体何?」

鉄人「簡単だ。それはな工藤「おっとそこからは自分で言いますよ」そうか」

 

 西村教諭が全部言う前に遮って愛子にアルファベットが一文字書かれた紙を見せながら言う。

 

橙夜「全科目のテストを無記名で提出しただけだ」

 

 俺がそういうと愛子は、開いた口が塞がらないと言った顔をしていた。

 

 それから数秒。何とか自力で何処かから(精神が)戻ってきた愛子が俺を問い詰める。

 

愛子「橙夜君は一体何がしたいの?成績的にはAクラスなんて余裕のはずなのに態々最下級クラスにいくなんて!」

橙夜「大した理由はない。悪ふざけの一環だな」

鉄人「悪ふざけの一環で無記名で提出するとは……。相変わらずお前らしいな」

橙夜「ここは褒め言葉として受け取っておきます」

鉄人「それに理由はそれだけじゃないんだろう?」

愛子「え?どういうこと?」

 

 どうやら西村教諭―タイピングが面倒だ。これから地の分では鉄人で統一しよう―には気付かれているようだ。

 愛子は再び困惑状態だが。

 

橙夜「まぁーそっちの理由も大したことじゃないんだけどな」

鉄人「途中退席で無得点扱いにされた弟や吉井と同じクラスになるのは十分大したことだと思うんだが」

愛子「弟って睦月君のこと?途中退席って一体どうしたんだろう」

鉄人「神楽弟は体調を崩して倒れた一人の女生徒を吉井と一緒に保健室まで連れて行ったらしい」

愛子「へーその子のために途中退席なんてかっこいいね」

橙夜「まぁーその女生徒は幼馴染なんだがな。それとFクラスを選んだ理由はもう1つあるんだがな」

愛子「教えて」

 

 愛子が次の言葉を急かす。

 

橙夜「『試召戦争』をやるためだ」

 

 それを聞いて愛子はよく分からない顔をしていたが、鉄人は納得いったと何回か頷いていた。

 

鉄人「なるほど……そういうことか」

愛子「先生。『試召戦争』とFクラスの関係性って一体なんですか?」

鉄人「『試召戦争』は勝利クラスと敗北クラスの設備を入れ替えるだろう?そうするとAクラスは設備に不満が出るわけがなく『試召戦争』を起こす理由がない。それに宣戦布告の権利もないからな。

   それに比べてFクラスの設備は学年で最悪だ。当然のように設備に不満が出る。1年間設備が変わることがないから我慢しなければならないが、『試召戦争』で勝利すれば上位クラスの設備と交換出来る」

愛子「なるほど。それなら設備を交換する為に『試召戦争』をやる気になるってことですね」

橙夜「その通りだ。それと西村教諭。Fクラスの代表は『アイツ』なんでしょう?」

鉄人「よく分かったな。お前の想像通り『アイツ』だ。『試召戦争』をやりたいお前にすればかなり都合がいいだろうな」

橙夜「そういうことです。それじゃ愛子。俺達も自分たちの教室に向かおう」

愛子「あっ、うん。それじゃ西村先生また」

橙夜「では西村教諭。俺たちはこれで」

鉄人「あぁー時間はたっぷりあるからゆっくり行くといい」

 

 そう鉄人に挨拶をして俺達は靴を履き替えて2年生の教室がある3階に向かった。

 

 

 

 

橙夜「どこの高級ホテルだ、ここは」

愛子「橙夜君、Aクラスだよ。ボクもそう思ったけど」

 

 そう呟いてしまった理由は簡単。Aクラスの設備だ。

 

 教室の前面には大型スクリーンが設置され、各生徒には個人用の冷蔵庫(食料・お菓子入り)・エアコン・ノートパソコン・リクライニングシート・システムデスクなどが支給され、部屋の調度も高級ホテル並みなんて……。

 

 たかが高校の設備にここまでやるか?普通。

 

橙夜「ここで突っ立ててもしょうがないか。俺はFクラスに向かうとする」

愛子「うん。それと気軽にAクラスに遊びに来てもいいからね」

橙夜「Aクラス代表じゃないんだからそんな権利、愛子にはないだろうが。まぁー紫や燐、優子に翔子辺りはAクラス確実だろうから遊びに来るさ。じゃあな」

愛子「またね」

 

 そう言葉を交わして愛子はAクラスの教室に入っていく。

 

 俺はそれを確認しながら旧校舎にあるFクラスに向かった。

 

 

