第5話、お楽しみください!
翌日の新聞やニュースでは謎の爆発事件の事で溢れていた。被害総額は約70億円となっていた
本来なら500億円まで被害総額は及ぶので被害を抑えた事になるのだがそのことを知る人はどこにもいない
「うーわー、恐いねー。これって原因不明なんだよね」
制服にエプロン姿の凪沙が朝食の後片付けをしながらのんびり話しかけてきた
「ああ、いろんな噂がでてるけどな」
そう、周りは爆弾テロ、輸送中のロケット燃料の誤爆など、いろいろな噂が飛び交っている
「凪沙はねー、隕石が怪しいと思ってるんだよね。ツングースカ大爆発だっけ?昔これに似た事件がロシアであったんだって」
「隕石か…(なら良かったんだけどな…)」
今回古城は何も破壊はしていないのだが真実を知る1人なのでなんとも言えなかった
「それじゃあ、あたし、チア部のミーティングあるからよろしくね」
「ん?ああ」
「戸締まりよろしくね。古城君も遅刻しないでね。コーヒー飲み終わったら、マグカップ洗って乾かしといてね。出かける前にちゃんと電気消したか確認して…あ、そうそう、新しいハンカチとティッシュも玄関のとこにだしておいたからーー」
「わかったからさっさと行け」
「はーい」
凪沙のマシンガントークは止めない限り中々終わらないので早急に古城は止めた。さすがは兄、妹を止めるのに慣れている
今日は9月1日。夏休みが終わって最初の登校日である
学校面倒だしサボろうかな…、などと考え始めたとき、玄関のチャイムがなった
インターホンのモニタに映っていたのは、制服姿にギターケースを背負った雪菜だった
「姫柊…?どうしたんだ?こんな時間に」
『お迎えに来ました。先輩、そろそろ出ないと遅刻しますよ』
「迎えって…一緒に登校するつもりなのか?」
『無理にとは言いません。隠れて監視したほうがよろしければそうしますけど』
「どっちにしろ監視か…わかった、ちょっと待っててくれ」
そう言い古城は早々に準備を終わらせドアを開けた
というか雪菜の監視は周りから見ればバレバレで怪しいので近くにいさせたほうがいいだろう
「おはようございます、先輩」
「ああ、うん」
それから2人は学校へ向かった
「昨日の事は報告したのか?」
「いえ、本当はするべきなんですけど迷ってます。昨日の件は私達があそこにいたことが問題なので。それに私は先輩に助けられた身なので」
「けど証拠がないからなぁ〜、獅子王機関と警察って仲悪いんだろ?」
「はい。なので私が証言しても無駄かもしれないんです」
「どうしようもない…か」
「そういえば先輩」
「ん?なんだ」
「先輩はどうして眷獣を使わず生身で闘ったんですか?あの状況なら正当防衛が成り立つので問題視される事はないんですよ?」
「あーそれな、実は俺眷獣使えないんだわ」
「……はい?」
「俺の中にいる眷獣達は、俺の事を宿主と認めてないんだよ。だから俺の命令は聞かない。あの時使ってたら間違いなく被害は数倍以上になってるだろうな」
「今の話が本当だとしたら、先輩は思ったより危険な存在ですね。どうにかして、眷獣を制御してもらわないと…」
「…姫柊って変な奴だな」
「えっ…先輩がそれを言います?で…私のどこが変なんですか?」
「俺が変なのは確定事項なんだな…、まあいい。だって普通だったら眷獣を制御できない吸血鬼なんか危険だから滅ぼしてしまおうとか考えるだろ?」
「そうですか?言われてみればそんな気もしますけど……でも、相手は先輩ですし」
「……どういう意味だ?それは馬鹿にしてるのか?」
「いえ、別に深い意味はないです。ただ…そんな悪い
出会ってからの記憶を再生するように目を細めて、雪菜が言った
冗談を言っているような雰囲気ではない。どうも本気でそんなふうに思っているらしい。
というか恥ずかしい
思い出に
相変わらずの鈍感ぶりである
「でも、先輩が本当に
「え?あ、ああ…それはまあ、えと…」
吸血衝動に抵抗のある古城は何というか迷った
吸血鬼が吸血の衝動に駆られる
それをこんな純粋無垢な子に言う事に古城はためらいがあった
「心当たりがあるんですか?」
「あ、え!?何が!?」
本気で悩んでたため質問に古城はテンパってしまった。だが運が良いのか雪菜はそれを勘違いし
「もう…話し聞いてました?全く誰の為に考えてると思ってるんですか…」
雪菜は少し機嫌を悪くしたが古城は内心、助かった…、と安心した
そしてそのまま学校へ到着し雪菜は中等部へ、古城は高等部へ向かった
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その後古城はホームルーム開始直前の教室に入り、自分の席に着いた
すると古城の前に座る
「おはよ、古城。朝っぱらから眠そうで気の抜けた顔してるわねー。ああ、いつもか」
「ほっとけ、いろいろあったんだよ」
その時教室の隅っこで、おおっ、と小さなどよめきが起こった
「なんだ?あの騒ぎ」
疑問を抱く古城に浅葱の友人である
「ああ、あれ?なんかね、中等部に女の子の転校生が来たらしいよ」
「中等部の転校生……?」
古城は自分の監視役である少女の顔が浮かんだ
すると浅葱が
「ねえ、それってもしかして昨日の子?」
「ああ、たぶんな」
そのとき、漆黒の暑苦しいドレスをまとった人が教室に入ってきた
誰であろう、
「暁古城、いるか?」
幼女にしか見えない小柄なカリスマ担任教師が、教室の入り口から古城を呼んだ
