最弱無敗の神装機竜『藍き英雄』   作:ichizyo

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テストも終わり、やっと時間ができたので更新です!

遅くなってすみません!
他の作品も1つずつ更新していこうと思います!できれば、そちらもよろしくお願いします!

では、本編どうぞ!


第四話 編入祝い

『編入――――おめでとう』

 

「「え……?」」

 

 ユウキとルクスは突然の事に驚いて固まってしまった。

 正面には、大きなテーブル。

 その上にはたくさんの料理が載っていた。

 ソースのかかったミートパイや色々な具材が挟まれているサンドイッチ。その他にもパスタやスープなど様々。どれも煌びやかに輝いていて、一目で美味しいものだとわかるほどだ。

 

 固まっている2人。

 先に復活したのはユウキだった。

 

「もしかして、俺達のために?」

 

「そう、これは君達の編入祝いだよ」

 

 ユウキの質問に答えたのは、集団の中から一歩前に出てきた蒼髪の凛々しい少女。

 

「そちらとは、初対面だったかな?――私はシャリス・バルトシフト。この王立士官学園(アカデミー)の三年生で、『騎士団(シヴァレス)』に所属している。これからよろしく頼むよ、ユウキ君」

 

 シャリスはそう言って手を差し出す。

 

「はい。こちらこそよろしくお願いします、シャリス先輩」

 

 ユウキもそれに応え、握手をした。

 そこまでいったところで、やっとルクスが復活。

 

「あ、ありがとうございます」

 

 ルクスのたどたどしいお礼の言葉を聞きながら、ユウキは食堂の中にいる人達を見る。

 リーズシャルテ、クルルシファー、フィルフィ。

 シャリス、ティルファー、ノクトの三和音(トライアド)

 さらには、クラスの生徒数名にライグリィ教官までもが座っていた。

 もちろん、この学園の長であるレリィ学園長の姿もある。

 

 その光景は、大浴場掃除の時のルクスの不安を拭い去るには十分で。

 

 そしてユウキの心にあった、少しの不安を取り除くにも十分で。

 

 ユウキは目頭が熱くなるのを感じ、しかしそれを抑えながら、その表情を緩めた。

 そして、隣でボーッとしているルクスの肩にそっと手を乗せ。

 

「――な?大丈夫だっただろ?」

 

 と、笑みを浮かべながら声をかけた。

 

 それにルクスは一度ユウキを見た後、食堂にいるみんなを見回し、もう一度ユウキを見て――。

 

「――うん」

 

 ――嬉しそうに頷いた。

 

「まあ、私達が寄り合って企画した、簡易的なものだからね。元王子のルクス君をもてなすには少し粗末かもしれないが、我慢してくれたまえ」

 

 ルクスとユウキのやり取りが終わったと思ったからか、シャリスが2人そう言った。

 

「うんうん。料理はみんな手作りだけど、私が作ったヤツの味は期待しないでね!すっごいヘタだから!」

 

 次に来たのはティルファーだ。満面の笑みを浮かべながら、料理の報告。

 

(そう言えば、俺が雑用するきっかけになったのって――)

 

「えっ?ちょっと、ユッキー?どうかしたの?」

 

 ユウキは先ほどのルクスとの会話を思い出し、無言でティルファーの目の前へ。

 

「……ティルファー。俺が雑用することになったのって、誰のせいだっけ?」

 

「……え?」

 

 ガシィッ

 

 ユウキがティルファーの肩に優しく(・・・)手を置く。そう、あくまで優しく、だ。

 たとえ、今ティルファーが怯えた表情でいつ逃げ出そうか思案していたとしても、ユウキは優しく手を置いているつもりなのだ。

 

「だ、誰だったかなぁ〜?」

 

「うん、とりあえず――一旦外に出ようか」

 

 ティルファーにとっての死刑宣告。

 制服の襟を掴み、廊下へと続く扉に向かって歩いていく。ティルファーは「ちょっ、待っ……!」と言いながら、途中までもがいていたが、扉から出る頃には全身をダラリとさせ、諦めていた。

 

 食堂にいた全員の頭の中には、ドナドナが流れていただろう。しかし、助ける者はいない。なぜなら――全てティルファーの自業自得だから。

 

 

 

 

 

 アアァァァァ――。

 

 

 

 

 

 扉の外から絶叫が聞こえてくる。

 

『シーン……』とその場が静寂に包まれた。

 

 

 

 

 少しすると。

 

「あれ?待っててくれたのか?ありがとな」

 