 

 

 二年F組と書かれたプレートのある教室の前で俺は躊躇していた。

 

 新しいクラスメイトが誰か不安だとかそんな理由ではない。

 

 廊下から教室の中を窓から覗いたからだ。

 

 卓袱台と座布団……。床の畳もなんだか腐っていそうだ。

 

「Aクラスがあそこまで豪華だったからある程度予想はしていたが……まぁいい。まだ誰も来ていないようだから後ろのほうの席でいいか」

 

 そう言いながら教室に入り窓際から2列目の一番後ろの席に座る。

 

 HR(ホームルーム)まで40分ほどあるな。

 

 時間まで眠るとするか。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.other

 

 橙夜と愛子が鉄人から封筒を受け取り各自の教室に向かってから徐々に多くの生徒が登校してきた。

 

 その中にFクラス代表の坂本雄二やAクラス代表の霧島翔子、木下優子と木下秀吉の姉弟、島田美波、土屋康太と須藤結子の二人組、久保利光などが含まれていた。

 

 時が経つごとに登校してくる生徒は減っていき、HR開始時間より少し前には人波は絶えていた。

 そんな遅刻確定となった時に新たな人影が玄関前に現れたのだった。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.睦月

 

 俺達が文月学園に入学してから二度目の春が訪れた。

 

 ……なんだか二番煎じのような気がする。

 

 道の両脇には満開の桜が咲き誇っている。いつもなら桜をゆっくりと眺めながら登校出来るのだが、今の俺にそんな余裕は無い。

 なぜかって?既に遅刻確定の時間だからだ。

 

?「睦月、急がないとさらに怒られるわ。既に遅刻確定だけど」

?「そうだよ睦月。急ごう」

?「明久だけはそれを言えないと思うけどね」

睦月「そうだな。これも全部明久のせいだ」

 

 紫と明久、燐に注意された。

 だが、明久にだけは言われたくないな。

 これも全部、明久が寝坊なんてするからだと言うのに。

 

 俺が起きた頃には橙夜兄は既に起きて登校していたようで、俺達2人分の朝食を作っておいてくれていた。

 紫も既に起きていて、5人分の弁当を作っていたが。

 

 そんな考えを巡らせながら校門を走り去り玄関に向かっていた時――

 

鉄人「神楽弟妹、吉井、桜儀。遅刻だぞ」

 

 ――ドスのきいた声に呼び止められる。声のした方を見ると、そこには浅黒い肌をした、いかにもスポーツマン然とした男が立っていた。

 

紫燐「「おはようございます。西村先生」」

睦月「朝からお疲れ様です。西村先生」

明久「あ、鉄じ――じゃなくて、西村先生。おはようございます」

 

 と俺達は軽く頭を下げながら挨拶をした。

 

鉄人「おはよう。それと吉井、今、鉄人って言わなかったか?」

明久「ははっ。気のせいですよ」

鉄人「ん、そうか?」

 

 何とか明久は誤魔化し切ったようだな。

 

鉄人「それにしても、お前達は普通に『おはようございます』じゃないだろうが」

睦紫燐「遅れてすいませんでした」

明久「あ、すいません。えーっと――今日も肌が黒いですね」

鉄人「……吉井、お前には遅刻の謝罪よりも、俺の肌の色の方が大事なのか?他はまともに答えているのに。それに神楽弟妹。神楽兄は40分以上も前に登校してきたぞ」

睦月紫「「それは橙夜兄(さん)が早く起きすぎただけです。それと遅刻は明久が寝坊したせいです」」

明久「そっちでしたか。すいません」

鉄人「まったくお前というヤツは……いくら罰を与えても全然懲りないな。神楽弟妹の方はそれもそうだな」

 

 鉄人に不要なことで注意された。不服だ。それにしても何でここにいるんだろう?遅刻した俺達を叱る為ではないだろうし……。

 

明久「先生。僕、遅刻はあまりしてないですよ?」

 

 なんか明久が変なことを言い出した。

 大方、遅刻の常習犯扱いされたと思ったのだろう。

 

鉄人「遅刻は、な。ほら、お前たちも受け取れ」

 

 そう言って予め持っていた封筒をそれぞれに渡してくる。

 

 俺達は頭を下げながら受け取る。

 

 紫と燐は既に中を確認出来たようで入っていたらしき紙を見せてくる。

 書いてあるのは、二人ともアルファベットの『A』。

 どうやら振り分け試験の結果発表のようだ。それなら俺と明久は中を確認する必要はないな。

 

