バカと俺たちの日常   作:裂やん

9 / 26
【バカテスト】 英語

問 以下の英文を訳しなさい。
[This is the bookshelf that my grandmather had used regularly.]

姫路瑞希、神楽橙夜、神楽睦月、神楽紫の答え
[これは私の祖母が愛用した本棚です。]

教師のコメント
正解です。神楽君たちはやれば出来るので真面目に試験を受けてください。

土屋康太の答え
[これは             ]

教師のコメント
訳せたのはthisだけですか。

吉井明久の答え
[これは私の本棚です       ]

教師のコメント
勝手に自分の本棚にしないでください。しかしきちんと勉強出来ているようですね。感心しました。

島田美波
[☆●◆△♪$≠        ]

教師のコメント
できれば地球上の言語で。


「こ、こんなのアタシのキャラじゃないわ!?」by木下 優子


第参問目 ミーティングとお弁当

Side.橙夜

 

 速水がDクラスへ宣戦布告に行って十数分後。

 廊下から物凄い音が聞こえたと思ったら教室の扉が勢いよく開いた。

 そして、そこに居たのは宣戦布告に行った速水だった。

 

速水「ハァ……ハァ……なんとか、無事に、戻ってこれた……」

橙夜「おー速水。どうやら無事みたいだな」

速水「と、当然だ。襲ってくると分かっていたから宣戦布告を了承させて即行で逃げたからな」

雄二「ご苦労だったな速水。それで開始予定時間は何時と伝えてきた?」

速水「一応、今日の午後とだけ」

雄二「よし。速水はゆっくり休んでおけ。それじゃ今からミーティングを行うぞ」

 

 そう言って雄二は扉を開けて外に出て行った。

 

 その後を秀吉と瑞希が追いかけ俺たちもそれに続く。後ろでは何か変なやり取りをしていたが。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.睦月

 

雄二「――それじゃ今からミーティングを行うぞ」

 

 他の場所で話し合いをするつもりのようで、雄二は扉を開けて外に出て行った。

 

 その後を瑞希と秀吉、橙夜兄の順で追っていた。

 

康太「…………(サスサス)」

 

 自分の頬の辺りをさすりながら康太が続くのを明久が声を掛けた。

 

明久「ムッツリーニ。覗いていた時の畳の跡ならもう消えてるよ?」

康太「…………!!(ブンブン)」

睦月「いや、今更否定しても、お前がHなのは知ってるからな?」

康太「…………!!(ブンブン)」

明久「ここまでバレているのに否定し続けるなんて、ある意味凄いと思う」

康太「…………!!(ブンブン)」

睦月「――何色だった?」

康太「みずいろ」

 

 即答か。

 

明久「やっぱりムッツリーニは色々な意味で凄いよ」

康太「…………!!(ブンブン)」

 

 そうやってのんびりと教室内で話をしていると、

 

美波「ほら吉井。アンタも来るの」

 

 明久はぐいっと島田に腕を引っ張られていた。

 

 面倒そうだと思って逃げようとしていたんだろうな。若干、嫌そうな顔してるし。

 

明久「あー、はいはい」

美波「返事は一回!」

明久「へーい」

美波「……一度、Das Brechen――ええと、日本語だと……」

康太「…………調教」

 

 島田が言いよどんだと思ったら二人の近くに居た康太が答えていた。

 

美波「そう。調教の必要がありそうね」

明久「調教って。せめて教育とか指導って言ってくれない?」

 

 確かに明久の言うとおりだな。

 

美波「じゃ、中間とってZuchtigung――」

康太「…………それはわからない」

睦月「折檻だろ」

美波「そうそう。折檻だったわ」

明久「それ悪化してるよね」

美波「そう?」

 

 確かに悪化しているな。それを実行して、実行したのを紫が知ったら島田とOHANASHIしそうだな……。

 止めることなんて出来ないから見ているだけになるだろうけどな!

