「えぇ、と?」
今、この美人さんは何と言ったんだったか。確かかんむすだとかなんとか。
それに、兵器とも聞こえた気がする。
そんなおれに、少し意外そうに男はなにをいっているんだ?と呆れたように言った。
「さっきも言ったが、君は噂を知らんのかね?あの、我らの大勝利の噂を。」
「と、いいますと、まさかあの人が深海棲艦相手に勝ったという話ですか?」
なんだ聞いてるじゃないか、と勢いよく立ちあがって明らかに自慢そうに高笑いをした。
「そうだ、そのとおり。これを発見し、実用したのは何を隠そうワシなのだ。」
びしびしと、隣に立っていた少女の肩を叩いている様はおおかた、ひと昔前の飲み会の面倒くさい上司だった。
「だが、私の方もいろいろ大変でね、君を呼んだのだよ。」
「一体何で僕なのでしょうか?新兵にもなっていませんし、勉強はしたつもりではありますが、正直いきなり高官クラスの職につけるとは思えないのですが。」
「私たちがお願いしたのです、この方がいい、と。」
今まで沈黙を守っていた少女、赤城さんは少し控えめに、ニコリと笑って僕に告白をしてきた。
いや、ちがった。それは僕の願望なんだった。
いや、だとするならば、
「なぜあなたなのか、と言われると少々困りますが。ええ、でも、きっと私たちを導いてくれると思ったのです。」
あっさりと僕の思考を呼まれた・・・・・。
だがいっそう、この目の前の人が兵器とは思えなくなってしまった気がする。何もかもが嘘っぽくて、いっそドッキリでしたと言う方が今の僕にはぴったりだった。
「さて、何はともあれ手続きは終わったのだ。こいつと共に敵を撃滅してくれ、と言いたいところだがこれにはまだ出撃準備が出来ていないのでな。代わりの船を君の配属先に送っておく。私の出世もかかっている。しっかりと頑張ってくれたまえよ?」
「提督、私もできるだけすぐ、合流いたします。それまではどうかお気をつけて。」
有り体に言ってしまえば、まあこれはスピード出世というか、特急出世とでも言うべきなのだろうけど。
実家の両親なんかに手紙くらい書いてもいいくらいの物なんだろうけど、ともかくこの時の僕はなにがなんやらわからないまま、派遣先の住所を聞いて、荷物をまとめて行くくらいしかできなかった。
まぁ、むしろあんな説明でうなずいてしまう僕も僕でいろいろと可笑しくて笑ってしまわれる様なものなんだろうけれど。
要するに、これが僕の提督業の始まりという訳らしかった。