明久「それにしても、どうしてこんな面倒なやり方でクラス編成を発表してるんですか?」

 

 確かに明久の言うとおりだ。

 

 それに対して鉄人はうんざりしたようなため息を吐いて返答する。

 俺たちの前にも数十回は聞かれたのだろう。

 

鉄人「最先端システムを導入した試験校だから、クラス発表の変わったやり方もその一環なワケだ」

明久「ふーん。そういうもんですかね」

 

 明久はそう返事をしながら中身が分かっている封筒の中を確認していた。

 

鉄人「それにしても神楽弟と吉井は残念だったな。今のお前達ならAクラスは余裕だったろうに」

睦月「別にどこのクラスでもいいんですよ。楽しくやれれば。それと俺は元々Aクラスは余裕です」

明久「睦月の言うとおりです。僕は後悔してませんから」

鉄人「そうか。今回の振り分け試験で好成績だったら観察処分の件を検討しようと教師の間で話していたんだがな」

 

 やっぱり振り分け試験の成績で見返そう作戦は間違いじゃなかったんだな。まぁーそれもパァになったんだが。

 

明久「そうだったとしても、みず――姫路さんを保健室に連れて行ったことを僕は後悔してません」

睦月「俺の場合は完全におまけだったけどな」

 

 俺は明久の自信たっぷりの言葉に若干茶化すように言ってみた。そこへ鉄人が言葉を出す。

 

鉄人「よく言った。試験の結果は残念だったが、お前達のやったことは人として誇れることだ。胸を張れ」

明久「胸を張れだなんて……幼馴染として当然のことをしただけです」

鉄人「お前がそういうならそれでいい。ほらさっさと自分たちのクラスに向かえ。そろそろHRが始まるからな」

4人「はい!」

 

 鉄人の言葉に返事をして俺達は靴を履き替えて3階に向かったのだった。

 

 

 

 

 3階についた俺達は高級ホテルとも思われるAクラスの教室の中を見て言葉を失いながら紫と燐と別れて旧校舎にあるFクラスに向かった。

 

明久「Aクラスの設備はすごかったね……」

睦月「そうだな……AクラスであれってことはFクラスはやばいんじゃないか?」

明久「まさか……そんなわけない……よ……ね?」

睦月「……そんなわけあったようだぞ……」

 

 Fクラスの前まで来た俺達は再び言葉を失うことになった。Aクラスの時とは正反対の意味で。

 

 『廃屋』 

 

 Fクラスの教室を言い表すのにこれ以上ぴったりの言葉はないだろう。

 

睦月「とりあえず中に入るぞ」

明久「そうだね。幸いにも先生はまだ来ていないみたいだし」

睦月「それじゃ。すいません、遅れました」

?「早く座れ、このウジ虫野郎」

 

 は?

 

 誰だ今のは?

 

睦月「誰かは知らんが死にたいらしい」

?「何を言って……って何で睦月がここにいるんだ!?」

 

 俺のことを知っているやつらしい。少し冷静になって相手を確認するか。

 

 えっと、180cm強くらいの身長に、中々に引き締まっていそうな体系でもっと上に視線を動かすと、意志の強そうな目をした野性味たっぷりの顔。短い髪の毛がツンツンと立っていてまるでたてがみ(・・・・)のようだ。

 

 うん、雄二だな。

 

睦月「雄二。殺される準備は十分か?」

雄二「待ってくれ、睦月!お前のことじゃない明久に言ったつもりなんだ」

睦月「それはそれで殺してもいいんだがな、紫の為的に」

雄二「すまん!謝るから勘弁してくれ!!」

明久「それで雄二は何やってんの?」

 

 俺と雄二が殺す殺さないの問答を繰り広げていると明久が雄二に質問をしていた。

 

雄二「あ、あぁー(助かった)。先生が遅れているらしいから、代わりに教壇に上がってみただけだ」

明久「先生の代わり?……もしかして雄二が代表?」

雄二「そういうことだ。これでこのクラスの全員が俺の兵隊だな」

睦月「あまりそういう事を言わないほうがいいぞ」

 

 雄二の発言を注意していると後ろから声がした。

 

?「えーと、ちょっと通してもらえますかね?」

 

 振り返ってみると、そこには寝癖のついた髪にヨレヨレのシャツを貧相な体に着た、いかにも冴えない風体のオジサンがいた。

 

?「それと席についてもらえますか?HRを始めますので」

 

 どうやらFクラスの担任のようだ。確かこの人は地理歴史科目の福原先生だったかな?