 

明久「というかムッツリーニと睦月。どうして「調教」や「折檻」なんてドイツ語を知ってるの?」

康太「…………一般教養」

睦月「そんな教養はない。俺が知っていたのは最近必要でな」

明久「相変わらずムッツリーニは性に関する知識だけズバ抜けてるね」

康太「…………!!(ブンブン)」

 

 俺もそれは思うな。康太なら性に関するあらゆる言語の知識を持ってそうだし。

 

 そんな会話をしながら校内を歩いていると、先頭の雄二が屋上に出たから俺たちもその後を追って屋上へと出た。

 

Side.end

 

 

 

 

Side.橙夜

 

 屋上へと出た俺たちは雄二の言葉に耳を貸す。

 

雄二「速水が今日の午後にDクラスに開戦予定と告げてきた」

美波「それじゃ先にお昼ご飯ってことね?」

雄二「そうなるな。明久、今日の昼ぐらいは……っと、今はまともな物を食べているんだったな」

明久「その通りだよ、雄二。今の僕はきちんと3食摂っているからね」

 

 明久への仕送りは全て俺が管理しているから当然だな。

 

瑞希「えっ?明久君って前はお昼食べてなかったんですか?」

 

 瑞希が驚いたように明久を見ているが、知らなかったか?

 

 あぁ。そうか。瑞希は去年違うクラスだったから知らなかったか。

 

――一年時のクラス分けは以下の通りだ

  Bクラス 橙夜・愛子・優子・翔子・燐・久保

  Cクラス 瑞希・結子・紫

  Dクラス 睦月・秀吉・明久・雄二・康太・美波――

 

 なにやら俺の思考の途中で電波が遮ったような……?まぁいいか。

 

明久「まぁ、色々とあってね。今はきちんと食べているから安心して」

雄二「……確かにあれはな」

 

 確かにあれは酷かったよな……。

 

明久「何が言いたいのさ」

雄二「いや、お前の主食って水と塩だっただろう?」

明久「むっ、失礼な。砂糖だって食べていたさ!」

瑞希「あの、明久君。水と塩と砂糖って、食べるとはいいませんよ……」

秀吉「舐める、が表現としては正解じゃろうな」

 

 あぁ、俺と睦月以外の目が妙に優しくなっている。こんな目で見られると辛いだろうな……。

 

雄二「ま、飯代まで遊びに使い込んでいたお前が悪いよな」

明久「し、仕送りが少ないんだよ!」

橙夜「月に10万送ってもらっておいてどこが少ないんだよ……。マンションは既に支払いが済んでいるから住居費はいらないし、保険関係だって税金だから秋さん達が払ってくれてるじゃないか」

明久「うっ!」

橙夜「それに俺たち兄弟妹3人は住居費や税金は明久と同様に父さん達が払ってくれているから、食費込みの生活費で15万。それぞれにお小遣いとして1万ずつの計18万だぞ?」

 

 俺の発言によって明久に対する視線が冷たいものになっていた。

 

橙夜「そういえば睦月。今日の弁当担当は紫だったよな?」

睦月「ん?あぁ、紫で間違いない。あっ!」

橙夜「どうした?」

睦月「今朝、弁当受け取るの忘れてた」

橙夜「なら俺が飯前にAクラスにいって3人分受け取ってくるか」

睦月「悪いな、橙夜兄」

橙夜「気にするな」

美波「弁当当番って何?」

 

 俺と睦月が弁当について話していると疑問に思ったのか島田嬢が質問してきた。

 

橙夜「それはな、俺たちと明久が隣人ってのは話したよな?」

美波「確かに聞いたわね」

橙夜「桜儀燐も明久の家の隣人なんだが、一日交代で一人で毎日五人分の弁当を作ってるんだ」

美波「へぇー。それって結構大変じゃない?」

橙夜「毎日一人分を作るよりは五人分を一度にやるほうが楽なんだよ。それで今日は紫が当番で、明日は俺だったかな?」

美波「なるほどね。確かに毎朝早起きするのは大変よね」

瑞希「橙夜君たちもお弁当を作るのは大変でしょうから、良かったら明日は私も作ってきましょうか?」

 

