小さくて可愛い織斑一夏   作:ザルバ

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九話目です

 放課後になり、一夏とセシリアはクラス対抗戦のために第二アリーナにいた。本来なら二人しかいないアリーナに意外な人物がそこにはいた。

「どうかしたか?」

「いや、なんていうか・・・・・・・」

 一夏とセシリアの見る先には打鉄を身に纏った箒がいた。

「箒ちゃん、訓練機の許可が早く取れたんだね。」

「まあな。一夏がセシリアとの模擬戦を行った後にすぐに予約を入れたからな。」

 念入りに進められていた準備によって箒は一夏たちの訓練に参加できるようになったのである。

(くっ!まさか箒さんがここまで準備が良いとは思いませんでしたわ!)

 セシリアですら自身が専用機持ちと言うアドバンテージを持っていることで油断をしていた。そんな中一夏はあることを考えていた。

(箒ちゃんは剣道を習っているから一対一の戦いは問題ないけどいざ連携を取るとなると慣れてない分無理がある。セシリアちゃんの機体はあのビットがあるから多分一対多向き。連携も取れないと思う。二人ともいえるのはチーム戦が苦手なこと。そして何より二人共対照的な武器を使うところから互いが得意とする武器はお互い不得意。じゃあ、今日の訓練内容は決まったね。)

 一夏は考えた末に訓練内容を決めた。

「ねえ、二人とも。ちょっといいかな?」

『なんだ/ですの?』

「まず箒ちゃんはさ、射撃が苦手でしょ?」

「う、うむ・・・・」

「加えて連携もやったことが無いよね?」

「そ、そうだ・・・・」

「それはセシリアちゃんもでしょ?」

「ええ・・・・」

「それとさ、セシリアちゃんのブルー・ティアーズって一対多向き?」

「そ、そうですわ。」

 一夏の予想が確信に変わった瞬間、一夏は考えていた訓練内容を話す。

「箒ちゃんは近接、セシリアちゃんは中距離。この二つがどちらとも極端に傾いてる。一方に集中すれば一方は疎かになっちゃう。だから考えたんだけど二人が協力して僕に攻撃を仕掛けてくるって訓練はどうかな?」

「それはつまり・・・・・・」

「一対二の対戦を行えと言うことか?」

「うん。」

 二人の問いに一夏は頭を縦に振りながら答えた。

「ですが一夏さん、それはどうしてですの?」

「えっとね、鈴ちゃんが二組のクラス代表になったって話してたでしょ。でも鈴ちゃんの機体がどんな機体なのか僕知らないから対策の取りようもないし、鈴ちゃんみたいに転校してくる代表候補生の子が今後出てくるかもしれない。だからそういう時のために二人に協力して欲しいんだよ。」

 一夏の筋が通った話に二人は反論することはなく、納得する。

「なるほど・・・・・・・・わかったぞ一夏。」

「ええ、こちらもですわ。では早速始めるとしましょう。」

 一夏と箒達は一定の距離を取り、準備に入る。

「じゃあ合図はこの石ころが地面に落ちた瞬間ね。」

「うむ。」

「わかりましたわ。」

「じゃぁ・・・・・・・・・・・・ほいっ!」

 一夏は手にしていた石ころを真上に投げる。一夏は石ころに意識を向けず、ただ目の前の箒たちを見ていた。箒達もまた同じように一夏を見ていた。互いに感覚を研ぎ澄ませ、聴覚を鋭くする。石が空中で運動エネルギーが0になり制止すると、位置エネルギーが落下する運動エネルギーへと変換される。

この落ちる瞬間一刻一刻が長く感じられた。

 そして落ちた瞬間、グランドの砂利の音が三人の耳に入った。

まず最初に動いたのはセシリアであった。セシリアはスターライトmkⅢを一夏に向け放つ。一夏は左に飛び回避する。そこへ一夏の左から弧を描きながら接近して来た箒が近接用ブレード・葵を右に構えながら接近し、振ってくる。一夏は左手に雪片弐型をコールすると空中側転をし、幸平の地肌で葵を滑らせながら回避、そのまま距離を取る。

「ふっ!」

 一夏は白式のカスタム・ウィングのスラスターを吹かせ一気にセシリアの方へ接近し雪片弐型を突く。

「っ!」

 セシリアは土壇場でインターセプターを上手くコールし一夏の攻撃を受け止める。しかし一夏は雪片から手を放すと少し後ろに上がり蹴りで雪片を突いた。

「きゃっ!」

 先ほどとは違い強い力で押されたセシリアは後ろに飛ばされる。脚の力は腕の3~4倍ほどあると言われているため飛ばされても無理はなかった。一夏は雪片弐型を右手にコールし箒の方を向く。その時既に箒は一夏に接近し葵を振り下ろそうとしていた。一夏は雪片の剣先付近の峰に手を添え受け止める。