 

明久「はい、わかりました」

雄二「うーっす」

 

 先生の指示に従って空いている席に向かう俺と明久と雄二。

 

 明久が窓際の一番後ろに、雄二はそこから1つ空けて窓際から3列目に座る。俺は雄二の後ろの席に。

 

 席に座ると左隣から声を掛けられた。振り返ったその場にいたのは、なんと――

 

?「やっと来たか。待ちわびたぞ」

 

 ――Aクラスにいると思っていた橙夜兄だった。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.橙夜

 

橙夜「やっと来たか。待ちわびたぞ」

 

 おーおー。睦月に声を掛けてみたら驚いているよ。明久や雄二も今のが聞こえたらしく振り返っている。

 

 教室での二度寝から目覚めたのは睦月と明久、雄二のやり取りの物音だったんだけどな。

 

明久「橙夜……なんでここにいるの?」

睦月「そうだぜ、橙夜兄……。Aクラスじゃないのかよ?」

雄二「……お前なんでいるんだ?……そういえば寝ていて顔が確認出来なかった奴がいたが……」

福原『えー、おはようございます。二年F組担任の福原慎です。よろしくお願いします』

 

 やっぱその質問か。

 それとさっきまで寝ていたことに雄二以外には気付かれていないらしい。

 

橙夜「簡単に言うと、振り分け試験の全科目を無記名で提出しただけだ」

3人「「「はぁ!?」」」

明久「一体どうして?」

 

 とりあえず理由を話すことに。

 

 睦月と明久が瑞希と廊下を歩いているのを目撃したこと、試召戦争をやりたいということ、その為に戦争の機会が多いFクラスにしたことの3つだ。

 

福原『必要なものがあれば極力自分で調達するようにしてください』

明久「なるほどね。橙夜らしいよ」

睦月「全くだ。試召戦争やりたいからって態々Fクラスに行く物好きは橙夜兄くらいだけだな」

雄二「戦争をやりたいからFクラスね。これはいよいよやる気になったぜ」

 

 雄二の台詞からするとやはり最初からやる気だったらしい。

 

福原「――始めましょうか。そうですね。廊下側の人からお願いします」

 

 ん?設備に関しての説明が終わったらしいな。次は一体何をするんだ?っと、今立ったのは秀吉じゃないか。

 

秀吉「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる」

 

 なるほど自己紹介か。それにしてもやっぱり見た目美少女だよな……。念を押す為に「ワシは男じゃからな」と言ってたけど……無理だろ?

 

 さて次は誰かな?

 

?「…………土屋康太」

 

 康太か。相変わらずの寡黙振りだな。本名よりも二つ名のほうが有名だからな、康太は。

 

 それにしても見渡す限り男ばっかだな……。やっぱAクラスで愛子たちと一緒にいるべきだったかな……?

 

?「――です。海外育ちで、日本語は会話はできるけど読み書きが苦手です」

 

 と思っていたらどうやら女子がいたらしい。

 

 自己紹介の内容を聞く限りでは帰国子女のようだ。それにしても聞き覚えのある声だな……。

 

?「あ、でも英語も苦手です。育ちはドイツだったので。趣味は――」

 

 ドイツ?ドイツ育ちの帰国子女って2学年には1人しかいなかったはずだ……。

 

?「趣味は吉井明久を殴ることです☆」

 

 ……やはり島田嬢か。

 

美波「はろはろー」

明久「……あぅ。し、島田さん」

美波「吉井、今年もよろしくね」

 

 流石に明久も怯えているな。

 いくら照れ隠しでも、関節技はな……。島田嬢はちょっと『教育』しなきゃならんかな。

 

橙夜「島田嬢、明久を脅すのはそれくらいにしてもらえるか?」

美波「脅してなんかいないわよっ!?って神楽兄の方じゃない。どうしてFクラスにいるのよ?」

秀吉「何故橙夜がここにおるのじゃ!?」

橙夜「ちょっと理由があるんだよ。それと明久に暴力を揮ったりしたら俺じゃ止められないからな……紫を」

美波「暴力なんて揮ってないわよ!それと紫のことは兄としてきちんと止めなさいよ!?」

 

 いや、無理だから。明久に関することで紫を止めることは俺や睦月の二人掛かりでも無理だ。

 

 止めたきゃ明久に止めさせるか玲さんを連れてくるべきだ。

 

