本当にすみません……。
もちろん他の作品も投稿できませんでした。
テストももうすぐ終わるのでとりあえず最弱無敗、投下です!
それでは、どうぞ!
「はぁー……疲れたな」
ユウキが漏らした声が2人のいる室内に響き渡った。
「……僕もだよ」
それにルクスも続く。
午後の授業も問題なく終えた2人は、今は今日最後の雑用依頼を片付けているところだ。
大浴場の掃除。
それが最後にして最大の雑用依頼だった。普通ならば、浴場の掃除など少し疲れた体でもできるはずなのだが……ここは学園。もちろん多くの生徒が大浴場を使用する。それも女子ばかりが、だ。それにはやはりそれなりの広さが必要なわけで――。
「だぁー!もう、広すぎだろ!」
――ユウキがこうなるのも無理はないのだ。
「あ、あはは……」
ルクスの苦笑いが浴場に木霊する。すると、ユウキはため息を1つこぼし。
「そもそも何で俺まで雑用を?」
今浴場の掃除をしている最大の理由についての疑問を口にした。ルクスはそれにうーん、と人差し指を顎に当てながら、暫くうねり――そして、そうなった経緯を話し出した。
「えーと……それはね――」
*****
休み時間。誰もが授業の合間で休憩したい時間帯。そんな時間帯にルクスは見事に貴族のお嬢様方からの質問攻めにあっていた。ちなみにユウキは学園長に呼ばれていて、教室にはいない。
「ねえねえ、ルクスくんってもしかして――フィルフィちゃんの婚約者だったりするの?」
「え!?」
「あの、『雑用王子』ってどんなことしてるの?」
「あっ、えっとね……」
「そういえば何で
「何でって言われても……」
「もう1人のユウキくんとは、知り合い?」
「あっうん、ユウキも幼馴染で――」
(はぁー……何でこんなことに)
周りをクラスの女子に囲まれてしまっているルクスは表面上では苦笑いしながらも、内心ではため息を吐いていた。
もちろん最初は『何でいきなりっ!?』と驚いていたが、さすがに授業が終わる度に集まって来られれば、ルクスも慣れてしまう。
そして、昼休み。
ユウキがクルルシファーと一緒に席を外しているときのことだ。
「ルクスくんは、まだ雑用の仕事やってるんだよね?」
「えっと。うん、それが僕の義務だからね」
他のクラスからも野次馬が参戦してきて、かなりの大人数がこのクラスに集合している状況。
ルクスの席を囲む集団の最前列にいた、黒髪を肩くらいで揃えている活発そうな1人の女生徒が手を挙げた。
「じゃあ、私が頼んだらルクスくんがここで『お仕事』してくれるんだ。よーし、早速頼んじゃおうかな?」
「あーずるーい!私も頼みたかったのにー!」
それに他の女生徒も続く。
「ルクスさん、そんなことより私とお茶でもいかがですか?」
「はい!?」
1人、また1人と増えていき、結局ルクスの席の周りにいた女生徒のほとんどが手を挙げてしまった。
(ど、どうしよう……)
ルクスが冷や汗を流しながら、焦っていると――。
「ちょっとちょっと!皆そんなにいっぺんに言ったら、ルクっちが困っちゃうでしょ?」
――ルクスにとっての救世主が現れた。
頭の後ろで1つにまとめた茶髪をブンブンと揺らしながら、ルクスのところまで走ってきたその救世主は、ルクスがこの学園に来てから色々とお世話になったクラスメイト、ティルファー・リルミットだ。
学園で有名な3人組、『
どうやらティルファーはこのクラスの
(ところでルクっちって何?……いや、今はそんなことよりティルファーに感謝しないとね。正直手に負えなかったし――)
ルクスがホッと胸を撫で下ろした直後。
「はいはーい!ルクっちへの雑用依頼がある人は、紙に書いてこの箱に入れてねー。あっ、指定の日時も一緒にね?順番に片付けてもらうのに、効率的だからー」
何故か全ての依頼を受ける流れになっていた。
「えぇぇぇえ!?ちょっ、ティルファー!?」
(なんか悪い方向に事が進んでない!?)
