それでは第9話どうぞお楽しみください!
あれからすでに3日たった
雪菜は引っ越しの準備をするため荷物を段ボール箱にまとめていた
あれからオイスタッハの行動は世界的な騒動へ発展し、聖遺物を使っての絃神島の施策に対して、西欧教会をはじめとするあらゆる組織や国家から避難が殺到した
結果、絃神島は2年以内に
オイスタッハは国外追放処分、アスタルテは主人の命令に従っていただけであり、命令に逆らった事もあったので保護観察という扱いになった
あれから何もかも日常に戻った
そして、雪菜自身も剣巫としての修行の日常に戻るだろう
監視対象である第四真祖を危うく目の前で殺されかけ、彼の眷獣を使えるように自分自身の血を与えた
監視役としてはあるまじき振る舞い
決定的なのは獅子王機関の秘奥兵器である
避雷針として使用した雪霞狼は、
この事はすべて獅子王機関に報告している。この後、獅子王機関の者がこちらに来ると連絡が来たが、おそらく監視役失格として呼び戻されるだけだろう
心残りはある。普通にある。彼、暁古城のことだ
雪菜は古城の事を好きになってしまった。その事に気付いてしまった。監視役がそんなんでいいのか、と自分でも思う
しかし彼女も女の子だ
そうだと分かっていても諦めきれるものではなかった
そんな事を考えている時、インターホンのチャイムがなった
雪菜は獅子王機関の者だろうと考えたが
来たのはつい先ほどまで雪菜が考えていた人物
暁古城であった
「……先輩?」
『よっ。今…時間あるか?』
「えっと…少しだけなら。今開けますね」
そして雪菜はドアの鍵を開け、古城を家に入れた
「どうぞ」
「ああ、玄関でいいよ。時間もそんなないんだろ?」
「え…そうですけど…」
「ならここでいい」
そう微笑みながら言う古城の笑顔は雪菜には眩しく見えた
「それで、先輩はどうしてここに?」
「ああ…凪沙から姫柊が引っ越すかもしれないって聞いてな」
「そうですか…」
「どうにか……ならないのか?」
「たぶん…無理だと思います。私は監視役としてあるまじき行為をたくさんしているので…」
「姫柊はそれでいいのかよ?」
古城は悔しそうに言った
自分の責任で雪菜が責任を負う事を理解していても納得できなかった
それに古城自身が、雪菜の事を特別に意識しているとこに気付いたのだ。そんな状況で、雪菜が離れるという事は古城にとって嫌でしかなかった
「…しょうがない、とは思ってます。これは私が自ら選んだ道です。けど……もっと……ここにいたかったです…」
諦めたような雪菜の表情はどこか
「先輩……今まで……本当にお世話になりました」
最後はせめて笑顔で
雪菜は古城には悲しんでほしくなかった。だからせめて、笑顔でお別れを言って、古城にも笑顔でいて欲しかった
だが、雪菜の顔は笑顔ではなく、涙がでてきただけであった
「姫柊……」
「…?あれ?すみません…なんだか……」
雪菜は笑顔でいたい。そう思ってるはずなのに、涙は止まらない
そんな泣いている雪菜を古城はただ抱きしめた
「……!先……輩?」
古城は決心した
自分の気持ちを伝えようと
「姫柊…俺は、姫柊の事が……好きだ」
「……え……?」
「姫柊と一緒にいると、安心して、すごく楽しいんだ。無邪気で、正直で、どこか天然で、少し世間知らずなところがあって、……その全てが俺にとって可愛らしくて、もっと姫柊の事を知りたい…そう思えるんだ。そして、その全てを好きになりたいんだ」
古城は自分が思ってること全てを言った。これで振られるなら、悔いはないと言えば嘘になるが、まだ言わないよりはいい
古城は、俺の初恋もこれで終わりか、と考えていた
だが、雪菜は抱きしめられる状況からなにも抵抗せず、呆然としていた
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「…………えっと……姫柊?」