橙夜「とりあえずは暴力さえ揮わなければ問題は無い。揮ったりしたら俺と睦月も動くけどな」

美波「わ、分かったわよ。極力、吉井のことを殴ったりしないように気をつけるわ」

 

 気をつけなくても殴らないでくれ。対処するのは俺や睦月なんだから……。

 

福原「次は吉井君の番ですよ」

明久「もう僕の番ですか?分かりました」

 

 そう聞き返しながら立ち上がる明久。

 

明久「えーっと、吉井明久です。後ろにいる神楽兄弟とは幼馴染です。よろしくお願いします」

 

 明久は少し考えてそう言う。恐らく軽いジョークでも織り交ぜて自己紹介しようと思ってやめたのだろう。

 昔の明久なら間違いなく「ダーリンって呼んでください」とか言っていただろうし。

 

睦月「次は俺の番だな。神楽睦月だ。隣にいる神楽橙夜とは年子でAクラスにいる神楽紫の双子の兄でもある。明久の言ったとおり明久とは幼馴染で家も隣だ。あと秀吉とは従兄弟だ」

 

『秀吉と従兄弟だと?』

『お義兄様!妹さんをください!』

『異端者には死の鉄槌を!』

 

睦月「おっと俺に向かってカッターを構えるのはいいが、俺の喧嘩の実力は悪鬼羅刹より若干劣る程度だから覚悟しろよ?

   それと、俺に取り入っても相手を選ぶのは紫だから無意味だぞ?」

 

『悪鬼羅刹だと!?』

『そん……な……』

『神楽さんのこと密かに狙っていたのにこれじゃ無理じゃないか!』

『悪鬼羅刹よりも若干劣る程度って言うとかなりの実力者だ』

『……軽はずみな武力行使はやめたほうがいいな。返り討ちにあうぞ』

 

 「秀吉と従兄弟」の部分でクラスの男子が睦月に向かってカッターを構えたのを察したのか睦月は牽制を織り交ぜてなんとか回避したようだ。

 

橙夜「じゃ俺だな。神楽橙夜。睦月の紹介どおり睦月とAクラスの紫は年子の弟と妹だ。

   明久とは隣人で幼馴染、秀吉とその双子の姉の優子とは従妹弟。Aクラスの桜儀燐も従妹だ。それと今名前を挙げた奴らは俺の大事な人間達だ。そいつらに危害などを加えるつもりなら死を覚悟しておけ。俺が殺してやるから」

 

『木下姉妹と従妹弟だと言うだけで憎いのに、桜儀さんまで従妹だと!』

『総員狙えぇーーーっ!!』

『『うおおおおおおおおお!!』』

 

橙夜「因みに睦月は悪鬼羅刹より弱いと言っているがそこらのチンピラ程度じゃ何人集まっても勝てない。そして俺は悪鬼羅刹と喧嘩して勝ったことがある。その辺をよく覚えておけ。

   最後に俺と睦月は諸事情でFクラスになった。以上だ」

 

『神楽兄のほうは悪鬼羅刹に勝っただと!?』

『どうなってやがるんだこのクラスは!?』

『今すぐに異端者として審問会に掛けたいが逆にやられちまう……!』

 

 これだけ言っておけば紫たちへの求愛行為やFFF団による明久たちへの武力行使は激減するだろう。

 

 そんな感じで自己紹介は続いた。

 

 その後もしばらく名前を告げるだけの単調な作業が続き、いい加減面倒になった頃に不意にガラリと教室のドアが開き、息を切らせて胸に手を当てている女子生徒が現れた。

 

?「あの、遅れて、すいま、せん……」

『えっ?』

 

 まぁ、瑞希だったわけだけど。

 

福原「丁度よかったです。今自己紹介をしているところなので姫路さんもお願いします」

瑞希「は、はい!あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします……」

 

 小柄な身体をさらに縮こめるようにして声を上げる瑞希。

 

 保護欲をかきたてるその姿は、男だらけのFクラスでは異彩を放っている。

 

『はいっ!質問です!』

 

瑞希「あ、は、はいっ。なんですか?」

 

『なんでここにいるんですか?』

『そういえば神楽兄弟も何でFクラスにいるんだ?』

 

 事情を知らないクラスメイトはびっくりしていた。事情を知らなければ俺も驚……かないな。

 瑞希が睦月たちに連れて行かれてなければAクラスになってただろうし。

 ……ちゃっかり俺たちにも質問しているやつがいるが。

 

