とある開発者とテスパイの受難   作:桐畑 正美

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すみません。タイトル詐欺回です。

ご意見等がありましたら、お手柔らかにこちらのガイドラインに沿って感想等にお願いします。
活動報告等の投稿についてはまだ投稿方法が良くわからないので今しばらくお待ち下さいませ。(;つД`)


激突、キシリアとミリアリア! 二大怪獣大対決

「共和国軍のキシリア・ザビです。連邦軍のミリアリア様ですね?」

茶色系の髪をポニーテールで纏めた共和国軍制服を着装したキシリアが問うて、手振りで椅子を勧める。

ネット等で顔は知っていたものの実際に対面すると威圧感が半端ない。(´д`|||)

「はい。私は連邦軍ルナ2所属開発室エンジニアのミリアリア。こちらは領事館のシルビア書記官です。」

一礼してソファーに着席する。

一礼する直前に背中でシルビアに『ボスケテ(。・_・。)』とハンドサインを送る。

『バカ言ってんじゃないわよ!お局様に負けんじゃないでよね!』と返信する。

 

キシリアは不審な顔をするもののとりあえず脇に控えている事務員にお茶の用意をする様に合図する。

ミリアリアはサッと部屋中を一瞥する。

部屋は会議室然とした、ミリアリアには馴染みのある部屋ではなく、取締役クラスの商談に使われるための部屋ぽい風景であった。

内壁材料は表面は木材を模したそこそこ高級素材。インテリアも自社の商品のサンプル模型や、白磁器等ドラマのワンシーンや、経済界のインタビュー画像に出てきそうな部屋である。

 

「さて、ミリアリアさん?お互いにお忙しいとは思いますので不躾ながら単刀直入に伺います。

ルナツーからこちら迄遠路遥々来たご用向きはなんでしょうか?」

鋭い目付きでキシリアが問う。

そこで事務員がカートにお茶一式を載せて入室する。

事務員がお茶のサーブを終えて退室すると、ミリアリアは白磁のカップに入っている紅茶を一口、口にしてから

「キシリア様は軍務に精通しているとの噂はお伺いしていますが、諜報にも秀でている様ですね。(´д`|||)」

ミリアリアははぐらかす様に問いには応えない。

 

キシリアは怪訝な顔をするものの口を挟まず先を促す。

「職務上色々な軍需産業のお偉方や、マスコミ、政界の方々にお会いしますが、大半の方々はコーヒーをお出しするのですよね。

私はあまりコーヒーは好きではなく、低品質な物や缶コーヒーは胃にくるためほとんど飲まないのです。

こちらは多分エチオピアの一番摘みの最高級紅茶ですね?

カップも東インド会社の白磁器のようですし、良いお茶です。」

 

シルビアはギョってするが、ミリアリアはその様な知識はなかったし、内心威圧感にビビってとりあえず話題を反らしてどうしようとオタオタしてたのである。

 

「挨拶は無しでと申したはずだが。敢えて言うなら茶葉は外れ。カップについてはその通り。部下にその様な趣味を持つものがいてね、そこからの貰い物だ。

気になったのならそちらにも差し上げる様手配する。

さて、私の質問に応えて頂こうか。」

キシリアは威圧感を強めながら再度問う。

 

「現在のサイド3と連邦はご承知の通り悪化しています。

この際悪化の原因はお互いに主義主張があろうかと思いますが、ここで重要なのは現在、サイド3は独立を主張し、その実現を画策しているとの情報がありますが、この時点においてサイド3は未だ連邦の一地方サイドのコロニー群政体であるということです。

かなりの地方自治の権限を有していても連邦憲章他、諸法令の遵守義務があります。

連邦は旧地球上諸国家や各サイドコロニー群の政体の上部政治国家の体裁をとなっていますが、現実的にはそれらの諸国家、コロニー群の利害調整役でしかありません。

例外として、過去の連邦統合戦争の反省から軍備に関してのみ諸国家、コロニー群を越えて統制、査察、指揮、実力行使の動員、実施について超法規的に権限行使が認められています。