なんの返事もなくスルーされたようで古城は軽くショックを受けたが、次の雪菜の言葉でそんな考えは吹き飛んだ
「……も………です……」
「……ん?どうした?」
「わたしも……先輩のこと……好きです」
少し泣きじゃくりながらも雪菜はそう言った
古城は今の雪菜の言葉が完全に予想外であり、呆然した
「………は……?」
「わたしも……先輩といるのが楽しくて、笑顔が眩しくて………ずっと隣に……いたかった……です…」
「姫柊…」
雪菜の言葉に古城は嬉しかったが同時に悲しかった。この幸せな時間もすぐに終わるのだから
「……雪菜です…」
「え…?」
「最後に…私のこと…そう呼んでください…」
「…ああ、雪菜…」
「はい……古城先輩…」
そして、そのまま2人の顔はだんだんと近づいて
「お〜、もうそこまで進んでいたのかい」
「「っ!?///」」
誰かの声がして、古城と雪菜は離れた
そして古城はとっさに声の聞こえたほうへ顔を向けた
「……猫?」
いたのは黒猫だった。人の声がしたはずだが、黒猫以外誰もいなかった
「し…
雪菜が黒猫の事を
「やあ、久しぶりだね。雪菜」
「……猫が喋った!?」
常識はずれの光景に古城は驚くことしかできなかった
「あんたが第四真祖の坊やかい。それなりにしっかりしてるじゃないか」
「…なあ、姫柊。この猫なんだ?」
「えっと、師家様は人間です。使い魔を通してるから猫が喋っているように見えるだけです」
「したら…獅子王機関の人間なのか?」
少し警戒したように古城が言う。もし雪菜を連れて行くならただでは渡さない、と覚悟を決めていた
「そんなに警戒するんじゃないよ。あたしは雪菜に話をしに来ただけなんだから」
「先輩、大丈夫です…」
「姫柊……わかった」
警戒をやめた古城を見て、黒猫は話し出した
「さて、雪菜。あんたにはこれからの事を話すよ」
「……っ!……はい……」
雪菜は諦めたように目を瞑った
「引き続き第四真祖の監視役を継続しなさい。
「……はい……え?」
「なんだい、もう一回言わせる気かい?」
「い、いえ!そうではなく…」
「これは決定事項だよ。文句があるなら三聖に言いな」
それだけを言って黒猫は後ろを向き去っていく。が、途中で止まって振り返り
「そうそう。あんまり外でさっきのような事は避けたほうがいいよ」
「「……///」」
2人はただ顔を赤くするしかなかった
そして、黒猫はいなくなり2人は雪菜の家に入った
「良かったな、姫柊」
本当に安心したように古城は微笑みながら言った
「はい…本当に良かったです」
「…………」
「…………」
さっきの状態から一転してこの状況になったことで、2人共なにを話せばいいかわからなかった
お互いに互いの気持ちを言った後なので余計この空気が辛かった
「…えっと、先輩?」
「…ど、どうした?」
「その…さっきのは……どうなるんですか?」
さっき、とは言うまでもなく告白の事を指すのだろう
「えっと……姫柊!」
途中考えるも、こうゆうのははっきりさせた方がいいと古城は考えた
「は、はい」
いきなり呼ばれた雪菜は身体をビクッと震わせ返事をした
「す、好きです!俺と…付き合ってください!」
顔を真っ赤にしながら古城は告白した
雪菜は当然
「はい。私も好きです、先輩。これからもよろしくお願いします」
その時の雪菜は、今までの中で1番輝いていた
「ああ、よろしく」
古城も笑顔で言った
ここに第四真祖とその監視役が結ばれた
「それと先輩」
「ん?なんだ」
「これからは姫柊じゃなくて雪菜ですからね」
「……あ、ああ……わかった」
最後の雪菜の笑顔を古城は忘れることはないだろう。危うく鼻血を出すほどなのだから
聖者の右腕 完
くっつきました!
次回からは戦王の使者にはいります。
これからの古城と雪菜のイチャイチャ振りをどうぞお楽しみくださいw
次回の投稿は来週の水曜を予定としています
それではまた次回!