 はい?今なんて言ったんだ、この子は。

 

橙夜「睦月、明久。さっきのは俺の空耳だよ……な?」

 

 状況を確認する為に睦月と明久に質問する。が。

 

睦月「橙夜兄。信じたくないのは分かるが……」

明久「……事実だよ」

 

 俺の質問に睦月が言いかけ、最後を明久が言う。

 

 瑞希が弁当を、料理をするだって?おし、状況は確認した。ならば俺たちがやることは一つ。そう――

 

橙夜「やめろ、瑞希!」

睦月「そうだ、瑞希!お前は何も心配しなくていいんだ!」

明久「そうだよ、瑞希ちゃん!僕たちは今までそうやって来たから何の心配もいらないよ!?」

瑞希「ふぇ?」

 

 ――瑞希の暴挙を止めることだ!

 

雄二「如何したんだ、橙夜たちは?女子の手作りお弁当と聞けば普通に喜びそうなのに」

康太「…………俺たちにも幸せをよこせ!」

秀吉「そうじゃぞ、橙夜に睦月、それに明久よ。ここは姫路の好意を受け取るべきじゃ」

美波「そうよ、木下の言うとおりよ。人の好意を無碍にするんじゃないわよ」

美波(瑞希のを受け取ったら私のも受け取ってくれるだろうし)

 

 俺たちが瑞希の暴挙を止めようとするのを雄二たちが止めようとする。

 

橙夜「黙れ、貴様ら!貴様らは真実を知らないからそうやって呑気にしていられるんだ!」

睦月「そうだ、その通りだ!お前らはあの恐怖――いや、地獄を知らないから気楽にしていられるんだ!」

明久「……おじいちゃん。明日にはそちらに行きます……」

雄二「明久が変なことを言い出したぞ!どういうことだ!」

康太「…………説明を頼む」

秀吉「一体お主らに何があったのじゃ!」

美波「一体なんなのよ!」

 

 やはり説明せねばならんか……。

 

橙夜「小学生の頃の話だ。瑞希がからかわれていたのを俺たち3人が助けた」

雄二「ありがちだな。それで?」

睦月「その翌日に瑞希がお礼と言って手作りのクッキーを持ってきたんだ」

秀吉「ふむふむ?」

明久「それを食べた僕らは意識を失って起きたときには病院だったんだ。2日くらい意識不明だったらしいよ……」

美波「よし、瑞希。アンタは料理しちゃダメよ」

瑞希「え、えぇ?美波ちゃんどうしてですか!」

 

 こ、これで俺たちが死ぬことはなくなったな……。後はもう一押しするだけだ!

 

橙夜「瑞希。料理のさしすせそって知ってるよな?」

瑞希「勿論です!」

睦月「それじゃ、言ってみろ」

瑞希「えっと、さは酢酸(さくさん)、しは硝酸(しょうさん)、すは水酸化(すいさんか)ナトリウム、せは青酸(せいさん)、そは砒素(ひそ)ですよね?」

雄二・秀吉・康太・美波「「「「…………」」」」

睦月「……俺たちの行動の理由を理解しただろ?」

康太「…………すまなかった」

明久「あぁ、生きてるって素晴らしいよね……」

雄二「悪かった……。姫路。頼むから今後一切、料理をしないでくれ……」

瑞希「坂本君も!?」

秀吉「そうじゃぞ、姫路。お主の料理の犠牲になっていい奴は居らぬからの……」

瑞希「木下君まで!?」

 

 お前の料理の腕前を知ればみんなそう言うんだよ。

 

雄二「さて、話がかなり逸れたな。試召戦争に戻ろう」

瑞希「ちょっと私の話を無視しないでください!」

 

 殺戮兵器の話のせいで忘れていたな。

 

 そして瑞希は黙れ!お前はそんなにも俺たちを殺したいのか!?

