午後の授業の休憩時間、一夏は一人机に突っ伏していた。
(ふ~、この環境で勉強するのって思った以上に疲れる・・・・・・・・・でも千冬お姉ちゃんに迷惑を掛けないように頑張らないと。)
一夏がそう意気込んでいると一人の生徒が話しかけてきた。
「少しお時間を取ってもよろしいでしょうか?」
「え、あ、はい。えっと・・・・・・・・・・・・イギリス代表候補生のセシリア・オルコットさんでしたっけ?」
「ええ、そうですわ織斑一夏さん。」
一夏に声を掛けてきたのはセシリア・オルコットであった。
「クラスメイトとして、そして代表候補生としてご挨拶をと思いまして。どうぞよろしくお願いします。」
「こちらこそ何かとご迷惑を掛けるかもしれませんがよろしくお願いします。」
互いにお辞儀をする。
するとチャイムが鳴った。
「ではまた。」
「あ、はい。」
チャイムが鳴り終わるなり千冬が教室に入って来た。
「席に座ってないものは早く座れ。これより授業を・・・・・・・・・・とい、その前に来月に行われるクラス対抗のクラス代表を決めなくてはならない。誰か立候補する者はいないか?もしいなければ推薦も構わない。」
「はい、織斑先生。」
「なんだ織斑?」
「クラス代表とは具体的には何をするもなのかを教えてください。」
「ふむ、その質問は適切だな。クラス代表とは言葉通り学年別のトーナメントにクラスを代表して出るのもあるが他にも生徒会や集会などでの代表、つまりクラス委員長的な役割を担う役職だ。これに選ばれたものは一年間交代できない。」
「はい、わたしは織斑君を推薦します!」
「わたしも!」
次々に一夏を押す声が集まる中、一夏もある人を推薦する。
「はい、僕はセシリア・オルコットさんを推薦します。」
「織斑一夏さん、それはなぜですの?」
セシリアの問いに一夏は答えた。
「僕はISに乗り始めてまだ日が浅いから一か月ちょっとじゃ勝算が低いから僕よりISの操縦時間が多くて専用機を持ってるオルコットさんが適任だと思ったから。」
「よく私が専用機を持っていることに気づきましたわね。代表候補生とは言えど持っていない場合もあるのでしてよ。」
「その耳の片方についているイヤリングが決め手です。」
一夏が見る先には片耳についている蒼いイヤリングがあった。するとセシリアがある提案をした。
「織斑先生、少し提案があるのですがよろしいでしょうか?」
「言ってみろ。」
「織斑一夏さんとの勝負を私は望みます。」
『えええぇっ!』
セシリアの一言にクラス中の女子が驚きの声を上げた。
「理由を聞こう。」
「はい。まず織斑一夏さんを推薦した皆様は一夏さんが“男性で唯一ISを動させる”と言う点に着目して推薦をしたのだと思われます。」
『うっ!』
核心を突かれ、声に出してしまう女子たち。
「しかし、いくら専用機を持っているわたくしと言えどただ黙って受けるのではなく、織斑一夏さんと対決して実力を計った上で代表にどちらが相応しいか決めたいと思います。」
「成程・・・・・・・・・・・オルコットの言い分も一理あるが・・・・・・・・・・織斑、お前はどうする?」
「受けます。」
一夏の答えに一人の女子生徒が言った。
「えー、織斑君だいじょーぶー?男が女より強かったのって昔の話だよ。」
「ほう・・・・・・では貴様はISなしにいきなり男に殴りかかられても勝てる自信があるというのだな?」
「いや・・・・・・・・それは・・・・・・・・・」
「お前たちは勘違いしている。ISが搭乗したからと言って必ずしも女性がISに勝てるという絶対論はない。男が女に勝つときもあればその逆も然り。織斑、お前はどう思う?」
「確かにその通りです、織斑先生。それに女性は男性より精神的な面で強い所がありますし。」
「と、言うと?」
「えっと、これは前にテレビで言ってたことなんですけど女性が子供を産むときの激痛は男性であれば死んでいるといわれるほどと聞いているので女性は女性なりに強い所があると僕は思います。」
「結構。このように昔から女性が強い所と男性が強い所はあった。ISが出たからと言って必ずしもお前たち自身が強くなったわけでないことをしっかりと記憶に叩き込んでおけ。いいな?」
『はい!』
一夏の言葉にクラスの女子は一斉に返事をした。
「では一週間後に第2アリーナにて織斑一夏とセシリア・オルコットの決闘。を決める両社とも手加減なしの本気で戦うように。いいな?」
「「はい!」」
「よし、では授業を始める。」
放課後になっても廊下は一夏を見ようとする女子でいっぱいになっていた。
「一夏、送ってやろうか?」
「うん、お願い箒ちゃん。というか、むしろ送ってください。」
一夏が廊下の方に視線を移す。箒はライオンの群れに飛び込む子猫を連想し、その後の展開を予想した。
「わかった、一緒に行こう。」
一夏は箒と一緒に校門まで行こうとした時であった。女子の群れの中を堂々と歩く人物がいた。
「すみません、ちょっと通してください。」