 何事もなかったかのようにユウキが食堂に戻ってくる。

 

「てぃ、ティルファーは?」

 

 ルクスが聞く。

 

「ん?ああ、今連れてくるよ」

 

 そう言うと、ユウキはもう一度食堂から出て行った。今度はすぐに戻ってきたが。

 ユウキの隣には、ティルファー。

 

 しかしその風貌は、先ほどまでの明るい性格とは程遠かった。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 ただそれだけを呟いて、佇んでいる。

 

 そこにユウキのデコピンが炸裂。

 パシッ!と痛そうな音が食堂に響き渡る。

 

「痛ぁ!?――ハッ!私は何を……」

 

 再び静寂。

 

 変わったことと言えば、ティルファーが元に戻ったことと怖いくらいに笑顔を浮かべたユウキがいることくらい。

 

「い、Yes.いえ、全くYesではありませんが――とりあえず始めませんか?」

 

「そ、そうだな」

 

 ノクトの声で、リーズシャルテが全員にグラスを持つよう投げかける。

 どうやら、先程の出来事はなかったことにされるらしい。

 若干一名、「え!?どういうこと!?」と言いながら、おどおどしてる女生徒がいるが――紛れもなくティルファーである。

 

 ユウキはそんなティルファーなどお構いなしにルクスの元に行き、グラスをもらう。

 

「えっと、ユウキ。ティルファーに何したの?」

 

「聞きたいのか?」

 

「い、いややっぱりいいよ」

 

 2人がそんな会話をしていると、シャリスが前に出てくる。

 

「では、気を取り直して。みんな一言ずつ言ってくれ。もちろん、ユウキ君とルクス君も、ね」

 

「私はさっき言ったのでね。では、こちら側から」

 

 シャリスが指示し、クラスの女生徒数名から「よろしくねー!」や「雑用頑張ってくださいね」などの声があがった。

 

「2人とも男だからといって、待遇は変わらんからな。しっかり授業を受けるように」

 

 ライグリィ教官はキリッとした目つきでそう言った後、フッと微笑む。

 

「「はい!」」

 

 ライグリィ教官の後は、レリィ学園長。

 

「2人とも、期待してるわ。ルクス君、妹とまた仲良くしてあげて?ユウキ君は――」

 

(あっ嫌な予感……)

 

「――同じ部屋なんだし、よ・ろ・し・く・ね?」

 

 レリィは悪戯っ子のような笑みを浮かべて、クスクスと笑いながらそう言った。

 どうやら、ユウキの予感は当たってしまったようだ。

 

『えぇぇぇぇ!?』

 

 周りが驚愕の声を上げる中。

 

(こ、この人は……!)

 

 約1名、何とも言えない表情をしている男生徒。もちろん、ユウキだ。

 

「つ、次行こう、次!」

 

 ユウキが必死に回避する中、レリィは呑気に「もう、つれないわねー」と一言。少しいじけたように呟かれた一言だが、それでもユウキの反応に、ある程度満足したのか、ニコニコとした笑みが浮かべていた。

 

 それを見たユウキはもちろん、深いため息を1つこぼしていたが……。

 

「Yes.次は私ですね。ユウキさん、ルクスさん。編入おめでとうございます。校内で見かけたら、気軽に話しかけてくださいね」

 

 無表情で淡々と言うノクトにルクスは苦笑いを浮かべ――。

 

「ですが、ルクスさんはある程度離れたところからお願いします。適切な距離をおかないと、息だけでスカートをめくられるという噂がありましたので」

 

 ――表情を引きつらせた。

 

「えっ!?ちょっ……!」

 

 ノクトはそんなルクスを尻目にユウキにアイコンタクト。それにユウキはニヤリと笑って。

 

「ルクス……5年の間にそんなスキルを磨いたのか?……なるほど。だから、天井突き破り系ノゾキ騒ぎか。もしかして『スカートめくれるから、バスタオルでもいけるんじゃ?』とか考えたのか?――――お前、変態だな」

 

「Yes.そんな思考に至るなんて、紛れもなく変態ですね。アイリのお兄さんがこんな変態だったなんて……残念です」

 

「ひどいっ!?――い、いやだから待ってって!確かにノゾキ騒ぎはあったけど、ユウキが言ったことなんて考えたこともないよ!」

 

 蔑むような表情をルクスに向けるユウキとノクト。もちろん、演技である。

 ルクスはそれに本気にしてしまい、必死の形相で弁解。

 

 しかし、その程度でルクス弄りを諦める2人ではなかった。

 

