転生者の名は暁古城   作:ちばーな

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どうにか間に合いました!
連日投稿です!

第3話お楽しみください!


第3話 買い物と修羅場

「あ〜、(ねみ)ィ」

 

暁古城(あかつきこじょう)は現在自宅に居た。古城の自宅はアイランド・サウス、住宅が多く集まる絃神島(いとがみじま)南地区。9階だてのマンションの7階である。

 

本日は夏休み最後の1日。午前中なのだが古城は吸血鬼になってから夜型の傾向が強くなっていた。おかげで午前中は頭が働かないダメ人間状態である

 

凪沙(なぎさ)は…部活か」

 

古城には妹が1人いた。名は暁凪沙(あかつきなぎさ)。天真爛漫な少女で家事全般を器用にこなせる出来のいい妹だ。ただ、もちろん欠点もある。ひとつはかなりの清潔好きで片付け魔である事。これ自体はマイナスでも無いが2つ目が問題だ。それは口数。凪沙はとにかく喋るのだ。早口で相手を困らせてしまう事がかなりあるほどに

 

彼女はチアリーディング部員なので現在は大会の応援などで忙しい事だろう

 

(アチ)ィ…」

 

冷房の効かないエレベーターで地上に降りて、古城はマンションの正面入り口でに向かった。

 

 

 

「あ……先輩」

 

正面入口にはギターケースを背負った少女がいた。こんな暑い中汗ひとつ浮いていない涼しげな表情をしている

 

「姫柊、まさかずっとここに立ってたのか?俺を見張るために…?」

 

ストーカーに勝る執念を感じて、古城は不安になりながら訊いてみる。

雪菜は無表情に古城を見返して

 

「はい。監視役ですから」

 

「マジかよ、おい!?」

 

「冗談です」

 

そういった雪菜は、クス、と小さく笑った。雪菜の妙に冷静な口調のせいでどこまで本気かわからず心臓に悪かった。しかも時折見せてくる可愛らしい表情に古城は内心ドキッとしていた

 

「引っ越しの荷物が来るのを待ってたんです。この時間に届くと言われていたので」

 

「引っ越し?…まさかこのマンションか」

 

「はい。あ、来ましたね、こちらです」

 

と配達業者に言ってエレベーターを指差した

 

「ああ…(俺がここに住んでるから当然か…そういやうちの隣突然引っ越したよな…)……まさか……」

 

古城はとてつもなく嫌な予感がした

 

「なぁ、姫柊…部屋って705号室か?」

 

「はい。そうです」

 

「やっぱりか…」

 

となんだかんだ言ってるうちに705号室前に着いた

 

「んじゃ、鍵開けろよ。この段ボール箱運んでやるから」

 

「え?いや、そのくらい自分でもできますけど…」

 

「いいんだよ。男だから」

 

吸血鬼の筋力はこんな時に地味に役立つようだった

 

 

 

 

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雪菜の住む705号室は古城達が住んでる704号室と同じ造りの3LDKだった。家族で暮らすには少し狭いが、1人だと軽く余るくらいである。だが家具がないせいか余計に広く見えた

 

「もしかして姫柊の荷物ってこの段ボール箱3つだけか?」

 

「はい。そうですけど…学生寮に住んでいたのであまり私物を持っていないんです。なにかまずいですか?」

 

「いや、まずいわけではないけど…色々困るだろ。布団もなさそうだし」

 

「私なら大丈夫ですよ。段ボールもありますし」

 

「頼むからやめてくれ…そういうのは」

 

雪菜の斜め上の返答に古城は頭をかかえるばかりである

 

「いちおう生活に必要な物は後で買いに行くつもりだったんですけど…」

 

「俺の監視があるから買いに行く時間がない…ってか?」

 

「ええ、まあ。でも任務ですから」

 

「だったら、俺が一緒に買い物に行けば問題ないだろ?監視もできるしサボった事にはならないだろ」

 

「そうですけど…先輩はいいんですか?」

 

「ああ、暇だからいいぞ」

 

と言って買い物に行く事にした……が

 

「なあ、買い物にその槍いるか?」

 

「もちろんです。任務中ですから」

 

日用品の買い出しに物騒な物は控えてほしかった古城であった

 

 

 

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「それにしても姫柊がここまで常識知らずだったとは…」

 

「うぅぅ………」

 

雪菜は恥ずかしそうに顔を赤くし俯いていた

 

 

あの後古城と雪菜は近場のホームセンターに行ったのだがゴルフクラブを『(メイス)の一種』、高圧洗浄機を『火炎放射器のような重装備』、洗剤を『毒ガスを発生させるのに使うもの』と言ったのだ。古城が一緒だったから良かったものの他の知り合いと行っていたらどうなっていたことか

