深海棲艦。
2年前に突如として現れた正体不明の物体。あるいは、生命体。
海上に突如として現れた深海棲艦は瞬く間に各国の領海を侵犯、勢力を広げた。
もちろん、そんなことをされて黙っている国は一つもなかった。保有する海上戦力を投入し、一斉にこれを駆逐しようとしたのだ。
が。
いくら高機能な兵器でも足止めは可能だったとしても撃破には及ばなかった。
その結果が、今だ。
俺が今いる“ニッポン”という名の島国は、完全なる海上封鎖を敷かれ、敵の脅威は目の前に迫っていた。
見るからに重いドアは存在そのものが自分を拒んでいるように見えた。その先には間違いなく、自分には場違いな部屋があり、人がいる。
現在、相当な数の若者が国防のために海上安全隊という組織に動員されている。もちろん、俺もその一人だ。
だから、いまここに、海上安全隊の本部にいるのはそれほど場違いというわけでもなさそうに見える。
ところが俺はまだ試験を受けたばかりの新人も新人。それどころか結果すら知らされていないありさまである。
ほら、場違い感が出て来ただろう?
しかしそんなことを言っていても召集を受けた事実は変わらない。
俺は就職用のスーツの襟をもう一度確認し、ネクタイをしめなおして思いを振り切るようにドアをノックした。
「失礼します!今日召集を受けました
「ああ、きたかね、中に入りなさい。」
セリフも途中なところに頭の眩しい、いかにも高官、といった格好の男が出て来て俺を招き入れる。
「し、失礼します。」
部屋の中は予想どうりに俺に疎外感をプレゼントしてくれるものだった。
部屋にあっけになっているうちに男は高そうなソファーに座り、一息ついたところで俺にも座るように促した。
「さて、君はなぜここに呼ばれたかわかるかい?」
「さ、さぁ・・・・見当もついておりません。」
なんかやらかしたろうか。もしや懲罰なんだろうか。だとするならば家族に手紙でも書くべきだったか。
「はは、そんな不安そうな顔をするな。君は選ばれたのだよ。」
「えら、ばれた?」
「そう、新たに新設される特殊部隊にね。君も聞いたことくらいあるだろう?深海棲艦に対抗する新たな兵器の話を。」
確かにそんな噂があるにはあった。しかしあくまでそれは眉唾物の言ってしまえば都市伝説だったはずだ。
目撃例もあったらしいがなにしろ、人型であって、しかも水上を走って敵を殲滅する。というのだ。信じられるはずがなかった。
ニマッ、と自慢そうに笑う男は後ろに控えていた女の子に手招きをした。
そういえばよく見てみるとその少女は俺以上に場違いな格好をしていた。
袴。そう、彼女は袴姿だった。まるで今から弓道でもやります、とでも言わんばかりの姿だった。
「さて、紹介しよう。彼女が、いや、これが新たな兵器の――」
その少女は男の横に立ち、綺麗な敬礼をして堂々とこう言った。
「艦むすの赤城です。提督。これから宜しくお願い致します。」と。
初投稿です。
「おいこら!初期艦が出てねーじゃねーか!」という方も!ぜひ!温かい目で見て頂けると助かります