瑞希「そ、その……振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして……」

睦月「俺と明久はそれの付き添いで途中退席だ」

橙夜「俺は大した事情じゃないから気にするな」

 

 俺たち三者三様の回答を聞いて『ああ、なるほど』と頷くFクラスのメンバー。

 

『そう言えば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに』

『ああ。化学だろ?アレは難しかったな』

『俺は弟が事故に遭ったと聞いて実力を出し切れなくて』

『黙れ一人っ子』

『前の晩、彼女が寝かせてくれなくて』

『今年一番の大嘘をありがとう』

 

 意味不明な言い訳を始めたFクラスの男ども……。こいつらはやっぱりバカだったな……。

 今現在Fクラスにいるというのが自分の実力だと認めろよ……。

 

瑞希「で、ではっ、一年間よろしくお願いしますっ!」

 

 そんな中を逃げるように瑞希は空いていた雄二と明久の間の卓袱台に着こうとする。

 

瑞希「き、緊張しましたぁ~……」

雄二「ひ――」

明久「お疲れ、瑞希ちゃん」

瑞希「あ、明久君。おはようございます。それとよろしくお願いします」

明久「うん、よろしくね。それで体調の方は大丈夫?」

瑞希「はい。もうすっかり平気です」

 

 雄二が話しかけようとしたのを明久が遮った。

 

 恐らく雄二は明久と会話させないように先手を取ろうと失敗したんだな。哀れ、合掌。チーンってな。

 

雄二「そろそろ俺もいいか?」

瑞希「は、はいっ。何ですか?えーっと……」

雄二「坂本だ。坂本雄二。よろしく頼む」

瑞希「あ、姫路です。よろしくお願いします」

 

 何とか瑞希に話しかけることに成功した雄二。それに対して瑞希は深々と頭を下げた。別にそこまで丁寧じゃなくてもいいんだがな。

 

雄二「それで、明久が確認したようだが姫路の体調はもう大丈夫なのか?」

瑞希「あ、はい。大丈夫ですよ」

雄二「それならよかった。姫路の体調がいいなら行けそうだな」

瑞希「坂本君。行けそうって何のお話ですか?」

明久「雄二、僕もそれは気になるよ」

 

 恐らく雄二は試召戦争のことを考えてのことだろう。

 

睦月「その辺は時期が来れば教えてくれるだろう」

瑞希「あっ、睦月君。振り分け試験の時はお世話になりました」

睦月「あの時も言ったが気にするなって」

瑞希「いえ、やっぱりこういうことはしっかりしとかないといけませんから」

橙夜「瑞希は生真面目すぎだな。その辺適度に調整しないと疲れるぞ」

瑞希「橙夜君!?なんでここにいるんですか!?」

橙夜「その辺は後で説明してやるさ。体調の方は本当にもう平気なんだな?春休み中明久が心配していてな」

明久「ちょ、橙夜!人の秘密を勝手に暴露しないで!?」

 

福原「はいはい。そこの人たち、静かにしてくださいね」

 

 どうやら声量が大きかったようで教卓を叩いて福原教諭に警告された。

 

明久「あ、すいませ――」

 

 バキィッ バラバラバラ……

 

 突如、教卓がゴミ屑と化した。ここまでぼろいとは……。

 

福原「え~……替えを用意してきます。少し待っていてください」

 

 このクラスの設備の酷さを思い知ったのか、俺の前の席で瑞希が苦笑いしているようだ。

 

明久「……雄二、ちょっといい?」

雄二「ん?なんだ?」

明久「ここじゃ話しにくいから、廊下で」

雄二「別に構わんが」

 

 それを見ていた明久が雄二を連れて廊下に向かう。それを確認した俺と睦月は廊下側まで向かって聞き耳を立てる。

 

雄二「んで、話って?」

明久「この教室についてなんだけど……」

雄二「流石に酷すぎるな。これでは勉強しようとする意思すら生まれない」

明久「雄二もそう思った?それでAクラスの設備は見た?」

雄二「ああ。凄かったな。あんな教室、高校だとここか金持ち学校くらいしかないだろう」

 

 そりゃそうだ。試験校でスポンサーが沢山いるから出来る真似だし。

 

明久「それで僕からの提案。折角二年生になったんだし、『試召戦争』をやってみない?」

雄二「戦争、だと?」

明久「うん。しかもAクラス相手に」

雄二「……何が目的だ」

 