「ん?ルクっちどうしたの?――あっ、大丈夫だよ!皆お金持ちだから、ルクっちの借金返済の助けになってくれるって!」
「いや、そうじゃなくて!!」
ルクスがティルファーに抗議の声を上げている間も、お嬢様方の手は止まらない。
ものすごい速度で、箱の中身が詰まっていき――。
「…………」
――用意された木箱からはみ出すほどの依頼書がそこに存在していた。見えているのは、はみ出ている一部だけだが、はみ出るということはその木箱の中身はすでにパンパンになっているということである。
するとそれを見たルクスはもちろん言葉を失う訳で――と、そこで気づいた。
(え?何で
――そう、そこには木箱が
(まさか――)
「ねえ、ティルファー。……このもう1つの箱は?」
ルクスは箱からはみ出した紙をどうにか中に入れようとしているティルファーにおそるおそる尋ねる。
「え?もちろん、ユッキーのだよ?」
――返ってきたのは、ルクスの予想どうりの答えだった。
「え!?ティルファー、ユウキの許可は――」
「まさかユウキくんにも依頼できるなんてねー!」
「そうですわね。ユウキさんにも依頼できるなんて思ってもみませんでしたわ」
「ユウキ様……ハアハア」
(何かもう止められない流れに――ってユウキ"様"!?最後の人はどうしたの!?)
そこで全ての元凶であるティルファーが自分の頭に手を当てながら、苦笑いで言う。
「いやーなんかさー、ルクっちの依頼書書いてる途中に周りの娘達が『もしかして、ユウキくんにも依頼できるのかな?』って言う声を上げてね?それに段々尾ひれがついていって、『ユウキくんにも雑用依頼ができる!』なんてことになっちゃったから――」
そこまで言うと、頭に当てていた手をグーにして、頭にコツッと当てながら。
「――収拾つけるの諦めてもう一個ユッキー用の、作っちゃった☆テヘッ」
――堂々と白状した。
「いやいやいやいや!『作っちゃった☆テヘッ』じゃないからね!?」
ティルファーはごめんごめんと謝りながらも、やはり暴走中のお嬢様達を止めようとはしない。
「ティルファー、今からでも遅くないよ!ユウキの分は取り消し――」
「じゃあ、ルクっちはあの暴走乙女達を止められるの?」
ティルファーの指差す方向。
そこには、楽しみだなーとワクワクしているお嬢様やニヤニヤとしながら何やら考えているお嬢様、それに頬を上気させてクネクネと身体をよじっている変態など、様々な娘達がいた。
(いや最後の人、絶対さっきハアハア言ってた人でしょ!)
心の中でツッコミを入れたルクスは暫くお嬢様達を見た後。
(でも、うん――)
まるで現実逃避するように、窓の外の青い空を見て――。
「――無理だね」
――諦めた。
この瞬間、ユウキの雑用型学園生活が幕を開けたのである。
*****
「――という訳なんだ」
「いや、という訳なんだじゃないからな!?何ルクスまで諦めちゃってんの!?」
「仕方なかったんだよ」
「そうか、ならしょうがないな――とはならないからな!」
「でも、決まっちゃったものは仕方ないでしょ?」
「開き直りやがった!?」
暫くして。
「でもさ、ルクスにとってここは相当いいところだよな?」
大浴場掃除も終盤に差し掛かってきた頃。
もう完全に雑用型学園生活を受け入れるしかなくなったユウキはとうとう諦め、別の話題に切り替えた。
「……うん、そうだね」
ルクスが新王国の恩赦で釈放されて5年。
雑用王子としての仕事は、ルクスに相当な負担をかけていた。数え切れないほどの依頼。それを1つ1つ確実にこなしていかなければいけないストレス。ほとんど自分の時間が作れない日常。