と、言ってもシリビアンコントロールの範囲内ですけどね。

今回、私がジオニックについて関心がありますのは、モビルスーツの兵器利用の有用性の確認と、ジオン共和国が正式採用するに辺り地域の軍事バランスの影響と、連邦憲章の定める、自衛権の範囲内の軍事整備にあたるかどうかの個人的興味に基づいた確認作業ですね。」

 

キシリアは口の前で両手を組みつつ、ミリアリアの発言を吟味する。

 

「今、貴殿は個人的興味と言ったな?では連邦軍軍令部の指示、命令ではなく、ましてや合理的嫌疑や令状すらなく一企業に秘密を開示しろというのかね?」

 

「確かにキシリア殿の言う通り、嫌疑や令状なく開示しろということになりますね。

ただし、こちらも既に開示に見合う秘密文書を提示、提供してますよね?

なんなら秘密文書不正アクセス、隠匿の現行犯で緊急捜査、捜索に切り替えします?」

 

「あの装甲材料データかね?あれの真偽は今のところ不明な上にそれを持ち出すなら君も同罪だと考えられるがね?」

キシリアは内心、ミリアリアが何を掴みに来たのか未だ図りかねてじっと目を見つめる。

 

実のところ、兄のギレンからは正式な連邦の介入ではなく、適当にあしらえと指示を受けている。

また、モビルスーツを開示したところで所属部隊からみて窓際の開発室長に然したる影響力は無いとキシリアも考えている。

ましてや数年以内に連邦に反旗を翻す予定で、その準備は前倒しで進みすぎている状態であった。

技術的に見て現時点で全て開示したところで、現物がなければいくら国力と技術がある連邦でも一朝一夕にモビルスーツを試作、量産は出来ないとジオンのエンジニアの一致した見解を事前にキシリアは報告を受けていた。

 

モビルスーツを例え量産できてもそれを扱うパイロットや整備士、母艦となる艦船。どれが欠けても軍としての行動はかなりのリスクと損失を覚悟しなくてはならない。

現時点で連邦軍はその全てが全く無いのである。

だからこそキシリアは目の前のミリアリアの意図が図りかねたのである。

 

「あの装甲材料データについては、確かに連邦軍の秘密データですけど、正式な秘密文書では無いですよ。」

ミリアリアはニッコリと満面の笑みでキシリアに笑いかける。

 

「どういうことか?」

キシリアはさらに戸惑いを脳裏に浮かべた。

しかしそれを表に決して出すことはなかった。

 

「あのデータは実をいうと、うちの穀潰しの相方が、次期主力航宙機の装甲材料防弾テストの際に事前準備のための試射や、トラブルで故障した際の故障排除時に正規の試験装甲材料ではなく、弱小大學の研究室や中小零細弱小企業の研究チームで類似鉄鋼材料を研究しているところを回って集めた試作材料を的にしたデータだったりするものです。

しかも試験材料の的を提供させる際に手数料と称して勝手に設定した料金を徴収してね。(´д`|||)」

悪びれもせずにミリアリアは言い、さらに

 

「一般的には収賄だとお考えでしょうが、実をいうとこれは慣習的に合法とされています行為だったり。

試験前の試射や、トラブル排除の際に発射された弾のデータはばらつきが激しく、収集してもデータとしては扱えません。

しかもトラブルならともかく、試射迄正規の試験装甲を的にしていたら幾つ的を生産しても足りない等ということになりますね。その上収集データは弾かれるとなれば無駄この上ないことです。

そこでどのみち試射の際に調整のための的が必要なら、試作プロジェクトに参加していないものの、類似の研究している団体に試射用の試験材料的を作成してもらいそれを有料で試験して採取データをお渡しする。