「くぅう・・・・」

「ふぅ・・・・ふっ!」

 力押しで来る箒に対し一夏はそれを雪片弐型を傾け受け流す。

「なっ!」

「はっ!」

 驚く箒に一夏は後ろから回し蹴りを叩き込む。箒は一直線に地面へ向かう。

「ぐぅっ!」

 箒は歯喰いしばりながら地面に落ちる。土煙が舞う中から二基のミサイルが姿を現した。

「っ!(箒ちゃんが落ちた際に生じた土煙を利用して来たんだね。作戦としてはいい。でも!)」

 迫りくるミサイルを一夏は一基掴み、もう一基を雪片弐型で斬った。一夏は爆風を利用して加速、一気に接近する。一夏はミサイルを二人の間に向け飛ばす。ミサイルは一直線に地面に向かい、そして勢いよく地面に当たると同時にミサイル全体がグシャリと潰れ爆発した。

「きゃぁああああああ!」

「ぬぁあああああああ!」

 二人はミサイルの爆風によって飛ばされる。距離が離された二人に対し一夏はセシリアから攻め始めた。

「っ!ブルー・ティアーズ!」

 セシリアはカスタム・ウィングのビットをすべて自分の前に展開すると、一夏に向けレーザーを放った。しかし囲うような配置にされていないビットほど避けやすいものはなかった。一夏はレーザーの雨を潜り抜け、一気にセシリアとの距離を詰めると雪片弐型の零落白夜を起動させセシリアのシールドエネルギーを一気に削る。

「はっ!」

 セシリアのシールドエネルギーを削る中、箒が一夏の左から葵を突いてくる。一夏は零落白夜の使用を中止し、葵の地肌を背中を預ける形で回転し回避すると今度は箒に向け零落白夜を使用し、シールドエネルギーを削る。

 セシリアとは違い箒は一夏からの直接ダメージを受けているためシールドエネルギーのヘリが早く、あっという間に0になった。

「くっ!ここまでか・・・・」

 悔しがる箒に目もくれず、一夏はセシリアの方へと意識を移す。セシリアは一夏を囲う形ですでにビットを配置していた。

(これで!)

 セシリアはすかさずビットからレーザーを放った。一夏は最低限ダメージを受ける形で回避しながらセシリアに急接近する。ビットから放たれたレーザーが一夏のシールドエネルギーを削る。

「はぁああああああ!」

 一夏は零落白夜を突きながらセシリアに接近する。至近距離まで近づかれればスターライトmkⅢは意味を成さない。セシリアはまだ手にしていたインターセプターで一矢報いようとする。しかし、その思いは虚しくも叶うことはなかった。インターセプターはショートブレード。一夏の雪片弐型とはリーチの時点で勝敗が見えていた。セシリアのインターセプターが届く前に一夏の零落白夜がシールドエネルギーを削り、勝負が決した。

「僕の勝ちだね。」

「ああ、そうだな。」

「ええ・・・・・・・・・・・・・・・全くですわ。」

 二人は負けたとはいえ満足した顔であった。

 

「やっぱり箒ちゃんは苦手克服をしておかないとね。確か中距離の武器も搭載されてるよね?」

「ああ。アサルトライフルの焔火があるな。あと超遠距離射撃装備の撃鉄もある。」

「焔火はともかく撃鉄はちょっと後にしておこう。箒ちゃんはそこを重点敵視しないとね。セシリアちゃんはあの練習に加えてブレードの使い方をマスターしよう。」

「ええ。一流とはいかなくてもせめて二流ほどには使えたいですわ。」

「そこは箒ちゃんに剣道を教えてもらいながらにしよ。ISの訓練以外でもできる手段はあるから。」

 三人が今後の方針を反していると突如地面が揺れた。

「わ、わ、わ!」

「じ、地震か!」

「いいえ、今地震は日本で発生していませんわ!」

 セシリアはISのコアネットワークを活用し地震が発生しているかを確かめたが日本のどこにも発生はしていなかった。そして自身は一夏たちの足元を通り過ぎ、そして一夏たちより少し離れたところで止まったと思うと、地面からニンジンが付き出てきた。

「あれ~?」

 一夏は首を傾げながらそう言った。

 

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