 

秀吉「雄二。一つ気になっていたんじゃが、どうしてDクラスなんじゃ?段階を踏んでいくならEクラスじゃろうし、勝負に出るならAクラスじゃろう?」

瑞希「むぅ。無視するなんて酷いです。もういいです……」

美波「そういえば、確かにそうね」

雄二「まぁな。当然考えがあってのことだ」

美波「どんな考えなの?」

雄二「色々と理由はあるんだが、とりあえずEクラスを攻めない理由は簡単だ。戦うまでもない相手だからな」

明久「え?でも、僕らよりはクラスが上だよ?」

 

 成績でクラスが分けられているから、Eクラスは当然Fクラスよりは点数が良い。

 

雄二「ま、振り分け試験の時点では確かに向こうが強かったかもしれないな。けど。実際のところは違う。オマエの周りにいる面子を見てみろ」

明久「えーっと……」

 

 明久は雄二の言うとおりに俺たちを見回している。

 

明久「美少女が二人とイケメンが二人と馬鹿が二人にムッツリが一人いるね」

雄二「誰が美少女だと!?」

明久「ええっ!?雄二が美少女に反応するの!?」

康太「…………(ポッ)」

明久「ムッツリーニにまで!?どうしよう、僕だけじゃツッコミ切れない!」

秀吉「まぁまぁ。落ち着くのじゃ、代表にムッツリーニ」

橙夜「時間が勿体無いからあまりふざけるなよ。(翔子に雄二が浮気していたって言ってもいいんだぞ?)」

雄二「そ、そうだな。(やめてくれ、橙夜)」

明久「いや、その前に美少女で取り乱すことに対してツッコミ入れたいんだけど」

雄二「コホン。ま、要するにだ。姫路に橙夜、それに睦月と明久に問題のない今、正面からやり合ってもEクラスには勝てる。Aクラスが目標である以上はEクラスなんかと戦っても意味が無いってことだ」

明久「?それならDクラスとは正面からぶつかると厳しいの?」

橙夜「いや、俺が本気で回復試験を受けた後ならDクラス以上でどんな教科だろうとも余裕だが、俺たちに回復試験を受けさせる為の時間稼ぎが厳しいんだ」

明久「だったら、普通に回復試験受けて最初から万全の状態でAクラスに挑もうよ」

雄二「初陣だからな。派手にやって今後の景気づけにしたいだろ?」

橙夜「それに観察処分者の仕事で操作技術の高い明久やその手伝いをしていた俺とは違って他の奴らの操作技術はどんぐりの背比べ状態だ。そうなると点数が高いAクラスが圧倒的に有利だ。流石に万全な状態の俺でもAクラスを相手に一人で無双するのは厳しい。だから俺たち4人の回復試験の時間稼ぎと召喚獣の操作に慣らすのにDクラスが適してるんだよ」

雄二「大雑把に言えば橙夜の言ったとおりだ。後は、さっき言いかけた打倒Aクラスの作戦に必要なプロセスだしな」

 

 何となく雄二の考えてる策は分かるな。策としては間違ってはいないから何も言わんけど。

 

瑞希「あ、あの!」

 

 瑞希にしては珍しく大きな声だな?

 

雄二「ん?どうした姫路」

瑞希「えっと、その。さっき言いかけた、って……明久君と橙夜君、坂本君は前から試召戦争について話し合ってたんですか?」

橙夜「ああ、それか。俺は前々から試召戦争に興味があったんだ」

雄二「俺もちょっと考えがあってな。それとついさっき、姫路の為にって明久に相談されてな」

明久「幼馴染の瑞希ちゃんの身体にはFクラスの環境は毒だからね。で、さっきの話、Dクラスに勝てなかったら意味がないよ」

雄二「負けるわけないさ」

橙夜「雄二が本気で策を考えるんだ」

雄二「お前らが俺に協力してくれるなら勝てる」

睦月「当然だ。俺たちが揃っていて勝てないほうがおかしいんだ」

橙睦雄「「「いいか、お前ら。ウチのクラスは――最強だ」」」

 

