一夏が目を開けるとそこは曇った空の荒野にいた。辺りを見渡してあるのは枯れた木にベンチだけであった。
「ここは・・・・・・・・・」
「あらま、コーんなところに人間の意識が来るなんてねー。」
「え?」
一夏は声がした方を振り向くとそこにはボロボロのマントを羽織った一人の男がいた。
「ま、あそこに座って話そうや。」
「あ、はい。」
一夏はその男の言葉に従いベンチに座る。
「ゴメンね、あんな目に遭わせちゃって。」
「あんな目って・・・・・・まさか貴方は!」
「そ、あの子のISのコア。でも俺は意識だけの存在であって意味が無い存在。いわばお飾り。」
「お飾りって・・・・・・そんなこと・・・・・・」
「事実、彼を止めることができなかった。いや、出来ないんだ。彼の暴走した感情は俺の制御を軽く凌駕する負の感情、怒りや憎しみ、妬みなんかが積もりに積もったんだ。」
「そんな・・・・・・・・」
一夏はコアの声にショックを受ける。
「でも・・・・・・・・・・・彼も心の奥ではこんなことを止めたいって感情があるんだ。でも自分で分かっていても制御が効かない。それが彼の今置かれている状況。」
「でもどうしたら・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・君にこんなお願いをするのは悪いと思ているんだけど、あの子を殺してくれないかな?」
「え・・・・・・」
一夏はその言葉に衝撃を受ける。
「彼の身体は薬や実験によってボロボロ、もう医学では治せる範疇を超えている。仮に回復したとしても精神状態がもう崩壊している。眠る度にあの悪夢を彼は思い出している。もう・・・・・・・・・・・・・・・彼のあんな姿は見たくないんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
一夏は黙ってしまう。
「頼み、聞いてくれるかい?」
「・・・・・・・・・・・・・無理です。」
「・・・・・・・・・・・そうか。」
コアは地平線の彼方を見る。
「僕は・・・・・・・・・・・」
「ん?」
「彼を救いたいです。戦うことになっても、せめて一回だけでいいから抱きしめて、誰かに愛されているって、そう思って欲しいんです。」
「それは・・・・・・・・・・・・君なりの救いかな?」
「はい・・・・・・・・・・・・すべてを救うことは出来ないと、理想にすぎないとわかっています。それでも・・・・・・・・・・・・・・たった一人でも犠牲にはしたくない。せめて魂だけでも救いたいと僕は思っています。」
「・・・・・・・・・・・・そうか。君は、本当に優しい。白式、彼を認めるか?」
コアはベンチの後ろを振り向くとそこには白いドレスを着た白い長髪の少女がいた。
「ええ。でも私の質問に答えてからです。」
「質問?」
「はい。」
一夏はベンチから立ち上がり白式の方を向く。
「一夏、我がマスターに問います。貴方は何のために力を欲しますか?」
「僕は・・・・・・・・・・・皆を守るために力を欲する。力を得るのに守るなんて言葉はおかしいけど、でも守りたいって思いは嘘じゃない。僕は得た力を、守るために使う。たとえ偽善と言われようとも僕はその信念を貫き通すよ!」
一夏の刑の眼差しを見て白式は微笑む。
「さすが我がマスターですね。その思い、確かに受け止めました。」
白式は手を差し出す。一夏は自然とその手を掴んだ。
すると掴んだ手から周りの風景が変わり、水面の上に立っていた。
「行きましょう、共に。貴方にとって大切な方々を守るために。」
「うん!」
(ん・・・・・・・・・・・・ここは・・・・・・・・・・)
一夏が目を覚ますと海の中にいた。
(そう言えば・・・・・・・・・・・海に落ちたんだっけ。みんなは・・・・・・・・・まだ海面で戦闘している。あの子も助けないと。)
一夏は態勢を立て直し一気に浮上しようとすると、ディスプレイが表れた。
《二次移行の準備が整いました。確認ボタンを押してください。》
(白式・・・・・・・・・・・・うん、一緒に行こう!)
一夏は確認ボタンを押す。すると白式は白式・雪羅へと姿を変える。
(今行くよ!)
一夏は一気にスラスターを吹かし、一気に海上の少年の方へと接近し雪片弐型を叩きつける。
「皆、待たせてゴメン。」
『一夏(さん)!』
海面にいた箒たちが一夏の安否を確認して喜ぶ。
「ゴメンね、心配かけて。」
一夏は箒たちに謝ると少年の方を向き、雪片弐型を構える。
「今・・・・・・・・・・・・助けてあげるから!」