そして、極めつけは依頼先での仕打ち。もちろん、依頼先にはいい人もたくさんいた。――しかしやはり、ルクスは国の人々を苦しめ続けてきた旧帝国の王子。旧帝国を恨む人達からは、酷い悪態をつかれ、逆に旧帝国の信奉者には『新王国の犬』と、罵られたりもした。
直接的な暴力はなかったとしても、それはルクスに当たり前のように降りかかる。
(でも、ここは――)
「勉学に励みつつ借金返済をできて、さらに身の安全も保証されてる。そして何より――日常的に
そんな理想的な生活ができるというのに、そう言ったルクスの表情は優れない。
「何か、問題が?」
ユウキの質問にルクスは少し間をおいて。
「――うん。僕なんかがこんな良い所に居てもいいのかなって思っちゃって」
そう、言った。
ルクスはそれっきりユウキから視線を逸らしたまま掃除を続け始めた。――その優れない表情のままで。
すると、唐突に――。
ゴンッ
――と大浴場に鈍い音が響いた。
「痛っっっ!?!?」
その鈍い音のすぐ後に、ルクスは頭を押さえながら、濡れた床に尻をつけないようにしゃがみ込んだ。――どうやら、大浴場に響いた鈍い音の発生源はルクスの頭のようだ。
「ユウキ!何すんの!?」
そして、ルクスの頭から音を響かせたのは――掃除用のデッキブラシで
「お前はバカか」
「人の頭打った直後にバカ!?」
ルクスが必死に抗議の声を上げるが、ユウキは真剣な表情を崩さない。
「ああ、バカだ。お前は賢いけどバカだね」
「バカバカって……」
ルクスはバカを連呼されて、ズーンと沈んでしまう。
「――だってさ。こんな簡単なこともわかってないだろ?」
「何、簡単なことって……?」
ルクスは少し涙目になりながら、不思議そうにユウキに問い返す。
するとユウキは少し間をおいて、そして。
「ここに居てもいいのかっていうのが重要なんじゃなくて――
――お前がここに
その言葉にルクスはハッとする。――が、また暗い表情に戻ってしまった。
「でもさ、僕は人々を苦しめ続けた旧帝国の王子なんだよ……?」
「だから?」
ルクスの問いかけにユウキは即答で返す。
「だから?って……」
「お前は5年もの間、1人で苦しみ続けてきたんだぞ?――そんなお前が少しでも幸せになれる機会なんだ。それを逃してもいいのか?」
ルクスは迷っているのか、少し俯いた。そして、ゆっくりと顔を上げ。
「……でもさ」
(まだ建前を言うつもりか……)
「ああもう、じれったいな!お前はどうしたいんだよ!ここに居たいのか、居たくないのか!」
ユウキはまだ下を向いているルクスの両肩を掴み、問いただす。
(これでもウジウジするなら、次は一発ぶん殴ってやる)
「……僕は……僕は――」
そして、ルクスは顔をバッと上げた。
「――僕は、ここに居たいよ!ユウキやアイリやリーシャ様、それに他のみんなのいるここに居たい!」
「……よく言ったな」
真剣な表情でそう言ったルクスの頭をユウキは笑顔でゆっくりと撫でた。
「ちょっ、ユウキ?」
「ああ、悪い悪い。つい、な」
恥ずかしさからか、ほんのりと頬を赤く染めたルクスからユウキはそっと手を離した。
「……ユウキってさ、何かお兄さんみたいだよね」
「そうか?」
「そうだよ」
即答。
これにはユウキも頭を掻いて、そうかな?とうねっていた。
「でも、みんなは許してくれるかな?僕がここにいること」
ルクスは先ほどとは違う理由で、少し不安そうな顔をした。それにユウキは、ルクスの肩をポンポンと叩き。
「大丈夫だって」
ユウキがそう言った直後、コンコンと軽いノックの音がして、いきなり脱衣所への扉が開かれた。
「わわっ!?ごめん!もうお風呂は終わってて――」
(『掃除中』のかけ札、かけ忘れたっけ!?)