 自信満々に言い切る俺と睦月に雄二。

 

美波「いいわね。面白そうじゃない!」

秀吉「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの」

康太「…………(グッ)」

瑞希「が、頑張りますっ」

 

 打倒Aクラス。確かに荒唐無稽な夢で、実現不可能な絵空事かもしれない。

 

 だとしてもやってみなければ何も始まらないしわからない。

 

 共に何かを成し遂げるって言うのは悪くないだろう。

 

雄二「そうか。それじゃ、さっき少し話したがDクラス戦の作戦を説明しよう」

 

 涼しい風がそよぐ屋上で、俺らは勝利の為の作戦に耳を傾けた。

 

 

 

 因みに、明日の昼食は俺が弁当当番だったのでこの場にいる俺を含めた8人分の弁当を作ることになった。

 

 

 

 

 雄二による屋上での作戦についての説明が終わって俺たちは昼までの4時限全てを回復試験に当てた。

 

 Fクラスの連中は振り分け試験の時よりも点数を伸ばせそうな教科を4つ受けさせた。

 

 主戦力になる俺と睦月、明久に瑞希は30分1教科で8教科を受けた。

 残りは戦争中にFクラスが時間稼ぎをしている間に1時間ずつ2教科受ける予定だ。

 俺は政経と数学、睦月は数学と音楽、明久は歴史、瑞希は国語を受ける。

 

 さて、試召戦争についてはこれくらいでいいな。そろそろ飯にしたい。

 

橙夜「んじゃ、Aクラスに行って紫から弁当を受け取ってくるか」

睦月「よろしく」

明久「頼んだよ」

橙夜「言われなくても分かってる。お前らは先に屋上でも行ってろ」

睦明「「はいはーい」」

橙夜「そうだ、秀吉」

秀吉「何のようじゃ?橙夜」

橙夜「今日の昼は何を食うんだ?」

秀吉「今日は弁当を持ってきておらんから購買でパンでも、と思っておるが、それが何じゃ?」

橙夜「丁度いいな。秀吉も購買行かずに睦月たちと屋上に行ってくれ」

秀吉「何か知らんが、分かったのじゃ」

橙夜「それじゃ俺はAクラスに行ってくる」

 

 そう言って俺はFクラスを出て、まっすぐ新校舎のAクラスに向かった。

 

 

 

 

 Aクラスについた俺は入り口の近くに居た女子生徒に声を掛けた。

 

橙夜「すまんが神楽紫を呼んでくれないか?」

?「あれ、橙夜じゃない」

橙夜「ん?あぁ、優子か。やっぱAクラスだったな」

優子「当然でしょ?というか橙夜がAクラスに居ないと知ったときは驚いたわよ。何クラスになったのよ?」

橙夜「Fクラスだ。それと早く紫を呼んでくれ」

優子「また、真面目に試験受けなかったのね……っと、紫だったわね。今呼ぶわ。紫、ちょっと来て!」

 

 そう言って優子は大きな声でクラスの中に呼びかける。

 

紫「何の用、優子?って橙夜兄さんじゃない」

優子「用があるのは橙夜のほうよ」

橙夜「優子が言った通り、用があるのは俺だ。紫、俺たちの弁当を受け取りに来た。あと燐も呼んでくれ。どうせ、秀吉の為に弁当作ってきてるだろうからな」

紫「分かったわ。ちょっと待ってて」

 

 それを聞いて紫は自分の机と思わしき場所へ走っていった。

 