 

「はぁ…なんだか疲れた…」

 

古城はホームセンターでのツッコミのパレードによって消耗していた。古城の苦悩の叫びを雪菜は誤解したのか

 

「すみません、先輩。荷物を運ぶのを手伝ってもらったりして」

 

「ああ、いや…それはべつにいいんだが。姫柊1人じゃ持てないだろ」

 

「はい。先輩が一緒で助かりました」

 

雪菜はそういって微笑んだ

古城は雪菜の笑顔を見て可愛らしいと感じたが背負っているギターケースにあの槍が入ってる事を思うと、世の中って残酷だな、と思ってしまった

 

 

そして、荷物を抱えた古城と雪菜がモノレール乗り場に辿り着いた時、

 

「ー古城?」

 

目の前で誰かの声がした

 

「え?」

 

名前を呼ばれた古城が顔を上げるとそこに立っていたのはよく知っている顔だった

 

浅葱(あさぎ)?お前の家ってこっちじゃなかったよな?」

 

「うん。バイト帰りだから…」

 

いつもの調子で話しかけた古城に浅葱は警戒したような態度で答えた。そして古城の隣にいる雪菜に声を向けた

 

「その子、誰?」

 

「ああ、姫柊か。えーと、今度うちの中等部に入ってくる予定の転校生だよ。凪沙のクラスメイトで家の隣だからさ、生活用品買いに行くの手伝ってたんだ」

 

古城の正確な説明に浅葱は取り敢えず納得した。

 

「ふーん、そ。じゃあ電車来たから、私帰るね」

 

と行って帰っていった

 

「なんだったんだ…あいつ」

 

相変わらず鈍感な古城にはわかるはずがなかった

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

その後マンションに辿り着いたのは夕方近くになった

 

古城達がマンションのエントランスをくぐると、そのには古城の妹がいた

 

「あれ、古城君たちも今帰り?遅かったね」

 

凪沙(なぎさ)か。なんだ?その荷物」

 

今凪沙の右手には部活の荷物を詰めたスポーツバッグ。そして左手には大量の食材を詰め込んだ買い物袋があった

 

「なにって、歓迎会だよ。転校生ちゃんの」

 

「歓迎会?」

 

「そ。だって引っ越してきたばっかりで今日はご飯の支度なんてできないでしょ?」

 

それもそうかと古城は思いうなづいた。なぜ隣だと知っているのかは大体察した。大方真面目な姫柊がご丁寧に古城が寝てる今朝に挨拶に来てたのだろう

 

「あの…でもいいんですか?歓迎会なんて」

 

「いいのいいの。お肉ももう買っちゃったし。あたしと古城君だけじゃ食べきれないよ」

 

姫柊に対して凪沙は人懐こい笑顔で言った。古城も、たしかに、と苦笑した

 

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えます」

 

雪菜は少し考えてからそう言った。

 

凪沙はそれを聞いて、嬉しそうに笑うが……

 

「よかった。じゃあ、荷物を置いたらうちに来てね。あ、寄せなべだけど大丈夫?雪菜ちゃん、食べられないものとかないかなあ、やっぱり真夏に冷房をガンガンに効かせて食べるお鍋は、贅沢な感じがしていいよねぇ。そうそう、味噌味と醤油味はどっちがいいかな。おダシはね、いちおうカツオとコンブと鶏ガラとホタテを使うつもりなんだかど、今日はーーーーーーーーーーーー」

 

と暴走した

 

凄まじいマシンガントークに雪菜は目を点にして固まっていた

 

 

「その辺にしとけ、凪沙。姫柊が固まってる」

 

 

古城がそう言い止めた

さすがは兄といったところだろう

 

 

その後荷物を置いた姫柊が暁家に来て、凪沙は料理の支度を始め、古城は姫柊を自分の部屋に案内した。

 

ベットと机、隙間だらけの本棚を除けば何もない殺風景な部屋だった

 

「これ…先輩って、バスケ部員だったんですか?」

 

本棚に置かれたアルバムに気づき雪菜が意外そうに訊いてきた

 

「ああ、まあな。姫柊ってバスケは知ってたんだな。ゴルフクラブは(メイス)の一種とか言ってたくせに」

 

と古城は半分馬鹿にした

雪菜は拗ねたように唇を曲げた

 

「むぅ…そのくらいはわかりますよ。けど大会準優勝って立派な成績ですよね」

 

「まあ、昔の話だけどな」

 