「え?じゃあ、まさか――それ以上にひどいことを?」

 

「――一体何が目的ですか」

 

「もう、2人して何!?そんなに僕を変態にしたいの!?」

 

 2人の猛攻。

 ルクスは興奮したように、大声を上げた。

 しかしそうなって仕舞えば、2人の思惑通りだ。

 

「どうした?また興奮して」

 

「No.ユウキさん、欲情ですよ。アイリ、私の後ろにいてください。いくらお兄さんでも、欲情したら男は狼になるらしいですから」

 

「ああもう!!」

 

 さっきまで蔑んだような表情だったのに、今は何事もなかったかのように振る舞うユウキ。

 同じく蔑んだような表情だったのに、今はアイリの前に守るように立ち、無表情でルクスを見つめるノクト。

 

 周りがそんな2人に驚く中、その渦中にいる2人はそれぞれ表情を崩すと、ゆっくり近づいて力強く握手を交わした。

 

「これからはアイコンタクトだな」

 

「Yes.そうですね。伝わってよかったです」

 

 2人がヒソヒソとそんな会話をしていると。

 

「にぃに。ルーちゃんをいじめちゃ――めっ、だよ」

 

 ピンク髪の少女が、少し眉を寄せてそう言った。

 

「フィルフィ?」

 

「……」

 

 ピンク髪の少女、フィルフィはそんなユウキの言葉にプイッとそっぽを向いた。

 そんなフィルフィを見て、ユウキは隣にいるルクスに耳打ち。

 

「え?もしかして、俺も昔の呼び名で呼ぶ流れ?」

 

「多分そうだよ。僕の時もそうだったし……」

 

 頭の後ろに手を持っていき、苦笑いを浮かべるルクス。それを見たユウキは少し考えると、右手で頭をワシャワシャと掻いてフィルフィの方を向き、そして。

 

「……フィル、久しぶり」

 

 ――観念して、そう言った。

 

「うん。にぃに、久しぶり」

 

 若干の恥ずかしさを感じながらも、そのやり取りを懐かしく感じたのか、ユウキが少し頬を緩めると、フィルフィは眉を寄せるのをやめ、同じように表情を緩めた。――まあ、もともと無表情ということもあって、表情を緩めたと言っても、ほんの少しだが。

 

「そ、それよりフィル。その『にぃに』って言うのやめないか?前はそんな呼び方じゃなかっただろ?」

 

「お姉ちゃんが、そう呼べって」

 

 ユウキはそれを聞くと、首をバッと動かしレリィの方を向く。そんな『やっぱりあんたのせいか……!』というような視線を受けたレリィは、ビクッと肩を震わせた後にそっぽを向いて口笛を吹いている。

 

(全くあの人は……!)

 

「フィル。その呼び方はやめてくれ。前の呼び方ならいいからさ」

 

 フィルフィは少し間を空けて。

 

「頭、撫でて」

 

 小さな声で呟いた。

 

「はい?」

 

「頭、撫でてくれたら、いいよ?」

 

 ユウキはそう言われて迷う。果たして公衆の面前で、頭を撫でていいものかと。しかし、よくよく考えてみると……。

 

(あれ?確か昨日、これより断然多い人数の中で――アイリの頭、撫でたよな?)

 

 そう考えた後のユウキの行動は早かった。余程さっきの呼ばれ方が嫌だったのだろう。――本当は少しときめきに似たものを感じたらしいのだが、これは秘密にしたいようだ。

 

 ユウキは手をそっとフィルフィの頭に乗せ、ゆっくりと撫で始めた。頭の両サイドでまとめてあるツインテールの間をゆっくりと行き来させる。

 その間、フィルフィはというと若干目を細めて微笑んでいた。

 

(い、癒される……。相変わらずだなー)

 

 昔もよく、フィルフィの頭を撫でていたユウキ。その度に終わるタイミングがわからず、ずっと撫で続けていたようだ。

 

 どれくらいそうしていただろう。

 

 不機嫌そうなアイリの咳払いで、ようやく手が止まる。フィルフィは止まった手に気づいたのか、若干上目遣いでユウキを見た。

 相変わらずの無表情。

 しかしその口元は、少しへの字になっている。ユウキはそんなフィルフィに申し訳なく思いながらも、手を離した。

 

 そして。

 

「ありがと、ユーくん」

 

 フィルフィは、小さくお礼を言う。――その顔に少しの微笑みを乗せて。

 