試験データが正規試験材料より良好な場合は今度はこちらが試験材料を買い取り、正規の試験を無償で実施し競争試作とする暗黙の合意の制度があります。」

 

この規定の目的は、連邦の経済において極東の島国と同様に数%の大企業と70%以上の資本金千万円以下の中小零細企業の構成比率で国民総生産が回っているため、技術開発や新技術の新発想があったとしても日々の受注消化や、新規受注の獲得にほぼ全てのリソースが割かれるため数%の大企業しか新技術が生まれず、また商品化されない現実から生まれた規定である。

地球上の企業間の競争でさえ喘いでいるのに、今はスペースコロニーの企業迄参入している状況下では自ずと地球上の製造業の不利は明らかであった。

何しろコロニー群の新規建設は大量の建設材料や鉄鋼材料を必要とするが、只でさえ距離と輸送コストで勝負にならないのに、新素材の開発、製造はほぼ漏れなく低重力環境が必須とされているのである。

地球至上主義の連邦議会議員にとっては現状のコロニー有利の経済情勢はいたく気に入らないのである。

 

そこで連邦議会議員は、サイド3の反連邦思想に対して経済制裁を見せしめに実施する一方、次々と地球上の企業に有利な法案を可決。その上で実際に研究開発が成功しなくてはいくら法案の後押しがあったとしても早晩立ち行かなくなるので、今や巨大化した連邦軍の予算を利用してモノになりそうな企業や技術者を支援しようとしているのである。

 

一方企業側ではほぼ一番予算の掛かる試作テスト、しかも大企業並のテストを手数料を払ってもなお安上がりに出来ることから制度は既得権として廃止論争には大反対しているものの、制度を利用したら最後、新素材として実用化のメドが立った段階で大企業に横取りされるか、連邦議員に介入されて利権を持っていかれるので利用企業はほぼ無い制度であった。

マークはこの制度に目をつけてツテを総動員して将来大化けしないものの、そこそこコンスタントに有望そうな研究をしている団体を探して、自分を窓口にこの制度の利用を営業していたのである。将来の天下り先の確保のため。(* ̄∇ ̄*)

 

テストパイロットの寿命は前線部隊よりは長いとはいえ、デスクワーク組に転向しようにも潰しが効きにくく、ましてや退職して一般のパイロットになろうにも競争率が激しく何の手立てもなく辞めてしまうとたちまち自宅内警備員どころか、山でテント暮らしに直行な時代である。

これが陸軍であれば、まだ山岳パトロール救助隊のテントと言えなくもないが、マークは宇宙軍、スペースパトロールは有名な天下り先とはいえ、キャリアからドロップアウト組では望めない。(´д`|||)

山も大概趣味でもかなりのお金が必要なのに、宇宙では個人的に会社を立ち上げようにも必須機材を揃えることすら不可能な金額が必要なのである。

 

ミリアリアはマークが仕事そっちのけで営業をしていることに目をつけて、データを内緒で猫ババ。

今はときめくRXシリーズの開発室のメンバーにデータを横流ししていたのである。(* ̄∇ ̄*)

ミリアリアもエンジニアとして最先端の仕事をしたかったのである。

 

実際には、開発室のレイ大尉からは自分のところでは手の回らないテストを勝手にして、しかも無名ではあるが有用な新素材をタダで見つけてテストもしてくれる便利な部隊とか見ていなかったりする。(* ̄∇ ̄*)

 

勿論、決してミリアリアを自分の開発室に呼ぶつもりもない。

ミリアリアの利用価値はマークが見つけてきた素材をテストして、データを無償で献上することにあるからだ。

開発予算は限りがある上、新素材の採用は無名のところより大企業の方が品質管理も良いし、部下の面倒もしてくれるのにわざわざそんな保証もないところの素材をテストする必要はないからだ。