優子「そういえば交代で弁当作ってたわね」

橙夜「俺は今日早く登校したから受け取って無くてな。睦月たちも今朝はバカな幼馴染のせいで遅刻しそうだったらしくて紫が全員分持ってきたのを受け取り忘れたらしい」

優子「なるほどね。あっ、そうだ。今日はアタシもお弁当だから一緒してもいい?」

橙夜「いいぞ。と言うか、秀吉は購買って言ってたのに姉のお前は弁当かよ」

優子「アタシは自分で作ったのよ」

橙夜「それなら秀吉の分も作ってやればいいだろうに。一人分も二人分も変わらないだろう」

優子「別に作ってあげても良かったんだけど、どうせ燐が作ってくると思ったからね。案の定作ってきてたし」

橙夜「なるほどな。燐の日頃の行動を鑑みれば簡単に予想できるな」

優子「あれでまだ付き合ってないとか……。いい加減にしてほしいわよね」

橙夜「全くだな。どっかの誰かもいい加減告白しちまえばいいのによ(ニヤニヤ)」

優子「うるさいわね!」

?「何々ー。楽しそうだね。ボクも会話に混ぜてよ」

橙夜「おー、愛子じゃないか。今朝ぶり」

愛子「今朝ぶりだね、橙夜君。それで何の話をしてたの?」

橙夜「どこかの誰かが素直にならないって話だ(ニヤニヤ)」

優子「ちょ!余計なことを言わないでよ!」

愛子「へぇー、なるほどねー(ニヤニヤ)」

 

 途中で参戦した愛子と共に優子を弄ること2、3分。紫が四人分の弁当と二人分の弁当を持った燐と一緒に戻ってきた。ついでに言うと、優子は真っ赤になっていた。

 

紫「はい、橙夜兄さん。兄さんたちの分の弁当持ってきたわよ。それと例によって秀吉の弁当を作ってきてた燐も連れてきたわ」

燐「ちょ!紫、変なこと言わないで!」

橙優「「今更誤魔化さなくても燐が秀吉Loveなのは知っている(わよ)」」

燐「あぅ……」

橙夜「それじゃ、場所を移すぞ。睦月たちが待ってる。勿論、燐の『大好きな』秀吉もな」

燐「プシュー……」

橙夜「やべ。流石にやりすぎたか……?」

愛子「橙夜君たちは今日もお弁当なの?それならボクも今日はお弁当だから一緒にいいかな?」

橙夜「優子にも言ったが構わんぞ。それじゃ屋上に行くぞ」

紫優愛「「「はーい」」」

燐「…………」

 

 燐は紫と優子が手を引っ張って、愛子が背中を押してやっと動かせた。

 

 

 

 

 俺たちは屋上で各自のお弁当を広げている。

 

 燐はあの後、なんとか再起動して自力で屋上へと歩いて行って、待っていた秀吉に弁当を渡していた。

 

燐「はい、秀君。これお弁当。よかったら食べて」

秀吉「おぉ、燐。悪いのう、態々弁当を作ってくれて」

燐「ううん。秀君の為だから気にしないで」

秀吉「燐は料理が上手じゃからのう。有難く頂戴するのじゃ」

 

 なーんてやり取りがあったわけだ……。

 

 いい加減、告白しあってくれないかなー……。

 

愛子「相変わらず橙夜君たちのお弁当は美味しそうだね」

橙夜「今日は紫が作ったんだ。話はこれくらいで頂くとしよう。それじゃ、いただきます」

7人「「「「「「「いただきます」」」」」」」

 

 俺が音頭を取って全員で弁当を食べ始める。

 

優子「そういえばFクラスがDクラスに宣戦布告したって聞いたけど本当?」

睦月「本当だぜ。優子、その唐揚げ美味そうだな。俺の肉団子と交換しないか?」

優子「いいわよ。ほら、あ~ん?」

睦月「あ~ん。(モグモグ)結構いい出来じゃないか。それじゃ俺も。あ~ん?」

優子「あ~ん。(モグモグ)そっちの肉団子も美味しいわね。流石紫ね」

 

 あの無自覚バカップルめ!いい加減、お前らも告白しろよな!

