小さくて可愛い織斑一夏   作:ザルバ

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二十三話目です

「凰さんとオルコットさんのペアが勝ったね。」

「うん。でも簪ちゃんと本音ちゃんも頑張ってたよ。多分、勝てる見込みが薄いのはわかってたんだと思うよ。」

「どういうこと?」

「簪ちゃんのISは完成してまだ間もないんだ。戦闘経験も他の代表候補生よりも少ない。けどそこは知能でカバーしてたから勝てたんだけど相手は正直・・・・・・・・・・半分だけ真逆だから。」

「ああ。」

 一夏の言葉にシャルは納得した。

「あっちはどうかな?」

 一夏は箒・ラウラペアの試合が映し出されているモニターを見た。

 

「これで・・・止めだ!」

 箒が雨月と空裂を十字に振り、相手のシールドエネルギーを0にする。

「ううぅ~、負けちゃった~。」

「立てるか?」

 箒は目の前の子に手を差し伸べる。

「う、うん。」

 その子は手を取り立ち上がる。

「私が言えたことではないが中々だったぞ思うぞ。」

「そ、そうかな?」

「ああ。」

 箒は相手の子に敬意を払う。ラウラも同様であった。

「まだ粗削りではあるがなかなかの操縦センスだ。」

「ありがとう、ボーデヴィッヒさん。」

 ラウラは一夏がドイツにいたころに教えられた。

“試合をしたなら敬意を払わないといけないんだ。勝者の後ろには敗者しかいないのは事実だけど、相手は自分の強さを証明するために戦ってくれたんだ。例え自分が弱いとわかりきっていてもね。そういう意味で敬意は払うべきなんだよ。”

「嫁に教えられたからな。」

「嫁?・・・・・・・・・・はっ!もしかしてラウラさん・・・・・・・・・・・百合系!」

「?その言葉はよくわからんが、おそらくそうではないぞ。」

「え?でも嫁って・・・・」

「なんでも副官が

“日本には自分が好きにあった相手に対し『自分の嫁にする』”

 という風習があると聞いた。」

(誰!ラウラさんに変な知識教えたの!そして嫁って誰!)

 その子は思いっきり口に出して突っ込みたかった。

 

 そして時間は過ぎて準決勝第一試合、一夏・シャルルペアVS鈴・セシリアペアの試合。

「やっとここまで来たわね。」

「ええ、なんとしても勝ちますわ!」

「なんだかよくわからないけど・・・・・・・・・・勝とう、一夏!」

「うん!」

 両者共意気込みは充分であった。

 試合開始のブザーが鳴った瞬間、鈴が双天牙月を投げる。一夏とシャルは左右に分かれる。鈴が双天牙月の元まで移動し回収すると一夏の方へスラスターを吹かせる。

「おぉおりゃぁぁああああああ!」

 鈴は双天牙月を二つに分けると両腕を使い振るう。できうる限り不規則に、力強く振るう。

「くっ!」

 流石の一夏も雪片弐型だけではきつかった。

「逃がしませんわ!」

 セシリアはビットを操作しながらインターセプターをフェンシングの要領でシャルを突く。シャルはガルムを片手に持ちながらブレッド・スライサーでインターセプターを受け流し、回避していた。

(シャルちゃん!)

 一夏がシャルにアイコンタクトを送る。シャルはそれに気づいたのか一気に上に上昇し、一夏へ向けブレッド・スライサーを投げる。

(来た!)

 一夏は鈴の双天牙月を受け止めると右回し蹴りを叩き込み、ブレッド・スライサーへ近づきキャッチする。

「いった~~~~~~~~。こんな方法で来るとは思わなかった・・・・・・・よっ!」

 鈴は一夏に衝撃砲を放つ。一夏はそれを回避しながら接近し雪片弐型を突く。鈴はそれを双天が月牙で受け止める。すると一夏は雪片弐型から手を放し、柄頭を蹴る。

「きゃっ!」

「鈴さん!」

「よそ見している暇はないよ!」

「くっ!」

 シャルロットはレイン・オブ・サタディの弾をスラッグに変えセシリアに放つ。扱いづらい弾丸ではあるが近くにいると狙い打ちやすい。

(でもこの弾頭、やっぱり距離を取られると難しい・・・・・・・なら!)

 シャルは両手に炸裂弾が装填されているハンドガンをコールしセシリアに向け放つ。

 弾頭が発射され最初にシールドエネルギーに当たると弾頭が花を開くように細かい破片へと姿を変え更にシールドエネルギーを削る。

「厄介な代物を・・・・・・ですが!」

 セシリアはミサイルを放つ。シャルロットは後退しながらハンドガンで撃ち落とそうとするがミサイルの筒の部分がパージされ、細かいミサイルが発射される。

「祭!」

 俗に言われる“祭”。広範囲の敵を殲滅するときに用いられる。クラスターとは違い一つ一つが小さなミサイルである。

 シャルはすぐ様ハンドガンを放り投げ盾をコールする。周りにミサイルが落ち、爆発する中シャルはその場で踏ん張っていた。

「くぅう・・・・・・・・・無茶な戦法だね。」

「それはあなたもでしょ。」

 互いにシールドエネルギーは一割を切っていた。

「いくよ、リヴァイヴ!」

「いきますわよ、ブルーティアーズ!」

 シャルはガルムを、セシリアはスターライトmkⅢを手に互いに撃ち合う。双方ともに円を描く軌道で打ち合う。当たりもしない時もあれば当たりもする時がある。互いに打ち続けるが、撃っている最中でセシリアのスターライトmkⅢが撃てなくなった。エネルギー不足とモニターには表示されていた。

「くっ!」

「これで・・・・・・・・・止め!」

 シャルは留目の一発を放った。その瞬間、セシリアのシールドエネルギーが0になった。

「セシリア!」

「鈴ちゃん、こっちもそろそろ終わりにするよ。」

 一夏は左に逆手で雪片弐型を、右手にはレイン・オブ・サタディを順手で持っていた。一夏はゆっくりと鈴に近づく。その気になれば衝撃砲を撃てる状態ではあったが彼女はもしそれをすればどうなるかわからなかったため動けなかった。一夏が近づく度にレイン・オブ・サタディに目が向く。

その瞬間、一夏はレイン・オブ・サタディを手放す。手放したのにも関わらず鈴はレイン・オブ・サタディに目が向いていた。一夏は右手で左手に持っていた雪片弐型を抜刀するように振る。

「しまっ!」

 気づいた時には既に遅く一夏は零落白夜を起動させ、鈴のシールドエネルギーを0にした。

 試合終了のブザーが鳴り響く。

「あ~、負けちゃったわね。まさかあんな方法で勝つなんて思ってもみなかったわ。」

 口ではそう言うが鈴は満足した顔であった。

「うん、僕も全力でやり合えてよかったよ。」

「でも次は勝ってやるんだから。」

「僕もその期待に応えれるように勝ち続けてみるよ。」

 二人は固い握手を交わした。

「シャルルさん、とてもいい勝負でした。」

「うん、僕もだよ。もし他の実弾兵器があったら負けていたかもしれないよ。」

「いいえ、結局武器は使い手次第によって変わります。それにわたくしももっと精進しなければなりませんし。また今度模擬戦で戦っていただけますか?」

「もちろん。」

 準決勝第一試合は一夏・シャルペアと決まった。そして準決勝第二試合は安定の箒・ラウラペアが勝利し、決勝で当たることが決まった。

 

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