ルクスが焦りまくる中、隣のユウキは黙って扉の方を見ていた。
そして入ってきたのは――。
「期待に添えなくてごめんなさい。兄さん、見たかったですか?私たちの裸」
「Yes.仕方ありませんよ。年頃の男性は普段から何かと大変なようですし」
――
「よう、アイリ。昨日ぶり」
「ユウキ兄さん、昨日ぶりです」
ルクスが慌てて弁解しているその横で、アイリとユウキは普通に挨拶を交わしていた。
「って、何でユウキは平然としてるの!?」
「いやだって、かけ札かけたの俺だし」
ルクスは「な、なるほど」と言って納得してしまった。
「それにしてもルクス。お前、実の妹の裸を期待してたんだな」
ユウキはニヤニヤと悪戯っ子のような笑みを浮かべながら、ルクスを見た。
「Yes.ですが、肉親に対して欲情するのはいかがなものかと思いますよ」
それにノクトも乗っかる。
「まあ、いいですけど。唯一の家族同士、今度一緒にお風呂でも入りましょうか?兄さん」
さらにアイリまで。
この瞬間、ルクスの味方は誰もいなくなった。
「3人揃って何!?何でそんな息ぴったりなの!?ユウキとアイリならわかるけど、ノクトさんはユウキと初対面だよね!?」
「おう」「Yes.」
「返事も同時!?」
「まあまあルクス、そんなに興奮すんなって」
「No.ルクスさんは唯一の肉親に欲情してしまっているので、それは無理かと」
「それもそうか。ごめんな、ルクス。そこまで気が回らなかった」
ユウキとノクトは互いに視線を交わらせ、2人揃ってグッとサムズアップしている。
「余計な気、回さなくていいから!」
「ノクトさん、だっけ?俺はユウキ・アストレア。よろしく」
「Yes.私はノクト・リーフレットと申します。アイリの従者をしています。よろしくお願いしますね」
2人は握手を交わす。
ノクトのジト目気味な目をユウキは凝視して、またしてもニヤついた。
「君とは良い友達になれそうだ、リーフレットさん」
「No.ノクトでいいですよ、ユウキさん。ですが、それには私も同意見です」
「無視しないでよ!」
「兄さん、うるさいですよ。少し静かにしてください」
「あっうん」
どうやらルクスはアイリには頭が上がらないらしい。
そこでユウキが1つ咳払い。
「ルクス弄りはまた今度っと。――それで、アイリ達は何の用できたんだ?」
真横から「延期しただけ!?」と聞こえるが今は無視。
「ちょっとしたお仕事を、と思いまして」
「Yes.ここの掃除が終わったら、女子寮の大広間に来てください」
「寄り道は禁止ですからね。それじゃあ、私たちはこれで」
そう言うと、アイリは踵を返す。
「Yes.楽しみにしていてください。では」
綺麗なお辞儀をしてそれにノクトも続いた。
(それにしても、『楽しみに』ってどういう意味だ?)
ユウキは2人の背中を見ながら考えるが、全く分からず、とにかく掃除を終わらせることにした。
「ユウキ、『楽しみに』ってどういうことかな?」
「さあ。まあとりあえず、掃除終わらせよう」
「うん」
*****
「はぁー、終わった」
女子寮に入ったユウキとルクスは、大広間に向かって歩みを進めていた。
「疲れたね。それにしても、何があるんだろう?」
「さあなー。ノクトの言ってたことも気になるし」
そこまで話したところで、大広間への扉が見えてきた。
そして扉の前には、アイリの姿。
「兄さん、ユウキ兄さん。身だしなみは整っているようですね。見直しました」
「ぼ、僕だってそれくらいはするよ!」
「まあ、俺も元だけど皇族だからなー」
「では、こちらへ。皆さんがお待ちですよ」
アイリはルクスの左腕とユウキの右腕を引っ張る。そのまま渡り廊下を挟んで、食堂へ。
もうすでに閉まっているはずの食堂。しかし、その扉からはまだ光が漏れていた。
ユウキとルクスは互いの顔を見て、首を傾げる。それを見たアイリがくすっと笑い、扉に手を掛けた。
連れてこられた2人は顔を上げると、中からの光に目を細める。
そして――。
『編入――――おめでとう』
――驚いている2人を少女達の祝福の声が優しく包み込んだ。
第三話でした!どうだったでしょうか?
今回はユウキとルクスの話が中心でした。
オリジナル多め。こんな話を増やしていきたいですね……。
しかしそのせいで、またしてもフィルフィとは絡ませられなかったという……。
まあ次は全員集合してますから、大丈夫だと思います!
アニメの方は第六話。ルノちゃん回でしたねw
セリス先輩も初登場!
でも、一番衝撃的だったのは、やっぱりEDですかねw
さて、この作品のオリ主は女装させようかさせまいか……悩みどころです!
読んでいただきありがとうございました!
感想、評価待ってます!
それでは、また次回。