 

愛子「(あの二人、自然とあ~んってやってるよ?)」

橙夜「(あいつらは無意識であれをやってるんだ)おっ、愛子の卵焼き美味しそうだな。こっちの卵焼きと味比べしてみないか?」

愛子「いいよ。それじゃ、あ~ん?(ニヤニヤ)」

橙夜「ッ!?あ、あ~ん……(モグモグ)愛子のはちょっと甘めなんだな」

愛子「ちょっとしょっぱいのもいけるけどボクは甘い方が好きなんだよね」

橙夜「それじゃ、愛子。あ~ん?(ニヤニヤ)」

愛子「こ、これはかなり恥ずかしいね」

橙夜「俺もやったんだ。遠慮せずにほれ。あ~ん?(ニヤニヤ)」

愛子「イジワルだね橙夜君は。あ、あ~ん。(モグモグ)砂糖と塩の量が絶妙で卵本来の味を引き立てているね。相変わらず紫ちゃんはいい仕事をするね」

紫「ありがとう、愛子。でも、橙夜兄さんが作ったほうがもっと美味しいわよ」

愛子「……そうなんだよね。男の子なのに橙夜君の方が料理上手くて女のボクとしては自信をなくしちゃいそうだよ……」

橙夜「気にしなくてもいいだろうに。俺の場合は他人が作るなら別にどんな味でもいいんだが、自分で作るなら半端な味にはしたくないんだよ」

明久「橙夜の自分がやるなら妥協せずに何でも極めるところは相変わらずだね」

紫「そうだわ、明久」

明久「どうしたの、紫?」

紫「よかったら私もあ~んしてあげましょうか?」

明久「是非お願いします!」

 

 即答だと!?

 

紫「それじゃ、あ~ん?」

明久「あ~ん(モグモグ)美味しかったけど、紫が食べさせてくれたことでもっと美味しくなったよ!」

紫「明久は調子がいいわね。他には何かないの?」

明久「それなら、僕も。あ~ん?」

紫「あ~ん(モグモグ)自画自賛のようだけど美味しいわ」

橙夜「(あいつらも体外無意識なバカップルだよな……明久は鈍感だけど)」

愛子「(そうだね……あまり表情が変化しない紫ちゃんも笑顔のようだし……吉井君もいい加減に自分の気持ちに気付いてもよさそうだけど……)」

 

 なんて恥ずかしい思いをしながら俺たちは弁当を食べていた。因みに秀吉と燐は――

 

燐「秀君、食べさせてあげるね?あ、あ~ん?」

秀吉「あ、あ~ん(モグモグ)お、美味しかったのじゃ。しかし、あ~んは恥ずかしいのじゃ」

燐「そ、そうだね。……良かったら、秀君もしてくれない?」

秀吉「むっ、燐の頼みならば分かったのじゃ。あ、あ~んなのじゃ」

燐「あ、あ~ん(モグモグ)やっぱり、するのもされるのも恥ずかしいね……」

秀吉「そ、そうじゃな……」

 

 ――こうなっていた。

 