「なんすか?」
「昼休みに中等部の転校生と一緒に生徒指導室に来い。話がある」
「姫柊と…?ああ、昨日の事か…忘れてた」
その後浅葱は気になって古城に聞いた
「古城、昨日の事って何のことよ」
「ん?ああ、昨日の爆発のあれに運悪く巻き込まれたからそれの事情聴取だろ」
「昨日の爆発……って、大丈夫なの!?」
「大丈夫だ、怪我もないし。あったらここにいねえよ」
と笑った古城に周りの人間は信じるしかなかった
「あっそうだ。浅葱、ちょいと調べ物頼んでいいか?」
「え?何よ…?」
古城は自分に今できることを考え動いた
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そして昼休みとなり古城は職員室前の廊下で雪菜と合流した
そしてそのまま進路指導室に到着しドアをノックして入った
「きたか、
偉そうに足を組んだ那月が言う。そして彼女は古城の背後にいる雪菜に気づいて
「お前が
「はい…中等部3年の姫柊です」
「ようこそ、
「「ええ、まあ」」
「実は、その現場近くで、''旧き世代''の吸血鬼が1匹確保されたそうだ。重傷を負って死にかけていると、誰かが匿名で消防署に通報したらしい。マスコミにもまだ伏せられているそうだがな。なにか心当たりはあるか?2人とも」
「ええ、ありますよ」
「え…先輩!?」
あっさりと白状した古城に雪菜はかなり焦った。那月は「心当たりがあるなら話せ」と目で語っていた
「その吸血鬼を襲ったのはロタリンギアの殲教師と
「ロタリンギアの殲教師だと?何故そんな奴が……まあいい。ところでな、この島で死にかけの吸血鬼が発見されたのは、今回が初めてではないんだ」
「似たような事件が何件かあるんですか?」
「ここ2ヶ月ばかりの間に警察が把握しているのは6件起きている。さすがに''旧き世代''が巻き込まれたのは今回が初だがな」
「……」
真剣な表情で情報を頭の中で整理し、敵の目的を考える古城を雪菜は初めて見た。那月は他の件で見たことがあるのか黙って見守っていた。
そして古城が、まさか、と言いたそうな表情をしたので那月は話しかけた
「何か分かったか?
「殲教師の表の目的は分かったぜ、那月ちゃん」
ちゃん付けで呼ばれて那月は不機嫌そうに古城を睨むが、何も言わないあたり説明しろということだろう
「まず吸血鬼を襲っているのは調整のためだ。
「
「ああ、那月ちゃんは知らないのか。その
「な……っ!?」
ちゃん付けで呼ばれたにもかかわらず本気で驚愕する那月。それはそうだろう、眷獣を宿す
「さっき姫柊から聞いた話なんだがその
「本当なのか、転校生?」
那月は確認のため雪菜に視線を向け聞いた
「はい。確かに魔力を喰らってるところを見ました」
「なるほど、だから不老不死の吸血鬼の意識が未だも戻らないのか」
納得したように那月は言った
今まで襲われた吸血鬼は今も意識不明で入院中なのだ。不老不死にもかかわらず。もし眷獣の魔力が喰われたのなら今の状況にも納得がいく
「吸血鬼以外の人種が眷獣を使えないのは眷獣が宿主の生命力を喰うからだ。吸血鬼を襲うのは
説明した古城に雪菜は、凄い、と呟いた
「なるほどな。だが裏の目的が分からんな」
そう言った那月に古城は
「ええ、おそらく今は裏の目的遂行の為の準備期間でしょうね」
「……暁古城。お前もせいぜい気をつけるんだな。それと、余計なことはするなよ」
「わかったよ。那月ちゃん」
「…教師をちゃん付けで呼ぶな!」
「失礼しまーす!」
と那月が叩く前に古城は出て行った。雪菜は続いて退室しようとしたが
「ああ、そうだ。ちょっと待て、そこの中学生」
不意に那月が雪菜を呼び止めた。え、と雪菜が振り返ると那月は黒いドレスの胸元から何かを取り出し、それを雪菜に放った
雪菜の
「…ネコマたん…」
「誰かの忘れ物だ。私が持ってても邪魔だからやろう」
愉快そうに話す那月
教師が生徒を精神的にいたぶるのはどうなのだと思いたい
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「これから行くんですか?」
「え?どこに?」
「とぼけないでください。先輩の考えは大体分かります」
俺はそんなに単純か、と思ってしまった
「どうせこうなると思ってたので資料を取り寄せておきました」
「どこの?」
「この島にある西欧教会の施設の一覧です。彼らはおそらくこの中のどこかに協力者と一緒に潜伏しているはずです」
「ありがたいけど多分違うぞ」
「…え?なにか間違ってましたか?」
「多分警察のほうもおっさん達の外見くらいは分かってるはずだ。だけどまだ見つかってないって事は教会ではないはずだ」
「なるほど…、でもだとしたら彼らはどこに?」
「多分ここだ」
と言って古城はズポンのポケットから住所の書かれた紙を取り出した
「この住所は?」
「過去に
「いつの間に調べたんですか?」
いくらなんでも早すぎると雪菜は思った
「ああ、今日の朝天才プログラマーに調べてもらったのさ」
そう、今朝古城が浅葱に頼んだのはこれである。古城はあの襲撃者達が潜伏しているのはロタリンギアの潰れた企業なのではないかと考えていた。ここまで絞れていればあとは浅葱に頼めば場所などすぐにわかる
「取り敢えず行けばいるかどうかわかるさ」
そう言う古城に雪菜は着いて行き、2人して学校をでた
決戦の時は近い
次回の更新は火曜か水曜を予定としています
それではまた次回