「邪魔だ退け!」
蜘蛛の子を散らすように道を進むのは千冬であった。その後を山田先生が付いて行く。
「織斑君、まだ教室にいたんですね。よかったです。」
「ええ・・・・出れそうな雰囲気じゃなかったですから。」
「あはは・・」
一夏の言葉に山田先生は苦笑いする。
「織斑、お前に話すことがあるが・・・・・・その前に、お前たちは早く寮に戻れ!」
千冬がそう言うと廊下に群がっていた女子生徒たちは寮に戻って行く。
「おとなしくなったところで織斑、お前には寮で過ごしてもらうぞ。」
「え?でも一週間は家からかよいって聞いてましたけど・・・・・・」
「貴様の事情が事情だからな。どこぞの機関に誘拐されてもしたら身内である私も困るのでな。何より、アイツが黙ってない。」
千冬が言うアイツが誰のことか一夏は容易に想像できた。
「これが部屋のカギになります。」
そう言って山田先生は一夏の部屋の鍵を渡す。
「えっと・・・・・1025室だ。」
「なっ!」
一夏の言葉に箒は驚く。
「どうしたの、箒ちゃん?」
「わ、私と同じ部屋だ。」
「ええぇ!」
一夏は驚く。
「ど、どうして箒ちゃんと一緒の部屋なんですか?それだったら身内の織斑先生と――――」
ペシン
「あたっ。」
「馬鹿者。私の部屋には生徒には見られてはいけない書類などがある。第一、身内同士だと色々学校側にも問題があるのだ。幼馴染である篠ノ之と一緒の部屋にした方が安全と考えた上だ。納得しなくても納得しろ。」
「は、はい・・・・」
一夏は千冬に凸ピンされた額をさすりながら答える。
「織斑君、一応ここには大浴場がありますがあなたは使えませんので。」
「仕方ないですね。しばらく部屋のシャワーで我慢します。」
「わかってくれてありがとうございます。あら?」
山田先生の目に入ったのは俯き顔を赤くしながらなんにかブツブツとつぶやいている箒の姿があった。山田先生は耳を傾ける。
「――――かと一つ屋根の下、一夏と一つ屋根の下、一夏と一つ屋根の下、一夏と一つ屋根の下、一夏と一つ屋根の下、一夏と一つ屋根の下、一夏と一つ屋根の下、一夏と一つ屋根の下—―――」
(あー、納得しました。)
箒がどうしてこうなったのか山田先生は理解した。
「篠ノ之。」
「は、はい!」
「わかっているとは思うが弟を傷物にしたら承知しないからそこのところは覚悟しておけ。」
千冬はドスの利いた声で箒に話す。
「織斑先生、それは普通逆なのでは?」
そんな山田先生の言葉を無視する千冬。そして箒は「はい。」と返事をした。
一夏と箒が部屋に着くとまず目に入ったのは荷ほどきされていない一夏の荷物であった。一夏は荷物の中を確認すると中には着替えと下着、ケータイの充電器にぬいぐるみがいくつか入っていた。
「お前は相変わらずかわいい物好きだな。」
「うん。心を癒されるからね。」
(こういうところが男ではなく女っぽいんだがな。)
一夏は小さいころから男でありながらも可愛いものに目が無かった。人形を売っている店に一夏が一度人形を手に取ればその店の売り上げが一気に上がるという都市伝説ができてしまうほどである。
「そういえばよく私とわかったものだな。時間が大分経っているのに。」
「髪型が変わっていなかったのと束さんから成長した時の写真をもらっているからね。」
「・・・・・・・・ちょっと待て。」
一夏の言葉を箒は聞き逃さなかった。
「姉さんと会ったのか?」
「この前家に来たよ。」
「・・・・・・・・・るい。」
「へ?」
「ずるいぞ、姉さんばかり!私が会えない間に一夏とあっているなど!」
「ご、ごめんね箒ちゃん。」
「一夏が謝ることではないのだが・・・・・・・・・・・・・ふむ、ならば今日一日私のわがままを一つ聞いてくれるか?」
「い、いいよ・・・・・・・・・でも、何をお願いするの?」
一夏は不安になりながらも聞いた。
「今日は一緒のベッドで寝てくれ。」
「・・・・・・・・・・・・へ?」
「なんだ、聞いてくれるのではないのか?」
「い、いやそうじゃなくてさ。いきなりそんなこと言われてどう答えたらいいか困って・・・・・・・・」
「困る必要はないだろう。お前が言い出したんだ。それともさっきの言葉は嘘か?」
「う、嘘じゃないよ!」
「ならば問題ないな。」
「うん!て・・・・・・・・・・・・・あれ?」
一夏はまんまと箒の策にハマってしまった。それから部屋での決まり事を話したのち一緒に食堂へ行きった。
「こうして一緒に寝るのも久しぶりだな。」
「そ、そうだね////////」
嬉しそうな顔をする箒を背に一夏は顔を赤くしていた。背中に当たる柔らかい胸の感触が一夏の理性を刺激する。
(お、おっぱいが当たってて眠れないよ~。)
(顔を赤くして可愛い奴め。まあ、そんなところも私は好きなのだがな。)奴め
箒はそう思いながら眠りについた。しばらくして一夏も眠ったが寝ている最中に寝返りを打ち至近距離で向かい合う形になったのは別の話である。