 その光景を見たルクスは懐く思い、笑みを浮かべていた。まるで、遊んでいたあの頃に戻ったみたいで、嬉しかったのだ。

 ノクトの後ろにいるアイリも不機嫌そうではあるが、少し口元が緩んでいる。

 レリィは物凄く優しそうな表情だ。それを見てユウキはなんとも言えなくなり、苦笑い。

 

「もう……本当にユウキ兄さんは、フィルフィさんに甘いですね。昔も頭を撫で始めたら、一生撫で続けるんじゃないかと思うくらいでしたし」

 

 ノクトの後ろから出てきて、唇を尖らせながらそう言うのは、アイリだ。どうやら次は彼女の番らしい。

 

「兄さん達、これからよろしくお願いしますね?くれぐれも問題だけは起こさないように」

 

「わ、わかってるよ。アイリ」

 

「ルクスは初っ端から問題起こしてたけどな」

 

「それは言わない約束……」などと言っているルクスは無視し、次の人物に視線を送る。

 水色の髪を揺らしながら、一歩前に出るのは――クルルシファーだ。

 

「あなた達には期待しているわ。――色々と、ね」

 

 短い一言。

 しかしそれには、深い意味が込められているようにも感じられた。

 そしてクルルシファーは最後にユウキをチラリと見ると――フフッと微笑む。

 

(はぁー。厄介な人に目、つけられたな……)

 

「さ、最後は私だな!」

 

 最後はリーズシャルテ。

 紅いドレスに身を包み、優雅に前に出てくる。ユウキの隣にいるルクスは、目を奪われ固まっていた。

 しかし彼女は堂々と出てきたと思ったら、ルクスとユウキの前で止まり、少し頬を赤に染めて、モジモジしだした。

 

 そんな締まらない彼女の姿に2人も苦笑いだ。

 

「ま、まあなんだ――私はこういうことはあまり好きじゃなくてな?……だから正直、どうやったらお前達が喜んでくれるのか、私にはわからん。でも一応は、やっておかないとと思ってな……。その――お疲れ……いや、此度は大儀であったな。ルクス・アーカディアとユウキ・アストレアよ」

 

 目線を逸らされて放たれたその言葉は、若干の恥ずかしさとともに男子2人に運ばれた。

 呟くような言葉だったが、2人は未だにモジモジしているリーズシャルテを見て、その後互いの顔を見て、そして――笑顔を浮かべた。

 

「ありがとう、リーシャ」

 

 ユウキが言った感謝の言葉でリーズシャルテはバッと顔を上げる。そして――。

 

「ありがとうございます、リーシャ様。嬉しいです」

 

 ――ルクスの感謝で、顔を茹で蛸のように真っ赤に染めた。

 

 ん?これはもしかして……?

 

 それを見て、何かを察したユウキはニヤリと笑い、「あっでも、フィルフィもか……」などと呟いていた。

 

「う、うむ。……わ、私も一応、一品だけ作ってみたんでな。えっと……」

 

 顔を真っ赤にしながら、慌て始めるリーズシャルテを尻目に、全員が終わったのを確認したシャリスはこほんと1つ咳払いをし。

 

「ま、まあ少し長くなってしまったが、そろそろ乾杯といこうか」

 

 その一言に皆、手に持っていたグラスを上に掲げ、そして。

 

『乾杯!』

 

 賑やかな夜が、更けていった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、ノクト。なんで最後のリーシャの言葉の時、意訳しなかったんだ?」

 

「?……どういうことですか?」

 

「ノクトなら『あなた達にお礼とお祝いをしたくて企画しました。少しでも楽しんでくれれば嬉しいです』みたいに意訳して、リーシャをからかう思ったのに」

 

「ハッ!――い、Yes.く、空気を読んだのです。私は空気の読める女なので……」

 

「忘れてたな?」

 

「……の、No.ですから私は空気の読める女なので――」

 

「忘れてたな?」

 

「……」

 

「……」

 

「……Yes.」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第四話でした!どうだったでしょうか?

今回は、編入祝いだけでした。
なかなか進まない……!
でもまあ、日常回など間に挟みながらゆっくり進めますので、ご理解のほどをよろしくお願いします。
本当すみません。文才がないばっかりに……。

あともう1つ。まだ夜架については何も決まってません。
ご意見を頂いたりして、それを参考にしたりしていくつもりです。すでに、ご意見を下さった方本当にありがとうございます!

次は、『騎士団』についての話まで行きたいと思ってます。長くなったら、その次になるかもしれませんが……。

感想、評価待ってます!
それでは、また次回

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