しかし、新素材は自由な発想から生まれたものが圧倒的に多いのでモビルスーツのように突拍子もないモノを開発する場合は、無名企業の開発素材もモノによってはチェックが必要。というかちょっとでも気になった技術者はそうそうに確保しないと大企業等に新素材と一緒に引き抜かれて、素材を手にするのに莫大な本来掛けなくても良い予算を割かなくてはいけなくなってしまうのである。

 

そうした経緯で入手したデータを今回、ジオニックにも流したのである。

 

 

「連邦にその様な制度があるとは知らなんだが、データを我々に渡すことに違法性がないようならこの先もデータを我々に渡すことを条件に06の実機をお見せしよう。」

とキシリアはミリアリアに迫る。

 

 

「その様なお話はお断りですね。それではまるで、というよりスパイとして無条件に機密データを盗み、ザビ家に渡して忠誠を誓えということですよね?

こちらは今回、お互いに波風立てず、一方的にジオニックに損失を被せる事にならない様に配慮したに過ぎません。

その様な物言いをされると、我々としても連邦公務員規定に基づき関係機関に通報、また、現時点においてキシリア様を連邦軍人に対する収賄および連邦軍機密漏洩強要で逮捕拘禁する必要がありますね?

しかも連邦領事館員の前での持ち掛けですから流石に言い訳できませんよね?」

ミリアリアは強気の姿勢を崩さない。

キシリアの目を外さずじっと見つめ出方を待つ。

 

「その様な暴挙を仕出かしてタダで済むと思うほど頭は悪くないと思っているのだが?」

キシリアは尚も引かず、試す様に見返す。

キシリアがミリアリアを見ての第一印象は強気に押すと頑強に抵抗するより、なるべく早く相手の意図を掴みこちらから折れて利害調整の交渉に持ち込み、自身のダメージの低減を計り主張を通すタイプと見ていた。

なので、ここまでキシリアに抵抗して自身の利益を通そうとするとは思わなかったのである。

 

「たぶんタダでは済まないでしょうね。但し連邦にとってはあなた方の兄弟の内1人でも逮捕して連邦軍に連行、起訴に持ち込める事が出来れば、それはそれで軍は喜ぶでしょうね。何せ経済制裁しているコロニーの指導者一族が連邦法違反で連行となればサイド3の政権内部に大ダメージを与えることになるばかりでなく、あわよくばザビ家の派閥そのものをテロリスト指定出来るかもしれませんしね!」

ミリアリアも尚も引かず言い募った。傍らにいるシルビアは最早顔面蒼白、キシリアもミリアリアも犯罪スレスレのやり取りをしているのである。

正直、とっととこの場を逃げたしてミリアリアを憲兵の護送つきでルナツーに送り返したかった。(;つД`)

 

「よかろう。連邦の下っ端幹部のエンジニアにしてはよくも言う。今回は特別に見せてやる。」

キシリアは傍らにいる壮年の副官らしき男性に合図をする。

 

ミリアリアは男性から市販よりかなり厚みのあるタブレットを受けとる。

 

「そのタブレットの中には06のカタログデータに全面的な図面、整備マニュアル等が入っている。

データはくれてやるが、今回は個人的興味という以上如何なる連邦関係者には公開を禁じる。

例外は認めない!そこの蒼白のお嬢さんにはこの場限り見ることは許そう。

連邦に戻っても、くれぐれもタブレットの存在は露見しない様にな。

後の事はジオニックに任せる。」

副官に耳打ちをされると用は済んだとばかりにミリアリアに言いおいて足早に部屋を退室する。




今回は如何でしょうか?
ちょっと長めの投稿ですが、思いつくままの乱文ですので読みにくい、まとまっていないとか、構想をキチンと練っているの?とかご意見があろうかと思いますがお付き合いいただければと思います。

次回は工場見学とその時、マークの身に何かが?の予定です。

本当にタイトルとか投稿直前に思いつきで決めています。
ごめんなさいm(。≧Д≦。)m
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