 本題に入ったようだな。雄二の奴は外面は警戒しているように見せて内心では手間が省けたとでも思ってんだろうな。

 

明久「瑞希ちゃんにこの環境は最悪すぎる。紫や燐は女子でも比較的丈夫なほうだから平気だろうけど流石にね」

雄二「なるほどね。大切な幼馴染の為って奴か」

明久「うん、そういうことだね」

 

 そろそろ突入するか。

 

橙睦「「俺も混ぜろ」」

明久雄二「「うわっ(うおっ)!」」

橙夜「戦争をやるんだろ?俺は戦争に興味があってFクラスになったんだから混ぜろよ。それと雄二は隠してないで本音を言っちまえよ」

睦明「「えっ!?」」

雄二「橙夜にはバレていたか「モロ分かりだったぜ?」……そうか。橙夜の言うとおり俺も『試召戦争』をやるつもりだったんだよ」

明久「へーそうだったんだ」

睦月「それで目的は?」

雄二「世の中学力が全てじゃないって、そんな証明をしてみたくてな」

睦月「そういうことか」

明久「???」

 

 明久は理解してないようだな。俺は雄二が悪鬼羅刹になった理由を大体知っているからな。何だかんだ言っておきながら素直じゃないだけだよな。

 

橙夜「俺も戦争やりたいって目的以外にもあるんだが。それはAクラス戦後に教えるさ」

雄二「俺にだけ本音を話させるなんて卑怯だな」

橙夜「そういうな。俺の目的はお前らにも悪い話じゃないさ」

雄二「そうか。それとお前らがいてくれたお陰で、Aクラスに勝つ作戦も思いついたし――おっと、先生が戻ってきた。教室に入るぞ」

明久「あ、うん」

橙夜「雄二、作戦立案には俺も噛ませろよ。後午前中の回復試験の手配を頼む」

雄二「分かっているさ。『幻の入試トップ』殿」

橙夜「知っていたのか。どうやって知ったか知らんが、その件はAクラス戦までは黙っていろよ」

雄二「当然だ。こんな早い時期にバラして情報を広めるなんて悪手だからな」

 

 雄二と会話を交わしながらのらりくらりと教室に戻る。

 

福原「さて、それでは自己紹介の続きをお願いします」

 

 壊れた教卓を替えて(それでもボロなんだがな)、気を取り直してHRを再開する。

 

?「えー、須川亮です。趣味は――」

 

 それ以降は何も起こらず再び淡々とした自己紹介の時間が流れた。

 

福原「坂本君、キミが自己紹介最後の一人ですよ」

雄二「了解」

 

 福原教諭の言葉に答えながら雄二はゆっくりと教壇に歩み寄っていく。

 

福原「坂本君はFクラスのクラス代表でしたよね?」

 

 その質問に雄二は鷹揚に頷く。

 

 と言っても、学年最低のFクラス代表なんて自慢にもならんがな。

 

 教壇に上がった雄二は俺たちのほうを向いて口を開く。

 

雄二「Fクラス代表の坂本雄二だ。俺のことは代表でも坂本でも、好きなように呼んでくれ」

 

 雄二がそういったのでからかうことに。

 

橙夜「じゃあ、『霧島雄二』ってのはどうだ?」

雄二「ッ!?やめろ、橙夜!それだけは勘弁してくれ!?」

橙夜「了解っと」

 

 大げさに反応する雄二。一瞬嬉しそうな顔をしたのを俺は見逃さないぜ?

 

 やっぱり満更でもないじゃないか。

 

雄二「さて、皆に一つ聞きたい」

 

 やはり雄二は統率力があるな。間の取り方が上手い上に話術も巧みだからな。

 

 そしてクラスメイトの様子を確認した後、雄二は視線を教室内の各所に移す。

 

 ―かび臭い教室―

 

 ―古く汚れた座布団―

 

 ―薄汚れた卓袱台―

 

 他のメンバーは雄二の視線に釣られて、それぞれの備品を順番に眺めた。

 

雄二「Aクラスは冷暖房完備の上、座席はリクライニングシートらしいが――」

 

 そこで一旦区切って静かに告げる。

 

雄二「――不満はないか?」

 

『『『『大ありじゃぁっ!!』』』』

 

 クラス中の殆どが魂の叫びを上げた。

 

雄二「だろう?俺だってこの現状は大いに不満だ。代表として問題意識を抱いている」

 