橙夜「いつまでも弁当の話で盛り上がってないで箸を進めようぜ。昼休みが終わったら俺たちはDクラスとの試召戦争だからな」

秀吉「そうじゃな。ワシは試召戦争の後にも部活があるからあまり長引かせるわけにもいかんのじゃ(モグモグ)」

燐「今日も秀君の部活しているところを見学してるね」

秀吉「う、うむ。頑張るのじゃ」

優子「はいはい、イチャついてる秀吉たちは放っておいて、正直Dクラス戦はどうなの?(モグモグ)」

睦月「どうって?別に何の問題もないが?(モグモグ)」

明久「そうだね。一応午前中に色々な教科の回復試験を受けたし、残りの教科も戦争中に受けるつもりだしね(モグモグ)」

優子「(モグモグ)へぇ~。凄い自信ね」

橙夜「(モグモグ)そりゃ、当然だろう。Aクラス相当の俺たち3人にFクラスの代表はあの雄二なんだからな」

燐「やっぱり坂本君がFの代表なんだ。代表の言ってた通りだね(モグモグ)」

睦月「(モグモグ)Aクラスの代表というと……やっぱり翔子か?」

愛子「そうだよ。流石に代表のことは知ってるよね?(モグモグ)」

橙夜「そりゃ、俺たち兄弟妹は前から面識あったし、俺は去年同じクラスだったからな」

明久「あ、お弁当のおかずこれで最後だ(モグモグ)」

睦月「(モグモグ)俺も食べ終わったぜ」

優子「(モグモグ)アタシもよ」

橙夜「(モグモグ)俺もだ」

紫「私もよ」

愛子「ボクも食べ終わったよ」

秀吉「ワシらもじゃ」

橙夜「それじゃ、ごちろうさま」

7人「「「「「「「ごちそうさま(でした)」」」」」」」

 

 良い具合に腹に溜まったな。これなら試召戦争やっても夕食まで十分にもちそうだ。

 

紫「明日の当番は橙夜兄さんだからね。期待するわ」

橙夜「分かってるっての。どうせだからデザートも作ってくるか」

愛子「それなら、明日も混ぜてもらおうかな。デザートは出来たらシュークリームがいいな」

橙夜「となると明日はここにいる8人に雄二・康太・瑞希・島田嬢の12人分か?……いや、雄二と康太が混ざるなら翔子と須藤の分も準備するか。てことは14人分だな。そうなると重箱で作った方が良さそうだな。……確か睦月は明後日の当番だったから手伝え。燐も手伝ってくれると助かるな」

睦月「了解」

燐「大丈夫だよ」

愛子「ボクの分は自分で用意するつもりだったんだけど……いいのかな?」

橙夜「愛子は気にするな。それじゃ睦月と燐の当番を短縮して明後日は明久な?」

愛子「橙夜君、ありがとう」

明久「それくらいなら僕は構わないよ」

橙夜「Aクラスの優子たちには翔子と須藤に話を通しておいてくれ。まぁ、雄二や康太と一緒にお昼が食べれるならすぐに受けそうだが……」

優子「それなら代表にはアタシが声を掛けておくわ。須藤さんの方は紫に頼むわね」

紫「結子とは去年同じクラスだったから任せて」

橙夜「話もまとまったしこれで解散っと」

 

 そうして俺たちは各自の教室に戻っていった。

 

Side.end




橙「……なぁ。今回の話って、裂やんに一体何があったんだ?」

睦「俺も知らない。ん?何か紙がおいてあるぞ」

橙「えーと何々?」

『紫と燐にOHANASHIされたので出番を早めるというか約束を守るために書いてみた。
 こんなの優子のキャラじゃない!秀吉じゃない!なんて突っ込みは受け付けない。
 ついでにいうと私に甘甘は難しい。枠外の方でも公言しているがな』

橙「だとよ」

紫「当然の義務よ」

燐「前回、約束を守らなかったのだから当たり前だと思うよ」

睦「裂やん、南無……」

橙「それにしても助かったぜ」

睦「そうだな。瑞希の弁当フラグを見事に叩き折ってくれて感謝したい気持ちでいっぱいだ。ん?今度は紙が降ってきたぞ?えーと、何々?」

『今回は叩き折れたが、以降どうなるかは知らん。
 その時の私の気分次第で犠牲が出ると思う。特に強化合宿の際は。

 それと南無言うな。まだ死んでない』

睦「橙夜兄……」

橙「……大丈夫だ。強化合宿なら犠牲になるのは明久だけのはずだ!」

睦「そうだよな?」

橙「それにしても今回もまた長くなったな」

睦「何文字なんだろうな?一万近くだろうけど。また紙が振ってきた」

『10000文字超えだった。詰め込みすぎだな』

橙「さて、余計な話はおしまいにして、そろそろ時間だ」

翔「……次回もよろしく」

紫「よろしくね」

燐「またね~♪」
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