それからなぜバスケを辞めたのかなどを話し、夕食にした

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

凪沙が用意した夕食は、軽く7、8人ぶんはあったはずだが、古城は朝昼を食べていなかったので旺盛な食欲を発揮し、雪菜と凪沙もそれなりに食べたので全て完食した

 

「はー……食べたァ。もう動けないよ」

 

凪沙は後片付けを手伝うと主張する雪菜を、大丈夫大丈夫と強引に自宅に追い返し、台所を綺麗に磨き上げたところで力尽きた

 

「おい、凪沙。そんなとこで寝てたら風邪ひくぞ」

 

「ちょっとだけちょっとだけ。部活の練習もあって疲れちゃってさ〜。あれ、古城君?どこ行くの?」

 

「コンビニだよ。なんか飲み物買ってくる」

 

「あ!だったらアイス買ってきて!」

 

「お前まだ喰うのかよ…太るぞ、下っ腹のところ」

 

「うるさいです。そんなこと言う古城君嫌いだよ」

 

べー、と凪沙が抗議する。古城は、怒るということは自覚はあるんだろうに、と思いながら玄関のドアを開けた

 

 

すると何故か目の前に雪菜が立っていた

 

 

「…こんな時間にどこにいくつもりですか、先輩?」

 

雪菜の髪の毛は濡れたまま、しかも顔が少し火照ってるので風呂でも入ってたのかと古城は思った

 

「…ついてくるなら髪とか乾かしてこい。待っててやるから…」

 

「本当ですか?」

 

「そんな格好の女子中学生を、こんな夜中に連れ回せるか。俺にそんな趣味はない」

 

「そ、そうですか。では中で待っててください」

 

「いや、いい。ここで待ってるよ」

 

そして雪菜が部屋に戻っていった

古城は風呂上がりの女の子の無防備な姿を見て顔が赤くなっていた

 

 

そしてしばらくすると制服に着替えた雪菜が出てきた。もちろん背中にギターケースを背負っていた

 

「それでどこにいくんですか?先輩」

 

「コンビニだよ。」

 

と言いながら目的地まであと少しのところ、ゲームセンターを通りかかったところで雪菜が、あ…、といって足を止めた

 

「姫柊?」

 

「ネコマたん…」

 

「このクレーンゲームに入ってるネコマたんって言うのか」

 

「はい。あの…前の学校で人気があって」

 

「うーん、これなら獲れそうだな」

 

「え?」

 

古城は100円玉を機械に入れ操作する。雪菜は戦う時より真剣な表情でアームの行方を追っている。そしてアームは見事ネコマたんを挟み取り出し口に落ちた瞬間

 

「そこな2人。彩海学園の生徒だな。こんな時間に何をしている?」

 

背後から聞こえてきた静かな声に古城と雪菜は硬直した

 

そこに立っていたのは南宮那月(みなみやなつき)だった。

 

「そこの男。どこかで見たような後ろ姿だな、フードを脱いでこちらを向いてもらおうか」

 

じわじわと古城を追い詰めるつもりなのか楽しそうな口調で言う那月

 

雪菜は青ざめた表情で硬直していた。まずいな、と古城は思う。時刻は午前零時近く。高校生が中学生と共にこんなところにいたらどうなるかは誰でもわかるだろう

 

 

「どうしたんだ?意地でも振り向かないというのなら私にも考えがあるぞ」

 

那月がそう言った直後

 

 

ズン!!!!!

 

 

 

と鈍い振動が人工島を揺るがした。その一瞬遅れて爆発音が響いた

 

「なんだ!?」

 

攻魔師でもある那月が、異様な気配に反応して振り返った

 

爆発音は絶え間なく続いてるので単なる事故では説明がつかない

 

そして那月の注意が完全に引き付けられた瞬間

 

「姫柊!走れ‼︎」

 

古城は雪菜の手を取り駆け出した

 

「え、あ……はい」

 

「あ、待て、おまえら!」

 

那月が気付くももう遅い。古城も雪菜も常人とは比較にならない身体能力なのですぐに逃げることができた

 

そして古城は走ってる途中で気付いてしまった。この爆発を引き起こしているものの正体に

 

 

それは意思を持ち荒れ狂う大きな魔力の塊。

 

それは今の暁古城に近い存在

 

 

 

 

吸血鬼の眷獣であった

 




いよいよ次回は本格的な戦闘が混ざっていきます!
上手く描けるか不安ですが頑張りますので宜しくお願いします!

更新は2週間に1度のペースと言いましたが変更します
これからは土日投稿でいこうと思います。
平日も時間があれば投稿するのでどうぞお楽しみください
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