『そうだそうだ!』

『いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ!改善を要求する』

『そもそもAクラスだって同じ学費だろ? あまりに差が大きすぎる!』

 

 雄二の言葉で堰を切ったように次々とあがる不満の声。

 

 ……改善を要求する前に自分達の学力をどうにかしろよ。

 

雄二「みんなの意見はもっともだ。そこで」

 

 どうやらクラスの反応に満足したらしい雄二は、自信に溢れた顔に不敵な笑みを浮かべて――

 

雄二「これは代表としての提案だが――FクラスはAクラスに『試召戦争』を仕掛けようと思う」

 

 ――戦争の引き金を引いた。

 

Side.end




橙「今回はかなり長いな」

睦「文字数はどうなっているんだ?」

裂「今確認してみたが12800文字超えだった。バカテストを本編で書いてたら13000文字超えていたな」

橙「書きすぎだろ」

シ「枠外でも10000超えしたのは殆どがキャラ設定だけだからな?」

裂「ちょっ!作品が違う紫稀は来るんじゃない!」

紫燐「「と言うか、私達の出番ってあれだけ?」」

裂「次話で多少出番があると思うから我慢してくれ」

紫燐「「分かった(わ)」」

裂「それとさ、今回の話での没ネタがあるんだ」

橙「なんだよ?」

裂「愛子の『橙夜君は一体何がしたいの?(ry)最下級クラスにいくなんて!』の直後なんだがな」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

鉄人「そうだぞ、神楽兄。情報管制がしかれているからあまり知られていないが、本来ならお前が学年主席だろうが」
愛子「え?」

 問い詰める愛子に加勢した西村教諭―タイピングが面倒だ。これから地の分では鉄人で統一しよう―の新事実に再び驚愕する愛子。

橙夜「西村教諭。情報管制しかれているのに一般生徒の前で言っていいのかよ」
鉄人「むっ、しまったな。つい口に出してしまった」
愛子「先生!橙夜君が学年主席って一体どういうことなんですか!?」

 あぁー愛子が今度は鉄人を問い詰めている。

鉄人「工藤は1年の終わりごろに転入して来たから知らんと思うが、今の2年生がこの学園の入試を受けたときの話だ」
愛子「入試?それ関係の噂なら聞いたことがあります。…確か『幻の入試トップ』だったと思いますけど」
鉄人「それを知っているなら話は早い。そこにいる神楽兄がその正体だ。その時の点数は6000点オーバーだった」
愛子「6000!?6000って生徒の出せる点数じゃないですよね!」
鉄人「担当科目に特化している教師と同じくらいだな。それと今回の試験では7000点オーバーだったらしい」
愛子「は?7000って確か才女と呼ばれている高橋先生クラスですよね?」
橙夜「今回は7000だったのか。最初の方はのんびりとやってたからそれくらいか」
鉄人「工藤の言うとおり高橋先生クラスの点数だな。そして神楽兄を含める神楽兄弟妹は真面目に試験を受ける気がないのか…」
橙夜「試験なんて適度に出来ればいいんですよ。今回はそれなりに真面目にやるには丁度よかったですしね」

 色々と会話のキャッチボールをしながら意味深なことを言う俺。

鉄人「今回は?うーむ…。あぁーそういえば神楽弟と吉井が途中退席で無得点扱いだったな。つまりそういう事か?」
橙夜「正解ですよ、西村教諭。Aクラスになるのは簡単ですけど、『試召戦争』をやる機会が無に等しいですからね」
鉄人「つまり神楽兄が無記名で提出したのは弟や吉井と同じクラスになる為と『試召戦争』をやる為という事か」
橙夜「そういうことです。それじゃ愛子。俺達も自分たちの教室に向かおう」
愛子「あっ、うん。成績のことに関してはもう何も言わないことにするよ」
橙夜「では西村教諭。俺たちはこれで」
鉄人「あぁー時間はたっぷりあるからゆっくり行くといい」

 そう鉄人に挨拶をして俺達は靴を履き替えて2年生の教室がある3階に向かった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

裂「こんな感じだ」

橙「この時点で『幻の入試トップ』ってバレるんだな」

裂「そうするとAクラス戦でやりたいことが出来なくなるから没にしたんだ」

睦「なるほどな。で、俺たちは活躍できるのか?」

裂「出来るぞ。その為のシナリオだからな
  それじゃ疲れたから今回はこの辺で」

紫「また次回もよろしくお願いします」

燐「またね~」

翔「……よろしく」

全「いつの間に!?」
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